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さあて、泣いても笑っても今日が一年納めの大晦日。2024年も今日でおしまい。 今年は私にとって、どんな一年だったか。例によってカウントダウン方式で振り返ってみましょう。第10位:マンションの理事やら何やらになる 15年ぶりくらいにマンションの理事になり、地元のお祭りだとかウォークラリーだとかの準備・運営などに携わることに。次に順番が回ってくるのが15年後だとすると、もう後期高齢者だなあ・・・。その他、大学でも講座代表にされたり、学会でも編集委員にされたり、何かとお役目が回ってきて、忙しい年となりました。第9位:10年ぶりに全身麻酔で歯科治療をする 嘔吐反射の強いワタクシの場合、歯科治療も全身麻酔になるので、大変よ。第8位:初めてWRCのラリー・ジャパンを観戦する 道場の兄弟弟子のO先生からチケットをいただいて、生まれて初めて本物のラリーを直に見たのは、今年のいい思い出になりました。やっぱり、本物は迫力が違う!第7位:コロナに罹る ここまでずっと避けてきたのに、ついに人並みに罹りましたよ、コロナちゃんに。予想以上にきつくて、今年の9月は、まるまる一か月、調子を落としてしまった。第6位:クルマを買う 私のクルマではなく、家内のクルマ、すなわちセカンドカーなんですが、スズキ・スイフトを購入。ACCなど、最新の安全装備を体験して、感動することしきり。第5位:初めてハワイに行く 子供の頃からの憧れであったハワイに初めて行きました。仕事がらみとはいえ、満喫しましたわ。第4位:初めてYouTube 番組に出演する 某YouTube 番組に呼ばれ、社会学者の宮台真司さん、ラッパーのダースレイダーさん、それにライターのジョー横溝さんととトークを繰り広げたのは最高に面白い体験でした。第3位:初めてNHKラジオに出演する これまた初めて渋谷のNHKスタジオに入り、ラジオブースでアナウンサーの田中逸人さんとトークをしたんですけど、これも面白い体験でしたねえ・・・。第2位:本を出し、やたらに取材される そして第2位は、やはり今年も本を出すことができたこと。しかも、今回は割と評判がよくて、ラジオや YouTube に出演させてもらいましたし、取材を受けることも多かった。中日新聞、文芸春秋、読売クオータリー、日本経済新聞から取材されましたからね。その他、色々な出版社から出版企画のご提案をいただき、この先当分、仕事にあぶれることもなさそう。ありがたい限りでございます。第1位:母が亡くなる とまあ、楽しい事の多い一年だったのですが、今年最大の出来事は、悲しいものでした。母とのお別れ。母の最期の瞬間に立ち会えたことは良かったですが、自分を生み、育ててくれた人の最期を看取るというのは、本当に悲しいことでした。この先、死ぬまであの瞬間のことは忘れないだろうな。 ということで、いいこともあり、悲しいこともあった一年でしたけれども、少なくとも仕事面ではプラスになることが多かったのは事実。この勢いを来年につなげていくべく、これからも頑張ります。 本ブログの読者の皆さんにとっては、2024年はどのような年でしたでしょうか。来年もまた、読者の皆さんにだけ特別にいいことが起こりますよう祈念しつつ、今年のこのブログを終わりたいと思います。皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。そして来年もどうぞご贔屓に。
December 31, 2024
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今日は師走の晦日。毎年この日は、私が黒豆を煮始める日。今日・明日と二日かけて煮るのよ。今年は「飛切」の黒豆を買ったので、多分、すごい出来の黒豆に仕上がることでありましょう。 それはさておき。 我が家が取っている某新聞に料理研究家の平野レミさんがご自身の半生記を綴っていらっしゃって、毎日、楽しみに拝読しているんですけれども、今日の分も面白かった。 それによると、レミさんが和田誠さんと結婚された時、レミさんのお父さんの平野威馬雄さんが、お二人に色紙を送ったと。それも仰々しくではなく、「はいよ」って感じで手渡しされて。 で、そこに書いてあったのが次の言葉だったと。 風つよければ 神さまは 靴のかかとに 棲み給う で、レミさんが「これどういう意味?」と尋ねたら、威馬雄さん曰く、これは詩だから、読む人が勝手に解釈すればいいので、好きに読めと。 ま、要するに人生の試練があったとしても、そういう時には神様が傍にいて、吹き飛ばされないように助けてくれるだろうっていうことですよね。 いい詩じゃない? 特に新婚の夫婦の門出に送るには。さすが、威馬雄さんは詩人だからね。 ちなみに、威馬雄さんが亡くなられた時、レミさんはこの言葉を、横浜・外人墓地にある威馬雄さんのお墓に刻んだんですって。なるほどね。 それにしても、何度も読み返してみて、これ、自己啓発思想の名言と言ってもいいなと。今、そういう、自己啓発思想の名言を集めた本を作ろうかなと思っているので、これもその中に入れちゃおうかしら。 ということで、一年納の晦日に、いい言葉をもらったワタクシなのであります。この言葉を胸に、来年も頑張ろうかな。
December 30, 2024
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ゼミ生からの卒論草稿を待っているんだけど、全然届かないので、自宅から持ってきた常盤新平の『銀座旅日記』を全部読んじゃった。 これ、2003年から2006年までの3年半、雑誌『ダカーポ』に連載されていた日記風エッセイをまとめたもの。『銀座旅日記』とはあるけれども、あまり銀座とは関係はありません。 でも、これを書いていた頃の常盤さんは70代後半なので、気力・体力が衰えてきたという実感を綴られているところ(特に終わりの方)が結構ある。晩年には、初期とはいえ、胃がんにも罹られたようですしね。あと、友人・知人・教え子が亡くなったという話もちらほら。まあ、それが老人の日記風エッセイというものでありましょう。 それでも、短期間とはいえ、シチリアを再訪問されたり、行動的といえば行動的。よく出かけているし、これでもかというほど人に会っている。やたらに外食するし。そこは大したもの。 私の仕事上の心覚えとしては、若い頃から犯罪実話が好きで、英語力は『ニューヨーカー』の犯罪実録もので培った(133)とか、アーウィン・ショーは女好きだった(178)とか、常盤さんの前妻の名前が平岡牧子、娘の名がもも子(結婚して堀内姓)、牧子の親友が渥美町子という名前である(209)とか、そういうのが分かって面白かった。 それにしても、あんな非道な別れ方をしたのに、離婚後、前妻や娘としばしば会って、互いの無事を確認していたというのは、ちょっと驚きですけどね。 あと、常盤さんは坪内祐三さんと親しかったようで、若い坪内さんのことを「颯爽としている、天才だ」と、随分褒め称えているのも面白かった。最初に会った頃はそこまでとは思っていなかったようですが、その後、坪内さんが頭角を現してからは、その活躍ぶりに驚嘆していたらしい。 というわけで、この日記風エッセイ、そこそこ面白かったけれども、もう、この方面のエッセイ集は満腹しちゃった。そろそろ卒業ということで。これこれ! ↓【中古】 銀座旅日記 / 常盤 新平 / 筑摩書房 [文庫]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】
December 29, 2024
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本日、日経新聞の読書欄の年末を飾る「今年の3冊」という企画で、評論家の速水健朗先生が拙著を推薦してくださいました~! ありがたや~。そのせいで、アマゾンのランキングも爆上がりよ。どこぞの学会のアホとは異なり、速水先生は分かっていらっしゃる~。 それはさておき。 今年もいよいよ押し詰まってきたということで、今日は年末年始を過ごすために実家に帰省しました。 土曜日だし、高速道路が混むのかなと思いきや、全然空いてましたね。昔は、それなりに渋滞したような気がしたけど、最近はそうでもないのかな。 とはいえ、10月に母が亡くなって、もう正月に実家に戻っても親がいないんだよなあ・・・。親がいない実家に帰るって、寂しいもんですなあ。 今年は喪に服す意味もあって、表立ってお正月の準備をするということはないんだけど、一応、黒豆だけは煮ようかなと。私が煮る黒豆は、父も母も好きだったし。供養にもなるかなと。 でも、まあ、仕事場のある名古屋から300キロ離れると、精神的にはリラックスできる。 あと少し、卒論指導が残っているけど、後はノンビリ、黒豆を煮つつ、次の本の執筆準備でもしながら、年末年始を過ごす予定。 ということで、明日からはしばらく東の方からのお気楽日記、どうぞご贔屓に。
December 28, 2024
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ありがたいことに、出版後10か月ほど経った今なお、拙著に対して好意的な反応を毎日のようにいただきます。 先日、「ページをめくる指が止まらなかった」と書いてくれたファンレターを受け取ったという話を書きましたが、最近のネット上の書き込みでも「内容もおもしろかったんだけど、そもそも自己啓発本の歴史を研究しようという着眼点がこの著者の先生は素晴らしいなと思った。こういうのが真に価値ある研究という感じがする」などと、著者を泣かせるようなことを書いてくれる人もいる。 また、これもつい昨日今日のことですが、『理念と経営』というビジネス誌の編集長さんが、同誌のウェブ版で拙著を取り上げ、長い書評を書いてくださいました。これもいい書評でね! 書評をしてくれた方はネット上でも拙著のことを「今年読んだ本のベスト10の一つ」とも書いてくれて。これこれ! ↓『理念と経営』WEB記事 そう言えば昨日も一つ、嬉しい読者からのメールをいただきましたよ。 この方は偶然拙著を読んで大いに楽しんだそうなのですが、たまたまこの本の中に登場する私の友人を知っていて、ビックリしたと。つまり、私とこの方には共通に友人がいたんですな。ま、そんな読者からのお便りも楽しいものでありまして。 ところが・・・。 私の所属する某アメリカ文学会が、拙著を書評してくれることになったんですけど、実際に書かれたその書評を読んでビックリよ。 まあ、些末なことをあげつらった世にもつまらない書評でね。しかもその批判している部分が、まったく見当はずれなことばっかりで、本質的なところを全然見ていない。ええ? この本読んで、こんなことしか書けないの?っていう・・・。本当にガッカリですわ。 アメリカ文学者の本をアメリカ文学者が書評して、こんなクソみたいなものしか書けないとは・・・。呆れ果てるとは、まさにこのこと。 まあ、ワタクシは「怒らずの誓い」を立てているから、この人(私もよく知る人)に腹を立てたりはしませんが、そのあまりの〇能ぶりには驚くしかない。センスがないんだよね・・・。それでいて、自分の批判に酔っているところがミエミエで、見苦しいの一語。 研究者ってのは、本当に頭が悪いんだね。少しは世間を見渡してみなよ。市井の読者の方がよほど、本の価値というものがわかっていますよ。 ほんと、同業者というものがいかにつまらないものか、身に染みましたわ。
December 27, 2024
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今日は仕事納めの日。年内の授業は今日でおしまい。ようやく冬休みに入ります。もっとも、メールでの卒論指導はまだまだ続きますけどね。 しかし、時代は変わったなあと思うのは、大学での同僚のこと。 私が助手だった頃、いやいや教授になってからも、年末の仕事納めの日に家に帰る時には、一応、年上の順に先輩教授の研究室に顔を出して、「本年も色々ありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします。良いお年を」と挨拶して回ったもんですわ。 今、そういうのまったくないもんね。仁義も廃れ果てたもんですわ。 ま、それはともかく、今日はね、大学と道場で一つずついいことがありました。 いいことと言っても、ワタクシにとっていいことではないのですが、たまたま今、私は大学で同僚の昇任人事に関わっていましてね。その最後の会議が今日開かれ、無事、その同僚が教授に上がれることになったというわけ。親しい後輩同僚なので、良かったかなと。 で、その後、道場でひと汗かいてきたのですけど、今日は道場の方でも昇段審査がありまして。 で、稽古仲間のお一人が初段に上がられて、黒帯を腰に巻くことができるようになったと。 一日のうちに2件の昇任・昇段に関わることなんて、なかなかないからね。 というわけで、今日は二人の知人がハッピーになったのを見届けることができ、他人事ながら、ちょっと嬉しかったのでした、とさ。今日も、いい日だ!
December 26, 2024
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ひゃー、クリスマスの今日、私が何をやっていたかと言いますと・・・歯医者さんに行ってきました。 と言っても、全身麻酔での歯科治療だからね。結構大変なのよ。治療する歯科の先生の他に、麻酔医をはじめ、脈拍チェックだ、血圧チェックだ、なんだかんだと5人くらいのスタッフがつきっきりだから。 私は眠っているから治療中は楽だけど、麻酔だからねえ。本当に起きるかどうかわからない。眠っている最中に医療ミスでもあったりしたら・・・。 ということで、毎回、目が覚めるまでドキドキしちゃうんだけど、今日も無事、生還して参りました。 ちなみに、待合室で常盤新平さんの『銀座旅日記』という本を読んでいたんですけど、これまた常盤さんの日常・・・と言っても、どこへ行ったとか、誰に会ったという話が中心だから、非常にアクティブな日常の描写なんだけど、そういうものだからそこそこ面白い。まあ、この人はよく出かけるし、よく人に会う人だねえ。 フリーの物書きだから、こういうことができるんだよね! 勤めがあったら、そんな、毎日、人になんか会えませんよ。もっとも、勤めがないから、こういう風に動き回ってないと死んじゃうんでしょうな。どっちがいいかって言ったら、ワタクシは勤めがある方がいいな! だから一面羨ましいけれど、基本的には羨ましくはないな。 でもまあ、とにかく、面白い本ですわ。そういえば、どこかで鴻巣友季子さんが褒めてたな。これこれ! ↓【中古】 銀座旅日記 / 常盤 新平 / 筑摩書房 [文庫]【宅配便出荷】
December 25, 2024
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今日は午前中からゼミ生の卒論草稿の添削をし、午後、家内とクリスマス・ケーキを買いに行き、家でコーヒーを淹れてケーキを食べ、その後、クリスマス・ディナーを私が作って家内と食べ、食後、旧友ご夫妻に電話してしばし歓談。そして、アメリカ人がクリスマスに必ず観ると言われているジミー・スチュアートとドナ・リード主演の『素晴らしき哉人生』を鑑賞したら(前から観たいと思っていて、ついに観た!)、この時間になりました。これこれ! ↓【送料無料・営業日15時までのご注文で当日出荷】(新品DVD)素晴らしき哉、人生! 名作洋画 主演:ジェームズ・スチュアート ドナ・リード 監督:フランク・キャプラ FRT-075 ドナ・リード、ちょっと垂れ目さんで良かった。初めて見る女優さんで、調べたら、高校の時に化学の先生に勧められ、デール・カーネギーの『人を動かす』を読んで感動し、その後の人生を頑張ったとのこと。私とは自己啓発仲間だったのでした。 というわけで、今日は私にはとてもいいクリスマス・イブでした。 皆さんも、それぞれ素晴らしいクリスマス・イブをお過ごしください。
December 25, 2024
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拙著を出した某出版社の編集担当の方から嬉しい便りをもらいました。 拙著を読んだ読者から、ファンレターが届いたと。で、そのファンレターを私に送ってくれたわけ。ひゃー、ワタクシなんかのところにも、ファンレターって来るんだ~! ナニナニ? 「ご著書を読んで、あまりにも面白くて、ページをめくる指が止まりませんでした。いい本を書いてくださって、ありがとうございました」ですと? マジか~! 嬉しいねえ。そう言ってくれる読者がいるとは。著者冥利に尽きるねえ・・・。ありがとうございます。これを励みに、さらに一層、頑張ります! 一方、今日はガッカリすることもありまして。 日本英文学会という、業界で一番大きい学会の今年度の紀要が届いたのよ。で、その中には、会員の著書についての書評が沢山載っている。 が! 例によって、拙著は書評されていないと・・・。書評する価値無しと、少なくとも学会は思っているわけだ。 ほう~! そうですか、そうですか。はいはい、分かりましたよ。そっちはそういう気なんだ。ふーん。 一般読者からのファンレターの一枚ももらったことのない本の方がよくて、ワタクシの本はダメだと、学会は思っているわけだ。 泣く。さめざめ。 嫌になるなあ。もう、学会、辞めようかな。会員がこれだけ面白い研究やっているのに、まるで興味を持ってくれないんだったら、入会している意味ないよね! マジで、学会とは、おさらばえ~!
December 23, 2024
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昨夜、拙著の初校の校正が終わり、今日の午前中、クロネコさんのところに持って行って、出版社に返送してきました。この先、再校チェックがありますが、校正作業で一番しんどいのは初校の校正だからね。それが終わったということは、稲作に譬えれば、はさ掛けまで終わったようなもんだから。 で、午後はゼミ生の卒論草稿の添削。今日の時点で6人中2人が第3章(=最終章)の添削まで終わったことになる。もう一人第3章を提出済みだし、さらに他の二人も第2章の添削までは終わっていて、もうじき第3章を提出してくるだろうから、こちらの仕事も、7割方片付いたという感じかな~。 この他、4月までに常盤新平論も書かなくてはならないし、来年度中にもう3冊分の本を書かなくてはならないけれども、それはまだちょっと先の話。目先の仕事だけに絞れば、大分楽になったという感覚がある。 目が回るほど忙しいと思っていても、一つずつ淡々と律儀にこなしていけば、いつかは楽になる時が来るのね。 というわけで、今、この瞬間は少し気が楽になっているんだけれども、実はまだ一つ、気がかりなことがある。 ゼミ生のうちの一人が、まだ1行も卒論草稿を提出してないの(爆!)。 稲川淳二さんじゃないけど、「こわいな、こわいな~」っていう感じ。 卒論の締め切りまであと3週間弱。もしこの時点で、そのゼミ生から「先生、まだ1行も書けていないんです」って言われたらどうしよう?! いや、言いそうな子なのよ! 冗談抜きで。 本当は、こちらから「どうなってんの?」ってメールすべきところなんだけど、「まだ1行も・・・」って返事が返ってくるのが怖くて出せないの。 ということで、色々片付いて楽にはなったものの、メガトン級の爆弾を抱えているワタクシ。これが爆発したら、ワシの楽しい年末・年始はふっ飛ぶな・・・。
December 22, 2024
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今週末中に終わらせなければならない拙著の校正作業をしているのですけど、まあ、これが難しくてね。 普段何気なく使っている言葉が、いざ校正の対象となると、非常に曖昧であったことが分かるのよ。まあ、ワタクシ自身が言葉を曖昧に使っていたのが悪いのですが・・・。 たとえば「小学校五年生」って、どう? 変だと思う? こんな簡単な言葉でも、「小学五年生」というのが正しいのではないか? などと考え始めると、どちらにすべきか迷うわけよ。まあ、「中学校三年生」とは言わないのだから、「小学五年生」が正しいのでしょうけれども。 あと、難しいのは漢数字で行くか、算用数字で行くかの判断ね。これが難しい。 たとえば先の例にしても、「小学五年生」がいいのか、それとも「小学5年生」がいいのか。 もちろん、本としては縦書きで書いてあるわけだし、日本語的には「小学五年生」とすべきだと思うのだけれども、実際にゲラで見ると、漢数字というのは他の漢字やひらがなに紛れてしまうのよ。数字として目に飛び込んでこない。逆に「小学5年生」と書いてあると、「5」という数字が際立つので、すごく見やすい。これは「第二次世界大戦」にするか、それとも「第2次世界大戦」にするか、という問題にもつながるんだけど、算用数字の方が数字が飛び出して来るでしょ? じゃあ、どっちがいいの? 日本語としての整合性を取るか、それとも見易さを取るか・・・。 悩みまくり。 っつーことで、本の内容とは直接関係のないことで、ウンウン唸っている今日のワタクシなのであります。
December 21, 2024
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12月の頭に受診した人間ドックの結果が届きました。 毎年、この結果を見るのが怖くてね! もしヤバイことが書いてあったらどうしよう・・・! が! 今年は、例年以上に結果が良くて、「A」判定のオンパレードでした~! やった~! たとえば肝機能の「GPT(ALT)」の値が昨年の33から19に下がって万々歳。「r-GPT」の値も、昨年の48から40にダウン。「A/G比」も昨年の2.14から1.88に下がりました。 脂質に関してもLDLコレステロール値が123から116にダウン。 あとヘリコバクターピロリ定量も、昨年の4から3にダウン。 要するに、すべての面で改善しているのよ! なぜでしょう? 分かりません。分かりませんが、実は今年一年、こころして緑茶を飲み続けたということはある。 ほれ、緑茶のカテキンって、身体に良いって言うじゃない? だから、この一年の間、食事の時に緑茶を飲むようにしたのよ。来る日も来る日も。 昨年と今年、生活習慣で変えたのはそこだけ。となると、やっぱり緑茶カテキンが効いたのかなと思うわけですよ。 まあ、本当のところは分からないけれども、これが効くんだと思いながら緑茶を飲み続け、実際に数値が良くなったのだから、大満足。よーし、今後も緑茶習慣を続けていくぞ~! だけど、前にも書いたように、血糖値高めというのは、昨年と比べて全然改善していなかった。となると、来年へ向けての努力目標は、血糖値を下げることに決まり! 既に、血糖値を下げる効果ありと言われている「イヌリン」を豊富に含む「菊芋茶」だの、「桑の葉茶」だのを飲み始めているんですけど、さて、来年の人間ドックはどうなるか。もう、今から楽しみでございます。
December 20, 2024
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読売新聞主筆、渡辺恒雄さんが亡くなられたとのこと。享年98! 大往生と言っていいのではないでしょうか。 大新聞社の主筆とワタクシごとき一介の研究者じゃ、接点なんかなさそうですけど、実は私は一度だけ、ナベツネさんにお会いしたことがあります。 あれは今を去ること11年半前。私が日本エッセイスト・クラブ賞というのをいただいた時のこと。その表彰式が日比谷のプレスクラブでありましてね。そこにナベツネさんも来られていた。多分、日本エッセイスト・クラブの後ろ盾が読売新聞社だったんじゃないでしょうかね。 で、私もナベツネさんにご挨拶くらいはしたのではなかったかと思いますが、私の記憶に強烈に残っているのはその後よ。 歩み去る私の背中ごしに、ナベツネさんが私の家内の方を見ながら「あの女は誰だ?」って言ったのよ。で、側近が「受賞者の奥さんです」と返事をしたら、ナベツネさんが「そうなのか? やけに若いな」と言った。その、なんか飲み屋のおっさんみたいな言いぶりがナベツネさんっぽいなと、今も私の耳に残っております。 まあ、ジャーナリストとしては、怪物みたいな人だったのでありましょう。それを評価すべきか否かは、私の判断できるところではありませんが、戦後日本を牛耳った怪物の一人として、また私の家内を「やけに若いな」と評したおっさんとして、追悼しておきましょう。合掌。
December 19, 2024
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常盤新平さんの書いた『罪人なる我等のために』という小説を読みましたので、心覚えをつけておきましょう。 常盤さんの小説って、結局、実際に起こったこと、ご自身が体験したことを書いているので、私小説と言うことになるのだと思うのですが、そう考えるとぞっとするようなことがこの小説には書いてあります。 私小説だから主人公は常盤さんご本人なんですけど、この私小説の特徴は、もう一人の主人公として「秋子」なる人物が登場すること。 この秋子さんは、常盤さんの最初の奥さんの中学時代からの親友。そのことは、この作品以前の常盤さんの自伝小説にも書いてある。だから、実在した人なのよ。 で、この秋子さんですが、彼女は医者と看護師の間に生まれた私生児で、養父母の元に引き取られ、中学・高校と青山学院に通い、高校卒業後、銀座のバーに勤めるようになった。で、幾つかの店で働いた後、40代も末になった頃、銀座についに自分の店「ファネリ」を持つも、ほどなく癌に倒れ亡くなってしまうんですな。 で、本作は、常盤さんが死んだ秋子のアパートを、遺品整理を兼ねて訪ねるシーンから始まります。秋子が生前、結婚まで考えた山形という名の元愛人と共に。で、物語はここから順不同で過去に遡り、常盤さんと秋子の間にあった不思議な関係が深堀りされていくと。 秋子という人は、几帳面なところがあるので、育ての親を大切にし、日曜日は必ず彼らと過ごすことにしていた。でも、やはり血のつながりがないということから、そこまでの情愛はなく、定期的に一緒に過ごしながらも気持ち的には敬して遠ざけているようなところがある。 そんな身寄りのない秋子にとって、親友の志づ子、そしてその夫となった常盤さんの二人が唯一の心の拠り所になっていたと。だから週末、店の勤務が終わると、常盤さんと志づ子の新婚家庭のアパートに転がり込んで、泊まっていく。で、常盤さんたちも、それを当たり前のように受け入れる。つまり、男一人、女二人の共同生活みたいになっていくんですな。といって、志づ子は面食いだし、常盤さんも秋子の男勝りのような性格に性的には惹かれないので、この三人の関係がおかしくなることはないわけ。 で、当時は常盤さんと志づ子の関係は新婚さんで安定しているのだけれども、秋子の方はそうはいかない。 秋子は、その孤児の生い立ちに由来するものか、father figure を求めるわけよ。要するに妻子持ちの年長のハンサムな男。勤め先のバーの客として知り合ううちに、秋子はそういう男の愛人みたいになってしまうわけ。秋子は、バーのホステスとしては理想的な魅力のある人物なので、客の方でもついその気になってしまうんでしょうな。 だけど、所詮相手は妻子持ち。どうにかなるなると甘い言葉でとりつくろっても、結局どうにもならない。で、最終的には秋子が身を引くみたいな形になるのだけれど、そうなるとまた次のいい男が現れて・・・ということが繰り返されるんです。そういう秋子の恋愛遍歴を、常盤さんや志づ子は、危なっかしいなあ、と思いつつも、見守ると。 ところが、そうこうしているうちに常盤さんと志づ子の関係がおかしくなってくるんです。 元々翻訳家志望、一時は出版社に勤務したものの、副業でやっていた翻訳の仕事が順調になってきて、それで会社を辞めて翻訳業に打ち込んでいた常盤さん。出版社勤務で定職ができた頃に志づ子と結婚し、その後、夢をかなえて翻訳家になったわけだから、人生順調じゃんと思いきや、ここで魔が差すんですな。翻訳家養成所みたいなところの講師を務めていた時の生徒さんだった文子という既婚女性と仲良くなっちゃって、子供までできてしまった。 で、生まれた子供も認知するのだけれども、常盤さんはそのことを志づ子には言わないの。で、そこから常盤さんは、本妻の志津子と娘のさわ子のいる東京の西の郊外にある家と、愛人の文子が住む千葉の方にある家とを往復しながら、二重生活をする。十年くらい。そのうち、愛人の方に二人目の娘まで生まれたりして。 最低だよね! もちろん、さすがにそのことを十年も隠し通せるはずもなく、志づ子はやがて真実を知る。そして、悪いことに、その頃志づ子は大きな病気(多分癌)にかかって手術と入院を繰り返す。 まあ、火宅の人になったわけですよ、常盤さんは。 で、この火宅の人になって、四面楚歌になった常盤さんの唯一の理解者になったがのが、誰あろう、秋子であったと。 秋子もすごいよね! だって親友の夫が、親友を裏切っている状況だよ。でも、常盤さんからそのことを(志づ子よりもはるかに前に)知らされた後も、常盤さんを見捨てることなく、常盤さんと志づ子、常盤さんと文子の間の緩衝材になり続ける。 ここが、この小説の一番不思議なところであり、また秋子という女性の特異な魅力なのよね。 ま、おそらく、秋子は自分自身だって愛人の奥さんを泣かせているという認識もあるのでしょう。だから、男と女の関係なんて、どうせそんなもんだと思っているところもある。当人同士は深刻でも、お空の上からみたら滑稽なものだと。 しかし、それ以上に、秋子にとって常盤・志づ子ペアというのは、どういう形であれ、拠り所なのであって、ここが崩壊することは、自分にとっても大打撃だったのでしょう。また、愛人の子供を産んだ文子に対しても、自分ができなかったことをやってのけたという点で、若干のリスペクトもある。 だから、秋子は、志づ子・常盤・文子の三角関係の緩衝材たることを続けるわけ。常盤さんからしたら、もう、天使だよね! だけど、その天使が、50歳手前で癌にかかり、無残、亡くなると。彼女が亡くなった頃には、常盤さんは志づ子と協議離婚し、文子と暮らしていたんですけどね。 で、秋子の葬儀が行われるんだけど、そこには常盤さんや志づ子だけでなく、彼女のかつての愛人たちも参列する。全員じゃないけどね。 葬儀に参列した男たちの誰もにとって、秋子は天使だったのよ。逆に言うと、そういう周囲の男たちによって、秋子は殺されたんだ、と言っても間違いではない。彼らの罪を全部引き受けて、秋子は死んだ。本作が『罪人なる我等のために』となっているのは、畢竟、そういう意味でありましょう。 とまあ、本作の内容はそういう感じなんですけど、この小説の何がいいって、やはり秋子という女性を導入したことでしょう。 常盤さんと志づ子、常盤さんと文子という、この三人の関係だけで私小説を書いたら、それこそ泥沼を描くことになる(実際、本作でも一部、そういう泥沼が顔を出すシーンもある)けれど、そこに第三極として秋子という魅力ある女性が登場することで、人間関係の複雑さが増し、小説の奥行が出たわけね。 別な見方をすると、常盤さんはずるいのよ。自分のやらかした泥沼を描いて私小説を書いているのに、そこに秋子という哀れな女を引き込み、読者の目をそっちに向けさせて、泥沼を中和しようとしているんだもの。罪深いわ。マジで罪人だわ。 だけど、まあ、私小説ってのは、元々罪深さの競争みたいなところがあるからね。 しかし、感心するのは、常盤さんの秋子の描き方で、実際に彼女のことをよく知っていた、お世話になっていた、ということを勘案したとしても、小説中のヒロインとしてちゃんと実物大の存在感がある。リアルなのよ。あ、ここに「夏服を着た女」がいた、っていう気になる。 常盤さんというタヌキ親父は、その見た目にもかかわらず、女性を描くのが上手いのかもね。 ということで、『遠いアメリカ』を試作品とするならば、本作『罪人なる我等のために』は、一人前の小説の顔をしていた、と判定していいのじゃないでしょうか。実際、この小説を読んでいると、私小説を読んでいるという感じがしないもんね。普通の小説を読んでいる気がする。別に私小説を小説の下に置いているわけじゃないけど・・・いや、ちょっと置いているか・・・私は体験談よりも想像力の産物をアートと見なすものでね。 常盤新平さんの『罪人なる我等のために』、教授のおすすめ!です。これこれ! ↓『中古』罪人なる我等のために
December 18, 2024
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仕事上の必要から、ある本を探しております。 探すったって、書店とか古本屋で探すのではなくて、自分の研究室の中をよ。研究室の、本の山の中のどこかにある本を探しているの。それがあるのは確実なんだけど、どこにあるかはわからないっていうね。 いやー。毎回、こんなことばっかりだよ! なにせ本棚に本が3重に押し込められているので、ちょっとやそっとじゃ探せないわけ。確かこの辺に・・・と見当をつけて探すのだけど、ありゃしないっていう。 だけど、こうやってアホみたいに本を探していると、別な本は見つかるんだよな~。 前回、やはり同じように研究室の中の本を探しまくって、結局見つけられずに終わった本を、今日、見つけてしまった。ここにあったのか! みたいな。 Aという本を探すと、Bという本が出て来る。でも、Aという本が必要だった時には見つからないという。 多分、今回も、見つからないんだろうな。で、次に別な本を探している時に、ひょっこり見つかるんだろうな。 ほんとに、持っている本を整然と一列に並べて置けるだけの、広―い書斎が欲しい! そういうのがあれば、どれだけ効率が上がることか。 科研費とかで、でかい書斎付きの家を新築できないかなあ。1億円くらいあれば何とかなると思うんだけど。申請してみようかなあ。申請理由:心地よく、効率よく、研究を遂行するための必要経費として、戸建て新築資金1億円を要求します。 無理か。
December 17, 2024
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最近、あちこちで日本の国力の低下というか、そういうのを実感することが多いのですけど、そんな中、厚労省あたりが「外国人労働者雇用の促進」みたいな策を打ち出しているのを見ると、なんか、違和感あるなと。 この前ハワイに行って、タクシーに乗ったら、タクシーの運転手さんが、「日本はともかく物価が安いから大好き。先日も一族郎党連れて、東京と大阪にそれぞれ1週間くらい旅行してきた」とか言っておりましたけど、これってひと昔前に日本人が東南アジアに観光に行く状況と似てない? だから、そのうち、バングラデシュとかラオスとかからの観光客が激増して、日本は安いからいいなあ、などと言われるようになるんじゃね。 で、そうなると、もう立場逆転、日本人がタイとかベトナムとかに出稼ぎに行って、向こうで3カ月くらい働いたら、日本に戻ってきて1年暮らせるとか、そんな感じになるのでは。 タイのバンコクなんて、既に東京よりも30年くらい進んでいると、ケンコバさんも言っているようだしね。 厚労省も今頃「外国人労働者雇用の促進」だなんて言っているけど、そのうち、日本に働きに来る外国人なんて一人もいなくなるのでは? 給料安すぎて、メリットない、とか言って。 そうならないように、公務員・サラリーマンの給料上げてよ! バブルよ、もう一度!!
December 16, 2024
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私の手相って、ちょっと変わっておりまして、よくある手相の模式図なんかが全然当てはまらないようなところがある。 で、これ、手相見の方に見てもらったらなんて言われるのだろうと前々から思っていたのよ。でも、今までそのチャンスがなかった。いや、あそこに手相見の人がいるなと思うことは多々ありましたが、いざとなると、お金を払ってまで見てもらうほどのものじゃないなと、つい思ってしまって。 ところが。 実は昨夜、八光流の道場の忘年会がありまして、たまたま私は道場師範のA先生の隣に座っていたわけ。 そしたらA先生が、「釈迦楽さん、ちょっと手相を見せてもらっていいですか?」と。 なんと、A先生はこのところ、何らかの必要に迫られてなのか、手相に凝っておられて、勉強されているんですと。 で、はばかりながら手のひらを差し出し、じっくり見ていただいた。すると・・・ とんでもなくいい手相らしいです、私の手相。ちょっと他にないほどに。系統でいうと、豊臣秀吉に近いのだとか。とにかく、天下取りの手相らしい。 え¨ーーーー、やっぱり?! いや、何となくそうなんじゃないかなと思っていたんですわ。変だもん、私の手相。普通じゃない。 でも、尋常じゃなく悪い、というのではなくて、尋常じゃなくいい方だったので、一安心。 っていうか、手相なんて私自身の努力の甲斐あって、というものではないけれども、いいと褒められれば嬉しいものでありまして。 ということで、昨夜は道場の門下生の皆さんと楽しい時間を過せたのみならず、先生に手相まで褒められて、なんかすごく得した気分になれたのでした。 この手相に恥じぬよう、頑張って天下取ろう。文学者として、ね!
December 15, 2024
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常盤新平さんの『ベストパートナー 「夫婦」という名の他人』という本を読了したので、心覚えをつけておきましょう。これこれ! ↓【中古】 ベストパートナー 「夫婦」という名の他人 / 常盤 新平 / 講談社 [単行本]【宅配便出荷】 まあ、一言で言って、ひどいね。読む価値無し。 常盤さんが直木賞を獲った小説『遠いアメリカ』を読んで、常盤さんは素敵な女性と出会ったんだなあと感心し、なのに一体なぜ、この人と離婚したんだろうと不思議に思っていたわけよ。そんな素敵な女性を悲しませて他の女と再婚するとはどういう心境だったのだろう? その辺の事情が書いてあるのかなと思って、この本を読んでみたのですけど、前の奥さんと別れた理由とか、別な女性と再婚した理由などは全然書いてない。 書いてあるのは、夫婦関係なんてものに幻想を抱いてはいけないよ、という話ばかり。で、その根拠となるのが、二番目の奥さんとの結婚生活なわけ。 で、実際、読んでいると、まあ、この再婚した奥さんというのがひどい人でね。まったく可愛げがない。そして常盤さんに対してまったく関心がないし、ひどいことばかり言う。毛ほどのデリカシーもない。 そういうひどい奥さんと暮らしていて、常盤さんは夫婦というのは所詮他人なんだから、妙な期待なんかしないで、なるべくことを荒立てないようにしながら、お互い慣れ合うしかないという悟りに至り、それを本書の中で読者に向かってアドバイスするんだけど、さすがにここまでひどい奥さんを例に挙げられてもねえ・・・。全然参考にならない。 もちろん、ここに描かれていることと、実際の奥さんがまったく同一とは限らないけれども、それにしても、なんであの素敵な奥さんを捨ててまで、この人と再婚しなくちゃいならなかったのか、さっぱり分かりませんわ。 だから、この本読んでいても、ちっとも楽しいことがない。マジで読む価値ないわ~。 師走のこのクソ忙しい時に、くだらないものを読んでしまった。とんだ時間つぶしでした。
December 14, 2024
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今日は朝から猛然とゼミ生の卒論添削。ゼミ生が出して来た卒論草稿を、添削する仕事。まあ、毎年この時期、これがメインの仕事になるわけ。 だけど、最近は添削していても嫌になる事ばっかりでさあ・・・。 添削していて、お、なかなかよく調べてあるな、なんて感心して、でもちょっとこの辺の事実関係がイマイチ分からないなと思って、自分でもちょっと調べようと思ってウィキペディアを見ると、ウィキペディアの記述がそっくりそのまま卒論に引用されていた、なんてことが発覚したりする。そんなことがしばしばある。 あれほど「盗作はするなよ、盗作したら一発で失格だよ」と口を酸っぱくして注意しておいたのに、これだよ・・・。無断引用だけは絶対にするなと何度も何度も何度も何度も何度も何度も注意したことを、平気でやるんだからなあ。卒論指導する意味がないじゃん。 溜息・・・。 で、そんなことが続いて、さすがに嫌になってきたので、今日は午後、家内と家の近くにあるカフェに行って、コーヒーとケーキを食べてきました。 行ったのは名東区にある「q.e.d.」という雑貨カフェなんだけど、ここはケーキも、それから料理も美味しくてね。今日食べたモンブランとフルーツタルト、どちらもすごく美味しかった。 しかも店の半分は雑貨売り場なので、そういうのを見て楽しむということもできる。今日はそちらで、自分用にハンカチを買ってしまった。すごくお洒落なハンカチなのよ。しかも判型が小さく、ポケットに入れやすい。最近のハンカチは版が大きくて使いにくいと思っていたので、このハンカチを手に入れられたのはよかった。 このカフェは、建物の造りも面白くてね。鉄骨剥き出しの内装なんだけど、そこに味がある。床とかも、多分、モルタルの磨き出しだし。 こういう造りであれば、工期も短くて済むのかしら? どうなんだろう? あと置いてある椅子も、色々なものがあって、他に誰もお客さんがいなかったこともあって、カリモクのソファとか、イームズの椅子とかに座って、座り心地を試したりなんかして。 ということで、カフェで一服したことで、ゲンナリした気分がいささかでも回復しました。 さて、少し気分が良くなってきたところで、今日はもう少し頑張って、添削するかな!
December 13, 2024
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毎年恒例、今年を表わす漢字が決まりました。 今年の漢字は・・・「金」! え。マジ? また? オリンピックのあった年は毎回「金」じゃん。 ネット上でも「どうせ今年も『金』でしょ。つまらない」とかいう書き込みが無数にあったけど、その予想通りになってしまった。誰が決めているのか知らないけど、もうちょいセンスのある選択はできなかったのかねえ。 世相から言ったら「金」というよりは、真反対の「闇」だよね! 戦争もいつ終わるかわからないし、日本の政治が良くなるのかわからないし、経済が上向くのかどうかわからないし、闇バイトは蔓延るし。 さて、一方、私にとっての今年の漢字は何か? まあ、今年は母が亡くなったからなあ。 最後の一年ほど、意志疎通が難しくなってきたこともありますが、東京・名古屋間の距離を口実に、老人ホームに入った母にそんなに頻繁には会いに行かなかった。会ってもまともな話ができなかったのでね。でも、それでもやっぱり、もっと頻繁に顔を見せに行けば良かったのかな。考えてみれば、母は、まともな話の出来ない赤ん坊の頃の私を、慈しんで育ててくれたのにね。恩知らずもいいところですわ。 四十九日を過ぎ、極楽浄土へ旅立った母は、恩知らずの私を許してくれるかしら。 ということで、私の今年の漢字は哀惜の「惜」の字に決定! いささかの後悔の念と共に、この漢字を母に送りましょう。
December 12, 2024
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映画に引き続きまして、今日は「今年読んだ本ベスト10」を発表いたしましょう。 映画はろくに観られなかったのですが、本の方は割と読んでおりまして、今年はいい本に沢山出合いました。その中で、特に強く印象に残った本をベスト10形式で発表していきます。 では、第10位から。第10位:荒川洋治 『忘れられる過去』【中古】 忘れられる過去 / 荒川 洋治 / みすず書房 [単行本]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】第9位:中村一枝 古川一枝 『ふたりの一枝』第8位:レジ― 『ファスト教養』ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) [ レジー ]第7位:山田稔 『特別な一日』特別な一日 読書漫録 (ノアコレクション) [ 山田稔(仏文学) ]第6位:高橋哲雄 『ミステリーの社会学』【中古】 ミステリーの社会学 近代的「気晴らし」の条件 / 高橋 哲雄 / 中央公論新社 [新書]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】第5位:荒井良二 『ぼくの絵本じゃあにぃ』ぼくの絵本じゃあにぃ (NHK出版新書) [ 荒井良二 ]第4位:新井一樹 『物語のつくり方』プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方 [ 新井 一樹 ]第3位:穂村弘 『短歌の友人』短歌の友人 (河出文庫) [ 穂村弘 ]第2位:坂口恭平 『生きのびるための事務』生きのびるための事務 [ 坂口恭平 ]第1位:日高敏隆 『ぼくの世界博物誌』ぼくの世界博物誌 (集英社文庫(日本)) [ 日髙 敏隆 ] ま、こんな感じかな・・・。 まだ年末までは3週間弱ありますから、その間にすごくいい本を読む可能性はなくはないけど、卒論指導と拙著の校正があることを考えると、なかなかそういうのんびりした時間は取れないでありましょう。だから現時点でのベスト10がそのまま、今年のベスト10になるんじゃないかな。 さて、来年はどんな素敵な本に出合えるか。今から楽しみにすることにいたしましょうかね。
December 11, 2024
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毎年この時期、その一年のうちに観た映画のベストを発表しておりまして、今年もそろそろと思ったのですが、一年を振り返ってみて、ほとんど映画を観ていないことが判明・・・。 まあ、後半は母の具合が悪く、週末ごとに帰省していましたし、結局亡くなって葬儀とかもあったので、忙しかったということはある。しかし、それにしてもこれほど映画を観なかったというのも、やまだかつてない感じ。 結局観たのは〇『ヒットマン』〇『マッドマックス フュリオサ』〇『帰ってきた あぶない刑事』〇『アイアン・クロー』〇『オッペンハイマー』〇『デューン2』〇『アーガイル』 だけ。これだけだよ! こんな少ない中からベストと言われても、ですけど、まあ、強いて言えば・・・『デューン2』? だけど、『デューン2』も、さほど評価しているわけではないからね。 逆に、一番、期待外れだったのは、『オッペンハイマー』かな。これは、クリストファー・ノーラン監督作品だからきっと面白いに違いないと思って観たのだけど、全然だった。 逆に、ついさっき、「アメリカ映画論」という授業の中で学生たちに『ロッキー』を見せたのですけど、これは今改めて観ても面白かった。昔の方が、いい映画が沢山あったなあ。 っつーことで、少なくとも今年に関してはベストだのなんだのと言えるような立場じゃないなというのを悟った次第。 ちなみに、家内に聞いたら、この前飛行機の中で見た『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』が断然面白かったとのこと。面白いどころか、感動的ですらあったそうで、私も見れば良かった・・・。これを見ていたら、ひょっとして、この作品が今年のベストだったかもね。 まあ、そのうち、何とかしてこの作品を見ないとね。
December 10, 2024
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常盤新平さんの『うつむきながら、とぼとぼと』というエッセイ集を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。これこれ! ↓【中古】 うつむきながら、とぼとぼと / 常盤 新平 / 読売新聞社 [単行本]【メール便送料無料】 この本、『This Is 読売』誌に連載されていたものを一冊にまとめたもの。1回10枚ほどの原稿だったそうですが、この長さが微妙で、エッセイを書き慣れた常盤さんにして、毎回苦労されたとのこと。 で、書かれている内容ですが、一時期秘書のように使っていた若いお嬢さんとそのお父さん(この人は常盤さんの先輩)とコンサートを聴きに行った、とか、四十年前、大学進学に際して一緒に状況し、付かず離れずの関係だった友達が心配な病気になった、とか、行きつけの喫茶店の女店主が亡くなって店も亡くなったが、女店主が元気だった時がなつかしい、とか、昔、千葉に住んでいた頃、自分で見つけて贔屓にしていた蕎麦屋に久しぶりに行ったとか、娘の運動会に行った、とか、久しぶりにハワイに行ったとか、LAに行ったとか、NYに行ったとか、クラス会があったけど、最近、死んだり身体を壊したりして出席できなくなる同級生が増えた、自分もそろそろ健康に気を使わなくちゃと思った、とか、そういう話。 これを書いていた頃の常盤さん自身が還暦過ぎだったせいかも知れませんが、何らかの形で過去を振り返る(振り返らざるを得なくなる)話が多いような気がします。まあ、これを読んでいるワタクシ自身が還暦過ぎですから、その気持ちはわからなくもない。 特に最後の方のエッセイで、前の奥さん(女優志望)と付き合っていた頃、同じ劇団に所属する俳優・女優の卵の何人かとグループ交際的な付き合いをしていたのだけれども、そのうちの一人が亡くなって、その葬儀に出席した、という話があるのですけど、そうなると当然、同じく葬儀に出席した前の奥さんとも顔を合わせざるを得ず、そういうことも含めて、常盤さんが様々な回想に浸るというのが、ちょっと印象的でしたかね。 全体として、まあ、何てことないエッセイ集で、エッセイ集というよりは「身辺雑記」といった方がいいような感じ。 ただ、じゃあ、お前、これと同じレベルの身辺雑記を連載できるのか? と問われたら、やっぱり難しいだろうと想像せざるを得ない。というのは、常盤さんはなんだかんだ言って、色々な人と付き合っているのよ。例えば、食べ物屋に行くにしても、常連と言われるほどまで通い詰めているからこそ、その店についてなにがしかのことが書けるし、その店の店主の思い出も書ける。 そういう積み重ねがあるから、身辺雑記も書けるのであって、これはこれで一つの芸と言っていいのでしょう。 ただ、この種の身辺雑記を延々と読まされると、ちょっと満腹になっちゃうというのか、常盤さんの日常に付き合わされるのはもういいかな、という気がしてくる。 というわけで、常盤さんの身辺雑記風エッセイについては、もうこれ以上読まないことにしました。ついでに言うと、常盤さんの「アメリカネタ」も、そろそろ卒業しようかな。 では次はどうするか? 常盤さんは、若い頃、アル・カポネをはじめとするギャングの世界に魅せられて、その種の本を随分沢山翻訳されたりしていたのですが、その辺りの事情を記した本は読んで置いた方がいいかも。 あと、『遠いアメリカ』やら『片隅の人びと』やらで常盤さんが描いた愛妻の姿に感銘を受けたのですが、常盤さんはその愛妻と別れ、別な女と再婚しているんですよね。その辺りの詳しい話をぜひ読んでみたい。 あと、『山の上ホテル物語』も、ちょっと読んでおきたい。 そんな感じで、計画的に常盤文学の全貌を見極めようと思います。
December 9, 2024
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ワタクシの自己啓発本研究の第3弾、来月下旬に発売される拙著『大学教授が解説 自己啓発の必読ランキング60 』(KADOKAWA)の予約販売がいよいよ始まりました!!これこれ! ↓大学教授が解説 自己啓発の必読ランキング60 自己啓発書を思想として読む [ 尾崎 俊介 ] 楽天ブックスのみならず、アマゾンをはじめ、ネット書店で続々予約販売されております! ネット書店での事前予約の多寡は、その後の市場展開に大いに関係してきますので、関心のある方は是非、ご予約下さい!!! それにしても新著の書影、かなりヴィヴィッドでしょ? 私はティファニーっぽいブルーが大いに気に入っております。 これまで私が出した自己啓発関連の本は、『14歳からの自己啓発』(トランスビュー)にせよ、『アメリカは自己啓発本でできている』(平凡社)にせよ、基本的には文化論なので、書店では人文書扱いにされることが多かったのですが、今回KADOKAWAから出す本は純然たるビジネス書として売られるので、リアル書店でもビジネス書コーナーで販売されるだろうと思います。 人文書を買う読者層とビジネス書を買う読者層はかなり異なると思うので、市場に出た時にどういう反応になるのか。全然予想がつかない分、余計に楽しみでもあります。 まあ、果報は寝て待てといいますから、あまり期待し過ぎることなく、でもやっぱり大いに期待しながら、成行きを見守ることにしましょうかね。新著もいいけど、こちらも面白いよ! ↓14歳からの自己啓発 [ 尾崎 俊介 ]アメリカは自己啓発本でできている ベストセラーからひもとく [ 尾崎 俊介 ]
December 8, 2024
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今日は母の四十九日法要と納骨をしてきました。 母が亡くなって、あわただしく葬儀を済ませ、ホッとしたのもつかの間、もう四十九日ですからね・・・。もう、あっという間ですわ。 今日は寒くなると聞いていましたが、お昼ごろまでは結構日差しも暖かく、晴天の下で法要と納骨を済ますことができました。これで、母をしのぶものは、位牌だけになっちゃった。 今までは、お墓参りをするのは、父に会うためでしたが、これからは、父と母と、両方に会いに行くようなつもりでお墓参りをすることになります。 父がお墓に入ってから、私はやたらに墓参りに行くようになりましたが、今後はますます、墓参りをする頻度が高まるかもしれません。 まあ、実際に死んだことがないのでわかりませんが、死んでも魂は残るのかも知れませんからね。一方的な思いかもしれないけれども、魂になった父母と話をしにいくのだと考えれば、少なくとも私の心は鎮まりますから。 親を送るのは子の務めですが、今日、それを両方、終えたんだということを、しっかり記憶することにしましょうかね。 悲しいね。
December 7, 2024
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日本カー・オブ・ザ・イヤーが決定されました。なんとホンダのフリードだって。マジか。 ふーん。随分また地味なクルマ、しかも既存のクルマの新型が選ばれるとは。あまりパッとしないねえ。もちろん、乗ればいいクルマなのかもしれないけれども。 しかし、フリードが受賞する思想的なバックグラウンドが分からないな。何をもって審査員たちはこのクルマに票を投じたのか。 ワタクシ的には、最近の日本のクルマ事情の流れの一つとして、「外国製国産車」ってのがあると思うわけ。 ちょっと前までは「EV車」がトレンドで、実際、今年の10ベストカーの中にもEV車は沢山あったけど、逆にこれだけ出て来ちゃうと、もはや新味は無い。 一方、昨今、クルマの値段が上がっちゃって、プリウスあたりでも400万円以上する。一昔前のクラウンの値段よ。もう一般大衆は、大衆車を買えなくなっちゃった。 そこで、自動車メーカーは、クルマの値段を下げるために、タイやインドなどで生産したクルマを日本に輸入することを始めたわけ。日産だとキックス、ホンダだとWR-Xといった具合。今後、ますます、この手の逆輸入車が増えることでございましょう。 これが今のトレンドよ。 となると、今年の10ベストカーの中で、「外国製逆輸入車」というトレンドを踏まえた上で、一番、旬なクルマは何? スズキの「フロンクス」に決まっているじゃん。だから、ワタクシが思うに、今年のカー・オブ・ザ・イヤーはスズキ・フロンクスの一択だと思う。 これが「今年の一台」を決定するまともな考え方じゃない? ということで、2024年の「釈迦楽カー・オブ・ザ・イヤー」は、スズキ・フロンクスに決定! おめでとうございます! パチパチパチ! 実際、売れているらしいねえ。 しかし、それはそれとして、今年は私自身、スズキの名車スイフトを買っちゃったからね! スズキ車を初めて買ってみて、スズキという自動車メーカーの実力を知った次第。スイフトなんて、それこそ「ザ・大衆車」なんだけど、結構面白いクルマだったのよ。通好みというか。私のように外車好き、日本車なんてケッ、という人間から見ても、これはいいなと思えるようなクルマだった。 そのスズキが作ったクルマだからねえ。フロンクスには興味津々。 来年は、私が今乗っているルノー車の車検の時期であり、買い替えるか、乗り続けるかを決めなければならない。買い替えるとしたら、フロンクス、買っちゃおうかな。
December 6, 2024
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今日は人間ドックを受診してきました。私は毎年、この時期に受診することにしておりましてね。まあ、人間ドックなんて、一年の内、いつ受けたっていいんですけど、なんとなく、一年間の総まとめという意味合いも込めて、年末の月にやるのがそれっぽいかなと。 で、今日受診したわけですから、今日、結果が出るわけではない。結果が出るのは2週間くらい先かな。 でも、部分的には今日、分かることもある。 たとえば体重とかね。体脂肪率とか。 で、今日、ちょっと嬉しい驚きだったのは、体脂肪率。このところ、どんどん下がっているわけ。一昨年が21%、昨年が18%、そして今年は何と15%! この調子で行ったら、一桁台も夢じゃない。ほとんどアスリートの数字だよね! ま、それはいいのよ。いい方の変化だから。 その一方、悪いニュースもありまして。血中糖度が高いようで、糖尿病予備軍だってさ。 まあ、今年悪くなったということではなくて、ここ数年ずっとそうなんですが、この数値を下げようと、この一年、一生懸命努力してきたのよ。 初期糖尿病の対策としては、「食事に気を付ける」と「運動をする」というのが鉄則なんだけど、もともと食事の面で不摂生はしたことがないし、運動もかなりやっている。だからこそ、体脂肪率が下がるのであって。 でも、これらの対策では数値が下がらないとなると、今後、どうするか、考えちゃうよね・・・。 どうすりゃいいの? ツボ押しか・・・。あるいは? サプリ? まあ、考えつくのは、せいぜいその辺りだよね・・・。 チラッと見たら、DHCから「血糖値ダブル対策」というサプリが出ているねえ・・・。この辺りから始めてみようかな。 まあ、何事にもポジティヴなワタクシ。問題点が分かれば、対策を立て、努力はします。来年の人間ドックに備えて、長期戦で頑張ってみましょうかね。
December 5, 2024
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常盤新平さんの『片隅の人たち』という連作短篇集を読みましたので、心覚えをつけておきましょう。 これ、常盤さんの直木賞受賞作である『遠いアメリカ』の続編とも言うべきもので、それに続く常盤さんの自伝小説です。 自伝小説だから結構は『遠いアメリカ』と変わらないのだけど、そこは一応別物ということで、登場人物の名前だけは変えてある。『遠いアメリカ』の主人公は重吉だったけど、『片隅』では矢内。重吉の恋人だった椙枝は、『片隅』では沙知。『遠いアメリカ』で重吉に下訳を回してくれた翻訳家の師匠・遠山は、『片隅』では村山・・・という具合。ややこしい。どうせなら同じ名前にして欲しい。 ちなみに、遠山/村山という人物のモデルは翻訳家の中田耕治ですな。それから『片隅』に登場する黒メガネの翻訳家のモデルは清水俊二。それから矢内が就職する小さな出版社・北山書店のモデルは早川書房、そして矢内の上司となる加藤のモデルは福島正美・・・という具合で、特定しようと思えば登場人物のほとんどにモデルがあることが分かる。要するに、この小説は、小説といいながらほとんどが実話というか、若き日の常盤さん実際に体験したことなのでありましょう。 だから、この連作短篇に登場するのは、常盤さんが実際に出会った人たちばかりであり、そうなるとそれは結局常盤さんの同業者、つまりは出版社関係、翻訳家関係の人たちということになる。 で、それはとりもなおさず通常のサラリーマンの生活とは大分異なる人たちということであり、簡単に言えば奇人変人の群れということになる。翻訳家というヤクザな商売に手を染めたばっかりに、まともな社会人ではない人たちばかりと付き合うことになった常盤さんが、そういう変わった人たちのスケッチをした、というのが、本作の内容と言えばいいでしょうか。 で、自分だってその変わった人たちの一員だという自覚も込めて、彼らを『片隅の人たち』と呼んだわけね。社会の真ん中にいるべき人たちではない、と。 まあ、前に常盤さんのエッセイを読んだ時、常盤さんには「お上りさん意識」というものがあるということを指摘しましたが、「片隅の人たち」という卑下もまた、常盤さんの意識の中にはあったのでしょう。もっとも、卑下と言っても本当に自嘲しているわけではなく、自分なんて片隅の人間だ、でもそうだっていいじゃないか、という開き直りでもあるわけで、それは常盤さんの強さでもある。自負の裏返しとしての卑下、という感じですかね。 で、本作の中には色々な変人が登場し、その変人のために時折、常盤さんは迷惑をこうむったりもするのですけど、変人には変人なりの事情というものがあって、それを踏まえて常盤さんは彼らのことを全否定はしない。むしろ、彼らに対して同情しているところもあって、彼らにじゃけんな態度を取ってしまった時など、「自分はなんて冷たい人間なんだ」と反省をしたりする。そこがとてもいい。 変わった連中との付き合いを、そういうスタンスで綴っているという意味では、スタインベックの『キャナリー・ロウ』とちょっと似ているところもあるかな。 で、『遠いアメリカ』では、重吉と椙枝が結婚しそうなところまでが描かれていましたが、『片隅』では矢内と沙知はもう結婚していて、最後の方では子供まで生まれている。相変わらず椙枝/沙知はとても素敵な奥さんで、若い夫婦の物語としてなかなか微笑ましく描けております。 ということで、本作は常盤さんが翻訳家として世に出始めた頃の、業界の様子とか、翻訳家仲間の様子とか、そういうことを知るという興味も含めて、私にとっては非常に面白い「実話に基づく小説」になっておりました。 まあ、ただ一つだけ苦言を呈したいところがありました。小説ですから、本作の中でも登場人物の誰かが笑うシーンがあるのだけれど、そういう場合、常盤さんはほとんどの例外なく「にやにやした」と書く。「にやにや」という言葉には、あまり好ましくないニュアンスもあるので、そればかりを笑いの描写に使うのは如何なものかと・・・。もっとも、常盤さんはもう亡くなっているから、こんなことを言っても意味ないのですけどね。これこれ! ↓片隅の人たち (中公文庫 と37-1) [ 常盤 新平 ]
December 4, 2024
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言語学がご専門のアニキことK先生と話をしていて、悲しいお噂を耳にしてしまいました。 K先生、先週末にJACET の大会に出席したそうで、JACET というのは、要するに英語の先生方が集まる学会ね。 で、最近、JACET での研究発表などで出る話題は、ほとんどがAIのことなんですって。 つまりね、AI時代に入って、果たして英語を教えるということに意味があるのか、ということが、学会の中心的な話題になっていると。 で、結論から言うと、意味はない、と(爆!)。 そりゃそうだよね! もうスマホがあれば、AIの自動翻訳で、日本語を一瞬にして英語に直してしまうのだから。いや、英語だけじゃない、ドイツ語だろうがフランス語だろうがタガログ語だろうが、一瞬ですよ。 そういう時代に、膨大な時間をかけて英語を教えたり、生徒・学生に語学の習得を強いたりすることに意味があるのかといったら、まあ、ないわけですな。好きな人が自分で勉強する分のはいいですが。 確かに、東京から大阪に行くのであれば、新幹線に乗ればいいので、個々人が足腰を鍛える必要はないわけですよ。それと同じで、異言語間コミュニケーションはAIを使えばいいので、個々人が異言語を学ぶ必要はないと。 で、教育面でもはや英語教育は必要ないとして、では学問的な側面ではどうかというと、こちらはまだ若干の余地はある。たとえば言語によって世界の切り取り方は変わるわけで、そこは学問的には興味深いところがある。だから、異なる言語がどのように世界を切り取るか、そこにどんな違いがあるのかを追究する言語学は残るかもしれない。 でも、それ以外の言語学の大半は、もう必要ないのではないかと。 ということは・・・ 英語の先生とか言語学の先生なんて、もう必要ない。そういうことですな。 英語の先生方の学会であるJACETが、既にそういう結論を出しつつあるっていうのですから、そういうことなのでありましょう。 超悲しい~! いやはや、英語を一生懸命勉強していた高校生の頃、こんな時代が来るとは予想もしていなかったなあ。当時はむしろ、「今後ますます日本の国際化が進み、英語力はますます必要になる」と言われていたんだからね。 っていうか、私の場合、父も英語教育の専門家で、英語を教えるというのは、わが家的にはいわば家業というか、伝統芸なわけですよ。江戸屋猫八・子猫の鳴きまね芸的な(ちなみに、江戸屋子猫は私の父の教え子)。それが私の代でつぶれるとなると、親父に合わせる顔がない。 父も墓の下でビックリしているだろうなあ。「もう英語教育なんて必要ないんだってさ」と報告したら。 まあ、そう言う私も還暦を過ぎ、もうじき大学からも足抜けするわけですから、後は野となれ、山となれ、なんだけどね。
December 3, 2024
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常盤新平さんの直木賞受賞作、『遠いアメリカ』という小説を読みましたので、心覚えをつけておきましょう。 これは、おそらく常盤さんの自伝的小説と言っていいのだと思いますが、大学を卒業し、大学院に進学するも、学業に興味が持てずに脱落、それでいていつの日かアーウィン・ショーの『夏服を着た女たち』のような小説を翻訳する翻訳家になりたいというおぼろげな野心と、果たして本当に翻訳家になれるのかという不安との間に揺れる若者・重吉の生活を描いた連作短篇。 重吉は(作者の常盤さんと同じく)仙台出身で、元下級役人として38年間の宮仕えの後、今は会計士のような仕事をしている父親のすねをかじって、東京で大学・大学院にまで進学させてもらっている。が、その大学院も最近はすっかりさぼり勝ちで、学費滞納で除籍になりつつあることは、父親には言い出せないんですな。そういう負い目があるせいもあり、また文学に理解がない上、学費を払ってやっている以上、せめて大学教授にでもなれ、などと言ってくる典型的な田舎者の父親に対しては、鬱陶しいという思いしか抱けないわけ。 といって、自分の好きな道をまっすぐ突き進んで、無理解な父親を見返してやるほどの実力も自信もなければ、見通しもない。まあ、要するにフラフラしているわけです。 で、フラフラしているんだけど、一丁前に椙枝という、女優志望の劇団員の彼女がいる。重吉が私淑する翻訳家の遠山が劇団と多少関係があり、その遠山から椙枝を紹介されたのだが、この椙枝の存在が重吉にとって希望であると同時に、多少は重荷でもあるというところがある。重荷というのは、この先彼女と結婚し、彼女を養っていくだけの甲斐性が自分にあるかどうか、自信が持てないから。 ただ、アメリカの小説、それも、偉大な小説家の小説より、知る人ぞ知るマイナーな小説家の小説を見つけ出して読んだり訳したりすることにはやりがいを感じ、そういうものを通じて、遠いアメリカという国のことを、遠いなりにもっと知りたいという、彼なりの野望は、やはり確固としてある。 とまあ、大学は出たけれど、まだ何者でもない、野心はあるけど、自信はない、彼女はいるけど、結婚までいくかどうか分からない、父親とは気が合わないけれど、その世話になるしかない、そんなモラトリアムな状態にある若者の揺れる心情と日々の生活を描いた小説でございます。作中、サリンジャーの『ライ麦畑』の話題も出るのだけれど、ある意味、これは常盤さんが書いた『ライ麦畑』と言ったらほめ過ぎですか? でも、この小説、結構いいです。 私が「この小説、結構いいな」と思うのは、小説としてのリアリティがあるところ。自伝的小説ということもあって、作中人物の行動に無理がないというか、こういう状況に置かれていたら、人はこういう風に考えたり、こういう風に行動するよなと思えるので、主人公に共感しやすいわけ。 でまた、重吉は、父親に対して反抗的になったり、田舎者の母親を疎んじたりするところもあるのだけれど、父親に対しても母親に対しても、心の奥底では両者を理解していて、彼らなりの愛情に対して、重吉も重吉なりの愛情で返しているところもとてもいい。親子の関係性って、結局、こういうもんなんじゃないの、というところがあるのよ。 あと主人公の重吉がアメリカ小説の翻訳家志望で、だけど貧しいので、ハードカバーの新刊本は買えず、アメリカの安いペーパーバックばっかり買っているんだけど、そうした重吉のペーパーバック愛がとてもいい。私のように、アメリカン・ペーパーバック研究者の目から見ても、重吉のアメリカン・ペーパーバックに対する理解は、非常に正確です。たとえば「ヘミングウェイだってフォークナーだって、ペーパーバック本としてはエロ小説家の扱いだ」という趣旨のことを重吉が言うシーンがあるのですが、これなんか、本当にその通りです。よく分かっていらっしゃる。 でまたね、椙枝という恋人の描写がとてもよくて、魅力的な若い女性として、上手に描かれているのよ。重吉にはもったいないくらいの人。でまた、小説の最後で、重吉が翻訳家としての第一歩を踏み出すことに成功し、椙枝とも結婚できそうな感じになってくるところもとても気持ちがいい。 まあ、翻訳家/エッセイストの最初の小説ということで、あまり期待しないで読み始めたのですが、実際に読んでみたら、結構面白かった。一人の若者のケーススタディとして、なかなかなものになっております。 ということで、本書を読んで、小説家・常盤新平のお手並みを見ることができました。上出来。教授のおすすめ、です。これこれ! ↓【中古】 遠いアメリカ / 常盤 新平 / 講談社 [単行本]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】遠いアメリカ (P+D BOOKS) [ 常盤 新平 ]
December 2, 2024
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来年1月末に出る新著の再校の校正が終わり、今日の午前中、クロネコヤマトさんにゲラを託しました。 「校正おそるべし」とはよく言ったもので、初校の段階で著者校正のみならず出版社の校正(2名態勢)も受けているはずなのに、まだ修正すべき点が次々と出て来るのよね~。 誤字脱字もあったし、記載の統一(ポジティブか、ポジティヴか、とか)も一部揺れていたし、内容的な誤りも一か所あった。あと微妙なところで、福沢諭吉に触れた文章の中で、福沢のことを「明治維新の立役者」なんて書いてしまっていたところがあったり。「文明開化の立役者」に直しておきましたけどね。 見直せば見直すほど修正点が出て来るもので、もう一度、もう一度、と見直すんですけれども、なにせ380ページくらいある本なので、通しで見直すにも相当な時間がかかってしまう。どこかで無理やり終わらせないと、永遠に終わらないのよ。だから、ひょっとしたらまだ直すべきところがあったかもしれないけれども、思い切って校了ということにしました。キリがないからね。 しかし、まあこれで再校が終わったので、とりあえずワタクシの手は離れたということになります。 で、思い出すんだけれども、この本の初校が出たのが10月の頭で、その頃、母の具合が悪く、帰省して連日お見舞いに行っていたわけよ。で、夜、母が入院している個室で、眠っている母の脇で、初校を直していたわけ。時々、母の呼吸がしばらく止まったりして、つながっている機械が危険を察知してピーピー鳴って、看護師さんたちが飛んできたりして。そんな中で初校に朱を入れていた。 たかだか2か月前のことなんだけれども、そんな日々のことが遠いことのように思える。その時はまだ、母も生きていたわけだから。 そうやって校正作業をした本が、近い将来、世に出る。そう考えると、多少なりとも感慨があります。 自分が書いた本は、どれも皆、思い入れがあるものだけれども、今回の本は、そんな母との思い出込みのものだから、世に出たらそれなりに評価してもらいたいものですなあ。 さて、しかし、そうノンビリもしていられない。もう既に、3月末に出る予定の新書本の初校が手元に届いておりますので、そちらの校正も始めなければ。しかも、それプラス、卒論指導もしなくてはいけない。この時期、先生稼業もなかなか忙しいねえ。 まあ、これが「師走」ってことなのかな。
December 1, 2024
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