暑い日が続くとぼんやりしたり注意力が散漫になったり段取りが悪くなったりと集中力が少なくなってしまうことが多いが、暑いから仕方のないものと片付けてしまってはいけないという。バージニア大学とヒューストン大学の研究チームが数年前に行った実験では、わずかな気温の変化さえも細部に注意が必要な仕事への集中力や認知機能を低下させることが分かったそうなのだが、科学雑誌サイエンティフィック・アメリカンの記事で「参加者に暑い部屋と涼しい部屋で記事の校正をしてもらったところ、暑い部屋の被験者は涼しい部屋の被験者に比べ仕事の質が大幅に悪く、スペルや文法ミスの半数近くを発見できなかった。この結果からは、暖か過ぎる環境では単純な認識タスクでさえ悪影響を受けるということが分かる」というのだ。
またコネティカット大学ヒューマン・パフォーマンス研究所の研究によると、軽度の脱水状態における例えば夏の日差しの下でアルコール飲料を飲みながら汗をかくことで引き起こされるものが起きると集中力が妨げられ、集中力と記憶力を要する仕事を完了することが難しくなることが分かっているそうなのだ。仕事への悪影響は男女ともにみられたが特に女性の方が大きかったというが、もしこの暑さでやるべきことに集中できずに自分の無能さにいらだっているのなら暑さに合わせた十分な水分補給をしていないことが原因かもしれないという。南国に住む人のように体は最終的には順応するように、常に暑い場所に住んでいるのであれば話は別だが急な気温の上昇は認知機能により深刻な影響をもたらすとされている。
オーストラリアのアデレード大学などの研究チームは熱波が市民の健康に及ぼす影響を調べた結果、気温が 26.7 度まで上がると気分障害を含む精神・行動障害・認知症・ストレスや睡眠に関連した症状による患者入院数が跳ね上がったという。熱波の間の入院数は 7.3 %増加したというが悪いことばかりではなくという。暑さのあまり広告企画や小説執筆がはかどらなくても満足な仕事は秋まで無理だとあきらめる必要はないという。研究チームは機械的な作業には涼しい環境よりも暖かい環境が適していることを発見したそうで、保険会社で行った実験の結果オフィスの温度を 20 度から 25 度にするとタイピングの間違いが 44 %減り、タイピング処理量が 150 %増加したそうで、夏の盛りはデータ入力に最適だったというのだ。
それでもサラリーマンの約 3 人の1人の割合で職場の暑さによる体調不良を経験していることになるといわれるが、とろけそうなほどの暑さで食欲がなくなるこの季節には甘いものやアイスに麺類・果物などで食事を済ませている人が多く、それが集中力の低下の原因になっている可能性があるからだという。暑さや部屋の寒さが自律神経を乱す原因になることもあるが、栄養の偏りも集中力の低下に大きく影響するという。頭をフル回転させるためにはバランスのとれた栄養が必要だとされているが、漢方医学によると人は自然の一部で自然の変化は体調に影響を与えると考えられているそうで、ものすごく暑い日が続き食欲がなくなりやすいときこそ食べる内容に気をつけることが大切だと教えているそうなのだ。
この体調管理に食事内容を役立てることを「食薬」と呼び、暑い日が続き食欲がなくなりやすいときこそ食べる内容に気をつけることが大切だという。漢方医学で集中力の低下を「血虚」とよぶが、これは集中力の低下だけではなくめまいや頭痛・生理痛・不眠などの原因にもなるというのだ。中力が低下しているときに必要な栄養素は糖分ではなくビタミン B 群とオメガ 3 脂肪酸だそうで、これらはメンタルの安定にもつながり夏バテを解消するには体力を回復することが必要だという。そのために炭水化物だけでなくたんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよくとることが大切で、漢方医学ではメンタルのために必要な栄養素を補う食材と考え、頭を使ったり気持ちが落ち着かなかったりするときにはおすすめだという。
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