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鑑賞日:2022年10月30日(日)15:00開演入場料:10,000円(B席 30列)【主催】神奈川県立音楽堂(指定管理者:(財)神奈川芸術文化財団)音楽堂室内オペラ・プロジェクト第5弾ファビオ・ビオンディ指揮 エウローパ・ガランテ歌劇「シッラ」(日本初演)ヘンデル作曲全3幕(イタリア語上演/日本語字幕付)会場:神奈川県立音楽堂スタッフ指揮・ヴァイオリン:ファビオ・ビオンディ管弦楽 :エウローパ・ガランテ演 出 :彌勒忠史美 術 :tamako☆衣 裳 :友好まり子照 明 :稲葉直人(ASG)立 師 :市川新十郎台本・字幕翻訳 :本谷麻子舞台監督 :大澤裕(ザ・スタッフ)出演ローマの執政官シッラ :ソニア・プリナローマの騎士クラウディオ:ヒラリー・サマーズシッラの妻メテッラ :スンヘ・イムローマの護民官レピド :ヴィヴィカ・ジュノーレピドの妻フラヴィア :ロベルタ・インヴェルニッツィシッラの副官の娘チェリア:フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ神 :ミヒャエル・ボルススカブロ :神谷真士(黙役)天使ほか(エアリアル) :桧山宏子/板津由佳兵士ほか(殺陣) :片岡千次郎/亀山敬佑感想 神奈川県立音楽堂主催のオペラ。2年前には出演者が来日、リハーサルまで行われたが、公演直前に新型コロナ感染で中止となった公演。同じメンバーで遂に日本初演されるとのことで、秋晴れの下、桜木町駅から紅葉坂を登って音楽堂へ向かった。 開演前の14:15分からファビオ・ビオンディと彌勒忠史によるプレトークがあり、本作品とその演出についての紹介があった。 ストーリーは音楽堂HPに記載あり。 神奈川県立音楽堂は戦後国内初めての音楽ホールとして1954年(昭和29年)に開館したこともあり、舞台裏にほとんどスペースなく、舞台上のバトンも少ない等の制約が多い中、色々工夫されていた。 舞台上は3段の黒い階段状になっており、各段に幅1m、高さ3m程の赤い枠が2つずつ置かれている。場面に応じて位置がかわり、宮殿の壁になったり、牢屋になったりする。更に白い布(スクリーン)が降りてきて、そこへ木々、動物、人影等の映像が映される。舞台前はオケピットで中央にチェンバロが置かれており、その下手側に張り出しの舞台も設けられ、海へ航海に出る場面での岸辺等に用いられていた。 今回歌舞伎の演出を取り入れたとのことで、衣装は、武将の鎧兜と着物、女性は鮮やかな色の着物で無国籍的。 2幕の神殿の場面は舞台奥の反響板に浮世絵的な富士山を大きく映し出し、山岳信仰との位置づけか。第3幕フィナーレの軍神マルス登場の場面は、舞台上部から2本の白い布が下がり、二人の女性によるシルク・ドゥ・ソレイユの様なエアリアルの演技が入り、まあ神様登場と言う事なのでしょう。 カーテンコールの演出者登場で満席の客席から一人だけ大きなブーイングを出していたが、他の観客は大きな拍手とスタンディングオベーションで満足出来た様。 管弦楽はバロック楽器が使われ、ファビオ・ビオンディがヴァイオリンを弾きながら指揮をする。最初は楽器毎の音程のバラツキを感じたが、段々と気にならなくなったのは、楽器が温まって来たためか、こちらの耳が慣れて来た影響か? 今回歌手は神役以外すべて女声だったが、タイトルロールのソニア・プリナとクラウディオ役ヒラリー・サマーズのコントラルト二人の低音がよく響いて聞こえて来た。日本人アルトでは、ほとんど聞こえて来ない音域でしょう。妻メテッラ役スンヘ・イムや娘チュリア役フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリのソプラノ二人のアリアもアジリタ含め美しい歌声だった。 また音楽堂のホールは1階席のみの1,000人収容規模で、壁、天井が木製のため音響も良く、バロックオペラの公演には合っていた影響もあり。 日本初演で初めて聞くオペラだったが、先日聞いた「ジュリオ・チェーザレ」や「リナルド」、「セルセ」等と比較しても、けして劣らない美しい旋律のアリアが盛り沢山。特に2幕のクラウディオとチェリア、レトピとフラヴィアの二重唱が、輪唱的な部分もあって美しい。同声で揃えた効果も出ていた。 また演奏時間としては2時間強のため、退屈することなく聞くことが出来た。機会があれば、またぜひ聞いてみたい作品。 音楽堂の室内オペラ・プロジェクトの次の演目は、もらったチラシの中に来年10月にBCJによる「ジュリオ・チェーザレ」公演が載っており、クレオパトラ役が森麻季とのことで、今から楽しみに。End
2022.10.30
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鑑賞日:2022年10月28日(金)19:00開演入場料:8,000円(S席 J列)【主催】(財)水戸市芸術振興財団水戸室内管弦楽団第110回定期演奏会会場:水戸芸術館コンサートホールATM出演:フルート独奏:セバスチャン・ジャコーピアノ独奏:藤田真央水戸室内管弦楽団 ヴァイオリン:安芸晶子、フェデリコ・アゴスティーニ 植村太郎 、大宮臨太郎、小栗まち絵 、 川崎洋介、佐份利恭子、島田真千子、 瀬川祥子、田中直子、豊嶋泰嗣、 猶井悠樹、中島慎子、中村静香 ヴィオラ :川崎雅夫、川本嘉子、鈴木 学、店村眞積 チェロ :荒 庸子、奥泉貴圭、原田禎夫、宮田 大 コントラバス:池松 宏、助川 龍 フルート :岩佐和弘、上野星矢、 セバスチャン・ジャコー オーボエ :副田真之介、南方総子 クラリネット:中 秀仁、山本正治 ファゴット :鹿野智子、吉田 將 ホルン :日橋辰朗、山岸リオ曲目:【第1部】モーツァルト: フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313(285c) フルート独奏:セバスチャン・ジャコーモーツァルト: ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 ピアノ独奏:藤田真央【第2部】モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 コンサートマスター:豊嶋泰嗣感想: 今話題の藤田真央くんのモーツァルトが聞けるとのことで、会社を定時に出て水戸芸術館へ向かった。水戸駅北口から伸びる国道50号線と水戸芸術館の間には来年7月開館予定の水戸新市民会館が建設中で、外装は既に出来上がっており、4階建て全面ガラス張りで中は大きな木材がふんだんに使った豪華なもの。 客席は満席、時間となりフルート独奏のセバスチャン・ジャコーもメンバーに混ざって登場。舞台中央に立って、フルートを吹かない部分では、指揮者のような身振りで、演奏を引っ張っている。早い音符や音が飛ぶ所も難なくこなし、楽しい演奏だった。 曲が終わると一度メンバーが舞台裏へ下がり、ピアノが中央へ運ばれ準備出来た所で再び登場。ピアノ独奏の藤田真央もメンバーの最後に登場し、ピアノ椅子に座る。藤田真央と言えば、映画「蜜蜂と遠雷」の中の欧州在中、天才ピアニストの風間塵役のピアノ演奏した所から気になり、まだ23歳で既に世界中のコンクールの入賞やオーケストラとの共演で引っ張り凧状態。 驚かされたのはそのタッチの柔らかさ。猫背で演奏し、腕は鍵盤とほぼ同じ高さで力を入れていない。それなのに、オケの音からも浮き出て聞こえてくる。早いパッセージも難なく弾いて、自然に聞こえて来る。どんどんピアノの音に耳が引き込まれて行く。カデンツァも洒落ていた。モーツアルトの美しい旋律を楽しむことが出来た演奏だった。 客席から拍手が鳴り止まず、カーテンコールは3度出てきたもののアンコールはなし。 休憩挟み第2部はモーツァルト交響曲第40番。指揮者無しでの演奏だが、出だし等ぴったりなのはさすが。ただ指揮者いない影響でか、テンポや強弱は一定で少し退屈に感じた。 なにはともあれ、藤田真央の素晴らしいモーツアルトを聞けた演奏会だった。 水戸新市民会館は、2000人収容の大ホール中心に、482席の中ホール、192席の小ホールまである大型施設。当初利用対象に「オペラ」が書かれていたが、いつの間にか記載されなくなり、「オーケストラコンサート」「ミュージカル」が書かれている。おそらく舞台裏の上手下手が狭いため舞台上と同じスペースが取れすオペラ用に次の幕・場面の舞台装置が置けないためかと思われるが、施設にはオーケストラピットやワグナーピットの名称もみられ、演出次第で上演も可能でしょう。 ぜひ来年は水戸室内交響楽団演奏でオペラの上演を観たい。End
2022.10.28
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鑑賞日:2022年10月14(金)18:30開演入場料:¥11,000 1階11列【主催】TOKYO FM / キョードー横浜山下達郎PERFORMANCE 2022会場:神奈川県民ホール 大ホール 演奏ボーカル、ギター、キーボード:山下達郎ギター :佐橋佳幸ベース :伊藤広規キーボード:難波弘之、柴田俊文サックス :宮里陽太ドラム :小笠原拓海コーラス :ハルナ、ENA、三谷泰弘感想 2019年から3年振りのツアー。全国24都市47公演で、前回2019年とほぼ同じ規模。6月から始まったツアーは7月下旬と8月中旬にご本人とメンバーの新型コロナ感染で6公演が延期となったが、無事回復され神奈川公演は予定通り開催となり一安心。 いつもコンサート前に食事をするイタリアンレストラン・ローマステーションは新型コロナ感染後も金曜休みが続いているため、山の神と神奈川県民ホール6階の英一番館で食事後、大ホールへ向かった。 開場予定時間17:30前の17:10頃に既に受付が始まっており、ホールロビー入り口で体温測定の後、同行者含め身分証明チェックを受け、大ホールロビーへ入場。開場時間前だったこともあり、並ばずスムーズに入場出来た。 本コンサートは開催毎にチケットが取りにくくなっており、一般抽選発売は尽く外れファンクラブ枠の1回のみ。今回座席は1階席の前方下手側で通路脇の席のためステージが良く見え、山の神も満足の様。 ステージ上は欧州風の街中の広場のセッテイングで、レストラン、バー等の建物に、曲に合わせ照明やプロジェクションマッピングで星空や雪が映し出される。レーザー光や派手なCGはなく、落ち着いて音楽を楽しめる。 今回の曲は前半は先日11年ぶりに発売された新譜「Softly」からの選曲が多く、後半はポピュラーな曲を一人弾き語り、多重録音アカペラ、提供曲等バラエティ豊かに演奏。最初のMCで「暗い世の中なので今回のツアーは明る目の曲を選曲」とコメントがあり、「The War Song」等社会性の強い曲は無かったが、曲の途中で「反戦歌」の別の曲の歌詞を入れるなど、社会への一言は忘れない所はいつも通り。(ツアーの途中なので、曲目等これ以上は記載せず) 今更ながら驚いたのは、コード付きマイクを持ってステージの端から端へ移動しながら歌うので、ケーブルさばきのスタッフまでいたこと。今時ギター含めワイヤレスを使うのが普通で、最近のステージでは見られなくなった光景。これもライブの音への拘りでしょう。 MCで客席に向かって「初めてコンサートに来た人は」と挙手させたが、3割程度おられ達郎本人も驚き、感激していた。 バックの演奏はいつもの固定メンバーなので、演奏に安定感あり。照明、音響も問題なし。 長いアンコールの後いつものように、観客席を見回し達郎が退場。時計を見ると21時半を過ぎており3時間の長丁場があっという間に過ぎてしまった。 来年古希と言っていたが、後半に行く程、声の調子が上がり、最後まで歌い切った所はさすが。 来年も全国ツアーを行い、ライブ・アルバム「JOY2」も出すとのことで、気長に待つことに。End
2022.10.14
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鑑賞日:2022年10月9日(日)13:30開演入場料:4,000円(C席 3階11列)【主催】神奈川県民ホール(指定管理者:(財)神奈川芸術文化財団)神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズVol.1オペラ「浜辺のアインシュタイン」フィリップス・グラス作曲ロバート・ウィルソン初演演出全4幕(歌詞:原語、台詞:日本語上演)会場:神奈川県民ホール 大ホール原作音 楽 :フィリップス・グラス台 詞 :クリストファー・ノウルズ、サミュエル・ジョンソン、ルシンダ・チャイルズ翻 訳 :鴻巣友季子 スタッフ演出・振付:平原慎太郎指揮 :キハラ良尚演出補 :桐山知也空間デザイン:木津潤平衣 裳 :ミラ・エック(Mylla Ek)照 明 :櫛田晃代音響デザイナー:佐藤日出夫映 像 :栗山聡之ヘアスタイリスト:芝田貴之メイク :谷口ユリエプロダクション・マネージャー:横沢紅太郎舞台監督 :藤田有紀彦 山口英峰音響アソシエート・デザイナー:西田祐子衣装補助 :柿野彩電子オルガンアドバイザー:有馬純寿演出助手 :日置浩輔振付助手 :田﨑真菜コレペティトゥア:石野真穂 矢田信子副指揮 :森田真喜ステージマネージャー:根本孝史ライブラリアン:塚本由香出演メッセンジャー:松雪泰子トラベラー :田中要次プライド :中村祥子ヴァイオリン :辻󠄀彩奈電子オルガン :中野翔太、高橋ドレミフルート:(マグナムトリオ)多久潤一朗、神田勇哉、梶原一紘バスクラリネット:亀居優斗サクソフォン :本堂誠、西村魁合 唱 :東京混声合唱団ダンサー:Rion Watley、青柳潤、池上たっくん、市場俊生、大西彩瑛、 大森弥子、倉元奎哉、小松睦、佐藤琢哉、東海林靖志、 杉森仁胡、鈴木夢生、シュミッツ茂仁香、城俊彦、高岡沙綾、 高橋真帆、田中真夏、鳥羽絢美、浜田純平、林田海里、 町田妙子、村井玲美、山本悠貴、渡辺はるか感想 毎年行われる神奈川県民ホール主催のオペラが今年はミニマム音楽の作曲家フィリップス・グラスの「浜辺のアインシュタイン」を上演するとのことで、CSでごった返す横浜スタジアム周辺を抜けて、山下公園沿いの神奈川県民ホールへ出掛けた。 フィリップス・グラスと言えばメトロポリタン歌劇場のライブビューイングでオペラ「アクナーテン」が公開されたミニマル音楽の巨匠。本作品は4幕設定だが、今回2部構成で1,2幕と3、4幕は連続で演奏されその間に休憩が入いる。当初5時間予定と書かれていたが、一部繰り返しを省略し、休憩入れ4時間になっていた。 客席に着くと幕は上がっており、舞台上には上下一杯に階段が置かれ、数段毎に2~3m程の踊り場が設けられている。舞台前には上下に黒い張り出し舞台があり、挟まれる所に楽器、合唱が並ぶ。開演5分前に着席したが、すでに電子オルガンの低音の繰り返しが演奏され、舞台上にはダンサー2人が居てモップと台車で清掃中の状況。 開演時間となり客席暗転で指揮者登場。指揮者の前に液晶モニターが置かれ、そこに「#1」と表示され曲が進むとNoが増え♭が付いたりする。鏡の演出で同じNoが写っており、舞台上にもモニターが設置されていることが分かった。通常のオペラなら音楽を聞いて舞台の出入り、演技の入等が分かるが、ミニマム音楽は繰り返しばかりなので聞き分けることは困難で、予め音楽にNoを振って演奏者、演技者へ表示しているのでしょう。 舞台上は20人を超えるダンサーが、演技を行う。音楽に合わせて上手から下手、下手から上手へ踊りながら通り抜けたり、複数の集団を作りダンスを行う。1部では少女、少年と両親の家族が観ている情景があり、2部最後は、大友克洋氏作画のポスターの様に少年がヴァイオリンを持って舞台中央に後ろ向きに立ち、その後ろから少女が観ている情景で幕(暗転)。 メッセンジャー役の松雪泰子は黒の衣装で裁判官として舞台に登場し、大きな動きはなく、台詞を喋りながら稼働式のテーブルを押し舞台を左右に動く。トラベラー役の田中要次朗は大きなトランクを持ち帽子を被った旅行者の姿で舞台前下手の張り出し舞台の上ベンチに座り、時に立ち上がって語る。前半音響の関係で田中要次朗の台詞が聞き取りにくかった。 演奏は主に電子オルガン中心で、曲によって、他の楽器、混声合唱16人が加わる。合唱は一人ひとりマイクが設けられ、「ドレミ・・・」や「1,2,3・・・」や単語を歌い、通常オペラのようなアリアや歌詞は全くない。途中合唱のみのアカペラ部分ではエコーも加えられていた。2部後半にヴォカリーズがあり、下手張り出しの舞台上でソプラノ1人で歌われた。プログラムに個人プロフィール紹介は無かったが素晴らしい歌声だった。 ヴァイオリンの辻󠄀彩奈は1部では上手張り出し舞台でシルバーの衣装で演奏、2部では赤い鮮やかな衣装で舞台上でダンサーに囲まれて演奏。 ミニマム音楽なので繰り返しが重なるが、その中にも変拍子が入ったり、転調したりと変化があり、また電子オルガンはシンセサイザーの音も加わり、プログレッシブ・ロックにも聞こえ、眠る事なく最後まで楽しむことが出来た。本作品は1976年初演なので、プログレッシブ・ロックとの関係も頷ける。 題名の「浜辺のアインシュタイン」の意味は、原子爆弾にも関連した天才物理学者との関係らしい。1976年と言えばようやくベトナム戦争が終わり、東西冷戦時代に突入し、より核兵器が身近になっていた時代。現在ウクライナ侵略戦争で再び核兵器が身近になっている。残念ながらその意味合いを直接感じることは出来なかったが、ダンス、朗読、音楽の融合で楽しめれば良いかなと。 観客席は1階左右は空席多く、中央はほぼ満席、3階席はC席部分は満席で全体としては6~7割程度か。また通常のオペラと異なり、年配者は少なく、若者、女性が多く観られた。 神奈川県民ホールは、一柳慧氏が理事、芸術総監督を長らく務められ、他の地方ホールはもちろん、東京でも観られないような独自の音楽公演を主催されて来たが、先日逝去されたとのことで誠に残念。 本日のプログラムと同封のチラシにサルヴァトーレ・シャリーノ作曲「ローエングリン」の現代オペラ公演を2024年度開催とのこと。 ぜひ、ホール独自のオペラ公演を続けて頂くことに期待。End
2022.10.09
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鑑賞日:2022年10月2日(日)14:00開演入場料:4,950円(D席 3階L列)【主催】(財)新国立劇場新国立劇場2022/2032シーズンオペラ『ジュリオ・チェーザレ』ヘンデル作曲全3幕(イタリア語上演/日本語及び英語字幕付)会場:新国立劇場オペラパレススタッフ指 揮 :リナルド・アレッサンドリーニ演出・衣裳:ロラン・ペリー美 術 :シャンタル・トマ照 明 :ジョエル・アダムドラマトゥルク:アガテ・メリナン演出補 :ローリー・フェルドマン舞台監督 :髙橋尚史合唱指揮 :冨平恭平合 唱 :新国立劇場合唱団管弦楽 :東京フィルハーモニー交響楽団通奏低音 :チェンバロ)桒形亜樹子 チェロ)懸田貴嗣 テオルボ)上田朝子、瀧井レオナルド出演ジュリオ・チェーザレ:マリアンネ・ベアーテ・キーランドクーリオ :駒田敏章コルネーリア:加納悦子セスト :金子美香クレオパトラ:森谷真理トロメーオ :藤木大地アキッラ :ヴィタリ・ユシュマノフニレーノ :村松稔之感想 2020年4月当時チケットを取り楽しみにしていた本公演、リハーサル直前まで行って新型コロナ感染の影響で中止となったバロック・オペラ「ジュリオ・チェーザレ」の公演があるとのことで、夏日の中、初台まで出掛けた。 客席は1階前2列の空席を除き満席。オケピットにはチェンバロ、テオルボ、リコーダ等のバロック楽器が入っている。 暗転、指揮者が楽譜を持って登場。指揮者のリナルド・アレッサンドリーニはコンチェルト・イタリアーノの主催者でチェンバロ奏者でもあり、歌手が歌った後の間のとり方も絶妙で音楽をどんどん進めていく。弦楽は現代楽器をピリオド奏法。3幕冒頭のホルンが危なそうだったが、大きな事故もなく、演奏されていた。 今回の演出はロラン・ペリーの2011年パリオペラ座初演のもので、現代の博物館の倉庫が舞台。博物館の職員達により大きな彫像が運びこまれ、動かされる中で歌手が登場し当時の衣装でアリアを歌う。大きなエジプト彫像が本物の様に見え、その彫像に絡んで歌うのでエジプトが思い浮かべて来て違和感なく聞こえる。博物館職員は衣装を変えずに、場面に合わせ宮廷の家来や兵士を演じる。 2幕では大きな絵画が運び込まれ、クレオパトラがその風景画の前でポーズを取る、更に額縁が前にずれて、額縁と絵画の間に入るので、そのまま絵画の中に描かれている様に見せる。 更に絵画の後ろから華やかなドレスを着た女性のバンダが登場し、バロック楽器を使って演奏をすると、中世宮廷の広間で演奏を聞いている気分にさせる。 2幕でオケピット内の人数が少々減ったと思っていたら、そのまま衣装に着替えてバンダで舞台に登場されたようで、皆さんお美しいのに驚かされた。 博物館の演出はユーモアが散りばめられており、1幕では机上の頭部の彫像の口が合唱に合わせて動いて歌っている様に見せる。ポンペーオの首が大きな頭部の彫像が木枠に吊るされ、その周囲でコルネーリアとセストが泣き悲しみ復讐を誓うアリアを歌う。 2幕の絵画の中にヘンデルの肖像画があったり、3幕クレオパトラ軍とトロメーオ軍との戦いは椅子に座った、クレオパトラとトロメーオを博物館職員が騎馬戦のように担ぎ、左右に動くことで戦闘を表す。トロメーオがセストに刺される場面ではあっけなく倒れ、更にフィナーレで全員で歌うところでは、運搬台車に載せられたトロメーオの死体も歌っていた。 場面転換も歌手がアリアを繰り返している最中に彫像や絵画を動かし、歌い終わったら直ぐに次の場面へ。METライブビューイングで本オペラを観たが、その際は舞台を2,3箇所に分けて、歌手が次々と移動することで場面転換を行い大変そうで、今回の演出の巧さを感じた。 同じ博物館設定で意味不明の演出だった先日の某オペラとは大きな違い。 歌手は皆さん良く歌えていた。タイトルロール役のマリアンネ・ベアーテ・キーランドは、本来カストラート設定のため、1幕は音域低く聞こえづらかったが、2幕、3幕と進む程に良くなり、繰り返しの装飾技巧は素晴らしかった。また精悍な顔つきとスタイルでシーザー役に合っていた。クレオパトラ役の森谷真理は、顔立ち、スタイルがぴったり。METでもナタリー・デセイが演じており、やはり美人でないと。歌の方は、繰り返し部分で一部ベルカントの様に歌い上げてバロック的でなかったが、装飾部分なので良いのでしょう。一番良かったのはトロメーオ役の藤木大地で、素晴らしい歌声。やはり音域的にカウンターテナーが合う。同じくカウンタテナーのニレーノ役の村松稔之も良かった。 バロックオペラは歌手がレチタティーヴォの後にダ・カーポ・アリアを歌い、繰り返しが多く、時間も長い(今回休憩入れ約4時間半)ので退屈になりそうだが、演出が工夫され最後まで楽しんで聞くことが出来た。 月末には神奈川県立音楽堂でファビオ・ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテで「シッラ」日本初演を聞く予定で今から楽しみに。End
2022.10.02
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