Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2018/03/31
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 79.セックス・オン・ザ・ビーチ(Sex On The Beach)

【現代の標準的なレシピ】
 日本国内&米国東海岸=ウオッカ(20)、ミドリ・リキュール(20)、クレーム・ド・フランボアーズ<ラズベリー・リキュール>(10)、パイナップル・ジュース(80)、氷
 米国西海岸= ウオッカ(30)、ピーチ・シュナップス<ピーチ・リキュール>(30)、クランベリー・ジュース(40)、オレンジ・ジュース(40)、パイナップル・ジュース(40)、氷
【スタイル】 ビルド(またはシェイク) ※タンブラー、コリンズ・グラスなど背の高いグラスを使い、ロング・スタイルで味わう。

 少し過激な、エロチックな名前でとても有名なカクテルです。1988年、トム・クルーズ主演で公開された映画「カクテル(Cocktail)」(日本では1989年公開)のために考案されたと紹介されることも多いのですが、米国内のバーでは、この映画以前に誕生していたようです(ちなみにこのカクテルは映画版のみで、原作の小説版<1984年出版>には登場しません)。

 カクテル研究家・石垣憲一氏の著書「カクテル ホントのうんちく話」(柴田書店、2008年刊)での記述や、海外のカクテル専門サイトの情報によれば、米国内では70年代後半には登場していたことは間違いないようです。専門サイトでは「1987年にフロリダ州で誕生した」という説も紹介されていますが、詳しい誕生の経緯や命名の由来について確実な説は伝わっていません。

 もちろん、このカクテルが世界的にブレイクするきっかけとなったのは映画「カクテル」であることに間違いありません。誕生のきっかけについて、欧米のネット情報では、オランダのリキュール・メーカー、デカイパー(De Kuyper)社とミドリ・リキュール(1978年発売)の製造元であるサントリー社が、リキュールの販売促進のために協力して考案したと紹介している専門サイトもありました(https://winedharma.com/en/dharmag/january-2016/sex-beach-cocktail-recipe-ingredients-and-history-most-famous-american-drink)。

 なおレシピは、冒頭に掲げたように米国内では「東海岸バージョン」「西海岸バージョン」という2つのレシピが存在します。現代では、米国のカクテルブックで見る限りは、西海岸バージョンが優勢のようです。

 知名度はそこそこある「Sex On The Beach」ですが、70~80年代のカクテルブックで収録している本は、現時点で調べた限りで国内外を問わず、なぜか見当たりません。前述したように欧米のカクテルブックでは、意外にも収録例は少なく、現時点では確認できた限りでは、1995年に出版された「New York Bartender's Guide」(Sally Ann Berk著)が初出です。

 レシピは「ウオッカ2オンス、ピーチ・シュナップス( 【注1】ご参照 )1.5オンス、クランベリー・ジュース3オンス、パイナップル・ジュース3オンス、マラスキーノ・チェリー=飾り」となっていて、ニューヨークなのに、なぜか西海岸バージョンを採用しています(70~80年代のカクテルブックでの掲載例をご存知の方は、ぜひ筆者までご教示ください)
【注1】 「ピーチ・シュナップス」とは、デカイパー社のピーチ・リキュール「ピーチ・トゥリー・シュナップス(Peach Tree Schnapps)」のこと。米国内ではピーチ・リキュールのことをしばしばピーチ・シュナップスと言う。

 ご参考までに、90年代以降で「Sex On The Beach」を収録しているカクテルブックでのレシピを(確認できた6冊限りですが)紹介しておきましょう。1冊を除き、すべて西海岸バージョンです。

・「Classic Bar & Cocktail」(Jonathan Goodall著、1998年刊)
 ウオッカ30ml、ピーチ・シュナップス30ml、オレンジ・ジュース50ml、クランベリー・ジュース50ml、マラスキーノ・チェリー&オレンジ・スライス=飾り

・「The Craft Of The Cocktails」(Dale DeGroff著、2002年刊)、
 ウオッカ1.5オンス、ピーチ・シュナップス2分の1オンス、シャンボール( 【注2】ご参照 )4分の1オンス、クランベリー・ジュース2オンス、パイナップル・ジュース2オンス
【注2】 シャンボール<Chambord>: ブラックベリーとラズベリーに厳選されたハーブ&スパイス、コニャックを加えたプレミアム・リキュール。

・「Ccoktails in New York」(Anthony Giglio著、2004年刊)
 ウオッカ2オンス、ミドリ・リキュール3オンス、シャンボール1オンス、パイナップル・ジュース1オンス

・「The Book of Cocktails」(Salamander Books編、2006年刊)
 ウオッカ2オンス、ピーチ・シュナップス1.5オンス、クランベリー・ジュース2オンス、オレンジ・ジュース2オンス、パイナップル・ジュース2オンス

・「Complete World Bartender Guide」(Bob Sennett編、2007年刊)
 ウオッカ1.5オンス、ピーチ・シュナップス1.5オンス、クランベリー・ジュース3オンス、パイナップル・ジュース3オンス、マラスキーノ・チェリー=飾り

・「The Classic Cocktail Bible」(Hachette UK Co.編、2012年刊)
 ウオッカ1オンス、ピーチ・シュナップス1オンス、クランベリー・ジュース1オンス、オレンジ・ジュース1オンス、※パイナップル・ジュース1オンス=お好みで

 日本のバーで知られるようになったのは、当然、映画「カクテル」公開後ですが、映画自体の評価がイマイチだったこともあって、日本国内では大きな流行とはなりませんでした。しかし、その強烈な印象を与える名前のおかげで、現代に至るも国内のバーでもかなり認知されているカクテルの一つとなっています。

【確認できる日本初出資料】 「カクテルズ」(福西英三著、1994年刊)。そのレシピは「ウオッカ15ml、ミドリ・リキュール20ml、クレーム・ド・フランボワーズ10ml、パイナップル・ジュース80ml(ビルド)」となっていて、東海岸バージョンです。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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