ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Apr 10, 2010
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テーマ: 映画鑑賞(900)
カテゴリ: 映画、テレビ
「突撃、隣の晩ごはん」★★★★☆

 先月のアカデミー賞ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞した衝撃の問題作を鑑賞した。
 なんとニッポンが舞台。和歌山県太地町のイルカ漁をとことん批判しちゃってる作品。

the cove.jpg日本では今夏公開予定  http://thecove-2010.com/

 白人目線で「日本人は野蛮っ!」とか目の前で言われるとやっぱムカつく。でも、困ったことにこの映画、とぉーってもよくできてる。客観的には満点五つ星をあげてもいいけど、非国民!と後ろ指差されるのも怖いし?、科学的根拠の提示が不十分とも思えたので、四つ星にとどめておこうかと。


<内容>

 一応「取材」を試みてはみるものの県や町の協力がなかなか得られない取材班は、入り江のあちこちに隠しカメラや水中マイクを設置し、禁断のイルカ追い込み漁(=虐殺 slaughterと表現)を極秘に撮影する。イルカの悲痛な鳴き声や、血で真っ赤に染まる入り江の様子などを紹介する。

■ イルカを殺すなんていけないと思います!ってゆう人の言いぶん
 1.イルカちゃんはやっぱ可愛いし、人懐っこいし、頭がいいから

 3.イルカ肉には水銀が多く含まれるので(水俣病並みに有害)、人が食べるべきじゃないから

■ イルカを殺すのは悪いことなんかじゃない!ってゆう人の言いぶん
 1.牛や豚を食べるのと同じで、イルカを食べるのは日本の食文化だから
 2.イルカ漁は昔から400年続いている日本の伝統だから
 3.イルカは海のなかのいろんな魚を食べ尽くしてしまって本来の漁業に差し支えるから


<感想>

 いろんな人が言いたいことを感情的に語りまくってて観てて疲れてきたので、上記のように自分なりに冷静に整理してみた。

 「優れたドキュメンタリー」というものの定義は自分でもわからないけれども、この映画が好例かと思う。つまり、違法まがいのことをして強引に撮影、一般人の知らない真実を多少脚色・演出して紹介、一部の視聴者を不快にさせ、物議を醸すほどに衝撃的。
 それぐらい強気の映画づくりをしないとこの慌しい現代社会では観てもらえないのが実情。

 いずれにせよ、せっかくの力作なのに、あと一歩。
 もっと突っ込んで欲しかったのにあんまり掘り下げられてなかった論点を以下に挙げる。(自分で調べろって?)
    1. イルカ(やクジラ)の肉はほんとに美味で栄養があって無毒で、日本の食文化と誇るに値すべきものなのか。一般の日本人が頻繁に食べてるものなのか。他の魚や肉に比べて値段は?
    2. イルカ漁をしている(イルカを食べる)国は日本だけなのか。
    3. 一時間ぐらいかけてイルカを苦しめながら手作業で殺すより、高性能の機械で一瞬で殺してあげるほうがイルカのため、という理屈は正しいか。
    4. イルカは頭が良く、調教すれば曲芸を覚えてくれるため、世界ぢゅうの水族館の人気者。それは動物虐待なのかどうか。需要があるゆえ、和歌山で捕獲されたイルカは各地に高額で輸出されていくが、イルカ一頭15万ドルという相場はほかの水族館展示用動物に比べてどのぐらい高いのか。
     隠し撮りに使う最新機器がまずすごいし、音楽や映像もスパイ映画並みにかっこよい。イルカ好きのプロのサーファーやダイバーが惜しみなく協力してる。かなり金かけて製作されてるし、編集もお見事。


     アメリカ人様、白人様から日本人をコ馬鹿にする差別発言を浴びせられるのは日常的に慣れてる僕でさえ、感情に走らず最後まで客観的に観るのは難しかった。
     けれど、いろいろと考えさせられたし、観て良かったと思う。やっぱりドキュメンタリーはよい。そのまま鵜呑みにするのではなく、ちょっと「斜めから目線」で鑑賞するのがコツか。





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    最終更新日  Apr 11, 2010 11:07:37 AM
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    Re:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    こういうのって、難しいですよね
    文化なのか、伝統なのか、なんなのかって。
    動物愛護か虐待かって掘り下げたら難しい気もします。
    競馬も乗馬も、あれは虐待?愛護??難しくないですか??考えたらぐるぐるしてしまいます。

    でも(笑)ピカルディーさんのタイトル・・いつも、なぜか懐かしさが・・☆☆☆~
    (Apr 11, 2010 04:42:50 PM)

    Re:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    LimeGreen  さん
    ドキュメンタリーは、そうですね、つねに疑問を投げかけながら見るのがいいですよね。

    言いたいことは全部箇条書きで言われているので(笑)、付け加えることはなにもないです。

    あ、ひとつだけ。
    「可愛いから殺してはいけない」となると、「それでは鹿を殺す文化は間違っていないのか」ということになりますよね。そういう言い分の人に「なぜイルカなのか?」と問いただしたくなります(よその国の文化に反対運動する前に自分の国でなんとかしなさいと)。

    この前オルカがトレイナーを殺した事故がありましたが、イルカもオルカも立派な肉食獣だということを、人間は時々忘れていると思います。友人はフロリダの海でイルカに手を噛まれて縫うほどの大怪我していますしね。

    とにかく、この映画はきちんとしたドキュメンタリーなのでしょうね。そうじゃなかったらこんなに話題になったりもしないでしょうし、そういう意味ではクリエイターに尊敬は払いますね。
    (Apr 11, 2010 06:50:59 PM)

    Re[1]:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    ♪音楽教室日記さん

    >文化なのか、伝統なのか、なんなのかって。

    この映画の最大の論点はそこです。
    非日本人が観たら、日本人は(サケやマグロの感覚で)イルカを日常的に食べている文化/伝統がある、と思わせてるあたりは突っ込みどころです。

    >競馬も乗馬も、あれは虐待?愛護??

    う、鋭いご指摘……。頭のいい動物は損してるのかもしれません。

    >でも(笑)ピカルディーさんのタイトル・・いつも、なぜか懐かしさが・・

    ほんとは「なごり雪」というタイトルで書き始めたのですが、やっぱり変えました。←また昭和歌謡ネタかいな
    (Apr 11, 2010 08:36:00 PM)

    Re[1]:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    LimeGreenさん

    >ドキュメンタリーは、そうですね、つねに疑問を投げかけながら見るのがいいですよね。

    日本のテレビ番組でも、優れたドキュメンタリー映像を流すことがありますが、スタジオの司会者とかゲストが似たような同意コメントしかしなかったり、感動的な場面で美人女子アナが涙ぐんじゃったりして、せっかくの取材内容が薄っぺらに感じることがあります。
    視聴者に考える機会を与えないってゆうか。

    >「可愛いから殺してはいけない」となると、「それでは鹿を殺す文化は間違っていないのか」ということになりますよね。

    あ、ぼくの周りにけっこういます、ディアハンターズ。殺した鹿を2000ドルぐらいかけて剥製にしてもらって、居間に飾りまくってて、それは圧巻です!

    >イルカもオルカも立派な肉食獣だということを、人間は時々忘れていると思います。友人はフロリダの海でイルカに手を噛まれて縫うほどの大怪我していますしね。

    つい先日、フィリピン方面を旅してる友人から、「Whalesharkと一緒に泳いだ。生きてて良かったぁ」とのメールをもらいました。Whalesharkとは何なのかよく知りませんが、危険じゃないんでしょうかね。

    この映画でちょっと興味を持ったので、イルカ、クジラ、シャチ、アザラシ、サメなどのことをちょっと調べてみようかなと思ってます(たぶんそのうち)。海の生き物で食物連鎖の頂点にいるのは誰なのかとか。

    >この映画はきちんとしたドキュメンタリーなのでしょうね。そうじゃなかったらこんなに話題になったりもしないでしょうし、そういう意味ではクリエイターに尊敬は払いますね。

    007とか「ミッションインポッシブル」のようなスパイもの娯楽映画みたいな感じでお気軽に鑑賞することも可能かと思います。
    いずれにせよ、ぼくも製作者側には敬意を抱いてます。

    (Apr 11, 2010 08:36:47 PM)

    Re:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    カバシマ さん
    私は観てませんけど。この映画の件で変と思うのは価値感が一方的である事。そして隠し取り等報道の手段が一方的である事。例えば捕鯨等は一部先住民族には認められていると思います。その捕鯨、解体作業をこっそり撮って沢山の人に興味本位に訴える様なものだと思います。何故なら太市の人々は同様現地人で、長い文化の上行っているからです。変だと思ったら最初に議論ありきで、一方的価値観で、人の国に土足で上がって盗聴するなと言い度い。より国際的になって、価値感が強いものに引きずられてしまいがちです。日本人(政府)は他国にロジカルに論破する能力と場、習慣が必要だと思います。○×諸島(領有権)、外地で死刑された日本人(凶悪な外人には何も出来ず)政府と乖離する国民感情。。。。。人事と思ってませんか?何故太市の人は政府に訴えないのでしょうか?何故政府は見過ごすのでしょうか?上映抗議位して欲しい!☆読売の記事(柳下さんJ.G.バラードについて)現代人はメディアとテクノロジィの中が自然。メディアに毒され、性と愛はテクノロジィに歪められている。今世紀のポストヒューマニズムの世界に愛の余地がなく、刹那的快楽と感動だけである。人々は刺激を求め、快楽をエスカレートさせてゆく。☆正にコーブは刺激的で、人々への理解と愛が足りない。☆クラシック音楽は人間らしさを取り戻さしてくれる。 (Apr 12, 2010 12:46:33 PM)

    Re[1]:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    カバシマさん

    >私は観てませんけど。この映画の件で変と思うのは価値感が一方的である事。そして隠し取り等報道の手段が一方的である事。

    ご興味のある内容であれば、メディアの報道とか拙ブログなどに惑わされず、是非ご自分でご覧になって判断なさることをおすすめします。

    彼らは一応正当な取材を試みてはいるのです。
    太地町が取材を拒否したり、もたもたしているうちにこうゆう事態になってしまった。「イルカを殺すのは我が町の誇る文化です。日本古来の漁法です。是非とも撮影して世界に紹介していただきたい」と、豪勢なイルカ料理でも振る舞いながら、胸を張って開き直ればよかったのに、やっぱり後ろめたさや隠したいことがあったんでしょうか。

    >日本人(政府)は他国にロジカルに論破する能力と場、習慣が必要だと思います。

    ちなみに、このDVDは特典映像も面白かったです。
    本編でも触れられてますが、日本側が撮影不可の理由を論理的に説明できずにいるので、ついに隠し撮りに踏み切るしかなかったというくだり、視聴者はどちらの肩を持つか、でしょうかね。
    隠し撮りって、(道徳的にはともかく)法律的にはどうなんでしょう。

    この作品を観た非日本人の99%は、まんまと製作者側に同意すると思います。つまるところ、こうゆう映画って、作ったもん勝ちなんです。
    (Apr 12, 2010 07:22:00 PM)

    ザ・コーヴ  
    カバシマ さん
    そうなんですね、日本ってぐずぐずしてのパターンが多く歯がゆいです。例えGDP二流国になろうが、資源小国でも、政府に賢人(真の哲学者)みたいな人が居て、対外的にスパット論破してくれる人がいたらいゝな。イルカさんでも、さんまさんでも、いわしさんでも言い始めたら皆可哀相。昔の日本人は可哀相で牛、豚さんを食べなかったのに、肉食系の価値感を受け入れたら、(本マグロを始めとして)不自由になってきて、本末転倒の文化になった気がします。
    ☆(道徳的にはともかく)法律的にはどうなんでしょう。>>訴えたら、法律的に問題ある気がします。プライバシー侵害、名誉侵害、民族的価値否定等々・・・。只政府始め当事者の、(否定、抗議しない事)は認めた事になると言う事実に対し、認識が甘い気がします。方や、アカデミー賞迄とらせてしまって。☆気がつくと我々は西洋文化の恩恵を受け過ぎましたね?マーラーみたいに、(李白とか)大地の歌を書いた人がいるのに。おもしろい人ですね? (Apr 12, 2010 08:37:30 PM)

    どうもです。  
    魔神8888  さん
    この映画、やっぱり注目しますよね。
    正直この問題は、難しいですよね。
    残虐といえば残虐だし、別に食べてもといえば食べてもとはありますけど。
    でも個人的には、少々やりすぎ感がありますよ。一部映像で見ましたけど、追いこみ漁ですよね、あれな見ていて卑劣に感じました、水族館で働く人はショックでしょうね。
    クジラやイルカを食べてはいけないというわけではありませんけど、ショーとかで可愛く演じたり、セラピーとして役立ったりとそのような面を見ることが多いので、やっぱりね・・。

    逆に、イルカを日本人が伝統として食べている地域があったことに驚きました。 (Apr 14, 2010 10:22:31 AM)

    Re[1]:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    カバシマさん

    >イルカさんでも、さんまさんでも、いわしさんでも言い始めたら皆可哀相。

    水族館で調教されて芸をするイルカも、結局は過労ですぐに死んでしまうみたいですね。
    食べられたり過労死したり、どちらにせよかわいそうな運命。ま、この映画では後者については深くは触れてませんでしたが……。

    >政府始め当事者の、(否定、抗議しない事)は認めた事になると言う事実に対し、認識が甘い気がします。方や、アカデミー賞迄とらせてしまって。

    ほんと、この映画はそのへんが一番目からウロコです。否定もせず抗議もせずウダウダしてるうちに変な形で世界の脚光を浴びることになっちゃった。

    -----

    魔神8888さん

    >残虐といえば残虐だし、別に食べてもといえば食べてもとはありますけど。

    ぼくはイルカ料理を知らないので、もし食べてみてほんとにおいしいのであれば(牛や豚のノリで)どんどん殺してもらって食べてみたい気もします。それほどの味ぢゃなかったり、高価だったりするのであれば要らないので、海で自由に泳がしてあげたい。

    我々人間は、そうやって勝手に食べ物を選んできたわけですしね。

    そーいえば、こないだなんかの雑誌で、中国では犬猫を食べることを法律で禁じよう、だかという動きがあるという記事を読んだような気もします。

    >逆に、イルカを日本人が伝統として食べている地域があったことに驚きました。

    この製作者曰く、イルカを食べる地域があることを大半の日本人が知らないのは、日本政府が何かを隠してるから(=イルカは実は水銀の含有量が高く有害)、という推測をしてました。
    このへん、もうちょっと真偽のほどを突っ込んでいただきたかった。

    なかなか見ごたえのあるドキュメンタリーでした。
    もしご覧になる機会があれば、感情的にならずに冷静に鑑賞なさってみてくださいね。

    (Apr 14, 2010 11:14:49 AM)

    Re:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    カバシマ さん
    ピカルディの三度THさん、魔神8888さん
    一部映像で見ましたけど、追いこみ漁ですよね、あれな見ていて卑劣に感じました>> 日本人が見ても特別なんだ。やはり、観てから議論ですね。
    佐村河内守 大曲の交響曲1番! 興味津々。
    3度さん
    3度さんのサイトで何時も書き始めると止まらなく済みません。これでも遠慮していて。3度さんの観察、話題が多方面に渡っていらしゃるからおもしろ過ぎて、つい。。。。 (Apr 14, 2010 11:18:09 AM)

    Re[2]:ピカルディの三度THさん  
    LimeGreen  さん
    Whalesharkとはジンベイザメのことです。あれとマンタレイは「生きててよかった」レベルの感動ものだということですよね。
    (Apr 15, 2010 10:58:51 AM)

    Re[1]:映画: ザ・コーヴ The Cove(2009年アメリカ)(04/10)  
    カバシマさん

    >日本人が見ても特別なんだ。やはり、観てから議論ですね。

    日本側にも取材側にも突っ込みどころ満載の映画ですので、そうゆう意味で必見です(笑)。
    そう言えば、去年のドキュメンタリー部門のオスカー受賞作「マン・オン・ワイヤー」も、同様に罪を犯してまで(不法侵入)撮影されてて物議を醸したことを思い出しました。なぜか「ザ・コーブ」ほどには批判されてはいませんでしたが。

    >3度さんのサイトで何時も書き始めると止まらなく済みません。これでも遠慮していて。

    おぉっ、遠慮なさらないでください!

    -----

    LimeGreenさん

    >Whalesharkとはジンベイザメのことです。

    ということは、サメの一種なんですね、クジラの一種ではなく。怖そうです!

    >あれとマンタレイは「生きててよかった」レベルの感動ものだということですよね。

    ぼくは海は眺めるのは好きですが、潜ろうとはあまり思いません。閉所恐怖症なんで。(かつ深所、高所恐怖症でもある)
    マンタレイとかと一緒に泳いだりすると「生きててよかった」になるんでしょうかね。

    (Apr 16, 2010 07:58:28 AM)

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