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June 11, 2009
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カテゴリ: 教授の映画談義



 え、教授ともあろうものがこの問題作をまだ見てなかったの?!

 まあ、そう言いなさんなって。昔から見よう見ようと思って手には取るものの、ビデオのパッケージに書いてある「ウルトラ・バイオレンス」云々の解説を読んで、暴力シーンやレイプシーンの頻出する映画って、あんまり見たくないなあと、二の足を踏んでおったのじゃ。

 でも今回は仕事がらみで必要だったので、敢えて見てみたわけですが・・・。

 なーんだ、どうってことないじゃん! 1971年の時点ではバイオレンス映画の範疇だったのかも知れませんが、今見たら、暴力シーンもその他も、別に大したことないっすよ。

 以下ネタバレ注意ですけど、あるところにアレックスという名の素行の悪い少年がおりまして。で、彼は不良仲間を率いて「ドルーグ」とかいうグループを作り、夜な夜な浮浪者狩りをしたり、他の不良グループと抗争したり、人の家に押し入って亭主をぼこぼこにしたり、奥さんをレイプしたりと、好き放題なことをやっているわけ。

 ところがある時、たまたま押し入った家の女性が抵抗したものでアレックスは彼女を殺してしまい、また仲間にも裏切られて刑務所入りすることになる。

 で、懲役十数年というような刑を受けるのですが、そんなアレックスは「ルドヴィコ療法」という新式の犯罪者矯正プログラムの被験者になると、刑期を短くしてもらえると聞き、自ら志願してこの療法を受けるんですな。で、これによって彼は暴力やレイプを意図したりすると吐き気を催すような体にされてしまう、と。



 で、とにかく犯罪はできない体になったということで、アレックスは刑務所を出ることができたのですが、もはや彼には戻る家もなく、かつての不良仲間には痛めつけられ、ぼこぼこにされたまま助けを求めて入った家が、たまたまその昔、彼と仲間が暴行とレイプを行った家だった、と。

 で、家の主人(アレックスの暴行により、彼自身は車椅子生活になり、奥さんは亡くなっている)は、アレックスの正体を見抜き、また彼の弱点も知り、彼を部屋に閉じ込めたままベートーベンの第九を聴かせて、自殺を企てさせるという復讐を果たすんですな。

 で、実際、アレックスは自殺を企てるのですが、運よく命拾いするんです。で、彼が自殺を企てたのは、ある意味、彼にルドヴィコ療法を受けさせた時の政府の責任だということになり、アレックスの存在がにわかに政争の争点になってしまうわけ。

 さて、政治に利用されることになってしまったアレックスの運命や如何に?!

 ってな話です。

 ま、この映画、途中まで見た段階では、アレックスの暴力(すなわち個人の暴力)より、刑務所の(すなわち国という政治機構の)暴力の方がもっと残虐なんだ、ということを言いたいのかと思うのですけど、最後まで見ると、どうもそういう単純な話でもないらしいということが分ってきて、ある意味、これは手の込んだスラップスティック・コメディなのか? という気もしてくるのですけど、ま、不思議な味の映画ではありますね。

 ネット上の情報を見ると、この映画、出だしの暴力シーンもさることながら、アンソニー・バージェスの原作を単純なストーリーに改竄してしまったことが批判されているようで、しかしながら原作を読んでいない私としては、その辺のことも含めた評価ができないのですが、それでも全体の印象から言いますとね、結構面白かった。

 第一、悪党のアレックスが、中盤から後半にかけて、妙に可愛いんですよね。でまた、彼の妙チキリンな言葉遣い(ナッドサット語なる俗語で「ビディーする=見る」「デボチカ=女」「ホラー・ショー=イケてる」「トルチョック=殴る」「ガリバー=○○○○」などなど・・・)が、なんだか分らないながらもおかしくて仕方がない。またストーリー展開も妙におかしくて、ちょうど同じキューブリック作品の『博士の異常な愛情』のおかしさに通じるものがある。

 でまた、これは映画の内容とは関係ないのですが、キューブリック監督の映像美。これが素晴らしい。色の使い方、光の使い方、画面の構図、どれをとっても「静謐」という言葉がぴったりくるような美しさに溢れているんだ、これが。音楽もいいしね。

 ということで、この映画に対する私の評価は、後半ウナギ登りで「85点」! 

 ま、そうは言っても、前半部分では暴行シーンやレイプシーンが出てきますから、そういうのを見たくないという方にはおすすめしませんけど、その辺、特に抵抗がないという方には、一見の価値は十分ある、と言っておきましょう。そういう意味で、キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』、教授のおすすめ!です。





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Last updated  June 12, 2009 06:25:28 PM コメント(4) | コメントを書く
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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