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January 6, 2007
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カテゴリ: 思わず納得!

昨夜NHKのドキュメンタリーで「空師」のことが紹介されていました。

「空師」なんて言葉、私は初めて聞きましたけど、要するに巨木を伐採する人のことで、明治時代からある言葉なんだそうです。樹齢百年を越すような巨木となると、ただ根元に鋸を入れればいいってもんでもなく、まずは高所にある枝から切って行かなくてはならないわけですが、目の眩むような高いところまで登って枝打ちするその姿から「空師」と呼ばれているのでしょう。

で、このドキュメンタリーの主役は、熊倉さんという名の、見たところ三十台半ばとおぼしき若き空師だったんですが、これがまたいい男なんだ。

彼は中学くらいの時まで突っ張っていたらしいのですが、15才の時、たまたま親に黙ってバイトに行った先が空師の親方のところだったんですな。で、この師匠について木の伐採の仕方を習い、また仕事が終わったあとは飯を食いに連れて行ってもらったりしているうちに、「働いている」という充実感と、空師の仕事のやりがいというものにすっかり取り憑かれてしまった、と。

それ以来、この仕事一筋ってんですから、三十路とはいえ、もうこの道20年のベテランです。事実、彼の下には2人の若者が弟子として修行しに来ている。

ま、そんな熊倉さんなんですが、さすがにベテランの職人だけあって、良いこと言うんだこれが・・・。

彼によれば、今の日本には天然木なんてほとんど存在しないそうなんです。つまり、今ある木は、すべて人間の手によって植えられたものばかりなんですな。たとえば明治時代の人が、100年後にこの木が誰かの役に立てばいい、と、そんな風に考えて植えた木が、今、巨木になっているというわけ。

そういう木を伐らせてもらっているのだから、熊倉さんが木を伐る時はいつも、昔の人のことを思って心の中で礼を言うんですって。と同時に、それだけの木を伐る以上、一寸たりとも無駄にはできないという気持ちから、彼は地面スレスレのところから木を伐採する。これは腕がなければできるもんじゃありません。そうやって熊倉さんに伐られた木は、良質の材木となって、第二の人生を迎えることになるわけですよ。

また木には「伐り時」というのがある、ということも、熊倉さんは言ってましたね。人間は人間のエゴで、本来生を終えるべき木を無理やり生かしてしまっていることがある。たとえば巨木の脇に道路を通すので、木はそのままにして根の一部だけ切ってしまうことがあるんだそうです。そうするとその根の切り口からバイ菌が入るのか、やがてその木の幹には空洞ができてしまう。と、今度は倒壊の危険性があるというので、その空洞にセメントを流し込んでしまったりする。まさに人間のエゴです。



で、熊倉さんとしては、なるべく木を活かす方向で木を伐ることをいつも心がけているそうなんですが、木を伐るったって、ただ単に電ノコを入れればいいというものでもありません。その木が住宅やビルの間に立っている場合など、伐採が非常に難しい場合がある。下手に切り倒したら、周辺の建物や電線なんかを傷つけかねませんからね。また木というのは、その木を見ながら育った人々にとっては、様々な思い出のよすがになっているので、そういう意味でも簡単なことではない。

そういう物理的な難しさと、人情の上での難しさ、そういうものを案配しながら、熊倉さんは上手に木を伐っていくんですなあ。思い出の木の枝打ちを依頼されれば、その木が弱らないよう木を配り、完全な伐採の場合は、その木の一部を記念に配ったり・・・。

しかも、熊倉さんのえらいところは、職人としての腕だけではないんですなあ。彼は自分を育ててくれた先輩たちを立てることを忘れない一方、後輩の育成についても本当によく考えていて、二人の弟子の教育ということにすごく力を入れているんです。伐採の仕事がない時など、わざわざ材木市場の入札なんかに弟子を連れて行って、材木の見立てから入札の仕方まで、一人前の空師として必要な知識を惜しみなく教えている。それも、高飛車にというのではなく、兄貴として、ね。

そして番組の終わりの方で、その弟子二人を伴いながら、非常に困難な状況の中で巨木を思い通りに伐り倒し、その切り株に腰を下ろして微笑んだ時の、熊倉さんの晴れやかな笑顔は、良かったですよ~。

で、そんな熊倉さんの夢、何だか分かります?

自分でいい木を捜し出し、自分の手で伐り、その材木を使って総木造のいい家を造る。そしてそこで障害をもって生まれてきたお嬢さんが、安心して暮らせるようにする。これが熊倉さんの夢なんですって。く~、最後まで泣かせるじゃないですか・・・。

ほんの1時間ばかりの番組でしたけど、実にさわやかな、いい番組でしたなあ。この番組、見逃した方も多いと思いますが、きっとそのうち再放送すると思いますので、その時にはぜひご覧下さい。

好漢の空師・熊倉さんを扱ったNHKのドキュメンタリー、「教授の熱烈おすすめ!」です。





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Last updated  January 6, 2007 06:43:09 PM
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Re:「空師」の仕事に共感!(01/06)  
りぃー子  さん
うーむ、まさにこれぞ「仕事」というものですね。
私も何かの縁があってそんな仕事に就いていたら・・・
なんて。

家の庭木の枝は毎年自分で剪定してるんですが、難しいです。
でも、すごく好きな作業。

最近自分の本当にやりたい仕事を、今からでもやってみることはできないものかと考えてみたりすることがあるので、響いてしまいました。

再放送をぜひ見てみたいです。
(January 6, 2007 10:41:14 PM)

それはもちろん、ぜひ頑張って!  
釈迦楽  さん
りぃー子さん

いや、今からだって全然遅くないんじゃないでしょうか。アメリカの有名な画家、かの「グランマ・モーゼス」だって、絵を描き始めたのは、70歳くらいの時でしょ? ターシャ・テューダーが庭造りを始めたのだって、初老の頃ですよ。

人間、その気になれば、何歳からだって「天職」を見つけられます。

私だって、今40代前半ですが、まだまだ分かりませんよ~。これから演歌歌手を目指しちゃうかも知れませんからね~! って、それはウソですけど、実際、別な仕事に就くことを考えないわけでは、ないんですよ! (January 7, 2007 01:02:53 AM)

あけましておめでとうございます!  
チヒロ さん
680000、私が踏みました!!!
今年もヨロシクお願いします。 (January 7, 2007 04:47:49 PM)

あけましておめでとうございます!  
釈迦楽  さん
チヒロさん

明けましておめでとう! 夫婦ともども、今年もよろしくお願いします。

ところでキリ番踏んでくれてサンキュー、サンキュー! 今度何か粗品を進呈しないといかんな!

年末・年始はご実家に戻られたの? 家内は一足先に、僕も明日、名古屋に戻ります。また春休みにでも会いましょう! ご主人&坊やたちにもよろしく! (January 7, 2007 06:02:38 PM)

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