人生 100 年時代では人生の「 1 周目」が 50 歳くらいまですると、「 2 周目」がそこから始まるとされるが、通常なら会社は 60 歳で定年となるのが現状で、それを迎える前に多くの会社員が役職を解かれて収入が下がるのはよくあることだという。仕事の目的とやる気を失った結果人生そのものに消極的になる人は少なくないそうで、どうすれば「 2 周目の人生」を前向きに過ごせるのかということでは、明治大学教授の齋藤孝氏は「医学の発達や生活環境の向上で人生 100 年時代と言われるまでに寿命が延びたのに、残りの 50 年、人生の 2 周目になんの希望も持てないとしたらそれはもったいない。苦役のような時間になってしまいます。ところが程度の差こそあれ、苦役に近い 2 周目に入ってしまっている人が少なくありません」という。
そして最近とくに問題となっているのが「初老期うつ病」と呼ばれるもので、この年齢になると自分の歩んだ人生は良かったのかまだすべきことがあるのかなどを考え人生の総決算を始めてしまいがちだという。だんだんと体の衰えを感じ身体的な不調を覚えたり癌や生活習慣病などが気になったり身近な人の死にショックを受けたりもするそうなのだ。特に女性は子供が成人して夫婦二人の人生のステージに進もうしても、夫は会社人間のままで家庭を顧みずにほったらかしにされると不満があふれてくるというのだ。こうなってしまうと人生に新鮮味を感じられず何を見ても心が動かない。このまま歳を取っていくのかという虚しさのようなものが込み上げてきて次第に気力を失い活動力が落ちてしまうというのだ。
50 歳を過ぎた頃から現れるようになるこのような抑うつ状態を「初老期うつ病」というのだそうなのだが、実は私自身もそれらしきものになりかけたことがあって、 50 歳を過ぎた頃何かをするたびに「ふうっ」とため息が出るようになってしまったのだ。会社勤めも30年以上となると一通りこの世の中のことはわかってしまい、仕事の段取りもある程度身に付いているしうまくいったこともいかなかったこともほぼ想定内だし、心臓病の手術をしたこともあって肉体的な衰えも当然加わり、なんだかやたらと身体が重くため息ばかりついている自分に気づいたのだ。仕事でもなんでも一通りのコツと勘がつかめて 50 歳を過ぎていろんなものが一段落して、フッと肩の力が抜けたそういう状態のときに心に「うつの雑草」が生えるというのだ。
実は「うつ」という気分も放っておくと雑草のように心にはびこるものだそうで、雑草はとにかく早めに抜くことが大切で地面から少し顔を出したら小さなうちに摘み取ってしまわないと大変なことになってしまうのだ。「心の雑草」や「うつの雑草」もまさに同じで、ちょっとやる気がしないとか気分が乗らない・身体が重くて動くのがしんどい・何に対しても興味が昔のように湧かずウキウキしないなどがあったら要注意だという。ちなみにうつ病の「鬱」という字は何か密集して詰まっている状態を表すそうで、「うっそう」とした森の「鬱」ならまだしも憂いが密集した「憂鬱」の場合は困ったことになってしまう。人生の 2 周目を前にして新たな目標や生きがいの種を植える前に、「うつの雑草」で覆われてしまいどうすることもできなくなってからでは遅いというのだ。
スポーツをやっている人や身体を動かしている人はうつ状態になりにくいというが、例えば若いときにやっていたスポーツを今も続けているという人や、中学高校時代に部活でやっていたスポーツを今も何らかの形でやっている人はうつ状態になりにくいという。スポーツは身体を動かすという意味もあるが、特に勝負の世界で気持ちをピンと張ることがよい効果をもたらすそうなのだ。緊張感によって心の雑草がきれいに取り除かれ、脳の機能的な働きで言うなら筋肉を使い筋力をアップすることで男性ホルモンであるテストステロンが分泌され、試合に勝利することでアドレナリンなど脳内ホルモンが分泌され脳への刺激になるという。体を動かすことで脳に刺激を加えることが活発になって機能低下を防ぐことにつながるというのだ。
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