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2011.11.20
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Mont-Saint-Michel

Mont-Saint-Michel
~Imprimerie nationale Editions, Paris, 2004~

 久々に歴史学関連にして、 ミシェル・パストゥロー の著書の紹介です。
 実は先日、休暇をいただき、フランス旅行(ツアー)に行っていました。モン・サン・ミシェルにも行ったのですが、せっかくなので、パストゥローによる本書を買ったのでした。
 実際に現地に行き、ガイドさんの話を聞いた後なので、本書を読むのにすごく助かりました。

 さて、実は本書はジャン・ムニク氏による白黒写真がメインです。写真集の冒頭に、ミシェル・パストゥローがモン・サン・ミシェルに関する序文を載せているような体裁ですね(もっとも、パストゥローは本書の写真について一切言及していませんが…)。
 本文自体は30頁弱ほどなので、案外早く読了できました。

 さて、パストゥローによる本文は、次のような構成になっています(連番は便宜的に振りました)。

ーーー
1.海

3.大天使
4.修道院
5.巡礼
6.天のエルサレム
ーーー

 この構成からも分かるように、本書はモン・サン・ミシェルや、その修道院や教会についての通史的な概説書ではありません。いきなり「海」という章から始まるのに驚きましたが、モン・サン・ミシェルの歴史を6つのテーマで見ていこう、という構成ですね。

 まずは海と山という、モン・サン・ミシェル自体あるいはそれを取り囲む自然状況について見ていきます。

 「海」の章では、中世の人々が海を恐れていたことが強調されています。
 中世末期のノルマンディー地方の格言に、「モン・サン・ミシェルに行くときは、罪を告解し、遺言を遺しておけ」というのがあるそうです。モン・サン・ミシェル周辺の潮の満ち引きはとても急で、亡くなる巡礼者も多かったそうです。たしかに、現地に行ったときも、朝には、普段は駐車場として使われている広場が完全に水の中だったのですが、(3時間ほど後の)帰りには、その広場もすっかり水が引いている、という状景を目にしました。巡礼者には、本当に現実的で切実な格言だったのだろうと、想像します。
 またここでは、海の生物への恐怖や蔑視についても触れられていて、興味深かったです。たとえば、ニシンやボラなどの海水魚は職人や農民の食事とされ、コイやウナギなどの淡水魚が、貴族の食事とされたとか。また、釣り人(pecher.eの上に^)は、罪人(pecher.eの上に´)との言葉の類似もあり、不名誉な職業とされたそうです。

 「山」の章からは、いくつかのエピソードを紹介します。

 ただし現在も、モン・サン・ミシェルに通じる道により、堆積物が増え、海の状況が変わってしまっているので、より自然に近い状況に近づけるための道路の建設が行われている、とのことでした。

 「大天使」の章以降は、モン・サン・ミシェルの教会(修道院)について、より通時的な説明があります。
 まず「大天使」の章で、建設の由来が語られます。
 アヴランシュAvranches司教のオベールという人が、708年のある夜、夢を見ます。それは、聖ミカエルが現れ、彼に、「墓山」に教会を建設するよう要求するという夢でした。幻想と思って放っておいたオベールに、ミカエルは3回、夢に現れます。3回目には業を煮やしたのか、オベールの頭蓋骨に穴を空けてしまいます。これで、本当にミカエルからの要求だと分かったオベールは、教会の建設にとりかかるのでした。

 「修道院」の章では、ヴァイキングの攻撃され、政治権力の争いに巻き込まれ、時には放火までされたという、モン・サン・ミシェルの、いわば危機的な状況もふれられます。また、そのような人為的な原因だけでなく、岩山の上という厳しい環境に建てられた建物なので、自然に崩れてしまった場合もありますし、雷、嵐という自然災害によって被害を受けることもありました。


 巡礼者たちが巡礼する目的は、何らかの保護に対する感謝(例:ペストの被害からの保護に感謝した仏王の巡礼)や、自分の病の治癒のため、というものでした。病の治癒について、自分で行くことが難しい場合は、代理人を行かせることもあったそうです。たとえば、フランス王シャルル6世は発狂したそうですが、王にかわって「王の巡礼者」が巡礼に行ったそうです。
 巡礼者の持ち物として、特に貧者は貝殻(特にホタテ貝)を持って行ったそうです。現地のガイドさんによれば、それはお皿やコップとしても活用できたとか。そのため、ホタテ貝が、巡礼者の紋章になったとのことでした。

 「天のエルサレム」では、中世にはその修道院の内外が色とりどりに彩られていたことが指摘されます。次いで数の象徴性にふれられた後(これが本論とどう関係しているのかが、私にはよく理解できませんでした)、モン・サン・ミシェルが牢獄として用いられた歴史が語られ、ミシェル・パストゥローによる序論は終わります。

 白黒写真も味があり、時に眺めては、現地に行ったことを思いだそうと思います。
 良いおみやげになりました。





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Last updated  2011.11.20 11:45:56
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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