台風19号の被災地で設置されたボランティアセンターは 97 カ所に上り、延べ 13 万人以上が参加したことが 全国社会福祉協議会への取材で分かったという。ボランティアセンターの設置箇所は8年前の東日本大震災に次ぐ規模で全国社会福祉協議会の担当者は「被害がいかに広範囲だったかが分かる」と話している。東日本各地に爪痕を残した台風 19 号は上陸から 1 カ月を迎えているが、多くのボランティアが被災地入りする一方で人手が足りない地域もあって偏在が課題となっているという。阿武隈川や支流の氾濫などで 6 人が亡くなった福島県郡山市では約 340 人が避難を続けているが、小学校の体育館での生活を余儀なくされる高齢者は「ここは退屈。落ち着かない」と疲れ切った様子だという。
この高齢者は段ボールベッドが合わず体操マットで寝る生活で足腰の持病が悪化したというが、今月中旬に高齢者施設に移るといい「本格的に寒くなる前でよかった」と自分に言い聞かせるように話していた。台風19号の被災者支援のため福島県いわき市に入ったピーボート災害支援センターの事務局長は「ボランティアの方の数がまったく足りていません。浸水した家屋の清掃作業のスピードをもっと上げていかないと、東北にはこれから本格的な冬が来るので、被災者がかなりしんどい状況になるかもしれません」と危機感を募らせる。これまで東日本大震災や西日本豪雨災害を始めさまざまな被災地の支援を手掛け、駆けつけた多数のボランティアをオーガナイズしてきた経験豊富な彼が今回の厳しさを訴えているという。
被害が広範囲に及んだことや福島の報道が少なかったことだけでなく、西日本から来るボランティアにとっては長野県の方が近いことなどが重なり、福島県の被災者を支援するボランティアの数は少ないままだという。堤防が決壊して大量の泥が町中に流れ込んだいわき市ではいまも屋内に 15 センチも泥が堆積している家もあるし、水に浸かった材木や断熱材にはカビが生え健康被害につながるリスクも高まっているという。家の外には分別されていない家財の山が高く積み上がっている状態で、その数のリクエストに適切に応えるためには平日で 500 人と週末で 1000 ほどのボランティアが必要だとされるが、現実にはその 4 分の 1 程度しか集まらないため現状では 300 件以上の家に手がつけられていない状態となっているそうなのだ。
私が群馬県と長野県でボランティア活動をしても福島県で行わないのは福島第一原発事故による放射能汚染の疑いがあるからなのだが、環境団体「グリーンピース」の首席原子力専門家が日本福島原発付近の放射能数値を直接調査した結果、台風19号が通過した一部地域の放射能による再汚染を確認したと明らかにしている。環境団体「グリーンピース」の首席原子力専門家は「私たちが福島県の浪江町や飯舘村、大熊町のような所を調査したが、偶然に台風19号と時点が重なり、もう少し独特の測定結果を得ることができた」として「最も特徴的な部分は台風がある前にはそれほど放射能数値が高くなかったが、台風が来てから福島県のある特定地域の放射能数値が非常に上昇した」と説明しているという。
また放射能汚染と向き合うルポライターも「環境の中に存在する放射能物質が大雨や台風によって洗い流されて放射能物質が多様なところに広がっていることを発見することができた」として「すべて測定してみると、あぜの端に放射能物質の濃度がかなり高いということが分かり、畑だけでなく道路や歩道など他のところに流された放射能物質が移動しているということが分かった」と話している。環境団体「グリーンピース」の首席原子力専門家は「日本政府は除染作業を成功的に終えたと主張しているが、実際には違うと思う」とし、「福島県のような場合は約70%が山や森林になっているから自然の中に存在するセシウムのような放射能物質は恐らくおよそ200年、300年間存在すると思う」と懸念している。
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