1
さて先日のことですが、当院ではエレックス社のYAG/SLTレーザー機械、タンゴネオを新規導入しました。 これは白内障の術後に一定の確率で発生して視力低下を引き起こす後発白内障(こうはつはくないしょう)に対して後嚢(こうのう:水晶体の袋の後ろ側の部分)切開術を施行するためのYAG(やぐ)レーザーと、緑内障の眼圧を下げる効果のあるSLT(えすえるてぃー)レーザーの2つがニコイチで1つに収まったスタイリッシュなマシンです。 自分は以前からエレックス社の製品が大好きなのですが、その理由は筐体がコンパクトで同時にデザインがとても美しいからです。大切な患者様を常に最高の笑顔でお迎えしたいですし、そのためにもまずはスタッフの我々自身が快適でリラックスした環境下で仕事を継続出来ることが大切だと考えています。 さてそれではマシンの実際を見ていきましょう。 旧型機種に比べて、操作画面が大型化されてより快適になりました。また顕微鏡の性能が上がって非常に見やすくなりました。 機能面で言うと、旧機種ではピントを後ろ側にしかずらせなかったのが、 新機種ではピントを前側にもずらせるようになりました。これは大きな進化です。 具体的なメリットを言うと、白内障術後に前嚢収縮(ぜんのうしゅうしゅく:水晶体前面の袋が収縮してくること)と言うものが発生して視力低下や視界が狭くなったりと言う合併症が起こることが稀にあるのですが、そういう時にピントを前にずらせると、より安全に前嚢切開と言うレーザー治療が出来るのです。 またレーザー自体のパワーも上がっていて、それもとても快適に感じました。「切れ味良いねー。」と思いました。当院ではメインテナンスをしながら旧機種は開院以来16年間使い続けていただけに、より新機種の素晴らしさが滲みたのかもしれません。(笑) ディーラーの吉田メディカル様、製造発売元のエレックス社様、本当に有難う御座いました。
2024.11.10
閲覧総数 1005
2
いやあもうすぐ9月も終わるというのに相変わらず暑いですね。日本からは四季がなくなり東南アジア型の夏と冬だけの二季になっていくのかな?という感じがしています。 さてこの夏から秋に移り変わるこの時期なんですが、「このところ急に目がムズムズ&ネチネチしてかゆくなった」という患者様が意外にも多いんですね。皆様「今、目がかゆくなるはずはないし、おかしいなー。」と言う感じで受診されます。 全然おかしくありません。実は今は、キク科・ブタクサ属の1年草であるブタクサによる花粉症のピークの時期なのです。そこら中に生えています。スギ・イネ・そしてこのブタクサが「世界3大花粉症」の原因で、日本でも花粉症の原因の第3位なのです。 (上記データは花粉図鑑より引用) また今の時期は花粉症原因2位のイネ科の雑草(イネ・オオアワガエアリ・メヒシバなど)による花粉症もまだ残っています。更にそれに加えて秋特有のカナムグラ(アサ科)、セイタカアワダチソウ(キク科)、ヨモギ(キク科)による花粉症もあります。(上記データは花粉図鑑より引用) つまり、 秋と言うのは、実は「1年で一番花粉症の原因物質が多い地獄の時期」 なんですね。下記の表を見て頂けると一目瞭然と思います。 (上記データは花粉図鑑より引用) 目薬・内服薬で速やかに改善しますので、症状のある方は我慢せず早めにお近くの眼科専門医を是非受診されてください。我々は皆様の不快な眼症状を取り除くためのプロですからね。
2024.09.29
閲覧総数 2101
3
さて当院では常に清潔かつ快適な環境下で眼科医療を提供するために、毎年専門の業者の方にお願いして院内のエアコンのクリーニングをしています。 段取りとしては夏が始まる頃にプロに見に来てもらって、必要があるものをクリーニングして頂くという形にしています。エアコンって非常に汚れやすいものですし、クリニック運営に当たってとても大切なことであると考えています。 今年も少し前の事ですが、7月上旬にクリーニングを受けました。今日はその時の様子をちょっとだけご覧いただきます。 準備も結構大掛かり。 このように当院では、隅々までしっかりとメンテナンスをしながら、毎日の患者様の診療に当たっています。
2024.08.05
閲覧総数 3115
4
さて当院では日本のトプコン社のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 スウェプトソースOCT DRI OCT Triton(トリトン) を2017年に導入していました。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては既に無くてはならない必須機械となっており、当院でも毎日大活躍してくれています。ただ、導入時に付いていたマシンの制御パソコンがウィンドウズ8で、今の視点で言うと処理速度の点で物足りなくなっていたこととメンテナンス性の問題があることから、ウィンドウズ11搭載の最新のパソコンに入れ替えてアップデートして頂きました。 普通に市販しているものではなく、OCTの製造元のトプコン社がHP社に特注でオーダーして作って貰っているmonsterマシンになります。↓ 今回のOCTアップデートにより撮影した画像の処理速度が上がりました。当院では「身近なコンビニ」的な開業医として、「とにかくお待たせせず、スピーディーで快適&高品質な医療サービスを提供する」ことを強く意識しており、これからもその目的達成のためにスタッフ一同全力で努力していきます。
2024.06.30
閲覧総数 4463
5
さて先日紹介した、エンジェニュイティー(NGENUITY® )3D ビジュアルシステムですが、高いポテンシャルがありそうだったので、製造販売元の日本アルコン社様とディーラーの吉田メディカル様のご厚意で松山市のアルコントレーニングセンターにウェットラボに出かけてきました。 これは具体的に言うと、人間の顔の模型に豚さんの目をセットして実際に白内障手術をやって見るというものです。何故豚さんかと言うと、流通量が豊富で目が手に入りやすいのと構造が人間と似ていて手術トレーニングに最適だからです。 ちなみに20年以上前私が研修医だった頃には、今回もお世話になった同じ日本アルコン社のトレーニングセンターにお邪魔して連続で10眼以上豚眼で手術の練習をさせて頂いたこともあります。本当に昔からお世話になっているんですね。ちなみに手術機械も道具も患者様に使っているものと全く同じです。 手術準備中の写真。↓ 実際の手術の様子。↓ 豚さんの目を模型にセットしたところ。↓ 手術が終わって、無事に目の中に眼内レンズが入っているところ。↓ さて結論を言うと、このエンジェニュイティー(NGENUITY® )3D ビジュアルシステム、凄くいいと思いました。良く見えるし立体感があって目の中の深さがはっきりと分かるし、「手術眼科医としての寿命を延ばしてくれる魔法のシステム」だなと感じました。 自分は今の従来型の顕微鏡を使っての手術で特に問題を感じていないので現時点では導入はしませんが、後10年とか、もう少し年を取ったら検討しようと思いました。
2024.09.04
閲覧総数 2949
6
さて当院では開院時からドイツのカールツァイス社のルメラという手術顕微鏡を導入しています。15年前には我々眼科専門医の間で「最近出たツァイスのルメラ、ヤバいくらいに良く見えるよ。」と話題騒然となったニューマシンで、当時目が飛び出るほどに非常に高額だったものの、頑張って買ったのでした。 それから長い時が流れましたが、このルメラは今でも現行機種として販売が継続されています。「時を超える力のある名機だった」ということですね。 さてそんなルメラですが、最近少しだけ手術時の見え方に違和感があったので、カールツァイスの技術の方に出張して頂いて見て貰いました。 その結果、顕微鏡内部のハーフミラーというものが少しズレていたとのことで直して頂きました。同時にすべての光学系のクリーニングもして貰いました。 当院ではこれからも設備投資と機器のメンテナンスにお金を惜しまず、常に万全の状態を保って大切な患者様の診療に当たって参ります。
2024.06.25
閲覧総数 4493
7
さて先日のことですが、ディーラーの吉田メディカル様と製造販売元の日本アルコン社様のご厚意で、新しい手術システムである、エンジェニュイティー3Dビジョンシステムのデモをさせて頂きました。 これは簡単に言うと、顕微鏡を覗いて手術をする代わりに、3Dメガネをかけて大きなモニターを見ながら手術が出来るという画期的なものです。 この日は模擬眼を置いて実際の見え方や操作感を体験しました。ちょっと慣れが必要ですが、今までの顕微鏡を使っての手術より術野も広いですし見え方もクリアですし、習熟すればより安全で精度の高い手術に繋がりそうだな、と感じました。
2024.08.29
閲覧総数 2723
8
大抵月に2,3回は患者様から質問されるのが、上記の「コーヒーが緑内障に悪いって本当なの?」という質問です。似たような質問に「お茶を飲み過ぎると緑内障に悪いの?」、「水分・お茶・コーヒーの飲み過ぎで緑内障になるの?」といったものもあります。 今日は、これらの質問にまとめてお答えしましょう。 まずなぜこのような質問が良く出てくるのかなんですが、数十年前までは「緑内障患者さんは水分・コーヒー・刺激物は絶対ダメです。厳しく制限しましょう」というようなことが眼科の教科書にも書いてあったり、広く雑誌やテレビでも言われていたようです。 また現在でも今でも一部のメディア、特に健康食品業界などに顕著なのですが、「コーヒーは絶対にダメ、代わりにこの最高品質のブルーベリーのサプリメントを!」などと言うような、患者様を脅かして不安を煽って商品を買わせようという悪趣味な宣伝方法を採用しているところがあり、それが今でもこの手の質問が絶えない原因になっているのだと考えています。 では次にコーヒーやお茶の何が緑内障に悪いのでしょうか? 答えはこれらに含まれる 「カフェイン」 です。カフェインに眼圧上昇作用があることは古くから知られており、カフェインの取り過ぎが緑内障に良くないことは事実なのです。 ただここで問題なのは「どれだけカフェインを取れば眼圧が上がるのか?」ということです。2005年にオーストラリアで3654名を対象に行われた大規模で信頼性の高いスタディによると、「一日にカフェインを200mg以上摂取した人の平均眼圧が19.5であり、200mg以下の人の17.1に対して有意差を付けて高かった」とあります。 ということは、一日に摂取するカフェイン量を200mg以下にしておけばほとんど問題はない ということです。食品に含まれるカフェイン量は一杯あたりで、 緑茶30~50mg、紅茶50mg、インスタントコーヒー60mg、豆から挽いたコーヒー100mg、コカコーラ1缶(350ml)35mgくらいですので、緑内障のある方は「インスタントコーヒーなら1日3杯まで」くらいのことに気をつけられたら十分かと思います。 眼科専門医の立場からすると、 「緑内障だからと言ってコーヒー摂取に過度に神経質になる必要はない。ブルーベリーの高価なサプリメントもいらない。そんなことより毎日きちんと緑内障の目薬を点すことに神経を使って。」 と考えています。
2009.09.24
閲覧総数 9509
9
さて当院では新型白内障手術機械のインフィニティを購入したところですが、今日は製造販売元の日本アルコン社のサージカル担当の方にお願いして、A-Vit(エービット:前部硝子体切除)の勉強会をしました。 このA-Vitというのは、白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合にトラブル処理に使う機械です。登場頻度は極めて低いのですが、だからこそ事前の入念な準備が必要なんですね。 本物のセットを開けて、インフィニティに接続して使用してみます。 このインフィニティには、アキュラスという硝子体(しょうしたい:目の奥のドロドロした物質)切除用の本格的で切れ味の良いカッターをつなぐことが出来ます。しかも25Gという極めて細い最新型の物が使えます。傷口を拡大せずに小さな切開創から使用できるので患者様の負担も軽いんですね。 ただ、インフィニティで唯一問題なのは、A-Vit使用時に毎回「Vitrectomy Cut I/A」モードを選び直さなくてはならないことです。元々の設定が「Vitrectomy I/A Cut」モードになっており、これを修正できないんですね。 A-Vit時には、必ずCut→I/Aモードを最初に使用する必要があります。I/A→Cutモードを先に使うと網膜はく離などの重い合併症に繋がることがあるので要注意なんですね。 素晴らしいマシンであるインフィニティがこんな単純なおかしな設定を修正できないというのは不思議な気がするのですが、サージカル担当の方によると「アメリカでは専門が別れているので、白内障手術専門医は本当に白内障しかしない。トラブルが発生して追加のA-Vitが必要になるとそのまま硝子体手術専門医に送るシステムになっておりあまりA-Vitを使わないので、多分そのせいで細かい設定に大らかで気にならないのでしょう。」ということでした。 うーんなるほど、機械を通してその国の医療システムが透けて見えると言うことなんですね。とっても勉強になりました。
2011.10.13
閲覧総数 39600
10
今日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容を含むものとなっていますので御了承下さい。 さて現在当院でデモさせて頂いている新型白内障手術機械のインフィニティですが、その特色である超音波の横発振によって、 1. 水晶体の核の動きが安定しており、まるで掃除機のように効率よく吸える。 2. 核を捕まえやすいのでUStipをあまり動かさずに処理が出来る。これは目の中の「セイフティーゾーン」のみで手術できることを意味し、従来型のマシンに較べて安全度が高い。 3. 術後の患者様の目の炎症が少なくて、手術した次の日から良い視力が出る場合が多い。 などのメリットを十分に実感することが出来ました。ただし、このインフィニティの能力を発揮させるためには、 ↑ 上記のような先端の曲がった、従来型とはやや異なる特殊な道具(UStip)を使わなくてはならず独特の難しさもあります。 また水晶体を効率良く処理するロジックも、従来型の機械とは少し異なります。 ↑ 何と言うか、「周りから攻めると◎」という感じなんですね。 さてこのインフィニティの具体的な設定ですが、現在は白内障グレード3.5くらいまでの通常症例に対しては、 水晶体核の溝堀 ↑ 最初は横発振のみでOPしていましたが、どうもイマイチなので縦発振をリニア(一定)で20%入れてみました。ただどうもまだ少しもっさりした感じでしっくり来ないので、 ↑ 縦発振を20%スタートで最大40%、横発振を50%スタートで最大80%にしました。この設定だとほぼストレス無く掘れますが、逆に核の突き抜け(punchout)には十分な注意が必要です。 その後の処理 ↑ 最初は水晶体核を引き寄せる力を示す吸引流量を26でしていたのですが、私にはUStipを目の中のセイフティーゾーンからほとんど動かさないという癖があり(これは自分が何よりも手術の安全性を重視しているからですが、逆に効率が悪く時間がかかるという欠点でもあります)、日本アルコン社の設定のプロの方と相談しながら現在はその流量を30に上げています。 Ozil IP IA ↑ 最初は吸引圧500、吸引流量26でOPしていましたが、私はIOL挿入時にヒーロン+ビスコートのダブルブロックをするため、挿入後に残ったビスコートが吸えない感じなので少し設定を上げました。この設定だとストレスがない感じです。 という設定で手術を行っています。現在までに合計4日使用したのですが、設定を詰めていくことにより使い心地はかなり良くなりました。マシンの持つ能力の高さ、潜在力の凄さを実感していますが、まだもう少し設定を詰めて行かなくてはならないと感じています。(続く)
2011.05.21
閲覧総数 862
11
さてシリーズでお送りしている 緑内障点眼薬の世界。 今日は前回のチモプトール点眼液に続いて、緑内障治療の第2選択剤である、 ベータ遮断薬 の世界を引き続き見ていきましょう。 ベータ遮断薬2回目となるとなる今回は、ミケラン点眼液 (一般名 カルテオロール塩酸塩) です。 ただ実際には製剤的な工夫で1日1回点眼で済むように工夫されたミケランLA点眼液がそのほとんどのシェアを占めています。 なので以下はこのミケランLAについての説明です。 さてこのミケランLA点眼液は、ベータ遮断薬の中でのシェアは前回紹介した チモプトール点眼液 よりも低いのですが、個人的には圧倒的に優れていると考えています。その理由は、1. チモプトール(XE)よりも角膜障害が少ない。2. 点し心地が良くて使いやすい。3. 長期使用でも効果が減弱しにくい。 という大きな長所があるからです。 そのため当院では以前からこのベータ遮断薬では圧倒的にミケランLA点眼液を多く処方していますが、全国的に見るとチモプトール点眼液の方がシェアは上です。 いい薬が必ずしも売れるとは限らないのが、我々医療業界の7不思議の1つ なんですね。(続く)
2019.09.10
閲覧総数 7176
12
さて、「目の周りに塗るだけでそれがじわじわ滲みて目の中のかゆみが取れる」という魔法のような世界初の機序を持った、アレジオン眼瞼クリーム。 こちらが実際の製剤になります。 ノズルがめちゃ細いです。目の周りにちょっとだけ塗るものなので、あまりクリームが多く出過ぎないようにと言う配慮だと思います。日本ナンバーワンの眼科薬メーカーの参天製薬のお薬と言うのは、使いやすいようにいつも隅々まで細やかな配慮がされているんですね。 院長が寝る前に塗ってみました。実際にアレルギー持ちなのですが、次の日の朝の目のかゆみが明らかに少なくなっていました。これはやはり効能が期待できそうです。 このアレジオン眼瞼クリーム、専門的に言うと、瞼(まぶた)の皮膚を通過して目の玉(眼球)と白目(結膜)に届いてかゆみを取ってくれると言うものです。 ただこれを実際に製品化するには極めて高度な製剤技術が必要で、「薬を溶かす技術が世界一」の参天製薬だからこそ実現できた薬だろうと思います。おそらく他の後発メーカーには至難だろうと思いますし、参天製薬のレベルの高さに眼科専門医として改めて感嘆しました。 今のところ、発売は5月下旬と噂されています。実際に世に出る日が楽しみですね。
2024.05.14
閲覧総数 6442
13
さてアクティブになる楽しい夏の季節なのですが、それに伴って目にも色々なものが入ってトラブルを起こすことがあります。これは以前にも書いたことがある人気記事なのですが、新たな画像を追加して「2016年夏バージョン」でお送りしましょう。 ↑ この患者様は、「魚を捌いていたら急に目が痛くなって水で洗っても目薬しても何しても痛みが取れない。」との訴えで来院されました。矢印の部分に何かがありますね。 魚のうろこが白目(結膜)に刺さっていました。うろこは表面が複雑な形状をしているので一度目にくっつくとなかなか自力では取れません。顕微鏡で見ながら慎重にピンセットで引っぺがしたのですが、強力にくっついていたので剥がすのが大変でした。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果(てきか)作業中に目にゴミが入り、「洗っても何してもどうしても取れない。」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽に遠慮なくお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2016.07.07
閲覧総数 5918
14
さて日本人では40歳以上の20人に1人(5%)、70歳以上では7人に1人(14%)の有病率ということで、非常にありふれた病気であると同時に、「失明に直結する!」という「とても怖いイメージ」があるために、多くの方から「恐れられている」病気である緑内障。 当ブログでもこれまでに様々な角度から取り上げてきましたが、この緑内障は「超慢性疾患」で進行がとてもゆっくりな病気なので、実際には発病から失明に至るまでには30年以上という時間的な猶予が与えられた、真面目に治療に取り組む患者様にとってはある意味で「優しい病気」でもあります。 そして治療の基本は、眼圧を下げるための点眼治療です。何故かというと、眼圧を下げることによって緑内障の進行を遅らせて目の健康寿命を延ばすことが出来ることは、既に質の高い多くの論文から明らかになっているからです。治療法としては他に手術も色々とありますが、結局はどれも眼圧を下げるためだけの物なので、目薬の治療だけで病気がコントロールできるのであればそれに越したことはありません。何も好き好んで痛い思いをする必要はないですからね。 そして実際全国にはとてもたくさんの緑内障点眼薬を使用していらっしゃる患者様がいます。緑内障は決して「良くなる」ことはない病気なので、世界最高レベルの高齢化がこれからも類を見ないスピードで進展するここ日本では緑内障患者様の数はこれからも増える一方です。もしかすると、このブログに辿り着いた方の中には既に緑内障の治療中の患者様もいるかもしれませんね。 そこで今日はこれまでと視点を変えて、緑内障点眼薬の世界を広く見渡してみることにしましょう。これはとても大切な視点です。何故かというと、この数年緑内障の分野では新薬ラッシュが続き、使えるお薬が爆発的に増え、その結果として以前とは比べ物にならないくらいに処方パターンが増えているからです。 それではまずはその全体像をお示ししましょう。 す、すごい量ですね。20年前には「僅かに数種類」しかなかった緑内障点眼薬は、いつの間にかこのような「爆発的な進化」を遂げているのです。そして私達眼科専門医は、これらの全てのお薬の長所・短所・有効な組合せ方を学び続けながら、毎日の診療に当たっているんですね。(続く)
2019.03.09
閲覧総数 9415
15
当院では現在、製造販売元の日本アルコン社様、及びディーラーの吉田メディカル様の御厚意で、新型白内障手術機械のインフィニティをデモ中です。 このインフィニティは現在の日本では恐らく人気No1の実力派マシンなのですが、それにはある理由があります。 通常の白内障手術機械は、水晶体を削るための超音波が縦にしか出ないのですが、このインフィニティは縦だけでなく横にも出るのです。 そして横に出る超音波というのは、縦に較べて効率が良い上に目へのダメージが少ないのです。 ただ横発振だけでは白内障の進行が激しい場合などに手術が難しい局面もあるので、従来型の縦発振をどうブレンドするかがこのマシンを使いこなすポイントとなります。 このインフィニティはOzil IP(オジールアイピー)と言って、横発振だけでは無理でどうしても必要な時のみに縦発振を入れることが出来ます。車でいえばターボみたいなものですね。要はものすごくポテンシャルの高いマシンということです。 ただしこのインフィニティ、特色である横発振を活用するためにはケルマンチップという特殊な先っぽの曲がったUStip(水晶体を削るための道具)を使わなくてはならず、またそれぞれの術者に合わせてセッティングを最適化するのがなかなか難しい機械でもあります。 そのため私はこの2週間ほど、 DVD等のたくさんの手術教材で猛勉強を続けながら実際の手術に臨んでいます。マシンを使ってみての実際の感想はまた後日書きます。(続く)
2011.05.17
閲覧総数 402
16
義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
閲覧総数 41484
17
さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
閲覧総数 15696
18
さて大好評を戴いてきた、この「対決!フェイコマシーン」シリーズですが、いよいよ最終回となりました。 4番手は唯一の純国産メーカー、二デック社の「フォルタス」です。 私は現在、このフォルタスの前機種のCV-7000を使用して手術をしています。国産らしくトラブル皆無で耐久力のある信頼できるマシンです。 その私がこのフォルタスをデモしたときの最初の印象は「うわぁ、良くなったなあ」というものでした。他社のように超音波の横振動をする訳ではないのですが、基本技術を磨き上げて非常に良いマシーンに仕上がっています。具体的には、手術中にトラブルを起きにくくするシステムが優れています。フットペダルをベタ踏みしていても、後嚢(こうのう)と言う大切な袋にUStipが接触しないように、内蔵されたコンピューターが検知してパワーダウンしてくれるのです。私も今回色々なマシンをデモさせて頂きましたが、一番安心してフットペダルを踏み込めたのはこのフォルタスでした。日本製らしい親切さと耐久力に満ちた極めて魅力的なマシーンですね。 セミナーでは、眼科の研修を始めたばかりの研修医の先生がフォルタスで実際に手術している動画が供覧されたのですが、恐らくまだ目の中のスペース感覚が全く掴めていないのでしょう、UStipで吸ってはいけない後嚢(こうのう)を何度も誤吸引し、それでもフォルタスの安全性能のおかげで破嚢(はのう)という合併症を起こさずに済んだというインパクトのある映像でした。会場からはフォルタスのこの驚異の安全性に対して感嘆の声が上がっていましたね。 逆にこのフォルタスの欠点としては、他社製品に較べて技術革新が少ないということが上げられます。普通の固さの水晶体核では差が出ませんが、固い難症例では現状やはり少し差がある、という印象です。唯一の国産マシーンですし、これからの更なる成長に期待したいですね。
2011.07.15
閲覧総数 453
19
さて前回の記事 抗菌点眼薬の大問題 では、日本の現在の抗生物質点眼剤のラインナップが非常に貧弱で、心細くて嘆かわしい状況であることを説明致しました。 でも、実はもうすぐこの現状を打破してくれる、革命的な大型新薬が登場します。 それが、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬となる、 アジマイシン点眼液 です。 それでは早速実物を見てみましょう。 うーん、クールな外観でいかにも効きそうですね。♬ そして実際の臨床効果も凄いです。 中でも特筆すべきなのが、眼瞼炎(目の分泌腺の炎症で目の周りがただれている状態)に抜群に良く効くということです。今の第一選択薬であるニューキノロン系よりも圧倒的なパワーを発揮してくれるんですね。! ちなみにこのアジマイシン点眼液の眼瞼炎への効果については、LIME研究会の 眼瞼炎について という記事が抜群に分かりやすいので、是非こちらもご覧下さい。 まさに、日本の眼科抗菌剤治療の新たなる救世主。 それでは次回はこの超大型新薬、アジマイシン点眼液の使い方、点し心地のリアル、ぶっちゃけ薬としての総合評価はどうなのか? などを詳細に見ていきましょう。(続く)
2019.08.15
閲覧総数 5570
20
さて1月28日(土)の学会もお昼になりました。お弁当を食べながら勉強するランチョンセミナーに向かいます。 今回参加したのは、ヒーロンVという白内障手術で用いる補助薬剤の効果的な使い方についてのセミナーでした。ここで勉強になったことを自分用のメモ書きとして残しておきます。以下眼科専門医向けの内容となります。 ヒーロンVが必須なのは、術中の虹彩の動揺の激しいIFISと成熟白内障のCCC。その成熟白内障のCCCでは、最初に眼球圧迫した上で、ヒーロンV→穿孔してから稲村式ダブルノズルカニューラで減圧→なるべく小さ目を意識してCCC→必要なら更にダブルCCC。また、成熟白内障のCCCは絶対にビスコートではやらないこと! IOLの交換・摘出にはヒーロンVが必須。ただし破嚢時にはVが抜けないので使用しないこと。 ヒーロンVは、クスリではなく道具。注入ではなくそこに置く感覚で使う。 会場との質疑応答。 Q ヒーロンVでCCCすると小さくなったりフラップが切れたりする。どうしたら良いですか?(これは自分も同じ悩みを持っており役立った) A CCCをゆっくり回す。フラップは角膜内皮側に少し持ち上げるくらいでちょうど良い。またCCCは正方形を作るくらいのイメージを持つとちょうど良い。 実践的で明日からの手術にすぐに役立つ素晴らしい内容でした。(続く)
2012.02.15
閲覧総数 2418
21
さて先日に続いて今日は、最近の私の白内障手術の進化・改善点についてお話してみたいと思います。 白内障手術では水晶体の前面の膜、前嚢(ぜんのう)を丸くめくるCCCという手技が極めて重要であることは前回の日記でも書きましたが、白内障が進行していると視認性低下のために非常に困難な場合があります。 そういった時には前嚢を染めて見えやすくして手術を行うのですが、数ヶ月前までの私はICG(インドシアニングリーン)という緑色の薬剤を使用していました。ただこのICGは溶解液が作成しにくい、染まりがやや悪いなどの欠点がありました。 そのため、当院では2月から「トリパンブルー染色」という新しい染色法を導入しました。 このトリパンブルー染色液は従来のICG染色液に較べて溶解液が作成しやすく、かつ前嚢が良く染まります。具体的に見てみましょう。 薄い水色に前嚢が綺麗に染まっていますね。上の図のハート型に切れているのがCCCという手技になります。このCCCの後、水晶体の中身を吸い取って行くんですね。 このように当院では常により安全な手術を目指して努力を続けています。もちろんこれからも更に術式を洗練させて、八幡浜地域の皆様の目の健康づくりのお役に立ちたいと考えています。
2010.04.23
閲覧総数 15195
22
毎年この時期は、NTTのタウンページへの広告出稿の最終調整の時期です。タウンページというのは知名度は抜群ですが、その分広告料も目が飛び出るほど高いと言うのが実情であり、私も開院以来その広告内容について様々な試行錯誤を繰り返してきました。 開院直後は頑張って2分の1ページ(モノクロ)の広告を出していましたが、 あまりにも高額なため、費用対効果が悪いと判断してタウンページへの広告は縮小し、その後は地元の八幡浜民報という地域新聞 野立て看板 消火栓広告 などへの広告を優先してきました。 ただ、今年は開院後5年目を迎えることもあり、再び頑張ってタウンページ広告の内容もボリュームアップすることにしました。昨年の6分の1ページ(フルカラー)から、4分の1ページ(フルカラー)に変更します。 その予定原稿は最終的に、 この2つのどちらかに絞りました。 最終的にどちらになるのか、うーん、悩みどころですね。
2012.03.13
閲覧総数 636
23
さて当院では今月、新しいはやり目(流行性角結膜炎)の検査キットを導入しました。 従来型のはやり目の検査キットは、赤目(眼瞼結膜)を綿棒で「血がにじむ」くらいにゴシゴシと擦らなくてはきちんと検査が出来なかったのですが、元々目に炎症を起こして来院されている患者様からすると、「そうでなくても目が痛いのに、更に粘膜を擦られてはたまらない。!」という非常に負担の重いものでした。 ところが今回の新型検査キットはなんと、 試験紙を赤目にピトッと浸すだけ、ただそれだけ という簡単さなのです。またこのやり方ならば検査時の痛みもほぼ0なのです。画期的ですね。♬ でもそんなに検査法が簡単になってるのなら、検査の感度も落ちてるんじゃないの? と思われる方もいると思うのですが、従来型の痛いゴシゴシ検査法と較べても感度低下がないことが既にデータとして示されています。 これはまさに夢の様な検査法ですね。これからは、 はやり目の検査はもう痛くない ということです。実際当院でも既に多くの患者様にこの新型キットを使っていますが、大好評です。我々医療者側にも、患者様にとっても、両者にとっての大きな福音となりましたね。
2018.06.19
閲覧総数 2611
24
我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
閲覧総数 14510
25
「目やにが出る」などの症状に代表されるありふれた病気、結膜炎ですが、治療は抗菌点眼剤で行います。 この抗菌点眼剤には多くの種類があるのですが、現在国内で人気・売上No1なのは日本が世界に誇る点眼薬メーカー、参天製薬のクラビット点眼液0.5%です。このお薬は2000年に発売されたのですが、発売以来ずっとベストセラーを続けています。安全性が高く切れ味のよいバランスの良い薬で、総合力でなかなかこのクラビット点眼液を超えるものが出てこなかったからですね。そうでなければなかなか10年以上もベストセラーは続けられません。 さてそんな名薬のクラビット点眼液なんですが、来たる6月2日に濃度を3倍に上げた通称「スーパークラビット」、クラビット点眼液1.5%が発売になります。 この1.5%クラビット、臨床成績が凄いんですね。 ↑ 発売前の細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率はなんと「100%!」、私は今までたくさんの目薬を見てきましたが、有効率が100%というのは見たことがありません。圧倒的な濃度で様々なバイ菌をやっつけてくれる、頼もしい新薬です。 ↑ また、その効き目の早さも驚異的です。 この異次元とも言える臨床成績は1.5%という高濃度から来ています。ただ普通の抗菌剤を目薬にする場合にはここまで濃度を上げられないんですね。その理由は「溶けない」、「しみてとても点眼できない」などですが、大体0.3%とか0.5%とかそんなものです。クラビットというお薬が持つ元々の素姓の良さ、薬を目薬に仕上げる「溶かす」技術では世界一と言われる、発売元の参天製薬の技術力、それらが結集して誕生したのがこのスーパークラビット、クラビット点眼液1.5%なんですね。 ↑ これがその実物の見本です。ただ、中身の入っていない容器だけのもので、実際に点眼してみることは私も出来ていません。 このクラビット1.5%点眼液、発売前から注文殺到で超品薄とのことで、患者様に実際に処方できるのは6月下旬になるのではないか?とも言われています。どのくらいの効果を発揮してくれるのか?、眼科専門医としてとても楽しみにしています。
2011.05.27
閲覧総数 17386
26
さて先日うさぎの島に出かけた時のことですが、「ウサギの目は本当に赤いのか、良く観察して来よう。」と眼科専門医として思っていました。 その結果は、 ↑ 上の写真のように目が赤いウサギはもちろんいましたが、 ↑ このように目の黒いウサギもいました。 つまり結論としては、「ウサギの目は赤いことも黒いこともある。」ということになります。 この理由ですが、目が赤いウサギはアルビノといってメラニン色素を持っていないせいで体の全体もしくは一部が白いんですね。それで虹彩(茶目)にメラニン色素がないので、目の奥の網膜の血管の色が太陽光で透けて見えているわけです。目が赤いのは血管の色ということですね。逆に目が黒いウサギはメラニン色素があるので、太陽の光が目の奥まで届かなくて赤くならないわけです。 今回のうさぎ島では、眼科専門医としてたくさんのうさぎの目をじっくりと観察できたのも勉強になって良かったですね。
2011.05.04
閲覧総数 658
27
まだまだ蒸し暑い時期が続きますね。草刈り等の農作業も多く、「目にゴミが入った」などの訴えで受診される患者様が多い季節です。 さて、この目の中なのですが、実に様々な異物が入り込みます。今日はどのようなものが入るのか、いくつかその内の珍しい事例を見て頂きましょう。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果作業中に目にゴミが入り「洗っても何してもどうしても取れない」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽にお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2012.09.01
閲覧総数 17739
28
さて今日は緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を引き続き見ていきましょう。 3回目となる今回はタプロス点眼液(一般名 タフルプロスト)です。 これは日本が世界に誇る目薬会社の参天製薬が自社開発したものです。 日本メーカーらしいきめ細やかな配慮と開発技術で、その防腐剤濃度が極めて低くて角膜(黒目)に優しいのと、フッ素が結合していて点眼効果が長持ちするのが長所です。またPAPという副作用も少なめでその点も優れています。 またこれは参天製薬の目薬は全部そうなのですが、ディンプルボトルといって、点眼容器の真ん中がへこんでいて指の力が弱っている高齢者の方でも簡単に安全に点せるという配慮がされています。これも素晴らしい点ですね。 総合的に考えると、プロスタグランジン関連薬ではこのタプロス点眼液が現時点では一番優れていると個人的には考えています。実にいいお薬ですね。(続く)
2019.04.09
閲覧総数 3477
29
シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界。」今日も緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬を見ていきましょう。 5回目となる今回はレスキュラ点眼液(一般名 イソプロピルウノプロストン)です。 このお薬は以前はプロスタグランジン関連薬に分類されていたのですが、現在はイオンチャネル開口薬という別の系統のお薬に分類されています。ただざっくりといえば同じ系統なので、ここで紹介します。 さてこのレスキュラは1994年に緑内障・高眼圧症の治療薬として発売され、発売後数年はベストセラー薬として一世を風靡したこともあったのですが、「点眼時に非常にしみる」、「角膜(黒目)の上皮障害を高率に起こす」、「眼圧下降効果が弱い」などの弱点があり、1999年に同系統で更に効果が強く副作用の少ない キサラタン点眼液 が発売されると、緑内障点眼薬としての命運をほぼ絶たれ忘れ去られた存在となってしまいました。 ところがこの レスキュラは、「網膜色素変性症(進行性の病気で、最初は「薄暗い所で見えにくい」などの症状ですが、徐々にその夜盲・視野狭窄が進み、末期には高度の視力低下あるいは失明に至る)」という難病に対しての進行予防・視機能改善効果がある という論文が複数出ており、現在では「緑内障を合併した網膜色素変性症の患者様」に対して処方されるケースは割と多くあるのではないかと思います。薬の効果というのは、本当に不思議で意外性に満ちていることが多いんですね。
2019.06.03
閲覧総数 3133
30
さて前回お伝えした通り、 日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼剤となる、 アジマイシン点眼液 がいよいよ近日中(9月11日発売予定)に登場します。 今日は、このアジマイシン点眼液が実際にどのようなお薬なのかを見てみましょう。 まず特徴的なのが、その使用方法です。結膜炎の場合だと、1日2回を2日間、その後、1日1回5日間。そして眼瞼炎や麦粒腫に対しては、1日2回を2日間、その後、1日1回12日間となっています。ちょっと変わっていますね。ただ非常に少ない点眼回数で効くわけであり、それが何よりもこのアジマイシン点眼液のポテンシャルの高さを示しています。 それではいよいよ実際に点眼してみましょう。 ね、粘い。!!! まるで「水あめ」の様な粘りけです。そして目に入ると、しばらくの間目がぼんやりとして見えなくなります。なるほど、これは目薬にするのに苦労したんでしょうね。こういう風にしないと、「どうしても溶けなかった。良く効く目薬に出来なかった。」ということだと思います。ただ、点し心地はそれほど悪くありません。薬の抜群の効き目を考えれば、これは十分に許容範囲だと思いますね。 さて実はこのアジマイシン点眼液、アメリカでは既に2007年に結膜炎の治療薬として発売されていました。そして我々日本の眼科専門医にとっては長年「喉から手が出るほどに欲しい」目薬だったのです。そして未確認情報では既に2010年頃には某製薬会社が日本での発売に向けて動き出していたのですが、実際には日の目を見る事はなく頓挫し、結局アメリカでの発売から12年も遅れてようやく日本でも使えることとなりました。 これは恐らく、「抗菌点眼剤の世界ではニューキノロン系が圧倒的なシェアを占めていて、元々他の系統の薬の売り上げは思わしくないし、更に悪いことにアジマイシンは点し心地が悪いので、日本では多分売れない。」と判断されたためではないか?と思うのですが、私たち第一線の眼科臨床医にとってはずっと待ち望んでいた薬であり、また前述の通り私が体を張って試した感じでもそこまで悪い点眼感触でもなかったので、個人的にはこれは売れると思います。 売れるか売れないか、恐らく大議論があったであろうこのアジマイシン点眼液を日本発売に漕ぎつけてくれた製造販売元の千寿製薬の英断に感謝します。きっと、以前の アイファガン点眼液 の時の様な、ロングセラーの、多くの患者様に愛される名薬になると確信しています。ちなみに、 緑内障点眼薬界の奇跡 とも称される、アイファガンが巻き起こした魔法については下記記事を合わせてご覧下さい。 アイファガン点眼液が、売り上げ1位のベストセラー緑内障薬となりました アイファガン点眼液が起こした奇跡 さてこのアジマイシン点眼液、待望の日本発売は現時点では9月11日予定となっています。今から登場が楽しみですね。
2019.08.30
閲覧総数 9078
31
「眼が真っ赤になって市販の目薬さしても治らないし、なんだか眼がズキズキして痛いので来たんだけど。」という訴えで本日女性の患者様が来院されました。早速眼を拝見すると、 確かに眼が強く充血していますね。ただその充血の先を追っていくと、、、、 充血の仕方が普通の結膜炎とは違います。なんというか、「赤黒い」感じがあるんですね。実はこの方は、、、、、 強膜炎という病気でした。 これは 充血と強い眼の痛み が特徴で、悪化すると目の一部が壊死してしまうこともある怖い病気 です。治療には強力なステロイド薬の目薬や飲み薬を使います。 このように「タダの充血だろう」と思っていても、実は結構重い病気のこともありますので、「なんだか結膜炎が治らないなあ」というときは、是非お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2009.09.07
閲覧総数 7717
32
さて数か月前に新規導入した新型白内障手術装置、センチュリオンですが、日本アルコン社の担当の方と相談しながら、セッティングを煮詰めてきました。 私はすべての手術を「自分の両親の目の手術をするような気持ちで、とにかく丁寧に確実に施行する。」と決意しています。そのためマシンセッティングは時間短縮&効率重視ではなく、若干効率が悪くても合併症を起こさないことを最優先したマイルドなところを目指しました。 ただそうは言っても、早い手術=患者様の負担の少ない手術という側面もあるので、安全性を担保できる範囲内での効率化も同時に追求しました。 そして試行錯誤の末、「まずまずだな。これでイケるな。」というところに到達できたと考えています。 以下は現時点でのセッティングの画面です。ちょっと眼科専門医向けのマニアックな内容になりますが、自分用のメモも兼ねて貼っておきます。 私はCCC(水晶体の前嚢というところを丸く切除する手技。手術で一番重要なところ)の時に安全性最優先のためにヒーロンVという目の中の空間保持力が一番強い粘弾性物質を使って行っています。そのためUS(水晶体の中身を超音波で削る手技)の前に、内圧を下げるためにヒーロンVを一部抜かなくてはなりません。ただセンチュリオンは以前使っていたインフィニティに較べてtipの内径が小さいため、詰まってしまうことが多発しました。そこで細かく何度も設定を変えて、結局吸引の立ち上がりを300mmHgからと高めにし、更にトーショナルという超音波の横振動を10%入れることによって、問題はほぼ解決しました。 USは全例「ディバイト&コンカー」というこれまた安全性最優先のやり方で、核の2分割後の設定がこちら。自分は前房(手術時の目の中の作業スペース)がしっかりと保たれているのが好きで、それでボトル高は高め。そして吸引圧と流量は低め。核の寄ってくるのがマイルドで若干物足りないが、合併症防止のためにはそのくらいでいいと思っている。 最後のI/A(水晶体核を処理した後の、残った皮質を取る手技)はこちら。これもマイルドな設定。それにしても本当にセンチュリオンのI/Aは優れている。安心感が半端無い。まだ旧機種のインフィニティーを使っている先生はこのI/A目的だけで即買い替えて良いレベル。
2021.09.08
閲覧総数 9834
33
さて「ためしてガッテン」で「動体視力改善効果がある」として紹介されたムチン分泌促進薬ですが、現在2種類が発売されています。 まずは先行発売された ジクアス点眼液 についてです。 このジクアス点眼液は画期的な効き目があると同時に、世界一新薬の承認が厳しいと言われるこの日本で、眼科専門の製薬会社の参天製薬が全世界に先駆けて先行発売に成功した薬です。また新薬の開発には製薬会社だけではなく、大学病院を中心とした研究・臨床の協力が不可欠であり、「日本発世界初」の効果抜群な目薬が誕生したと言うこの事実は、日本の眼科医療が総合的に見て世界最高水準であることの何よりの証明となりました。 ちなみに最近ではiPS細胞の臨床応用で加齢性黄班変性症が良くニュースでも取り上げられますが、これも日本の眼科医療が世界トップレベルであることが前提としてあると思います。 少し逸れてしまいましたが話をムチン分泌促進薬に戻します。まずは、ジクアス点眼液発売前夜の状況からです。 ドライアイの画期的新薬、ジクアス点眼液、もうすぐ登場です。 続いて、実際のサンプル品を使って見た時の感想です。 ジクアス点眼液、実際に体験して見ました。 発売後の患者様の感想です。 ドライアイ新薬 ジクアス点眼液、やっぱり大好評です。 発売1ヶ月が経過し、たくさんの患者様に実際に使用して頂いたことによって、ジクアスの長所と短所が見え始めて来た頃の日記です。 ジクアス点眼液発売1ヶ月が経過して思う。 このジクアス点眼液の登場によって日本のドライアイ治療は大きく飛躍しました。それには眼科一筋の頑固な製薬会社の参天製薬の力が何よりも大きかったと思います。参天製薬は薬の成分を溶かして目薬にする技術力が世界一で、それが今回の画期的な新薬発売に繋がったと思っています。私もドライアイ治療医として新薬の恩恵をしっかりと患者様にお届けできるように、参天製薬に負けないくらい日々精進していきたいと考えています。
2012.10.28
閲覧総数 1600
34
今朝起きて何気なくテレビを付けると、 人気芸能人のオリラジの藤森さんが「流行性結膜炎」(テレビのテロップには少し間違いがあり、本当の病名は「流行性角結膜炎」です。)で休養というニュースが出ていました。 この「流行性角結膜炎(我々の業界用語ではEKC)」は俗に言う「はやり目」で、アデノウイルスというウイルスによって引き起こされ、目の強い充血・めやになどの激烈な症状が出ます。 感染力が非常に強く簡単に周囲の人に移ってしまうので、発症後1週間ほどは自宅で休養する必要があります。また睡眠不足などで免疫力が低下している時にはより感染しやすいので、藤森さんはきっと多忙を極めていたでしょうからこれを機にゆっくり休養されたら良いと思います。 さてこの流行性角結膜炎、実は原因のウイルスに直接効く目薬はありません。そのため炎症を抑える目薬と弱った状態の目に他の感染を起こさないようにするための抗菌の目薬を点眼しながら自分の力で治るのを待つしかないのですが、感染力がなくなった後に黒目(角膜)に濁りが残って視力低下やまぶしさなどの症状が続くこともあります。だからこそ、流行性「結膜炎」ではなく「角結膜炎」という病名が付いているのです。 ↑ これが実際の患者様の目の写真ですが、黒目(角膜)のど真ん中に白っぽい濁りが残ってしまい、視力も低下してしまっています。こうなると濁りを取るためにステロイドという切れの良い炎症を取る目薬をしばらくの間使わなくてはならなくなります。 なので、この「流行性角結膜炎」というのは決して甘く見ることは出来ない病気なのです。皆様も「目が赤い、めやにがひどい、治らない。」場合には必ずお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2011.06.09
閲覧総数 3567
35
私が軒を借りているこの楽天ブログはしばらく前にブックマーク機能が廃止されました。それまでは様々なリンク先を登録していたのですが全て消えてしまいました。 そこで今回、どうしても必要な重要なサイトをブログのトップページにリンクとして貼りました。その内容を簡単に解説しておきます。 にしわき眼科クリニック iタウンページ これは当院の所在地・電話番号・診療時間などの基本情報が載っているNTTのiタウンページです。 まるお眼科 香川県で今年の6月に開業予定のまるお眼科のホームページです。私の親友であり、その白内障手術戦略・知識は間違いなく全国トップレベルの知性派の先生です。きっと近隣の皆様に末永く愛され頼られる、力のあるクリニックになることでしょう。 坪井眼科ニュース 私が勝手に尊敬している大阪の坪井眼科のブログです。院長先生の切れ味鋭い眼科トークだけでなく、スタッフの方の日替わりでの様々な話題も楽しいです。 眼科手術開業医の戯言 手術メインで開業されている先生のホームページです。我々白内障手術専門医は、その結果が視力という形ですぐに明らかになるだけに毎日を高い緊張感の中で過ごしているわけですが、その努力や日々の喜び・苦悩が率直にかつ明瞭で読みやすい文章で綴られており、毎回非常に楽しみに拝読しています。 稲亀石の、田舎目医者日記 深い洞察力ときわめて高い文章力を併せ持つ、稲亀石先生の面白いブログです。眼科の話ばかりでなく世の中の様々な出来事を新鮮かつ的確な視点から分析されており、毎回勉強になります。 眼科医フォーチュンクッキー日記 テイスト的には私のこの日記に近い感じで個人的に親近感を感じています。 皆様も良かったら各リンク先を覗いてみて下さいね。
2012.03.10
閲覧総数 118
36
どうして人間の瞳は丸いのですか? という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まずここで言う瞳と言うのは目の真ん中に開いている「瞳孔」のことですね。私達人間は 「外界からの情報の80%を目から手に入れている」 と言われており、その入り口となるとても重要な部分となります。 さてこの瞳孔、我々人間はたまたま丸いわけですが、 実は動物によって異なる のです。! (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より引用) 猫が縦型なのは割と皆さんも御存知かと思うのですが、 ヒキガエルはなんとハート型 なんですね。 また我々人間でも、たまにこのハート型の瞳を見ることもあります。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ。」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので、私は毎日の外来診療が大好き なんですね。
2016.06.06
閲覧総数 1947
37
しばらく前のことですが、「子供のめやにと充血がひどい。」との訴えで、女の赤ちゃんを連れた若いお母さんが受診されました。 目を診せて頂くと、確かにひどく充血し目やにもびっしりと付いています。ところが目を良く観察していると、まつげがチリチリでほとんどありません。 「あれ? お母さん、まつげ、どうかされましたか?」 と質問すると、 「はい、まつげを短く切っておくと、毛根の生命力が刺激されて大きくなった頃にまつげがフサフサの美人になると聞いたので、全部私が切りました。」 とのことでした。 まつげは、目の中にゴミなどの異物が入らないようにするために生えており、とても大切なものです。この赤ちゃんはまつげを切られてしまったので、それで目が剥き出しになり炎症を起こしてしまったのです。 赤ちゃんの時にまつげを切ると将来フサフサになる、かどうかは検証した論文もなく真実は分かりませんが、目の健康のためには間違いなく良くないことですし、またどうしても将来まつげフサフサになりたければ、 ↑ このような「プロスタグランジン関連薬」という系統の緑内障用の目薬をまつげの付け根に塗れば、驚くほどあっという間にフサフサに出来ます。それはこれらの薬に「増毛」の作用があるからです。(ただし、美容薬として保険診療機関で処方することは出来ません。一般に美容外科や美容皮膚科での自費での購入となります。) まつげは大切な役割があるからこそ生えているのです。ですので、皆様も安易にまつげを抜いたり切ったりしないようにして下さいね。
2013.07.06
閲覧総数 2766
38
さて今日は「名薬、ムコスタ点眼液の悲劇」シリーズ最終回です。 この素晴らしい薬効を誇るムコスタ点眼液ですが、実は私自身も毎日寝る前に使用しています。 圧倒的に眼の調子が良くなりますし、 点眼すると目がかすんで見えなくなるのでそのまま良く眠れる という意外な作用もあります。(笑) 「苦い、しみる、かすむ」と3拍子揃った強面のハードボイルドなムコスタ点眼液 ですが、ドライアイ患者様なら一度は挑戦してみるべき素晴らしいポテンシャルを秘めたクスリでもあります。 私は眼科専門医として、この「悲劇の名薬」ムコスタ点眼液をこれからも適切に患者様に処方していきたいと考えています。
2013.03.22
閲覧総数 13870
39
目の中に入った異物や汚れを洗い流すために使う、洗眼薬という市販薬があります。小林製薬の「アイボン」がその代表的な商品です。 私も使ったことがありますが、アイボンで目を洗うとすっきりして気持ちがいいんですね。目にゴミが入ったとき・花粉症で眼が痒くてどうしようもない時などに大変重宝する良い薬だと思います。 ところがこのアイボン、使っているうちにその爽快感・スッキリ感が癖になってしまい、1日に何十回も使用している 「アイボン中毒、略してボン中」 とでも言えるような状態の方がいるんですね。 先日、「目の調子が悪くてアイボンを1日に20~30回くらいしていたのに、治らないので来た」という患者様が来院されました。目を拝見すると、 黒目(角膜)にたくさんの傷(上の写真で水色に濃く染まっている部分)が入ってしまっています。 これはアイボンのしすぎで、ムチン層という黒目の表面を守って涙の状態を安定させる大事な物質が洗い流されてしまったことによるものです。例えて言うなら、 アカスリし過ぎて皮膚がズル剥けて真っ赤っ赤 というような状態ですね。 また、我々の涙には「ばい菌をやっつける天然成分」が元々入っています。アイボンをしすぎるとこの大切な天然成分も流れてしまい、逆にばい菌への抵抗力が減ってしまうこともあるので注意が必要です。 さて、この患者様にはアイボンを中止し点眼薬を処方したところ、1週間後には、 症状はほぼ改善しました。 アイボンは良いお薬ですが、使いすぎるとこのようにかえって逆効果になることもあります。なので、アイボンを使うときには用法・用量(1日3~6回)を必ず守るようにして下さいね。
2010.05.08
閲覧総数 126917
40
眼科医療には必要不可欠な機械であるレーザー光凝固装置。具体的には糖尿病網膜症の進行抑制や網膜に穴が開く網膜剥離裂孔の治療に使用するのですが、当院では8年前の開業時にグリーン(緑)1色だけ打てる廉価版のマシンを最初に導入しました。 これは開院時は財務的にかなりタイトだったために価格的にハイグレードのマシンが買いにくかったためだったのですが、白内障が強い患者様だとグリーンレーザーは目の奥の網膜までキチンと到達しないという問題点があり、「あ、これじゃ全然ダメだな。」という判断の元、開院2年目には早くもグリーン(緑)に加えてレッド(赤)も打てる上位機種 に急遽買い換えました。そしてこの目の奥までキチンと届くレッドレーザーがあれば、ほぼどんな患者様へのレーザー治療にも対応できたために、今日まで御機嫌で使用してきました。 これがこの7年間を共に戦ってきたマシン、オーストラリアエレックス社の「インテグラデュオRGレーザー光凝固装置」 となります。特に悪いところも無く今でも現役バリバリの状態良好のマシンなのですが、眼科医療の進歩のスピードはとてつもなく速く、大幅に機能アップした最新鋭のマシンへ買い換えることにしたので、泣く泣くお別れすることになりました。シンプルで分かりやすい操作性で、サイズもコンパクト、かつ実に安定したパフォーマンスを発揮してくれた名機で、とても名残惜しいです。本当にお世話になりました。。。。。。。。 さてこれまでこの「インテグラデュオRGレーザー」がいた場所には、3代目となる新型レーザー装置がやってきます。このマシンの眼科医療機関への導入はなんと当院が「四国初」となります。お楽しみに。。。。。。。。。
2016.06.27
閲覧総数 801
41
ワールドカップの日本対カメルーン戦、面白かったですね。残り2試合も楽しみです。 ところでサッカーボールが目に当たったらどうなるでしょうか? 実はサッカーボールは大きくて、目を直撃するというよりはその周りでダメージを吸収できるので大きな問題になることは少ないです。 では、逆に「目に当たると危ないボール」は何でしょうか? これはもうダントツでゴルフボールです。大きさがちょうど眼窩(がんか)という目の入っている場所にぴったりなので非常に危ないんですね。 私の経験では「あっ、危ない!」という声で振り向いたら、ちょうど飛んできたゴルフボールが目を直撃してしまい、目の玉が破裂して結局失明してしまった方もいます。 それ以外では硬式野球のボールも危険です。これが目を直撃すると黄班部という、視力に最も大切な部分が傷んでしまって視力低下を来すことが多いです。 スポーツの楽しくなるこれからの季節ですが、皆様目を怪我しない様に十分注意してくださいね。
2010.06.16
閲覧総数 1100
42
電気溶接の仕事を眼を保護せずにすると、人工光源から出るUVC(波長が非常に短くて眼に有害な紫外線)による、電気性眼炎(でんきせいがんえん)という状態を引き起こしてしまうことがあります。 具体的には、上記の写真のように黒目(角膜)の表面に細かい傷が入ってしまいます。かなり強い眼痛を伴うので、多くの患者様が慌ててクリニックに駆け込んで来られます。 先日もこの電気性眼炎の患者様が来院されたのですが、眼を拝見すると黒目(角膜)のキズだけでなく、白目(結膜)も異常なくらい充血しています。 私が「これはよっぽど目を擦られたのですか?」と質問すると、患者様が、 「職場の上司が、 すぐに目に牛乳を入れると良い というので、そうしました。」 とのことでした。 電気性眼炎に牛乳、これは眼の表面が痛んで感染に弱くなっている状況に追い討ちをかけることになるので、治すどころかむしろ危険と思います。なので、皆様も溶接で目を焼いてしまった時には、牛乳を入れるのではなくすぐに眼科専門医を受診する、ようにして下さいね。
2011.11.30
閲覧総数 638
43
お料理、特に揚げ物などをしていて天ぷら油が眼に入りかけたことはありませんか?高温の油が眼に入ったらどうなってしまうのかちょっと心配ですよね。 ところが人間というのは良く出来たもので、現実にはなかなか油が眼に入ることはありません。危険を察知して瞬間的に眼を閉じるので、「眼に入った!」と思っても実際はまぶたに油が当たっただけということが多いんですね。 先日もある患者様が「天ぷら作っていたら揚げ油が目に入った。滅茶苦茶痛いので飛んできた」といって来院されました。私が「意外と本当に眼に油が入ることはないんですけどね。良く診せて頂きましょう」と拝見すると、、、、、、 油、本当に眼に入っていました。ちょっと珍しいですね。上の写真で緑色に丸く変色している部分がそうなのですが、高温の油が当たって黒目(角膜)に炎症・点状の細かな密度の高い傷に加えて一部上皮欠損を起こしています。黒目は非常に敏感な部分なので、このくらいの傷でもかなり強い痛みが出ることがあります。 目薬と眼軟膏を処方して本日再診して頂いたのですが、 ほとんど治っていて私もホッとしました。 このくらいの傷だったらすぐ治るには治る訳ですが、かなり強い痛みが出るのは事実なので、皆様も料理中には油が目に入らないように十分注意してくださいね。
2009.10.19
閲覧総数 29767
44
この日記でも何度か取り上げている期待の緑内障の新薬、ザラカム配合点眼液ですが、ようやくサンプルを戴けました。 黄色いキャップで可愛い点眼瓶ですね。さて、さし心地はどうか、効き目はどうか、気になりますね。そこで早速試してみました。まずは点眼します。 くー、しみる!! これはしみます。他の緑内障薬に較べてかなりきますね。まあ1日1回点眼で便利なのでこれは我慢するしかないか、、、 さて、効き目のほうはどうだったでしょうか?今回は期待の大型新薬ということもあり、院長の私とスタッフ2名の合計3人がチャレンジです。 まずは私から、、、 眼圧15.5→11.0です。良く効いてますね。 次はスタッフのきみちゃんです。眼圧15.3→12.0です。まずまずですね。 最後は同じくスタッフのゴンちゃんです。 眼圧13.0→9.7でした。 ザラカム配合点眼液は4月発売予定です。実際の発売が楽しみですね。
2010.03.18
閲覧総数 1967
45
私は開業以来この3年間、日本の二デック社のCV-7000という白内障手術機械を使って手術をしてきました。このマシンは極めて基本性能が高くかつ信頼性と耐久性抜群(開業以来トラブル0)で現在でも特に不満はないのですが、今回ニデック社様及びディーラーの吉田メディカル様の御好意で、その後継機の新型マシンCV-30000(通称Fortus:フォルタス)をデモさせて頂けることになりました。そして、実際のマシンが今日当院へ搬入されました。 操作画面が旧型のCV-7000に較べてかなり洗練されていますね。明日から実際の手術で使うので、今日はDVDなどで機械について勉強をしていました。 細かな改良を積み重ねて、より安全で安定したマシンに仕上がっているようです。 元々極めてよいマシンだったCV-7000がどれほどの進化を遂げているのか、明日からが楽しみです。
2011.02.15
閲覧総数 417
46
さて当院では、今年2018年に、最新の眼科手術台であるタカラベルモント社の メプロ4 を導入しました。 当院では開院時からその1つ前の機種であるメプロ3を使っていたのですが、このメプロ4は可動部が大幅に広がっており、より安全に、そして快適に患者様に手術を受けていただくことが可能となっています。 ちなみにこのメプロ4の数少ない欠点として、患者様の頭の固定力がやや弱いということがあるのですが、当院ではタカラベルモント社にお願いして特別に固定バンドを作って貰いました。 このメプロ4の欠点で困っている眼科の先生って実は全国にたくさんいると思うのですが、多分タカラベルモント社にお願いしたら対応してくれると思います。凄く手術がやりやすくなりますよ。♬
2018.05.19
閲覧総数 3095
47
今日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容となっております。ご了承下さい。 さて、この数年のことですが、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)というおしっこの出方が悪くなる病気で、治療のためにα1遮断剤というお薬を飲んでいる患者様が激増しています。具体的には「ハルナール、フリバス、ユリーフ」などの商品名のものが多いのですが、これらが日本では現在なんと年間で8億個!も処方されています。 泌尿器科の先生にとってはありふれたお薬で、非常にカジュアルに気軽に処方されているのですが、これらの薬を飲んでいると白内障手術時に40%の確率でIFIS(アイフィス:術中虹彩緊張低下症候群)というやっかいな合併症を起こすことが知られています。 これは、お薬の影響で虹彩(茶目)がフニャフニャになってしまい、術中の水の流れでうねったり縮んだりして手術が難しくなることを言うのですが、その症状がシビアな場合には手術の安全性に関わることもあり、我々白内障手術専門医の大きな悩みの種となっています。 これはα1遮断剤が「瞳孔散大筋のブロック」を起こすからなのですが、α1受容体を選択的に活性化させる「フェニレフリン」という薬剤でこのIFISは予防できることが知られるようになってきました。ただし、そのためにはミニムスという使いきりタイプの点眼剤を個人輸入しないといけません。また、一般的な散瞳剤の「ミドリンP」にもフェニレフリンは入っていますが、原液でないと前房(目の中)内濃度が足りないし、そのミドリンPには防腐剤が入っているので原液使用は無理です。 ただ、身近なところで出来る範囲でもこのIFISを予防する手段は色々あります。今日はその対策を個人的メモ書きとしてまとめておきます。 1. そもそも白内障手術前に、α1遮断剤を飲んでいないかをしっかり確認する。割と「そういえば泌尿器科の先生に内服開始を勧められている」ということも多く、その場合は先に手術をさせて貰えば良い。また、現在α1遮断剤を内服中の場合、休薬してもIFIS発症は予防できないというデータが多いが、個人的な臨床体験からは「休薬すると少なくともパワフルなIFISはほとんどない」のも事実であり、症例の難易度によっては可能であれば一時的な休薬をお願いすることも魅力的なオプションだと思う。 2. 実際の手術に際して1番効果があるのはこれ。新品のネオシネジン点眼液(フェニレフリン)を1mlシリンジに吸っておいて、手術の洗眼後に結膜下注射しておく。その量は0.1mlくらい、感覚としては少し結膜が膨れるくらいで十分で、これでIFIS発症率を大幅に減少させることが出来る。 3. 散瞳不良症例はIFIS発症の可能性が高いので、必要に応じてBSS2.5mlにMP1滴入れてそれを前房内投与する。(ただし想定リターンがリスクを上回る場合のみ) 4. それでも無理で術中にパワフルなIFISを起こした場合には、前房形成能の高いヒーロンVを適宜使用する。(ただし個人的にはヒーロンVにはあまり過度な期待を抱かない方が良いと考えている) 以上です。これからもより安全で効果的なIFIS対策を追い求めて行きたいと考えています。
2011.09.25
閲覧総数 13882
48
当院では現在、日本アルコン社の「インフィニティ」という白内障手術装置を使用して皆様の手術を施行しています。 このインフィニティは、白内障手術機械の歴史上最も多く売れ、現在世界で最も多く使用されているベストセラーマシンです。発売は2003年と古く既にモデル末期なのですが、この9年間続々と新機能が搭載され、絶え間なくアップグレードされてきたことにより未だに高い戦闘力を誇っています。その最大の特徴は、 通常の白内障手術機械が、水晶体を削るための超音波が縦にしか出ないのに対して、このインフィニティは横にも出るということです。 そして横に出る超音波というのは、縦に較べて効率が良い上に目へのダメージが少ないのです。ただ、横発振だけでは機械が詰まったりすることもあったのですが、 数年前にOzil IP(オジールアイピー)と言って、横発振だけでは無理な場合に必要に応じて縦発振を入れることが出来るようになり、その欠点もほぼ解消しました。 私がクリニックを開業させて戴いている愛媛県八幡浜市は、高齢化率が極めて高く、そのために白内障が非常に進行した患者様が多い地域です。そういった進行した「固い核の白内障」に対してはこのOzil IPを搭載したインフィニティが他社のマシンに較べて相対的に優れていることもあり、 現在御機嫌で稼働中なのです。 このインフィニティ、発売後9年が経過し、その間に欠点・弱点を一つずつ潰してきたためにとにかく完成度が高いです。良く「輸入車買うなら、熟成度の高いモデル末期を買え!」みたいな話がありますが、このインフィニティも全く同じ状況です。そしてインフィニティの製造販売元の日本アルコン社の素晴らしいところは、常に開発・進歩の手を緩めないことです。 白内障手術では、IA(アイエー)と言って、水晶体の皮質という周辺部分を取る手技があるのですが、これには専用のIAチップという道具を使います。このIA中というのは、我々白内障手術専門医が最も恐れている合併症の破嚢(水晶体の袋が破れること)が割と起こりやすい時間帯であり、非常に神経を使います。 今回この大切なIAに関して、日本アルコン社から画期的な新チップが発売されました。 この新型IAチップは、先端が従来型の金属製ではなく柔らかいポリマー素材で出来ています。そして、チップ先端で眼内レンズを移動したり回転させたりすることがスムーズに行えるような表面処理がされています。また、スリーブを確実にセットできるように設計されてもいます。 実際に使用してみてすぐに感じたのは、「とにかく前房(目の中)が安定している」ということでした。スリーブのセットが確実で隙間がないことが影響しているのでしょうか?、後嚢(水晶体の袋の底面)がピシッと安定していて自信を持ってフットペダルを踏めます。 またチップ先端の表面処理も効いています。眼内レンズを思ったように躍らせて粘弾性物質(手術時に目の中を保護しているヒアルロン酸製剤)を快適に安全に除去できます。 逆に欠点としては性能が高くて吸引力が強いので従来型のIAに較べると5センチほどボトルを上げなくてはならないことと、完全ディスポで1本1500円(定価)するということですが、これは一回使って見ればその価値・凄さはすぐに分かると思いますし、当院でも是非採用したいと願っています。そして、全国のインフィニティユーザーの先生方にも是非一度お試し戴きたいと考えています。
2012.09.20
閲覧総数 5254
49
さて今日も「第117回日本眼科学会参戦記」の続きです。 ラウンジの中には新聞や週刊誌がたくさん置いてありました。 そこで週刊誌を手に取ってパラパラと見ていると、 日本サッカー界の至宝、本田圭佑選手がレーシック手術に失敗してしまい、それでワールドカップ予選に欠場することになったのではないか?という気になる記事が出ていました。 この記事だけでははっきりとしたことは分かりませんが、裸眼視力をしっかり出すためにやや過矯正気味に角膜を削りすぎてしまい、それで様々な心身の不調が出ている可能性があるという内容でした。心配ですね。 レーシックは基本的には非常に安全で確実な手術ですが、しばらく前には銀座眼科での集団感染症の発症もありましたし、「レーシック難民」という言葉があるように術後にドライアイ・微細な両眼視機能異常を始めとする様々な多彩な症状に悩まれている患者様が一部にいることも事実です。 ただこの手の週刊誌での「医療バッシング記事」はやや割り引いて読まなければならない場合もあります。というのは、バッシングされるのは美容外科、歯科のインプラント手術、眼科のレーシック手術などの保険の効かない「自由診療」のことが多いのですが、これらの業種は広告宣伝費を多く使うことで知られています。 そして広告代理店はマスコミに医療バッシングの記事が出ると、バッシング先に出かけていって「あなた方のアピール力が足りないからこういう記事が出るんです。もっと広告をする必要があります。」という営業をかけるということがあるんですね。それは巡り巡って広告料の還元と言う形でマスコミを潤すことがあり、マスコミ側にはそういった動機・インセンティブが少なくとも無意識下のレベルで働いている可能性があるということです。全てマスコミの記事と言うのは多面的に深く捉える必要があるんですね。 すいません、少し話が脱線してしまいました。最初の話の続きですが、皆様もレーシック手術を検討されるときには、手術の長所ばかりでなく短所もしっかりと説明してくれる、術前に十分な問診と両眼視機能検査を含む詳細で慎重な検査をしてくれる、また術後のフォローアップ体制がしっかりとしているクリニックを選ぶようにしてくださいね。(続く)
2013.04.11
閲覧総数 872
50
私は白内障手術を専門としており、毎日より安全な手術を目指して努力をしています。当院はもうすぐ開院1年を迎えますが、この一年間でもいくつかの術式の改良点がありました。 1.瞬目麻酔という耳の下への麻酔を全例で追加して、術中のまばたきを抑えて手術の安全性の向上を図った。 2.水晶体の前嚢という皮をめくるCCCという手技があるのですが、この手技の安全性を高めるために「池田式CCCセッシ」という、小さな傷から挿入できる器具を全例に採用した。(この器具は非常に高価なためほとんどの公立病院では保有していても数本であり、全例に採用している施設はまだ稀だと思います。) この器具を使ってどのようにその前嚢をめくるのか、一例を下にお示しします。左側に見えている器具がその池田式CCCセッシです。 丸く、皮がめくれているのがお分かり頂けると思います。 これ以外でも、当院ではより小さな傷口からの手術を目指して更なる機材の変更を検討しています。日々努力を怠らず八幡浜地域の皆様に安全で快適な医療を提供できるようにこれからも頑張っていこうと考えています。
2009.04.27
閲覧総数 520