コンビニにはさまざまな人たちが来店してくることからなかには対応に困る事例も少なくないというのだが、クレーマーや暴力団なら幾つもの対応方法がノウハウとして蓄積されており、書籍などにもなっているが、ホームレスの人への対応方法はマニュアル化されているとは言いがたいそうなのだ。ホームレスの人がやってくるのは「雨の日」・「寒い日」・「暑い日」が多く、大雨のときや寒い冬の日にうだるような夏の日差し。生命の危機からの緊急避難なのかもしれないという。ホームレスの入店を禁止することになると法律上はサービスを提供していることから、この意味はサービスを提供するという契約をお客様と結ぶということになり、そして契約の当事者には「法に反しない限り」契約の自由があるので誰と契約しようと自由なのだという。
お客様として不適用と考える人物の入店を断るつまり契約を結ぶことを断るのは全く問題ないそうで、自由であるという権利は憲法で保障され民法でも契約とは両者の意思表示を持って成立となっているという。もっともホームレスの人は特に迷惑行為をするわけではなく店内に入ってプラプラするだけなのだが、コンビニの従業員が言うには最大にして一番の問題はにおいだそうで夏場に汗ダクになってしまった不可抗力的なにおいではなく、「目にくる」という表現があるがまさにそのとおりだというのだ。よくトイレに閉じこもることが多いというが現在コンビニの多くでは洋式トイレを採用しており、ベンチ代わりに座っているか中の様子まではわからないが一度閉じこもると 1 時間近く出てこない例もあるというのだ。
そこで問題は閉じこもられた後のトイレなのだが数時間は入るのをためらうにおいがつき消臭剤などなんの役にも立たないという。従業員にとっても他のお客さんにとってもたまらないわけだがこのようにホームレスの人への対応方法は難しいという。なぜならコンビニという誰にでも入れるゾーンに入ってくるだけだからで、これを公然と拒否した場合にはいくつかの問題が発生し差別的行為と取られかねないという。「におい」という事象に対しての入店拒否であっても「差別」という観点から見られた場合、店側は弱い者イジメをしていると取られかねないのだ。ホームレスの人が「差別だ」と叫んだ場合は対応が難しくないのだが第三者から言われると弱く、入店拒否の理由が「におい」というとあくまでも個人的感想に基づくものだからだという。
しかも店は営利施設なので買い物をしないホームレスの人に対してはある程度強気な態度も可能ではあるが、今のホームレスの人は決して無一文というわけではなくコンビニにはそれこそ 10 円から購入可能な商品が置いてあるのだ。もしかしたら道端に落ちていただろう 10 円であっても買い物の意思を持っている人に対してむげに追い出すわけにもいかないというのだ。店舗というお客さんを自由に出入りさせるタイプの商売にとって、お客さんを選ぶという行為は自分たちの商売スタイルを否定しかねない行為で、さらにホームレスの人への対応は店内だけにとどまらずコンビニのゴミ捨て場では必ずと言っていいほど施錠されているのも、廃棄済みの弁当を目当てに訪れるホームレスの人への対策だというのだ。
賞味期限切れの弁当等は「別に捨てたものだからいいじゃん」という意見もあるが、たしかにゴミとして捨てられた弁当はゴミ処理施設へと向かうだけだし、別に誰かに持って行かれたからといって大騒ぎするわけではないのも事実なのだ。しかし持って行かれては困るし配るわけにもいかない理由があって、コンビニ店舗での廃棄処分は「腐っている」からではなく「販売する価値がなくなった物」という。すなわち廃棄処分した弁当であっても食べられないものではない、ということだ。仮に廃棄処分の弁当をホームレスの人に配った場合どうなるかなのだが、必ずホームレスではない人たちも「欲しい」と言ってくる。それに対して対応できる術はないしさらにもう 1 つ商品価値という定義が崩れる可能性が高いというのだ。
弁当には販売してもよい時間が各チェーンで決まっており、廃棄する物を配るという行為はその販売可能時間を縮める要素をはらんでいるという。勝手に持っていかれる環境も防がなくてはならないし、勝手に持って行かれた弁当と正規に販売した弁当の区別が難しいという。もちろん印をつければ問題はないがその行為は負担以外の何ものでもない。酔っ払いに対しては「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」を根拠に警察に通報する手段があるのだが、悪臭を放つ人に対して直接対処できる法令がなく困っているが、テレビなどでは語られることはないだろうコンビニが抱えるホームレス問題は、社会問題に挙げられる「貧困」の現実がコンビニという場所ではよりリアルに感じられるというのだ。
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