のぽねこミステリ館

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2007.04.10
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~創元推理文庫、2001年~

 「僕」と「私」を主人公とする、5つの短編が収録された短編集です。前の話が次の話に続いたりすることや、登場人物の名前自体も物語の中で順次明かされていくことなので、いつものような内容紹介は書きづらいのですが、それぞれの物語の謎の部分についてのメモ程度に、紹介をしておきます。

「掌の中の小鳥」 「僕」の知人の女性―容子は、とても絵がうまかった。コンクールに出品する予定の作品「雲雀」も美しい作品だったが、出品を前にして、絵がひどく汚されていた。…「僕」と容子にまつわるエピソードが、scene 1に描かれます。
 登校拒否した「私」は、祖母の家に預けられることになる。ある日、祖母は一つのゲームを提示する。碁石を「私」が選ぶ。もし祖母が「私」と違う碁石を選べば、「私」の言うことはなんでも聞く、しかし祖母が「私」と同じ碁石を選んだなら、「私」は祖母の言うことをなんでも聞く、そういう賭だった。…「私」の過去のエピソードが、scene 2に描かれます。
 話としては、私はscene 1の方が楽しめました。提示される謎も、その解決も、こちらの方が印象的だったように思います。

「桜月夜」
 多くの女性と交際している父を試す―あるいは、父から逃れるために、少年は狂言誘拐を試みる。 …「私」が見つけたおしゃれなバー<EGG STAND>で、「私」が語る一つのエピソード。
「自転車泥棒」


「できない相談」
 小学生の頃流行った、「できる・できないゲーム」。そのとき、少年は、クラスメートたちに、「幽霊電話」を聞かせた。そして、「私」は、彼と再会した。彼は、たまたま再会した私を、知人の女性の住むマンションの一室へ案内した。身重の彼女の部屋を出た後、彼は「私」に宣言する。自分は、先の女性を、その部屋ごと消してしまうことができる、と。

「エッグ・スタンド」
 茶話会のときに起こった、エンゲージリング盗難事件。そのエンゲージリングは、彼女が「僕」のために作ったケーキの中から出てきたのだった。

   *

 先にも書きました通り、以上の紹介は話のミステリとしての主軸を抜き出しただけなので、あまりにも無味乾燥ですがご了承ください。
 この作品集の中で、もっとも印象的だったのは「できない相談」でした。「幽霊電話」の件も興味深いのですが、マンションの一室をまるまる消す(これは比喩で、一室の全家財を消すという意味ですが)という大がかりな謎の提示。それが、人間たちの微妙な駆け引きを織り交ぜながら、きれいに解決されます。
 最後の「エッグ・スタンド」も素敵な物語でした。嘘をつき続けた少女。急に「僕」に怒りを示した彼女。バー<EGG  STAND>の方々と「僕」の会話。<EGG STAND>という店名の由来も素敵で、それが物語全体を彩ります。
 全体として面白い作品なのですが、なんとも感想が書きにくいです。フリーページにあげている本書の感想も、似たり寄ったりですが、あらためて再読したので、日記用に記事を書きました。





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Last updated  2007.04.10 07:23:26
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