のぽねこミステリ館

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2007.07.10
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~講談社、2007年~

 佐藤友哉さんの最新作です。「灰色のダイエットコカコーラ」「赤色のモスコミュール」「黒色のポカリスエット」「虹色のダイエットコカコーラレモン」の4編の短編…というよりは、4章からなる長編といった方がいいでしょうか。
 それでは、内容紹介と感想を(未読の方はご注意ください)。

 他人を「肉のカタマリ」と馬鹿にし、絶大な力を誇る祖父に、「僕」は直系と認められていた。僕は、やがて祖父と同様の覇王になるだろうと、言われていた。
 6歳のとき、祖父とともに、ヤクザの事務所に乗り込み、ロシアンローレットに挑戦する。
 13歳のとき、親友のミナミくんと、放火する。
 「計画書」をしたため、自分のすごさを世界に示そうとしていたミナミくんはしかし、17歳で自殺する。僕はやがて、19歳のフリーターとなる。
 覇王になる。肉のカタマリを皆殺しにしろ。口ばかりで、覇王になるため、どうすればよいのか分からない僕は、ハサミちゃんと再会して、ハサミちゃんの知り合いで、末期の小児ガンに冒されたユカちゃんと知り合って、少しずつ変わっていくことになる。


 他人のことを全く理解できないハサミちゃんが、妊娠を機に変わっていき、「僕」にはたらきかけます。ある事件をきっかけに、ユカちゃんは「僕」と暮らすようになりますが、そこに、ハサミちゃんも加わり、三人の生活がはじまっていきます。貯金が尽きた「僕」は働き始め、休日には三人でピクニックに行ったり、三人で一緒に夕食をとったりする日常を楽しみ始めます。いままで嫌悪の対象でしかなかった、「普通」に生きる「肉のカタマリ」の生活を見て、ほのぼのとしたりします。
 それでも、「僕」は「覇王」になることをあきらめていません。「肉のカタマリ」を殺す計画に喜びも見いだします。果たしてどうなるのか、と感じながら、はらはらしながら読みましたが、最終的には、一応のハッピーエンドで安心しました。
 当たり前の日常が、とても大切に感じることがときどきありますが、本書を読んで、あらためてそのことを感じました。





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Last updated  2007.07.10 06:53:17
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