ハチに刺される被害は夏場から秋にかけて最も多くなることから夏休み中に子どもたちがハチに刺されないための注意点などを学ぶ特別授業が小学校で行われているそうだが、鹿児島県伊佐市大口小木原の十曽池公園で児童ら11人がキイロスズメバチに刺されていたことがわかったという。全員が病院に搬送され手当てを受けたが重傷者はおらずいずれも命に別条はなかったそうなのだ。伊佐湧水消防組合などによると被害に遭ったのは姶良市の教会が企画した1泊2日のキャンプで公園を訪れていた50歳代の男女2人と小学2~6年の児童9人で、教会の男性牧師によるとキャンプ参加者らが長さ約20メートルほどのつり橋を渡っていた際に重みで橋が揺れ橋の下にあった巣から40~50匹ほどが襲ってきたという。
これからスズメバチが攻撃的になる時期と重なり刺される被害が相次ぐのだが、今年もすでに公園に居合わせた人が襲われるといった被害が出ているという。急な血圧低下や呼吸困難に見舞われ30分程度で死に至るケースもあり、時には命に関わる危険もあって注意が必要なのだが、ハチの生態に詳しい玉川大農学部長の小野正人さんによるとスズメバチに刺される被害は例年8~10月に集中するという。この時期は翌年に女王バチとなるハチの養育が始まり働きバチは神経質になっているそうで、巣の防衛範囲は半径5~10メートルの範囲に人が立ち入ると攻撃を受ける危険があるという。厚生労働省の人口動態調査によるとハチによる死亡者数は年間約20人で大半がアナフィラキシーショックによるものとみられている。
スズメバチの巣に近づいただけで刺されてしまうのだが、専門家によると「いきなり刺されることはまれです」と話している。「まず監視役のハチ2~3匹がまとわりつくように飛び回り、カチカチと歯ぎしりのような音や羽音を出してくる。これ以上、巣に近づくなとの警告です」と言い、 警告を無視してとどまったりあわててハチを手で振り払ったりすると、監視役のハチは巣を攻撃してきたと判断し「警報フェロモン」をばらまくという。すると巣にいるハチがフェロモンを感知し一斉に襲いかかってくるというのだ。警告に気付いたらあわてず静かにその場を離れることが肝心で、専門家も「里山の宅地化が進みスズメバチが住宅の軒先や橋の下などに巣を作るようになった。人との距離が近くなり、被害が相次ぐようになったのです」と説明している。
ハチは黒い物に集まるので黒っぽい服やひらひらするものは避けることが大切で、黒いカバンや靴も避けたほうがよいという。服装は顔や首・腕・足などをなるべく出さず髪の毛も黒いので白い帽子をかぶるのがいいという。また匂いにも気をつけることが大事で香りのする香水や整髪料はつけないことはもちろん、ジュースなどを飲む時はハチが寄ってくる恐れがあるので注意が必要だという。その上でハチに遭遇してしまった時には手で振り払ったりするとかえってハチを刺激してしまうので、身を低くして顔を下向きにしてゆっくりとその場から離れるのが正しい避難の方法だという。刺されてしまった場合にはすぐに誰かを呼び針が残っていれば取り除いて毒を絞り出し、水で洗い流して刺されたところを冷やして安静に知ることが大事だという。
それと遠足の経路やマラソン大会のコース付近にスズメバチの巣がないか下見をするのも有効だが、例えば7月と9月とでは巣の大きさや働きバチの数などは大きく異なることから、巣が小さいと見逃してしまうこともあるため下見をするならなるべく直前にするとよいそうなのだ。特に橋の下など目に付きにくい場所に巣が作られていることもあり、下見は十分注意しながら入念に行うべきだという。自治体の窓口には7月からハチの巣の駆除についての相談が次々に寄せられているというが、また洗濯物や布団を取り込むときにハチがとまっているケースもあるので注意が必要だという。アウトドアに出かけなくてもハチに刺される危険はあるので、ハチの習性を知ってハチに刺される被害にあわないよう気をつけることが大切だという。
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