北朝鮮は米韓合同軍事演習に反発し弾道ミサイルなど飛翔体を発射し続けているが、北朝鮮との対話方針を維持するトランプ政権は発射を問題視しない姿勢を維持している。そんなトランプ米大統領は半導体材料の対韓輸出規制や元徴用工訴訟を巡り悪化する日韓関係について「韓国と日本は仲良くしなければならない。協議の席に着くべきだ」と述べ、「両国は頻繁に対立している。そのことが米国を困難な立場に追いやっている」と不満を示したという。トランプ大統領はホワイトハウスで「同盟国である両国が友好関係でなかったら、我々は何をやっているんだという話になる」と繰り返し、日韓対立状況の打開に向けて韓国の文在寅大統領から直接協力を求められたことを明かし「求められれば関与する」と仲介に意欲を示したという。
来日中のマレーシアのマハティール首相も訪問先で、マレーシアにとっても重要な貿易相手国である日韓両国が対立を深める現状について、「我々は、過去は過去として捉えるべきだ。日本はすでに謝罪している。 1 度で十分だ」と指摘したうえで、日本政府にも「対立ではなく地域全体の経済発展に焦点を絞るべきだ」と注文したという。そのような中で政府の防衛白書の原案が判明したが同盟国である米国を除く各国との協力や交流実績を記載する「安全保障協力」の章で重要度を示すとされる記述順が変更され、韓国について昨年はオーストラリアに続く 2 番手だったが今回は 4 番手と位置付けており、防衛省筋は「事実上の格下げを意味する」と明言し、安保分野でも韓国との対立を巡る日本の立場を鮮明にした格好となっている。
防衛白書は 9 月中旬にも閣議で報告される見通しだが、両国間には今月に更新の判断期限を迎える軍事情報包括保護協定の更新問題も浮上しているという。日本側は継続を希望しているが韓国が破棄を示唆している。今回は韓国に対しての「米国の同盟国であり、基本的な価値及び安全保障上の多くの利益を共有する」という表現も削除されているというのだ。しかも韓国国防部は国防政策を対外に知らせるために刊行している国防白書から「北朝鮮政権と軍は敵」という表現を外し、代わりに「敵」の概念を「大韓民国を脅かし侵害する勢力」と規定したというのだ。発表された韓国の国防白書には「わが軍は大韓民国の主権、国土、国民、財産を脅かして侵害する勢力をわれわれの敵と見なす」との文言が入ったという。
これにより2010年版から再登場していた「北朝鮮軍はわれわれの敵」という文言は8年ぶりに削除されたというのだ。しかも韓国軍は幹部級の打ち合わせの場において 3 万トン級軽空母の建造を推進すると決定したという。短距離離陸・垂直着陸機の搭載能力を持ち F-35B を導入するとの見方が濃厚だというが、日韓関係が微妙な情勢に差しかかるなかで日本が保有する護衛艦いずも型の空母化計画に対応する動きとして注目を集めているという。新型艦はヘリコブターが離着陸する能力を持つことから ヘリコプター揚陸艦に分類されるというが、朝鮮日報によると韓国の既存のヘリコプター揚陸艦と比較するとおよそ 1.5 倍の規模となるという。韓国のヘリコプター揚陸艦としては独島と馬羅島の 2 隻が存在している。
新造艦は排水量 3 万トン規模となり排水量 1 万 9000 トン級という既存 2 艦の規模を大幅に上回る規模だというのだ。日本が保有するいずも型護衛艦の排水量 2 万 6000 トンと比較してもやや大きい数字で、韓国政府が出資する研究機関ではすでに F-35B 調達に向けた先行調査が始まっているという。現状では購入予定の F-35A の一部をF -35B に振り替えるか、または全体の購入数を 20 機増加させるかのシナリオが候補に挙がっているという。今回の軽空母計画は日韓関係が悪化しつつあるタイミングで報じられたため、日本側の計画に対抗する動きではないかとの見方が広まっている。ここ数ヶ月で外交問題が持ち上がっているが、それにもかかわらず「日本は韓国を深刻な安保上の脅威とみなしていないようだ」とされている。
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