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January 8, 2009
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カテゴリ: 教授の質問



 ま、私がここで言いたいのは、「言葉というのは、概して、通じないものである」ということなのですが。

 さて、話は変わりまして。

 どの大新聞にも同種のものがあると思いますが、我が家がとっている新聞にも「歌壇」とか「俳壇」というものがあって、名のある歌人・俳人が選者となり、素人の投稿した歌や句を選んで載せるというページがある。で、私の母はそのページを毎週楽しみにしているんですな。

 で、今日もそのページを読んでいた母が、ふふっと笑って「面白いのがあるよ」と、ある投稿歌を教えてくれたんです。それはどういうのかと言いますと、

 「流感を恐るる妻は自らを除く家族の注射手配す」

 というもの。なるほど、これは面白いと私もつい、あっはっは、と笑ってしまったのですが、そのまま読み続けていた母が、しばらくして「うーん・・・」とうなった。どうしたのかと思ったら、この歌を選んだ選者のこの歌に対する解釈が変だ、というのです。そこにはこう書いてあったんです。

「評:自分のことを考える人は他者のことを考えない。他者のことを考える人は自分のことを考えない。妻また母親は往々にして後者。」

 つまりこの選者は、この歌の「妻」なる人物のことを、「己のことまで気が回らないほど家族を大事にする良妻・賢母である」と見たわけですな。家族の流感予防のことは一生懸命気遣ったけど、肝心の自分のことまで気が回らなかったと。



 ちなみに母と私の解釈は、むしろ逆です。この「妻」は、流感に掛りたくない。だけど注射は痛いから嫌だと思っている。では、どうすればいいか・・・。そこで一計を案じた彼女は、自分を除いた家族全員に流感の予防注射を強制的に受けさせた。つまり、家族が流感にかからなければ自分も移されることはないだろう、ウッシッシ、という計算である。

 ま、そういう風に解釈します。つまり、この「妻」は「自己献身的・利他的な良妻賢母」というのではなく、ちゃっかりしたお母さんである、と見たわけですね。だから笑ってしまったわけです。

 同じ歌、同じ言葉を読んでいるにも関わらず、この「妻」を「頭の下がるほど利他的な人」と読む人もおり、一方、正反対に「利己的な人(利己と言ったって、悪い意味ではなく、むしろ愉快な種類のものですが・・・)」と読む人もいる。そういうことですな。

 ね、言葉って、通じないもんでしょう?

 でもね、母も私も、自分たちの解釈に自信はあります。「自らを除く」というのは、意図的なものでしょう。私たちのように読まなければ、この歌はちっとも面白くない、と思うんです。選者の方は、この歌を誤解しているんじゃないすか?

 さてさて、この歌の解釈勝負、選者の勝ちか、それとも釈迦楽母子の勝ちか? 読者諸賢のご判定や如何に?





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Last updated  January 8, 2009 09:50:50 AM コメント(2) | コメントを書く
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