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2009.07.29
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朝の少女

(Michael Dorris, Morning Girl , 1992)
~新潮文庫、1997年~

 大好きな物語です。今回、数年ぶりに再読しました。

 早起きする朝の少女と、夜は眠らない星の子の姉弟の、ふたりの視点で交互に物語は進みます。
 ある島で、自然のなかで暮らす家族あるいは部族たち。そんななかで、朝の少女も星の子も、それぞれが悩み、成長していこうとします。
 朝の少女が、自分とは何かを考えるとき、自分の顔を見たいと思ったときの父親の答え。腹ぺこという名前から、星の子という名前にかわり、やがてその名にふさわしいよう進んでいこうとする星の子。などなど、印象的なシーンがたくさんあります。
 こんにち一般にあうようなかたちで彼らの名前が語られることはありません(ジョンとかマイケルとか)。彼らはみな、その性質が名前として与えられます。だから、その名がとてもいとおしい。腹ぺこという名はちょっとあれだけれどあくまで小さな子供のときのことですし、星の子という名前をえた少年が、腹ぺこの名を嫌がるのは、やっぱり成長の証でしょう。

 冒頭にも書きましたが、とても大好きな物語です。

 最後に、印象に残った箇所を、文字色を反転して引用しておきます。
名前というのは不思議な、かけがえのない贈りものだ。人が自分につける名前、世の中に向かって示す、すぐに忘れられてしまう名前、いつまでもずっと残る名前もある。その人のしたことからきた名前、ほかの人たちから贈られて受け取る名前もある。あたしの弟が昔、腹ぺこだったことは、だれも忘れないだろう。けれども今日、みんなはまえとはちがうあの子のことばに耳をかたむける。星の子も、自分が大きくなっていて、もう子どもみたいにはふるまえないことを知るだろう。名前がほんとうに身についたとき、人は名前どおりの人になる
(97頁)

(2009/07/26読了)





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Last updated  2009.07.29 06:46:33
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