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April 14, 2010
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カテゴリ: 教授の雑感

 そもそも私が研究休暇を取ったのは、ここ数年の研究を本の形にまとめようと思ったからなんですけど、実際に書き始めると色々悩むことが多くて、なかなか思うようなスピードでは前に進みません。

 じゃ、何に悩むかというと、もちろん内容の点でもっと調べなきゃならないことがあり過ぎるとか、そういうこともそうなんですけど、それ以前の問題として「文体」の問題がある。

 つまりね、どういう文体で本を書くか、ということなんですが。

 もちろん、研究書なんだから、研究書にふさわしい文体というのはあります。「だ・である」調の硬い文体ですね。実際、私だって論文とか、真面目な本を書く時はこの文体を使います。前に書いた本だって、基本的には「だ・である」調で書いていますし。

 しかし・・・。全く同じような文体で、続けて本を書くというのも何だか芸がないような・・・。

 それに今回の本はハーレクイン・ロマンス的な、大衆的なロマンス本についての研究書ですからねえ。むしろ、ハーレクイン・ロマンスの読者の方にこそ読んでいただきたいところがある。

 となると、「だ・である」調の硬い文章というのは、どうなのか。

 私思うに、世の一般読者というのは、意識はしないかも知れませんが、実は文体というものに非常に敏感で、まとまった文章の最初の一、二文を読んだだけで、「あ、難しい。自分には読み切れない」と判断するのではないかと。

 で、いわゆる研究者が書く文章なんてものの9割は、この時点で一般読者から見捨てられるような気がします。私の書く文章は、一般の研究者の平均レベルからすれば遥かに読み易いだろうと自負しておりますが、それにしても一般読者の6割から7割くらいは、私の研究書を「難しい」と判断するでしょう。もし私がいつも通り「だ・である」調で書いたらね。



 そこまで決意するには、結構長い時間が掛かりまして。一つには先ごろ読んで非常に感銘を受けた菊池成孔・大谷能生共著になる『東京大学のアルバート・アイラー』がヒントになっております。この本、ものすごく内容の濃い本ではありますが、にもかかわらずめちゃくちゃ面白くて読み易い。それは、この本が「講義録」の体裁をとっていて、基本、話し言葉で書かれているからです。話し言葉ってのは、基本、読み易いですから。

 だったら私もこれに倣って、「話し言葉」的な文体で研究書を書きあげたらどうなんだ、ってことですわ。

 あともう一つ、亀井俊介先生のこともちょっと頭にありましたかね。

 私が私淑する亀井俊介先生という方は、その膨大な学識にも関わらず、非常に読みやすい文章を書かれる方なんですが、その方がいつもおっしゃるのは、「浴衣掛けの姿勢」ということです。つまり文学を語るのに、四角四面はないだろうと。温泉でひとっ風呂浴びた後、浴衣掛けで、それこそビールだのつまみだのを前にしながら、リラックスして語り合うというのが、文学を語る時の正しいあり方なのではないか。それが亀井先生の日ごろからのご主張ですね。ですから亀井先生の書かれる文章には、まさに浴衣がけの気楽さと洒脱さがある。文章の向こうに亀井先生の温顔が見えてくるような、そんな話し言葉になっている。

 で、私も、そんな調子で本を書けないかしらと。

 もちろん、「話し言葉」的な文体で行くにしても様々なやり方があって、菊池・大谷組のような講義録的な文体と、亀井先生的な浴衣掛けの文体とはまた随分異なると思いますが、要はふざけ過ぎず、読者に対する敬意を失わず、かつ面白いことは面白く、難しいことは噛んで含めるように説明していく、というね。そんな文体は作れないかと。

 で、ふと思ったのですが、私が探している文体というのは、ひょっとして私が日々このブログに書いているような文体なのではありませぬか??

 青い鳥は我が家に。答えは目の前に。

 ということで、もし今回の本が完成したら、それは本ブログの読者には聞きなれた声で書かれているかも知れません。

 しかし、そう決意はしたものの、まだまだ試行錯誤は続きます。文体ってのは、ほんとに微妙な部分のさじ加減ですからね。どこまで砕けた感じが許されるか、どこでちょっと引き締めるか。その辺の見極めを手さぐりしながら、とりあえず行けるところまで行ってみようと、まあ、そんな風に思っている今日のワタクシなのであります。





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Last updated  April 14, 2010 12:32:02 PM
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青い鳥は我が家に。答えは目の前に。  
藍毘尼 さん
人生とはそういうもんです。
>青い鳥は我が家に。答えは目の前に。

そう思います。

>ということで、もし今回の本が完成したら、それは本ブログの読者には聞きなれた声で書かれているかも知れません。

仕上がりを楽しみにしております。

>青い鳥は我が家に。
この事を私が実感したのは、真面目な仕事人間の夫が、このたび、私と息子に車をプレゼントしてくれることになったんです。
そろそろ新車が欲しいと待ちこがれていた時期だったので、青い鳥の夫に感謝です♪

釈迦楽先生のブログも私にとっては「青い鳥」ですよ♪感謝してます。

(April 14, 2010 02:27:13 PM)

Re:文体の模索(04/14)  
釈迦楽先生;
文体というのは実はこのワタクシも常日頃大いに気にしています。
私のブログは「硬い、漢字が多い、難しい、長い!」といつも知人や友人から批判を受けています。そこで最近は手紙の文体を借りて書いたりもしてみました。そしたら相変わらず読者数は増えなかった(!)けれど、僅少ながらコメントを下さる方が増えました。(楽天のブログではなく、「50歳未満お断り」というシニア・コムに掲載してる同内容のブログの話です。)

敬体は「独語」や「主張」に適しており、常体は「対話」や「語りかけ」に適しているようで、常体で書くと読み手は著者に対して親近感を感じやすいようです。
しかし、常体は敬体に較べて冗長で文字数が増えてしまう。字数に制限がある文章だと困ることがあります。
常体でも「・・・です」の最後に「ね」の一文字を入れるだけで雰囲気ががらりと変わります。また最近は「絵文字」というものも携帯メールを中心に広く使われます。私自身の体験では、これは使いようによっては「雰囲気」や「気持ち」を伝える際、結構な量の文章を凌駕するほどの力があります。なかなかどうして、絵文字も馬鹿にはできません。

釈迦楽さんの「ハーレクイン本」は研究書だそうですから、まさか絵文字までは無理でしょうが、常体の文体を駆使して、ぜひ新境地をお開きくださいますよう・・・ね。 (April 14, 2010 02:33:15 PM)

Re:青い鳥は我が家に。答えは目の前に。(04/14)  
釈迦楽  さん
藍毘尼さん

 新車、一遍に2台ですかっ! そいつは豪儀ですね! 前にエコなクルマとおっしゃていましたが、やっぱりハイブリッド? 私の同僚で最近プリウスを買った人がいますが、「リッター23キロは軽く走るよ」と言ってました。燃費に関してはアルファロメオの3倍走りますね・・・。 (April 15, 2010 09:17:54 AM)

Re[1]:文体の模索(04/14)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

 マックさんの世代で絵文字に抵抗なし、むしろ評価する、というのは、意外に少数派なのではないでしょうか。やはり日ごろ文章を書かれるから、その効能も実感されていらっしゃるのでしょう。

 私もいつか絵文字入りの研究書、書こうかな! ・・・というのは無理として、文体の追求には研鑽して参ります。常体・敬体、どちらにもメリットがありますので、TPOによって使い分けつつ。 (April 15, 2010 09:23:55 AM)

Jazzy Shaka-raku!  
寺子屋 さん
お久しぶりです、寺子屋です。
このブログを読みながらいつも思うことですが、プロの仕事というものはこうして試行錯誤して生み出されるものなのですね。「話し言葉」的な文体のご本、楽しみにしております!

先のブログにありましが、ピアノを始められたそうですね!1日1時間とはお仕事との両立が大変でしょうね。1年後には釈迦楽コンサートなんてあったりして!
私も長い間クラシックピアノを習っていましたが、コードにはほとほと疎いです。クラシックの弱点ですね。この際むっずかしいコード進行を極められ、(大人のピアノといえばJAZZ!ですよね)リスナーからジャズメンに転身されてはいかがでしょうか! (April 15, 2010 03:26:58 PM)

Re:Jazzy Shaka-raku!(04/14)  
釈迦楽  さん
寺子屋さん

はろー、寺子屋さん、久しぶり! 元気だった?

 そうなんです、ピアノやり始めたんです。今は大人のためのピアノ教則本が沢山出ているからね。

 で、コードってのはさ、クラシックにはあまりない概念のようで、クラシック・ピアノを弾く家内に言わせると、コードなんて考えなくったって、楽譜の通りに弾けばいい、とのことですが、ま、初心者向けのフォークギターのように、左手でコードを弾いてしまうと、初心者でも何となく様になる、という感じはします。

 つまり、コードは楽器演奏の「裏ワザ」と言えそうです。いわば、楽して上達したい(上手に見せかけたい)僕向き、ということですな。

 とはいえ、まだまだ道のりは遠いです。まだ再開して1週間くらいだからね。でも、自分でも驚くことに、子供の頃にはあれほど嫌だったピアノの練習が今は全然嫌じゃないの。やり始めると1時間とか1時間半とか、あっという間です。変だねえ。子供の時にこのくらいの熱心さでやっていれば今頃は・・・。

 寺子屋さんも「昔やってた」なんて言ってないで、今も弾けばいいじゃないの。お子さんたちも、お母さんの背中を見て、興味を覚えるかもしれないよ! ・・・トーコちゃんにはちょっと早いか・・・!? (April 15, 2010 03:55:02 PM)

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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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