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2006.05.02
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夏期限定トロピカルパフェ事件

~創元推理文庫、2006年~

 <小市民>を目指す小鳩常悟郎さんと小佐内ゆきさん。高校二年生の夏休み、二人が巻き込まれた事件をつづった、シリーズ第二作です。
 以下、章ごとに簡単な内容紹介とコメントを。

序章「まるで綿菓子のよう」

 夏祭りに行ったぼくは、狐のお面をかぶった少女-小佐内さんに出会う。
 本編の導入ですね。

第一章「シャルロットはぼくだけのもの」
 ある日、小佐内さんがぼくの家を訪れた。互恵関係にあっても、依存関係にない二人が、夏休みまで一緒にいる理由がない。にもかかわらず小佐内さんは、「小佐内スイーツセレクション・夏」という計画とお店の地図を携えて、一緒にめぐろうというのだ。

   *
 理屈で思考するのを得意とする小鳩さんと、同じく鋭い小佐内さんの頭脳合戦です。暑さのせい、とやたら言っているのが、どこかカミュ『異邦人』のパロディみたいで、おかしかったです。小鳩さんが証拠隠滅に思考をめぐらせるシーン、そして小佐内さんが「謎解き」をしていくシーンは、身近に起こりえるせいか、すごくスリリングでした。

第二章「シェイク・ハーフ」
 スイーツのお店で待ち合わせたぼくと小佐内さん。早く着きすぎたぼくがハンバーガーショップに寄ると、友人と出会った。いかつい体の堂島健吾である。堂島は、自分の知人が薬物を扱っている集団に巻き込まれたといって、調査をすすめているところだった。集団のメンバーを見つけた堂島は、ぼくにメモを残して、店を出て行った。
   *
 そして、そのメモの意味が分からず、解読に腐心する、というのが、このお話です。電話なりメールなりで、堂島さんに確認する、という手段もあるのに、暗号解読に熱心な小鳩さん。そこに居合わせた小佐内さんがそれをとめないのも、本編で描かれていることですが、意味深です。

第三章「激辛大盛」
 小休止、というところでしょうか。堂島さんが、自分の計画がうまくいかず、小鳩さんにグチをこぼします。

第四章「おいで、キャンディーをあげる」
 夏祭りに行き、りんごあめを食べようと約束をしていた日。ぼくは祭りよりもずいぶん早い時間、午後一時に小佐内さんの家に来るように言われた。ところが、行ってみると小佐内さんは不在で。小佐内さんの母親と話をしているところにかかってきた電話は、小佐内さんが誘拐されたことを告げるものだった。
   *


終章「スウィート・メモリー」
 小佐内さんの「不可解な」一連の行動と、「誘拐事件」の謎が明らかにされます。

 表紙はとても可愛いのですが、このシリーズは、どこか重いです。自らを「狐」と形容するぼくは、まぁ探偵役の人物として見ればそんなでもないのですが、「狼」と形容される小佐内さんが、かなり…。小柄で童顔でスイーツ大好きな彼女がなにより好きなのは、復讐なのです。終章の「狐」と「狼」の衝突(?)も、なかなかスリリングでした。
 よくあるミステリだと、ラストは、はっきり探偵と分かっている人物と、はっきり犯人とされる人物の対決です。往々にして、探偵役がだーっと事件を整理しながら犯人のミスなどを指摘しながら、犯人を追い詰めます。
 そういう意味では、本作では探偵役と犯人役の対決にはなりません。互恵関係にある(一般的にみれば探偵役の)二人の対決です。スリリングに感じるのは、このあたりの事情もあるのでしょうか。





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Last updated  2006.05.02 11:30:11
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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