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August 13, 2009
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カテゴリ: 教授の読書日記




 さて、今日も今日とて仕事をサボりにサボりまくった私は、最近気になるヤスケンこと安原顯氏のことをもっとよく知ろうと、中央公論社で彼の同僚であった村松友視氏の手になる評伝『ヤスケンの海』(幻冬舎文庫)を一気に読了してしまいました。

 先に「ほぼ日刊イトイ新聞」の伊丹十三特集で、伊丹さんのことを語っていた村松さんの語り口のうまさに感銘を受け、この本にもかなり期待したんですけど、うーん、ま、こちらは普通でしたね。おそらく村松さんが中央公論社を辞めてから、特に連絡を取り合わない時期があったため、ある時期以降のヤスケンさんについて、村松さんが個人的に知る部分が少なかったのでしょう。伝記ってのは、難しいですからね。

 でも、たとえばヤスケン氏と大江健三郎氏の間のトラブルの詳細について、この本によって詳しいことが分かって面白かった。

 このトラブルというのは、要するにヤスケンさんが中央公論社の編集者だった時、別な雑誌で大江健三郎氏の偽善性についてコテンパンに批判したんですな。するとそれを知った大江氏が「こういう編集者がいる出版社とは縁を切る」と言って、一方的に絶縁状を中央公論社の社長とヤスケン氏宛てで送ってきた、ということなんです。

 こういうことをすれば、中央公論社内でのヤスケンさんの立場は当然のことながらまずいことになるわけで、ヤスケンさんとしてはこういう大江氏のやり方に対してさらに腹を立てるわけ。弱い者の立場に立つ、というようなスタンスを普段は取っているくせに、いざ自分が批判されるとなると、一介の編集者の首を危うくすることも厭わないのは何事だ、というわけ。これこそ言論の自由を圧迫する行為ではないかと。

 ま、この一件だけを見ると、確かにヤスケンさんの言っていることの方が一理ありますなあ。大江さんはいかにも大人げない。実際、大江さんを怒らせたヤスケンさんの批判も、当たっているところがあるんだ、これが。

 ということでこの本、ところヤスケン贔屓になりつつあるワタクシとしては、ヤスケン氏をさらに見直す材料を色々与えてくれたところはありますね。特にヤスケン氏が意外に愛妻家であった、なんてことはこの本を読んで初めて知りましたが、その辺のこともとてもいい。私は基本的に、愛妻家には好感を持つんです。

 それから肺癌にかかって余命1か月と診断されてからの彼の身の振り方もとてもいいなあ。




これこれ!
 ↓

ヤスケンの海





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Last updated  August 14, 2009 12:01:12 AM コメントを書く
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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