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2016.04.10

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第三十八段　～ネクスト～　宇宙大戦　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

カテゴリ： ◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ

↓前回です♪
第三十七段　～永久凍土～

★☆★☆
第三十八段

百年戦争があったのだ。

最初は一部地域のごたごたした民族紛争から始まったが、

いつのまにかそれが地球レベルに拡大し

結局のところ全世界を巻き込んでの

宗教戦争に落ちこんでいった。

つまり一時、世界は命知らずの連中の独壇場になった。

魅力的な言葉で世界中を幻惑し

幾つもの国の軍隊を統合し連合軍を率いた。

そしてその後世界政府軍を名乗り、それ以外の軍を反政府軍と

定義づけた。

それから引いてはならない引き金を引くことになった。

放射能汚染と化学兵器、そして生物兵器はもっと酷かった。

地球は壊滅的打撃を受け、

戦争は地球外の支配権を獲得するために宇宙規模になって

行かざるを得なかった。

もはや戦争の始まりの訳も地球も知らない子供たちが大勢駆り出され

宇宙の方々で大勢死ぬという事態が戦争の末期、延々と続き、

突然休戦が宣言され、和平に向けての交渉が始まった。

そして終戦。

どう見ても反政府軍の全面降伏のはずだったが

表面的には、痛み分けとされた。

反政府軍を殲滅することは不可能、現実的ではない

また、反政府軍に敗北を認めさせることは

それ以上に不可能だという認識も。

彼等は屈辱を飲むくらいなら、死を覚悟で戦いを挑み続けるだろう。

最後のひとりになるまで、そうするだろう。

長い経験で、それは身に染みるほど分かっていた。

彼等は、望みを捨てていたし、

戦うことがすなわち彼等の生きる目的だったからだ。

今のままだとこの戦争を未来永劫続けることになりそうだった。

英断が必要だと、誰もが感じていた。

それにしても、譲歩。

皆が首を捻った。

政府軍の有利に交渉は進んでいいはずだった。

だが実際は政府軍は、

反政府軍に火星と冥王星とそれぞれの軌道上のステーションを渡し、

一定の制約はもちろんあるものの、

惑星内における自由を約束した。

反政府軍は、武装の一部解除を確約しなければならなかったものの、

その案を現実のものとした。

それは喜ぶべき成果だった。

彼等は、政党を持つこともできたので、世界会議への出席も約束された。

最大限の譲歩であり、一部の世界政府軍関係者からは

少なからぬ不満の声も上がったが

世界政府全軍総帥と、傀儡の大統領とは、それらの声を一切黙殺した。

時同じくして、世界政府軍統治下の全人民の宗教の排斥が行われ、

逆らうものは極刑だった。

戦争を泥沼化したのが宗教であるという認識は誰もの頭にあったので

最初は宗教弾圧は歓迎すべきものとして皆に捉えられていた。

にもかかわらず、反政府軍統治下の人民の信仰は大目に見られた。

政府軍統治下で活動していた宗教家の一部は、

反政府軍の内部にまぎれ込み

火星や冥王星に潜伏しているという情報もあったが、

和平成立後しばらくは、自治を認めていた手前、

政府軍は見て見ぬふりをした。

当時噂があった。

総帥の最愛の息子が反政府軍に寝返ったという噂。

あるいは、誘拐されて、人質になり

和平交渉の時は洗脳されていて、

反政府軍の交渉役の一人として

会議の席上に現れたというものだ。

最初のうちは、根も葉もない、噂だと誰もが一笑に伏したが

終戦から二年以上たった今もその話しは消えることなく、

世界中でこそこそと囁かれ続けていた。

終戦があまりに突然であり、反政府軍に有利な条件での

平和条約締結だったので

しかも和平など望んでいなかった反政府軍との平和条約の

スムーズ過ぎる締結は、何か重大な裏を感じさせるのだった。

有り得ない誘拐話を誰もが、

だんだんと信じざるを得なくなってきた。

そして世襲制であったので、第五代総帥のひとり息子には次期総帥としての

悠々たる前途が約束されていたが、

御世継ぎの義務として出席せねばならない政府内の

どの会合にも、この二年間現れることはなかった。

彼は優秀な軍人であり、情報収集人を軍人と称することが

認められなくなってからも彼の名声は高かった。

なかば伝説化していた。

彼は、戦場において、優れた予知能力をもって、軍を勝利に導いた。

大抵、ひとつの部隊に一人の情報収集人、

通称ネクストと呼ばれる超能力者が配属されていて、

彼は最高位の父親を持つ身でありながら

常に前線の一番危険とされる部隊に配属を願い出て

そして、それは配属される部隊のお荷物と最初は敬遠されるものの

最終的には、彼等は自分たちが、神にも等しい超能力者から命を

守られていることに感謝することとなるのだった。

ただ、終戦の数年前から、

ネクストたちの能力に極端なばらつきが出始めた。

ある時、ひとりのネクストが原因不明のパニックから

全部隊を壊滅させる事態を引き起こした。

そして、それはそのひとりだけでは終わらなかった。

次々と彼等は、精度を落として行き、部隊全体のみならず、

軍の作戦全てを危険にさらすようになってきた。

ついに、ネクストは全員任を解かれた。

多分その時から、総帥の息子の姿は誰の眼にも触れなくなった。

つづく

王子たちの後ろ姿1.jpg

ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　以上全部同じ人（笑）

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Last updated 2019.09.09 22:02:53

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すみれゆきの

いつのまにか母娘でやることになったブログです。娘は主に音楽関係を2017.04あたりから担当。 '17.07.22現在『アジアの音楽』『アジア以外の音楽』の両カテ以外の音楽の記事は娘です。私は映画やドラマなどを中心に気功や太極拳などの情報ファッションや猫や人間の健康に関することなどを発信してます。混乱します？そうでもない？娘は几帳面。私はイイカゲン。そんな感じの見分け方で(笑)

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