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2005.08.19

横浜大空襲

(3)

カテゴリ：戦中・戦後

私の家は横浜だった。　勤労動員先の海軍航空技術廠のある追浜までは毎日現在の京浜急行（当時は 湘南電鉄 と言っていたと思う）で通っていた。

定期代は国から出ていたのか、自己負担だったのか覚えていない。

追浜までの途中の富岡と金沢文庫の中間に「 日本兵器 」という軍需工場があって、そこへ行く乗客がものすごい人数、そこでその会社のまん前に駅が作られた。

その駅は「日本兵器前」という名前で戦後「 谷津坂 」という駅名に変わる。そこまでは毎日ギュウギュウ詰め、チビだった私は圧死するのではないかと何回も思ったことがある。

戦後「日兵」は「日本平和産業(株）」略称「日平

現在「谷津坂」駅は場所が金沢文庫寄りに移動し「 能見台 」というしゃれた駅名に変わっている。

多分昭和２０年５月２９日だったと思う。職場で 横浜が空襲されている という情報が入った。横浜方面の者は早く帰れと職場の責任者永山工長（よく覚えていた！）から命令される。

追浜からも横浜方面に黒い煙が立っているのが見えた 。しかし、湘南電鉄は動いていない。徒歩で横浜に向かう。実はその前の冬大雪があってその時も歩いて帰ったので道は分かっている。

現在の１６号線を横浜に向かってひた走りに急いだ。杉田、磯子、中村橋と来て自宅のある蒔田に向かう。もう中村町からは焼け野原だった。 夕方だったがまだぼうぼうと燃えていた。

火のない道の端をこわごわ通り我が家に向かう。

あった。焼けずに残っていた。

直ぐ下の５０メートルまでは焼け野原、細い道路をへだてた我が家側は焼けずに残っていた。

良かった、嬉しかった。

一人残っていた母の話では、 急に風向きが変わって こちらに向かっていた火の勢いが衰え、 類焼をまぬかれたとのことだった。

運が良かった。

途中焼け爛れた死体を何体も見たそうだ。

岩山君はその後どうしたのか、いつの間にかいなくなってしまった。

このあと、 横浜の中心部は焼けたトタンを繋ぎ合わせたバラックが焼け野原に立ち並ぶことになる。

この情景は戦後数年間は続いた。

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Last updated 2005.08.19 11:44:56
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■コメント

Re:横浜大空襲(08/19)

ポテチさん

近隣の住人です。驚きました。
貴重なお話、ありがとうございました。 (2025.06.11 01:13:11)

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Re:横浜大空襲(08/19)

Mitch29

ポテチさんへ
戦争中の、昔の話を読んで頂いて有難うございます。
近隣の方ということで、蒔田を前提にお話ししたいと思います。

今はもう蒔田で有名な象山（ぞうやま）が削られ蒔田団地が出来て、当時とは全く違う風景になってしまいました。
その蒔田団地の入り口のところから宮元町3丁目（地下鉄の蒔田駅）へ行く細い道があります（蒔田団地からは右側が永井さん（薬局）、左側が長谷川さん（とび職）だったところ）。
その道を境に岡村方向は焼け残りました。
その道は貴重な防火線の役割をしてくれたのですね。
天国と地獄の境のように思います。

当時、象山に登るとあちらこちらに米軍が投下した不発弾（8角形の焼夷弾）が突き刺さっていましたよ。

今、世界のあちこちで戦争が起こっていますが、本当に嫌ですね。
罪もない人たちが犠牲を強いられて本当に気の毒です。
早く平和になってもらいたいですね。

私も勤労動員から解除され、自宅のラジオで「警戒警報解除」の放送を聞いたとき、「あぁ、戦争は終わったんだ」と本当にほっとしたのを今でも覚えています。 (2025.06.30 13:54:52)

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Re[1]:横浜大空襲(08/19)

ポテチさん

Mitch29さんへ
わざわざコメントありがとうございました。
「近隣」とは能見台の近隣という意味で書きました。
勘違いさせてしまい失礼しました。。。 (2025.07.15 22:39:18)

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