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カテゴリ: → 読んだんよ ←

1時間一緒に過し、トマーシュはプラハに帰った。
10日後、テレザは200キロ離れた自分の町を出て彼のもとへ向かった。


こんな内容説明では伝わらないなぁ。

読むきっかけとなったのは、 isemari さん のページを見て。
この方の存在すら知りませんでした。isemari さんに感謝。


まず、題名に強くひきつけられた。
私は、自身の【軽さ】について思うところがある。
この場合の【軽さ】は、希薄な、虚ろな、核がない、中身のない、
というような否定的なイメージである。
(古代ギリシア哲学者パルメニデースとは捉え方が異なるのだ)



トマーシュとテレザ、サビナとフランツが基本線。(これだけではないが)

◇トマーシュ
“性愛的友情”と呼ぶ、双方にとって都合の良い愛人関係こそが必要。
このシステムは長年の愛人と別れず、数多くの短期の愛人を持つことを可能にした。
しかし、テレザのことを“誰かが籠にいれて川に流した子供だ”と思い、失うことを恐れた。

◇テレザ
何もかも失った母親からスケープゴートとされ、罪の意識に呪縛される。
八歳の時から、一方の手をもう一方の手でおさえて眠り、自分の愛している男を手にしていると想像する。

「あなに年とってほしいの。十歳年をとってほしいの。二十歳年をとってほしいの!」 (P95)

◇サビナ
裏切りにより人生を切り開いてきた。

裏切りたいという憧れのあとに、隠されたゴールは何なのか?

◇フランツ
誠実さが全ての美徳の中で一番。
「愛とは力をふるわないもこと」
そこにいない人々の想像上の視線の下に生きる。


トマーシュとテレザのもとにいる雌犬。
確かな存在感がある。特に最終章。

トマーシュよりテレザ、サビナよりフランツに意識がいく。
フランツって他人からみると幸せなんだか面白くないんだかよくわからない。
相手を思いやるようでいて実は自分本位。だと思うが、私はこのタイプだと思う。
わかっているつもりで、違う道を進んでしまう。

この話に、奥行きがあるのは、この状況設定の為でもあるだろう。

(その当時神経過敏になっていたプラハでは、誰が期待を裏切ったとか、誰が密告をしたとか、誰が敵の協力者であるかという情報がアフリカのタムタムの信じがたい速さで伝わっていた。) (P229)

どう生きるのか?どう愛するのか? 切実だ。


存在そのものが、拠り所、希望、救い、最後の最後の切り札、となるような相手。
常日頃そう思いながら、感謝し、幸福を祝う。そんなふうには、なかなかなれない。
「愛してる」と表面を取り繕ってみても、虚しいだけだ。
実感するのは、別れの直前、死の寸前かもしれないが、気づいただけでも幸せだろう。
出来るなら失う前に、今その時に・・・


どのくらい理解出来たのか、感じることが出来たのか、考えることが出来たのか。
答えなんてわからないが、とにかく読んで良かったと思う。

『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ(Milan kundera) 千野栄一 訳
集英社文庫 (1998年11月第1刷)





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最終更新日  2004年12月21日 01時33分22秒
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Re:『存在の耐えられない軽さ』 ミラン・クンデラ(11/27)  
☆かよ  さん
チェコ・・・興味がありますが、なんか私には難しそうな本です。。。。。 (2004年12月21日 11時48分36秒)

Re[1]:『存在の耐えられない軽さ』 ☆かよさんへ  
123mao  さん
>チェコ・・・興味がありますが、なんか私には難しそうな本です。。。。。
-----
私もどれだけ内容を理解出来ているのかわかりませんが…
そろそろ感想を書こう、と本を開くたびに、読みふけってしまうという非常に困った本でした(笑)
(2004年12月21日 23時02分47秒)

はじめまして。  
らんでる  さん
足跡をたどって来てしまいました。おほほほ。みーつけた!ここに書いておられたのね。だからうちに来たんだ。登場人物のそれぞれについて簡潔な言葉で提示されていて、とても参考になります。またここに寄せてください。おじゃましました。 (2005年01月07日 15時21分10秒)

Re:はじめまして。(11/27)  
123mao  さん
らんでるさんへ
>足跡をたどって来てしまいました。おほほほ。みーつけた!ここに書いておられたのね。だからうちに来たんだ。

はじめまして!書込みありがとうございます!
そうそう、『存在の~』の文字を見つけたのでうれしくてお邪魔しました。

>登場人物のそれぞれについて簡潔な言葉で提示されていて、とても参考になります。またここに寄せてください。おじゃましました。
-----
いやー、つぎはぎだらけでお恥ずかしいです。
この間はゆっくりできなかったので、らんでるさんのところにまたお伺いさせていただきます。
更新も内容も適当ですが、また遊びにきていただけるとうれしいです。
よろしくお願いします。
(2005年01月08日 23時30分39秒)

こんばんは。  
らんでる  さん
123maoさん、こんばんは。
お言葉に甘えてまた読みに来ました。
テレザについて、よくぞここを書いてくださったと、つくづく読み返しました。

本当に読みつくせない本ですね。

(2005年01月09日 01時22分07秒)

Re:こんばんは。(11/27)  
123mao  さん
らんでるさんへ
>123maoさん、こんばんは。
>お言葉に甘えてまた読みに来ました。
>テレザについて、よくぞここを書いてくださったと、つくづく読み返しました。

ありがとうございます!
トマーシュ、テレザどちら側?というような感じはありますよね。
2度目に読んだときに、1番テレザが気になりました。
(1度目のときは、カレーニンだったりして。笑)
らんでるさんの日記を拝見して、自分がいかにトマーシュに焦点をあてていなかったかわかりました。(私の日記の説明では気の毒だ、トマーシュ)せめて、メタファーの話だけでも追加しようかな。

>本当に読みつくせない本ですね。
-----
まさしく。
この本に限ったことではないのでしょうが、読む時の年齢、自分の精神状態などによっても、感じ方が変化するだろうなと思います。定期的に読み返したくなる本です。
(2005年01月09日 09時35分35秒)

知らなかったの。  
isemari  さん
あたしあたし!!!
とか、ちょっと自分の名前をどこかで見つけると、
騒いでみるやつ。そういう小学生よくいましたよね。

存在の耐えられない軽さ。ワタシにとっても未だに大好きだし、すごい泣いた本でもありますです。
色んなテーマが錯綜してその一つ一つが痛いほど胸にしみる本でもあるし。
(2005年01月31日 00時06分55秒)

Re:知らなかったの。(11/27)  
123mao  さん
isemariさんへ
>あたしあたし!!!
>とか、ちょっと自分の名前をどこかで見つけると、
>騒いでみるやつ。そういう小学生よくいましたよね。

isemariさんが気づくか気づかないか?
これからもやってみよっと(笑)

>存在の耐えられない軽さ。ワタシにとっても未だに大好きだし、すごい泣いた本でもありますです。
>色んなテーマが錯綜してその一つ一つが痛いほど胸にしみる本でもあるし。
-----
私にはとても難しいテーマですが、読むたびにいろいろと感じます。他の作品も読んでみます。
(2005年02月01日 00時52分47秒)

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