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2007.07.03

関田涙『晩餐は「檻」のなかで』

(4)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24662)

カテゴリ：本の感想（さ行の作家）

～原書房、2007年～

　原書房の＜ミステリー・リーグ＞の一冊です。関田さんの作品を読むのは久々ですね…。では、内容紹介と感想を。

　仇討ち制度が導入され、その（おそらく）はじめての試みが行われる。復讐の舞台である「檻」に集められるのは７人。死刑の対象となるトラ、トラの被害者であり、トラに復讐するヤギ、ヤギの助太刀をするヘビ、監視役のクマとカメ、立ち会い人のサルとイヌ。ただし、サルは、「檻」での生活が終わると、ヤギが誰であるか指摘する。その指摘が正しければ、ヤギは身元を明らかにされることになる。イヌは、何の責任も負うことはない。
　三日間の間に、ヤギは、誰にも暴かれることなく、トラを殺さなければならない。そして参加者は（ヤギ、ヘビ、クマ、カメは、それぞれのことを知っているとはいえ）、自分の役割を明かしてはならない。
　２０××年５月１７日。７人は檻に入った。これから殺人が行われるかもしれないという特異な環境の中、どこか精神がはりつめている彼ら。仇討ち制度について話を進めている彼らだが、ついに事件が起こる。現場は―ヤギとヘビはいくらでも偽証できるとはいえ―、衆人環視の中の密室といった様相を呈していた。
　　　＊
　売れないハードボイルド作家である俺―錫井イサミは、担当編集者の渡部から、本格ミステリーを書いてみないかと打診を受ける。これでだめなら、作家業を終えることにもなりかねない状況であった。俺は、新しい領域に挑戦してみると、執筆にかかる。
　やがて、渡部から、売れに売れている作家・南郷の別荘で開かれるパーティに誘われた。そこで、南郷は、あることと引き替えに、錫井の新作の出版をバックアップすると約束してくれる。ところが、あることがマスコミに発覚してしまう。さらに、娘の友達の茜ちゃんのお母さんが、自分のエッセイを出版してくれるよう、編集者に頼んでほしいと言ってきたことも問題となり、家族にも害が及ぶようになってしまう。

　どうも風采のあがらない錫井さんですが、なんだか好感をもって読んでいました。『檻のなかの七匹の獣』も、最後まで探偵役が分からないということで、面白かったです。
　なによりかにより、ラストが良かったです。あまり書くとネタを割ってしまうことになるので書けないのですが、ほっとするラストに安心しました。

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Last updated 2007.07.03 06:56:27
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■コメント

Re:関田涙『晩餐は「檻」のなかで』(07/03)

yasukun0402 さん

関田作品は、講談社ノベルスのヴィッキーシリーズしか知りませんでした。他にも作品出ているのですね。 (2007.07.03 22:04:19)

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yasukun0402さんへ

のぽねこさん

コメントありがとうございます。
そうですね。講談社青い鳥文庫から、シリーズ作品が二作でていますし、小学館からは『時計仕掛けのイヴ』という作品が出ています。講談社ノベルスからは、ヴィッキーシリーズではない、『エルの終わらない夏』という作品もあります。
ヴィッキーシリーズはずいぶん忘れてしまっているので、また再読したいと思っています（いつになるかは…）。 (2007.07.04 07:00:27)

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Re:yasukun0402さんへ(07/03)

yasukun0402 さん

のぽねこさん
＞そうですね。講談社青い鳥文庫から、シリーズ作品が二作でていますし、小学館からは『時計仕掛けのイヴ』という作品が出ています。
-----
情報ありがとうございます。チェックしときます。
(2007.07.04 19:57:25)

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おはようございます

のぽねこさん

yasukun0402さん、コメントありがとうございます。

講談社青い鳥文庫の作品は、私は第一作の『マジカルストーンを探せ！―月の降る島』を読んでいるだけですが、わくわくしたのを覚えています。『時計仕掛けのイヴ』も良いですよ。 (2007.07.05 09:04:48)

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