気温の上昇とともに熱中症で倒れる人が増えてきるが、熱中症は高温環境下に長期間いることによって体の中で産生された熱がうまく放散できずに起こる体調不良の総称で、そのベースにあるのは大量の汗をかくことなどによって体の中の体液が減ってしまう脱水症だという。人間には 1 日に 2.5L の水分が必要といわれているが、普通に生活しているだけでも 1 日 2.5L もの水分が失われているそうで、年齢や性別・体格などの個人差はあるが、食事中の水分や体内でつくられる水の量は 1.3L で排出した水分を補うためには新たに 1.2L の水分を摂取する必要があるという。厚生労働省が奨励している「健康のために水を飲もう」推進運動の中では、平均的にコップの水をあと 2 杯飲めば 1 日に必要な水の量を概ね確保できるという。
もっとも暑い日や激しい運動をする場合などはしっかりと水分補給する必要があるが、決められた量の水を無理に飲み続けることは避け喉の渇きに応じて、適宜水分を補給することを心がければ過剰な摂取にもならず過度の脱水も防ぐことができるという。熱中症や脱水症を予防するためには水分補給がとても大切なのは当然だが、といってもただ水をたくさん飲めばいいというわけではないそうで、人間の体液は水とナトリウムイオンなどの電解質でできており、猛暑の中での活動で大量の汗をかいたときには水分とともに塩分も失われてしまっているのだ。そんなときに水だけを飲んでも塩分がなければ浸透圧の関係で細胞の中まで入っていけないため体の中に水分をためておくことができなくなるという。
さらには体液が薄まってナトリウム不足となる「低ナトリウム血症」を起こしてしまう危険があり、この現象は水中毒とも呼ばれて命の危険まであるというのだ。水中毒になるとこむらがえりだけでなく頭痛や吐き気を起こしたり、意識がもうろうとしたりけいれんを起こしたりして、重症の場合は死亡することもあるという。熱中症や脱水症に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長兼栄養部部長の谷口英喜氏は、「日常の水分補給であれば、水だけでも構いません。ただ、暑さのせいで食欲がなく、食事から十分な塩分がとれていないときや、大量の汗をかいて塩分を多く失ったときは、水だけではなく塩分も必ず補給してください、急性の脱水症などで緊急に水分補給が必要なときには、経口補水液を飲んでください」という。
熱中症対策としては塩分や水分の摂取が推奨されるが、両方とも過度な摂取には気を付けるひつようがあって、塩分が多すぎることで引き起こされる中毒の「食塩中毒」がある一方で、塩分が少なすぎることで起こる中毒もありそれが水中毒なのだ。水中毒は水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し「低ナトリウム血症」という状態に陥ってしまい、場合によっては命の危険にさらさらされるという。主な症状としてはめまいや頭痛・多尿・頻尿・下痢などがあげられるというが、悪化すると吐き気や嘔吐・錯乱・意識障害・性格変化に呼吸困難などの症状が現れ死に至る場合もあるというのだ。海外では低ナトリウム血症による死亡事故が報告されており水の飲み過ぎが原因と診断されているというのだ。
そうで「経口補水液」は飲む点滴と呼ばれるほど脱水症への効果が高く、脱水症のときに経口補水液を 500 ~ 1000mL 飲むとだいたいは 30 分くらいで劇的に元気になるという。「経口補水液」は脱水症になった体に体液に近い成分を素早く確実に補給する理想的な飲み物だというのだが、この「経口補水液」には体液に近いバランスで水分とナトリウムイオンが含まれているため両方を一度に補うことができ、さらに水分が小腸で吸収される際の吸収速度を高めるため一定の割合でブドウ糖が含まれているという。またスポーツドリンクは糖分が多めなので運動をしない人が日常的に飲むと糖分のとり過ぎになる可能性があることから、スポーツ時や肉体労働時に水分補給と同時に消費したエネルギーを補給する目的で飲むとよいという。
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