台風19号の 大雨で堤防が決壊した71河川の140カ所のうち8割にあたる62河川の112カ所が 支流と本流の合流点から約1キロの範囲だったことがわかったそうで、専門家は「合流点近くに住む人は、浸水が起きやすいことを自覚しておくべきだ」と指摘している。国土交通省と河川決壊があった福島県や長野県等の7県での台風19号で決壊した71河川の堤防140カ所の具体的な地点を特定しているが、川幅などの小さな川が大きな川に合流する地点とその決壊箇所の関係を調べたところ、合流点から約1キロの範囲で支流の堤防が決壊していたのは28河川の35カ所だった。河川氾濫のメカニズムに詳しい早研究者によると、合流点から約1キロ以内の決壊であれば、多くで「バックウォーター現象」が起きた可能性があるという。
被害を出した河川に「バックウォーター」という現象が起きたことがわかってきたそうだが、東京都と神奈川を流れる多摩川でも台風 19 号の影響で氾濫した結果大規模な浸水が発生し、マンション 1 階に住む男性が死亡した。さらに JR 武蔵小杉駅の改札が泥水につかるなど深刻な被害が都市部にも及んでいる。その引き金となったのが「バックウォーター」だと言われるが、「バックウォーター」とは大量の雨で本流の水位が上昇し支流の水が本流へと流れ込めずに逆流氾濫するというもので、この「バックウォーター」が多摩川の支流・平瀬川で起き氾濫したと指摘している。普段は水量の少ない支流が突如として氾濫する「バックウォーター」は各地の川で相次いだとみられている。
栃木県足利市にある渡良瀬川の支流と旗川や出流川と尾名川が流れているが、今回の台風では出流川の堤防が約 80 メートル決壊している。日本にある一級河川と二級河川の数は 2 万 1 千ほどといわれるが、つまりこれだけ「バックウォーター現象」が起きる可能性があり、そうすると堤防などのハードの対策を待っていてもなかなかすぐには無理だという。「 バックウォーター」が生じるのは流れが常流の場合で構造物の存在や水路の断面形状・河床こう配の変化などがその原因となる。水位変化の影響を受ける範囲を背水 (バックウォーター)区間というが、ダムや堰などによる水位上昇で背水区間の水位が上昇することを堰上げ背水(バックウォーター)といい背水区間の水位が低下することを低下背水と呼ばれている。
洪水の際に本川の水位が高い場合には支川から本川への流入が起こらず、そのために支川の水位が上昇することを指す場合は、 河川管理施設等構造令でも堤防の高さは計画高水流量に応じ、計画高水位に余裕高の値を加えた値以上とするものとするとされており、ただし堤防に隣接する堤内の土地の地盤高が計画高水位より高く、地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあってはこの限りでないとされている。また背水(バックウォーター)区間では甲河川と乙河川が合流することにより乙河川に背水が生ずることとなる場合においては、合流箇所より上流の 乙河川の堤防の高さは、河川管理施設等構造令の規定により定められるその箇所における甲河川の堤防の高さを下回らないものとするものとするとなっている。
堤内地盤高が計画高水位より高く地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間及び逆流を防止する施設によって背水が生じないようにすることができる区間にあっては、この限りでないとされている。乙河川の堤防の高さが定められる場合においてはその高さと乙河川に背水が生じないとした場合に定めるべき計画高水位に、計画高水流量に応じた余裕高の値を加えた高さとが一致する地点から当該合流箇所までの乙河川の区間の背水(バックウォーター)区間の堤防の天端幅も甲河川の堤防の天端幅を下回らないものとするものとするされており、堤内地盤高が計画高水位より高い地形の状況等により治水上の支障がないと認められる区間にあってはこの限りでないとなっている。
つまり今回の台風19号による大雨で堤防が決壊した支流と本流の合流点から約1キロの範囲では河川管理施設等構造令の規定で回収を行っていても破堤した恐れが高いというのだ。私も先週にボランティアを兼ねて長野県の被災現場を見てきたのだが、合流点から約1キロの範囲で支流の堤防が決壊していた。堤防の決壊個所は本川の堤防より支川の堤防の方の被災が著しく、支川の河川の堤防の高さは河川管理施設等構造令の規定により定められるその箇所における本川河川の堤防の高さとするのでは不十分ではないかということのようなのだ。今回調査を行った合流点から約1キロの範囲まで本川河川の堤防と同規模の堤防を支川河川にも適応いするかどうかは別にして、基準の改正も必要ではないかということのようなのだ。
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