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「ヘルペス角膜炎」という病気があります。目の表面や中にヘルペスが出て来て悪さをするというものです。以下に実際に当院で治療した患者様の写真をお示しします。 このヘルペス角膜炎、ずいぶん以前には良い治療法が無くて多くの方が失明した恐るべき病気なのですが、エリオン博士と言う方が、アシクロビル(ゾビラックス)という特効薬を発明してほとんどの方が綺麗に治るようになりました。これは画期的な業績で、エリオン博士は1988年にノーベル生理学・医学賞を受賞された程でした。 ところがこのアシクロビルは粒子が粗くて目薬に出来ず、眼軟膏(塗り薬)の形でしか使用できないという欠点があります。また、薬の粒が大きくて目に入れると角膜(黒目)の表面が荒れやすい、更にヘルペスのウイルスは特に活動期は分裂が早くて凶暴なので、それに対抗するために1日に5回も使用しなくてはならない、と言う弱点もあります。 ちなみに、 眼軟膏を処方してもなかなか症状が改善しない、効かない患者様と言うのが良くいらっしゃるのですが、経験上そういう方はほぼ100% 単にお薬がちゃんと目に入っていない だけです。なので、当院ではヘルペス角膜炎の患者様が来院されたときには「軟膏がちゃんと入れられるようになるまで、何度も熱血指導」をしています。これでほとんどの場合は治ります。 、、、前置きが長くなりました。このヘルペス角膜炎、元々それほど多い病気ではないのですが、最近患者様の数が激増しています。そして、新型コロナワクチンの接種後に発症するケースが特に目立ちます。 なので、コロナワクチンを打った後に、目がぼやける、霞む、ゴロゴロする、涙が止まらない、などの症状がある場合は、是非早めに一度近くの眼科専門医を受診してくださいね。
2022.04.21

さて40歳以上の20人に1人、70歳以上だと7人に1人が罹っている今や日本人の「国民病」とも言われる緑内障。 以前この緑内障について、 治療すればするほど得をする 目の健康貯金が出来る病気である ことを説明しましたが、なるべく視野障害の少ない、早期の段階から治療を開始したほうが有利であることは間違いありません。 ところがこの緑内障という病気は、なかなか自分では気付けないんですね。それが非常にやっかいなところなのです。 今日は、どうして緑内障は自分で気付けないのか? について見ていきましょう。 それではまず 緑内障の進み方 がどのようなものなのか? を御覧戴きましょう。 まずは正常の状態から。 壁にお花が飾ってあります。地面には可愛い猫もいますね。 これが初期の緑内障になると、、、 右上のお花が消えてしまっています。でも別にそこが黒く抜けたりしているわけでもなく、違和感のない見え方ですね。 中期の緑内障になると、、、 壁のお花が完全にかすんで見えます。地面にいたはずの猫も何故か消えてしまっていますね。でもこのくらいの時期でもよほど敏感な方以外は残念ながら自分では気付かないんですね。 末期の緑内障になると、、、 テーブルの一部しか見えません。 このくらいになると急激に日常生活に困難が生じてきて自分でも「何かおかしい。」と思うようになります。「横断歩道を渡ろうとしたら、車が来ていないことは十分に確認してはずなのに、何故か急に車が飛び出してきて轢かれそうになった。」とか、「階段の上り下りが苦手になってしまい、段を踏み外すことが増えた。」などの自覚症状が出て、「おかしい。何かがヤバいぞ。」と気付いて慌てて眼科に駆け込んで来ることになります。 でも、どうしてこんなに進行するまで自分では気付けないのでしょうか? その理由はいくつかあります。 1. 緑内障は超慢性疾患で一般的に進行が非常にゆっくりなので、 患者様にとっては「常に違和感が無い」状態のままで静かに症状が悪化してしまう。 2. 上の進行具合の写真を見てもらえば分かるように、緑内障で見えない部分は脳(スーパーコンピューター並みの力があります。)が瞬時に視野を再合成して、見えている部分と同じような色調に補正してくれる。そのためよほど進行しない限りは見え方に違和感を感じることは無い。 3. 目は2つあるので、片目の視野が欠けていてももう片方の目がそれを補ってくれる。 このように、 緑内障は自分では気付けない病気なのです。 だから怖い のです。でも、このブログを御覧になってくれている貴方が40歳以上ならば、20人に1人は確実に緑内障なのです。また遺伝的素因も大きい病気なので、御両親が緑内障だったりするとその確率は更に跳ね上がりますし、近視の強い方も緑内障である可能性が高まります。 なので、少しでも目に心配がある方は、是非一度近くの眼科専門医を受診して下さいね。
2022.04.19
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