仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2014.12.20
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カテゴリ: 国政・経済・法律
各紙で報道されているが、北名古屋市で字の「読み方」を変更する議案が全会一致で可決されたという。

「土部」を「どぶ」ではなくて「つちぶ」と読ませる変更なのだが、気になったのは、どのような「議案」なのだろうか。たしかに地方自治法は、市町村長は「市町村の区域内の町若しくは字の区域を新たに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、当該市町村の議会の議決を経て定めなければならない」と定める(260条1項)。

だが、そこにいう「名称」とは町名そのもの、具体的に言えば漢字(ひらがな地名もあるが)の表記の問題であって、「読み方」を想定しているのではないように思われる。つまり、「読み方」の変更ならば、260条1項による議会の議案とせず、また、同条の後項で定める市町村長の告示などの手続も不要になる、と解釈できるような気もするのだ。

実際には、どうだったのだろう。北名古屋市のサイトには丁寧に各号議案が載っている。議案第75号というもので、地方自治法第260条第1項の規定により字の呼称を別紙のとおり変更する、とする。別紙には、変更前後の表があり、「徳重土部」は変更の前も後も同じ表記で、併記されるカッコ書きの読み仮名が、「(とくしげどぶ)」から「(とくしべつちぶ)」に変わることが示されている。

なるほど。「260条1項の規定により」と議案事項であることの根拠を示しているから、今回の変更は自治法上は「名称」の変更に該当するものと理解されているはずである。ただし、議案の文中では、変更する対象が文字ではなく読み方にとどまることをわかりやすく示すために、あえて「名称」ではなく「呼称」の変更との表現を採用した、ということになろう。議案の件名が「字の呼称の変更について」としているのも、工夫なのだろう。

報道には、名称変更を議決事項とする自治法の規定に「準じて」議決した、とするものがある。この表現は微妙だが、上記のように議案そのものは根拠条文をはっきり示しているから、名称変更として扱っているというほかないだろう。換言すれば、名称変更の範囲をどう理解するかの問題なのだ。

今回の北名古屋市の事例は住民からの要望に基づくという。今後も同様の事例がありうるかもしれない。また、「名称変更」の射程範囲の問題として考えると、たとえば
(a)多賀城の下馬「げば」を東京みたいに「しもうま」と読ませたいとき
(b)「七ヶ浜」を「七ケ浜」と表記を改めたいとき


■関連する過去の記事
金ケ崎町は大きな「ケ」で決まり (07年9月29日)





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最終更新日  2014.12.20 09:01:55
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