今年の10月から消費税増税と同時に始まったキャッシュレス決済のポイント還元制度も 1 カ月が経過したが、経済産業省の試算では開始 3 週間のポイント還元金額は 1 日当たり平均約 10 億円超で想定を上回るペースという。消費税が引き上げられるが中小の小売店ではキャッシュレスの手段によって商品を買うと支払額の 5% を還元してもらえることになっているが、この還元分は日本政府が負担することになっており、政府はそのために 2800 億円の予算を投じているという。もっとも国の制度による 2 ~ 5 %のポイント還元が受けられる店は予想以上に少ないといわれており、中小店舗だと思ってもレジには「ポイント還元対象外です」の張り紙はあるが、実際この 1 カ月で還元を受けられた店はコンビニだけだったという。
キャッシュレス時代は「これまで以上にセキュリティーの意識を高める必要があるとされるが、消費増税とあわせて 10 月からスタートした政府によるポイント還元制度なのだが、現金派が多い日本人にとってキャッシュレス決済促進の追い風になるかと思いきや、一度は挑戦してみたものの早くも現金決済に出戻りする人たちもいるようだ。お客を呼び込む絶好のチャンスなのになぜ小売店の動きが鈍いのだろうかということなのだが、一つにはお客がキャッシュレス支払いをしたときに店側が決済手数料を負担しなければならないという問題があるようだ。クレジットカード支払いの場合は還元が行われる期間は手数料が上限 3.25% までに抑えられるがそれでも小売店にとっては軽くない負担となっているそうなのだ。
キャッシュレスで買い物ができる便利さと引き換えに多くの人が待っていたのは浪費だったといわれるが、 20 代の会社員の男性では「倹約家とまでは言いませんが、一応、月に食費や交際費はいくらまでと決めていたんです。でも、キャッシュレス決済にしてから、 1 万円くらい出費が増えた気がします。キャッシュレス決済はとにかく便利でしたが、気軽に買えてしまうのは怖いですね。自販機でジュースを何本も買うなど、小さな出費が日々重なり、ヤバイです」と語り、後からチェックしようにもスマホ決済には落とし穴があったという。「具体的に何を買ったか、覚えていないんです。クレジットカード明細にはスマホ決済のサービス名だけ表記されているので、なかなか厄介ですね。キャッシュレスは控えて、現金派に戻りました」という。
30 代自営業の男性も消費する金額が増加し「これまで、クレジットカード決済は 1 か月に概ね 5 万円くらいだったのですが、 30 万円くらいあったものですから、不正利用を疑い、会社に問い合わせしてしまいました。明細も見たのですが、本当に買ったものか、記憶がなかったんです。ただ、結局は不正利用ではなく、自分が購入したもので恥ずかしくなりました」としたうえで、「キャッシュレス化したことで、せっかくならカードのポイントも貯めたいというのもあって、ついつい。現金が減る感覚がある方が、僕には合っているのかな。減る状況が目に見えていないと、自分がいくら使ったのかわからない。しばらくはキャッシュレス決済とは距離をとろうかなと思っています」と語っている。
またキャッシュレスで一番戸惑いを抱えているのは高齢者だといわれているが、得体の知れないもので詐欺にあうのではないかと不安視する人も結構多いという。 60 代の女性などは「目先のポイントに欲をかくと、かえって損する」とか、「キャッシュレスは明細チェックが面倒くさい」と基本的には現金派で、必要なときにクレジットカードで十分だとスマホから決済アプリを削除したという。安全のためにとスマホに指紋認証のロックをかけたことでトラブル頻発しており、たくさんの人が並ぶレジでロックが解除できず支払いにてこずったり、自分で手続きする金額入力を誤送信したりする事例も多いという。そして「若い人と違って、一度、操作につまずいたらおしまいよ」とかたり「現金も持っておかなくては」という意識は強まったというのだ。
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