歴史上の人物のお墓が、お参りもなく荒れ果てた姿でいるのはさみしいですよね。
広大だとはいえ、やはりきちんと手入れして欲しいものです。
私も体の調子が良くなったらお墓参り行かなくちゃ。。

お義父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
奥様もうらんかんろさんも、お疲れなど出されませんように… (2005/12/01 11:10:00 PM)

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2005/12/01
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 今年もあと、1カ月を残すばかりになった。行く年を振り返り、来る年を思うにはまだ早いかもしれないけれど、先週末、再び出張で上京した際、帰途につく前、僕は、大都会のど真ん中にある墓地を訪れた。青山霊園

 東京にお住まいの方はよくご存じの「青山霊園(墓地)」(港区= 写真左 )。都営で、明治7年の開設。霊園には約12万人余の人が埋葬され、明治維新以降の歴史上の有名人も数多く眠る。だから、以前からずっと機会があれば一度訪ねてみたかった場所。

 地下鉄銀座線・外苑前駅で降り、南へ歩いて5分ほど。そこには、都心とは思えない静かで落ち着いた、広大な空間が広がっていた。霊園事務所でもらったパンフレットによれば、面積は約26万平方m。ということは、甲子園球場(約3万9600平方m)の約6.6個分の広さということになる。青山霊園内のイチョウ並木

 僕のブログの友人の 久里風さん によれば、ここは都心の桜や紅葉の名所なのだという。そんなことはまったく知らない僕は、盛りは過ぎたけれどなお美しい紅葉の空間に、感心することしきり。でも、霊園周辺のイチョウ並木( 写真右 )は、まさに黄色く色づき、例えようもなく美しかった。

 さて、霊園事務所作成の「霊園案内」なるパンフレットだが、これが不親切極まりない地図。区画(例えば「イー7」とか)は記してあるのだけれど、僕が訪れたい著名人の墓がどこにあるのかはまったく記されていない。大久保利通の墓

 もちろん墓地内でも、「**さんの墓はこちら」なんて案内はほとんどない。見て回った限りでは、乃木希典墓所、緒方家(洪庵?)墓所という石碑くらいしか見かけなかった(この点は戦国の有名な武将の墓が数多くある和歌山の高野山・奥の院の方が、案内表示は親切だったような記憶がある)( 写真左

 事前にインターネットでだいたいの場所は確認してきたつもりだったが、実際に来てみると、広大な墓地のなかで、探すのは至難の技。あちこち、うろうろと迷いながら散策していると、運がいいことに、墓地回りをしているタウンウォーキングらしきグループを発見。少し離れてその後に付いて歩くと、何人かの有名人の墓地まで、たどり着くことができた。志賀直哉の墓

 実際はもっとたくさんの有名人が眠っているのだろうけれど、僕が見て回れたのは、大久保利通、乃木希典、志賀直哉( 写真右 =他の志賀家の人たちとともに眠る。中央が直哉の墓)、吉田茂( 写真左下 )、犬養毅、市川団十郎、尾崎紅葉、忠犬ハチ公…。ほかにも沢山の明治、大正、昭和の文人、軍人、名優らが眠っているらしいが、たどり着くには時間が足りなかった。

 霊園はあくまで亡き人の魂が眠る場所であり、役所としては、「散策や観光の場所ではない」という立場であるのはよくわかる。でも、歴史的な有名人であっても、その墓地のなかには、おそらくは長い歳月のなかで血族も減って、今では誰も訪れた形跡のないような、荒れ果てた墓もあった。そんな光景を見るのは、あまりにも悲しい。吉田茂の墓

 都は、この地で霊園を維持管理している以上、やはり、有名人の墓がどこにあるかくらいの案内パンフレットは常備しておいてほしい。せめて、もはや身寄りの少ない歴史的人物の墓の整備(掃除)くらいはしてあげてほしい。そんな願いを抱くのは、僕だけだろうか…。

 青山霊園のもう一つの特色は、明治以降の日本の発展に尽くした外国人が数多く眠る「外人墓地」なる区画があること。ここには、明治学院や青山学院、それになんと関西学院(大学)の創設につくした教育者たち、さらに明治政府のために貢献したお雇い外国人たちがたくさん眠っている。忠犬ハチ公の墓

 墓石は外国風の独特の形で、この一角だけは、霊園内でも個性的な雰囲気を漂わせている。そんななかに僕が思わず注目したのは、イタリア人のお雇い外国人技術者(絵師)だった「エドアルド・キヨッソーネ」(Edoardo Chiossone、1833~1898)という人の墓( 写真右 =あの有名な忠犬ハチ公も、ご主人の上野英三郎博士と仲良く眠っています)。

 皆さんもたぶん、教科書で一度は見たことのある幕末や明治の元勲(政治家)たちの肖像画。その多くはキョッソーネが描いている。有名な西郷隆盛像も彼の筆。後に、明治政府が発行した数多くの紙幣の肖像画の原板も、ほとんどがキヨッソーネの作である(大学生になるまで、実は「清曽根さん」という日本人と信じ込んでいた僕(恥))。青山霊園内の外国人墓地

 「日本の紙幣の父」とも呼ばれるキヨッソーネは、そんなプロフィールもあって、僕の記憶に残るお雇い外国人の1人。あの明治の時代に、異国で最期を終えるっていうことは、本人はどんな気持ちだったのだろう…( 写真左

 さて、ひとしきり墓地の散策をした僕は、なだらかな坂を下って、地下鉄・乃木坂駅をめざした(途中有名な「青山葬儀所」の側を通り過ぎる)。そして再び、車の行き交う東京の街の現実に引き戻された。

 最後に一つ、私事になるけれど、11月に連れ合いの父が亡くなり、来年の年始の挨拶は喪中につき欠礼です。普段年賀状のやりとりをしている方には、もうお知らせしましたが、この場を借りて、ブログ仲間の皆さんにも「喪中欠礼」のご挨拶を…。

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Last updated  2005/12/01 08:17:36 AM
コメント(12) | コメントを書く


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Re:大都会の東京のど真ん中に…/12月1日(木)(12/01)  
おはようございます。
青山霊園には著名人がたくさんいるんですね。うらんかんろさんのいうように観光地ではないけど
誰もおまいりに来ることもなく忘れられて淋しいままよりもフラッと散歩にこられる方がお参りしてくれることだってあるから 地図があればみんな生きたいと思いますよね。大阪だと四天王寺・一心寺さんはたくさんの方がふだんからお参りにこられてるのでいいところだなぁと思います。
青山の墓地には夏目漱石のお墓もあったと思うンで空けど違ったかな・・・・・地図を作るとしたら、それぞれの歴史をさかのぼってまた見聞も広がりそうで
けっこういいことかもしれないなぁぁ・・・・


うらんかんろさんのところもおふたりともお疲れの出ないようお過ごしください。
お義父さんのご冥福お祈り申し上げます。合掌。 (2005/12/01 08:37:57 AM)

Re:大都会の東京のど真ん中に…/12月1日(木)(12/01)  
久里風  さん
ちょっとの散策でもここまで見聞されるとは、さすがですね。
私が時々、タウンウォーキングで散策するコースガイドには、
著名人のお墓の位置が印されていることがあり、難なく訪れることができました。
でも著名人もたくさんいらっしゃるので、どなたのところに伺ったのか忘れてしまいます。
外国人のお墓も見てまわりましたが、それがキヨッソーネのお墓か覚えていません。
うらんかんろさんのように知識があれば、注意して見ることができましたが、残念(~~;
文中、私のプログ紹介有難うございました。 (2005/12/01 10:20:42 AM)

Re:大都会の東京のど真ん中に…/12月1日(木)(12/01)  
ステラビア  さん
東京には、こうやって散策をしようと思うと、たくさんの歴史的スポットがあるのですね。うらんかんろさんにはいろいろ気づかされます。見習わなくては。

確か2年前、青山墓地が40年以上ぶりの分譲公募してました。何戸だったかな? お値段は一千万円以上!! でも「歴史的著名人と同じ敷地に眠りたい」や「都内はお参りに行きやすい」など、購入を考えている方にとっては価値のあるものだったようですよ。
(2005/12/01 11:45:58 AM)

私もこの10月に通りました。  
トラ松 さん
うらんかんろさん、私も今年10月上京した再にタクシーで通ったところです。 ここが東京?と思ってしまう風景ですよね。(車の量だけは東京。)

さて、週末に四国遠征の話が飛び込んできました。四国レポート楽しみにしています。 (2005/12/01 05:24:17 PM)

Re:大都会の東京のど真ん中に…/12月1日(木)(12/01)  
ayakh  さん

まつもとちあきさんへ  
 ちあきさん、おはようございます。

>青山霊園には著名人がたくさんいるんですね。観光地ではないけど、誰もお参りに来ることもなく忘れられて淋しいままよりも、フラッと散歩にこられる方がお参りしてくれることだってあるから、地図があればみんな行きたいと思いますよね。

 同感ですよね。この青山墓地は歴史上の著名人が多く眠る特別な存在ですから、
血縁がなくても、「お参りしたい」という人はたくさんいるはずです。

>大阪だと四天王寺・一心寺さんはたくさんの方がふだんからお参りにこられてるのでいいところだなぁと思います。

 四天王寺の一心寺さんですかー? 僕は知らないお寺ですね。
四天王寺の系列なんですよね。一度訪ねてみようと思います。

>青山の墓地には夏目漱石のお墓もあったと思うんですけど違ったかな・・・・・

 漱石の墓は、残念ながら青山墓地にはありません。同じ都内ですが、
豊島区雑司ケ谷の雑司ケ谷霊園内にあります(そう言う僕もまだ訪ねたことはありませんが…)。

>うらんかんろさんのところも、お二人ともお疲れの出ないようお過ごしください。お義父さんのご冥福お祈り申し上げます。合掌。

 丁重なご挨拶有難うございまーす。12月25日で一応、「四十九日の喪」は明けますが…。
(2005/12/02 08:30:13 AM)

久里風さんへ  
 久里風さん、こんにちはー。

>ちょっとの散策でもここまで見聞されるとは、さすがですね。私が時々、タウンウォーキングで散策するコースガイドには、著名人のお墓の位置が印されていることがあり、難なく訪れることができました。

 せっかくの出張ですから、いつも1分でも時間を惜しんで、
あちこち出かけています。自分でも、貧乏性だなぁ…と思います。

>でも著名人もたくさんいらっしゃるので、どなたのところに伺ったのか忘れてしまいます。外国人のお墓も見てまわりましたが、それがキヨッソーネのお墓か覚えていません。知識があれば、注意して見ることができましたが、残念(~~;

 キッソーネの墓には、たぶん旧大蔵省印刷局が設置した説明板が立っていますので、
外国人墓地のエリアのなかでもわりと目立つ存在です。見つけやすいですから、
次回のウォーキングの際には、ぜひお立ち寄りください。

>文中、私のプログ紹介有難うございました。

 こちらこそー。以前に、久里風さんが僕のブログを紹介してくださった御礼が、ようやくできました(笑)
(2005/12/02 08:36:23 AM)

ステラビアさんへ  
 ステラビアさん、こんばんはー。

>東京には、こうやって散策をしようと思うと、たくさんの歴史的スポットがあるのですね。うらんかんろさんにはいろいろ気づかされます。見習わなくては。

 関西人の僕には、首都圏にはまだまだ知らないところがいっぱいあって、
出張の際、短い時間でも訪れることができるのがとても楽しみです。
(もちろん夜のBAR巡りも、もっと楽しいですが…(笑))。
いい散策スポットがあれば、ぜひ教えてくださーい。

>確か2年前、青山墓地が40年以上ぶりの分譲公募してました。何戸だったかな? お値段は一千万円以上!! でも「歴史的著名人と同じ敷地に眠りたい」や「都内はお参りに行きやすい」など、購入を考えている方にとっては価値のあるものだったようですよ。

 ひえーっ! 1千万円以上!!ですって?! そんな大金を出すなら、
BAR開店の資金にしたーい。美味しいウイスキーをいっぱい飲みたーい(^_^;)
(2005/12/02 08:42:10 AM)

トラ松さんへ  
 トラ松さん、こんばんはー。

>うらんかんろさん、私も今年10月上京した際にタクシーで通ったところです。 ここが東京?と思ってしまう風景ですよね。(車の量だけは東京。)

 墓地の中央を南北に貫く一方通行の車道があるんですが、都心の隠れた抜け道らしく、
タクシーや営業車が結構頻繁にスピードを出して通っていくので、少々恐かったです。
荘厳な墓地の雰囲気が台無しだから、昼間は車両通行止めにすべきですね。

>さて、週末に四国遠征の話が飛び込んできました。四国レポート楽しみにしています。

 はーい、週末の土日、久々に徳島遠征です。旧友のほか、
ブログ仲間にも会えるので楽しみでーす。新潟もいつか行きたいなぁー。 (2005/12/02 12:30:28 PM)

ayakhさんへ  
 ayakhさん、こんにちはー。

>歴史上の人物のお墓が、お参りもなく荒れ果てた姿でいるのはさみしいですよね。広大だとはいえ、やはりきちんと手入れして欲しいものです。私も体の調子が良くなったらお墓参り行かなくちゃ。。

 我々のような歴史に名が残らない市井の人間はどうでもいいのですが、
やはり歴史上の人物の墓というのは文化遺産だと思うのです。だから東京都も、
もっと大切に管理してほしいと思います。

>お義父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。奥様もうらんかんろさんも、お疲れなど出されませんように…

 ご丁寧にお見舞い有難うございます。もうすぐ亡くなって1月です。
生き残っている人間は、ただ前を向いて、しっかり歩むしかありませんね。
(2005/12/02 12:34:51 PM)

Re:大都会の東京のど真ん中に…/12月1日(木)(12/01)  
こんばんわ。平野区の瓜破霊園は市営なので一般の永代供養の土地と違って
お墓参りに来ないでそのままのお墓は3年経つと市が
撤去(って言い方おかしいですが^^;)して、お骨は納骨堂におさめます。そして、また次の人に貸してあげてるそうです。
なので永代借地養みたいなもんです。
1千万払って青山もいいけど、誰も来なくなると
市営のように借地も悪くないかなって思いました^^;
ではまた。 (2005/12/03 12:25:46 AM)

まつもとちあきさんへ  
 ちあきさん、こんばんはー。

 「永代借地墓」っていうのもいいですね。僕も死後は、そんな風なやり方もいいかななんて思います。子々孫々にまで、ずっと面倒はかけたくないですから…。
(2005/12/05 12:12:15 AM)

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