サザビーズが主催した香港のオークションでサントリーのシングルモルトウイスキー「山崎 50 年」が 1 本、 3250 万円で落札されたというが、オークションに出たジャパニーズウイスキーの落札額としては過去最高額だという。ハイボールという飲み方が再び流行るようになるその少し前から「山崎」・「白州」・「響」といった高級ウイスキーが世界の酒類コンペティションで入賞を続けたことから、ウイスキーは国内だけでなく海外ともに人気が高まり「山崎」をはじめとする高級ウイスキーは品薄状態になったという。原酒を樽に詰めて長期間熟成するウイスキーは人気に火が付いたからといってすぐには増産できないとされ、サントリーの山崎蒸溜所はフルに操業しているがそれでもすぐにウイスキーがマーケットに出てくるわけではないという。
希少価値が高いウイスキーの価格が近年高騰しているそうだが、逸品に投資するファンドも登場し多くの愛飲家にとって高級品は手の届かない存在となりつつあるという。「ウイスキーのシングルモルトはワインに取って代わった。人々は保管庫を充実させるためにすごい金額を費やしている」と英不動産大手ナイトフランクのサミ・ロバートソン氏は富裕層に関する報告書でこう指摘しているが、希少なウイスキーの平均的な価格動向を示す「 APEX1000 指数」は 4 年半で約 2 . 6 倍の水準に到達しているそうなのだ。特に極めて貴重なウイスキーの競売落札額はうなぎ登りで、株式や債券などのようにウイスキーに投資するファンドも登場しており、「シングルモルト・ファンド」は投資家の資金を募って希少な銘柄を購入しているというのだ。
ウイスキーが投資対象となる背景には需給不均衡があって、生産には長期の熟成期間を要し供給量が限られる一方でアジアを中心に需要が急増している。ただ本場スコットランドや日本の蒸留所が増産に乗り出し世界の景気減速が目立つ中、今後も価格上昇が続くかは不透明だという。木箱入り 750ml1 本 59 万 4000 円が「ニッカウヰスキー竹鶴 35 年」の出品価格だといわれるが、売れ残っているわけではなく 40 万円前後の出品価格ならばどれも落札済になっているという。「竹鶴 25 年」の平均落札価格は 9 万 4899 円で未開封なら箱入りなら 12 万円だという。「竹鶴 35 年」の空き瓶は 7 万 4800 円だし「竹鶴 25 年」の空き瓶は 1 万 2000 円で、プレミアム価格になったのはもちろん市場そのものから見なくなってしまった結果だという。
ウイスキーはスモーキーな香りが強く濃厚で個性的な味わいのうえに蒸留酒だから当然アルコール度数も高いが、気軽に飲むには敷居が高いしおじさんのイメージが強く女性にも若い男性にも敬遠され食事にも合わせにくいため徐々に飲食店のメニューからも酒屋の棚からも消えていったという。ところが国内では別の方向からウイスキーブームが起こっており、それが「ハイボール人気」だというのだ。激しいウイスキー消費の右肩下がり状況を受けサントリーが仕掛けたのが「サントリー角瓶」のハイボールで、スモーキーフレーヴァーや濃厚で個性的な香味でアルコール度数も高く食事に合わないウイスキーを、ソーダで割ることによって軽快で爽快な香味になるし好みのアルコール度数にすることもできるのが受けたのだという。
実はこの要因が重要なのだがハイボールは原価率がとても低く儲けが厚い商材なので、提供側としては生ビールを売るより断然おいしいといわれている。そういうわけで全国の飲食店に一気にハイボールが広がっていき、今や飲食店では「とりビー」ならぬ「とりハイ」という人が目立つそうなのだ。現在の国内酒類消費で増加傾向はウイスキーとワインのみであるといわれているが、今はブランドウイスキーのハイボールはそれなりの値段になっているという。お手頃に楽しめるハイボールは輸入ウイスキーか色付きの醸造アルコールかもしれないそうで、ウイスキーは既に本場の英スコットランド産に引けを取らないほどの評価を確立しており、世界的に蒸留酒需要が高まる中で個性的な風味を求める消費者の潮流もあるいうのだ。
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