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2016.02.06
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~南窓社、2013年~

 クリュニー修道制の研究で有名な関口武彦先生の、2番目の論文集です。
 先生は山形大学教授を勤めていらっしゃいましたが、既に退官されています。本書は退官後に発表された論文も含めた論文集となっています。
 私の手元には、
・関口武彦『クリュニー修道制の研究』南窓社、2005年
 があります。
 さて、本書はそのタイトルのとおり、いわゆる「グレゴリウス改革」の時代を中心として、教皇改革が果たした役割をいろんな角度から明らかにしてく一冊となっています。
 本書の構成は次のとおりです。

―――
まえがき


序章の一 クリュニーと救済の体系
序章の二 フュルベールとオディロン
第一章 教皇改革(上の一)
第二章 教皇改革(上の二)
第三章 教皇改革(中)
第四章 教皇改革(下)
第五章 中世秘跡論争
第六章 改革教皇の改名
第七章 改革教皇の枢機卿政策
第八章 教皇改革と十分の一税
第九章 聖職者独身制の形成

第十一章 十二世紀後半の十分の一税問題
終章 教皇改革後のローマ教皇庁

参考文献
あとがき
索引(人名・事項)


 ふたつの序章では、クリュニー修道院が教皇改革に与えた影響の大きさを論じます。

 第一章から第四章までで、教皇改革期の教皇たちの施策を具体的に見ていきます。

 第五章は、堀米庸三先生の「秘跡論争」に関する見解に対する批判となっています。私の理解不足もありますが、結論部分でもう一度堀米説に対して提起した疑問それぞれへの回答をまとめていただいていると、読者としてはより理解しやすかったと思います。

 第八章、十章、十一章は標題どおり十分の一税の歴史的展開を論じます。論文の中で扱われる時代としては、第八章よりも第十章の方が先の時代となっているので、対象となる時代順に章を並べても良かったのではないか、と感じました。

 特に興味深く読んだのは第九章です。初期教会では、実は聖職者の独身制は義務づけられていたわけではなかったようです。10世紀頃から、聖職者独身を求める声が強くなっていき、教皇改革期にそれは確立していきます。面白いのは、妻帯禁止の布告がなされたことに対して、反対もあったということ。禁令を布告した大司教が投石にあったり、妻帯禁止をうちだした教皇を支持する修道院長が鞭打ちにあい、投獄されたという事例もあったそうです。聖職者独身制には、聖職者という身分を他の身分と区分するという意義があるという結論も興味深いです。

 私の勉強不足で、理解できない部分も多かったですが、勉強になる一冊でした。





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Last updated  2016.02.06 21:57:45
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Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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