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January 22, 2013
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カテゴリ: 教授の追悼記
 明治学院大学で教鞭を執られていた英文学者、大津栄一郎先生が亡くなりました。享年81。

 大津栄一郎先生と私の接点というのは、実のところ、無いようなものなのですが、それでも一つだけ先生にまつわる思い出のようなものがありまして。

 あれは私が大学3年くらいの時だったと思いますが、たまたま通学の行き帰りの電車の中で、大津先生がお訳しになった『ヘンリー・ジェイムズ短編集』(岩波文庫)を読んでいたんです。

 そしてその中の「荒涼のベンチ」という短編を読んでいるうちに、非常な感動に捕えられ、その短編を読み終わった時、ちょうど電車が私の降りるべき駅に着いたのに、感動のあまり足が前に出ず、電車から降りそびれて次の駅まで運ばれてしまったのでした。

 まあ、足が動かなくなるほどの感動というのは、なかなか無いものですから、私にとって大津訳ヘンリー・ジェイムズというのは、結構、忘れられない本なのでございます。


 ところで、この話にはまだ続きがある。


 さて、それだけ感動したものですから、帰宅後、いそいそと同書の訳者解説をも読みふけったことは言うまでもありますまい。

 ところが。

 その「荒涼のベンチ」についての大津先生の解説が、その・・・、実につまらないものだったのであります。



 で、そのことを、当時の私の指導教授だったO先生にいささか興奮気味に告げ、大津先生の解釈と私の解釈、先生はどちらが正しいとお思いですか? と尋ねたのでした。しかし、O先生はあまりはっきりとしたことはおっしゃらなかった。

 その後、O先生は体調を崩され、入院生活を繰り返されることとなる。で、私もそれに伴って、それこそ毎日のようにO先生が入院されている病院に行くこととなり、家と大学と病院の間を三角形に移動する日々を過ごすこととなる。

 で、そんなある日、いつものように大学の帰りに病院に立ち寄ると、O先生がニヤニヤして「惜しいところだったぞ」とおっしゃる。

 何かと思ったら、私が伺う寸前まで、大津栄一郎先生がO先生のお見舞いにいらしていて、ニアミスだったというのです。

 「あと5分、君が来るのが早かったら、大津君と対決出来たのになあ」。O先生はそう言って笑われたのでした。


 はじめに言ったように、私は大津先生には直接の面識がないのですが、大津先生というと『ヘンリー・ジェイムズ短編集』と「荒涼のベンチ」のこと、そしてO先生の病室でのニアミスのことを懐かしく思い出すのでございます。それだけの薄いご縁ではありますが、しかし、印象的なご縁として、私はここに大津栄一郎先生のご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。


これこれ!
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Last updated  January 22, 2013 11:33:57 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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