元連合会長の古賀伸明氏は大手新聞社の政治プレミアに寄稿し、今年の「原爆の日」に広島と長崎の両市長がともに核兵器禁止条約の批准・署名を求めたことを指摘し、政府に前向きな対応を求めたそうなのだ。古賀氏は「まず日本政府は核兵器禁止条約に署名・批准すべきである」としたうえで、日本政府の対応について「核兵器保有国と非保有国の橋渡し役に努める、と呪文のように唱えるばかりでなく、関係国への働きかけを強化して具体的に核兵器廃絶に向けて、どう役割を果たしていくのかを示すべきだ」と語ったという。一方で被爆者の高齢化が進み平均年齢は 82 歳を超えていることから、古賀氏は「原爆の被害の歴史と記憶を風化させることなく、必ず後の世代に引き継いでいく必要がある」と訴えたという。
国連で核兵器の開発や実験・使用などを全面的に禁止する史上初めての核兵器禁止条約が 122 カ国・地域の賛成で採択されているが、米・露・中など核保有国だけでなく日本の政府も条約の採択に参加していない。ニューヨークの国連本部でグテーレス事務総長は「核兵器禁止条約の批准のプロセスは遅いです。しかし私たちは積極的に前に進めるためにできることを全てやるつもりです」と述べ、核兵器禁止条約の発効へのプロセスが遅れているとして条約発効に向けて全力を尽くす考えを示ししている。核兵器禁止条約は採択から2年となったが批准の前段階として署名した国が70カ国で、批准した国は25カ国と発効に必要な国の半数に留まっていて、核廃絶に向けた気運の後退が懸念されているという。
今まで政府の方針に従っていた広島市の松井一実市長も今年 8 月 6 日の平和宣言で日本政府に署名・批准を促したそうなのだが、米軍による原爆投下から 74 回目の「原爆の日」を迎え平和記念公園であった平和記念式典の平和宣言で、広島市の松井一実市長は核兵器廃絶への動きが停滞していると懸念を表明したという。世界の為政者に被爆者の声を聴くよう呼びかけ、日本政府には「被爆者の思い」として核兵器禁止条約への署名・批准を求めたという。核兵器禁止条約について安倍首相は「アプローチは異なるが、核廃絶というゴールは共有している。重要なのは核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、具体的な核軍縮の取り組みを積み重ねることだ」と話し政府方針への理解を求めたそうなのだ。
長崎の被爆者 5 団体は長崎市内で安倍晋三首相と面会し、核兵器禁止条約への署名・批准や原爆被害に対する国家補償の実現などを求めている。長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は要望書を手渡す際パンフレットに掲載されている「黒こげの少年」や「焼き場に立つ少年」の写真を見せながら「これを見て感じ、考えてほしい」と迫ったが、何も答えない安倍首相に対して「総理が資料館に来ずに外国の代表に広島や長崎に来てくれと言えない」と憤っていたというのだ。長崎市の田上富久市長も平和宣言で署名・批准を求めたが、「条約への国の姿勢は変わっていない。国連や平和首長会議などと連携し、早期の発効を目指す」としたうえで、「日本は核兵器禁止条約に背を向けている」と正津の態度を批判したという。
また核兵器廃絶を訴えスイスの国連軍縮局などを訪問した高校生平和大使が帰国報告をしたそうなのだが、広島・長崎両県からの平和大使は「私の祖父は5歳の時に被爆し、なんとか助かりました」などと直接聞いた体験談を語ったそうで、広島市役所で帰国報告をしたのは広島県選出の高校生平和大使3人だという。全国の高校生平和大使23人は今月にスイスにある国連欧州本部を訪問し軍縮会議を傍聴したほか、核兵器廃絶を求める過去最多の21万5547筆の署名を手渡し、現地では被爆の惨状と平和への思いを伝えたというのだ。応対した欧州本部軍縮部のアニャ・カスパーセン部長は「こんなに力強く被爆体験を伝えられるのは素晴らしい」と話し唯一に被爆国である日本からの平和大使を激励したという。
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