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June 23, 2016
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カテゴリ: 教授の読書日記
 5月25日に読み始めたものの、他の本に手を出したりしていたもので、読了が遅くなってしまったのですが、ようやくマクスウェル・マルツの『自分を動かす』(原著は1960年に出版された大ベストセラー)という本を読み終わりましたので、もう一度心覚えをつけておきましょう。


 前回も記しましたが、マクスウェル・マルツに関して興味深いのは、彼が整形外科医であるということ。事故などによって顔に負傷したとか、あるいは生まれつきの自分の顔立ちに自信が持てなくてコンプレックスになっている人を、外科的手術で助けてきた経験からものを言っているというのが、非常に独特なところ。

 そんな彼の経験から言うと、人間というのは、客観的な事実ではなく、自分が思っているイメージによって自己規定するものであると。

 だから、客観的に見ていくらハンサムな人間であろうが、本人にコンプレックスがあって、自己イメージが悪ければ、どうしても積極的にはなれないわけ。

 しかし、マルツ曰く、そうした自己イメージは変えられると。その「変えられる」というところが、もちろん、ポイントであります。だからこそ、人間は自分の力で自分の人生を変えられるという、ポジティヴな発想が出てくるのであって。

 で、このあたりで登場するのが、マルツの特異な言葉遣いである「成功へのサーボ機構」というもの。

 もっとも、この「成功へのサーボ機構」というのが、イマイチ、何を言っているのかよく分からないのですけれども、「標的に向って飛んでいくミサイルの制御機構」みたいなものをイメージしているらしい。そして、人間の脳とか神経系にはそういうものが備わっているんだと。

 つまり、人間が到達したい目標を明確に設定しさえすれば、そこに到達するまでの過程で様々な予期せぬ状況が生じても、そのサーボ機構が必要な修正舵を効率よく加えてくれるので、ミサイルが的に命中するように、あなたの目的も達成されますよ、的なことを言わんとしているようなんですな。

 例えば、ある問題を解決しようとしている科学者が、ずーっとその問題を考え続けた挙句、夜、夢の中で突如、その解決法を思いついたりする。それは、サーボ機構がそのように(自動的に)調整した結果だと。



 もちろん、このサーボ機構を働かせるうえでカギとなるのが、先程も言いましたように、「自己イメージ」。成功者としての自分をイメージしないと、そもそも成功へのサーボ機構も上手く働かないんですな。だから自尊心を持ち、成功した時の記憶を繰り返し想起し、自分は絶対達成できる、という信念を持つことが重要。

 と言っても、まるで運動をしたことの無い人が、「明日から頑張って、オリンピックで金メダル取る」とイメージ・トレーニングしたってダメ。あくまでも目標は現実的に。

 というとガッカリしてしまう人も多いわけですけれども、マルツによれば、人はナンバー1になれなければ意味がないと思いがちだけれども、そんなことはないのであって、神さまは一人一人違う人間として作られたのだから、人と競う必要なんかないと。人の比べての劣等感こそ、成功へのサーボ機構をうまく機能させられなくするものなので、それはまず排除すべきなんですって。

 このことに伴ってマルツがアドバイスするのは、「自分」と「間違いをしでかした自分」は別物だと考えること。人って、「間違いをしでかした自分」と「自分」を同一視しがちなので、つい、「自分は駄目な奴なんだ!」と思いこんでしまいますが、「間違いをしでかした自分」は「過去の自分」ですから、「今の自分」とは別人です。だから、「自分は(過去に)失敗した」と認識するのはいいけれど、「自分は失敗者だ」と自己規定するのは正しくない。それは劣等感に直で結びつきますからね。

 で、劣等感なんて寄せ付けないでおいて、むしろ幸福感を抱くことがいいと。エマソンが「どんなことにも良い点があります。それを見つけようとするのは、健康な心を持っている証です」と言っているように、いいところを見つけることをクセにすることが重要。幸福とは、要するに、いいところを見出そうとする習慣であると。

 また、世間の常識とか、そういうものも、「成功へのサーボ機構」を働かせなくなる要因になるとマルツは言います。つまり、「そんなこと無理に決まっている、絶対失敗するさ」というような他人の考え方を、人は無意識のうちに取り込んでしまうわけですな。人間の脳とか神経系は、現実と、偏見を区別できないので、もし他人の偏見を取り込んでしまったら、それを現実と認識し、「できないんだ」と判断してしまう。

 だから、そういう偏見を追い出して、「絶対できる」というポジティヴな思いに変えていくことが重要。幸い人間の脳には「エングラム」という記憶のストックがあって、そこに成功した記憶も失敗した記憶も貯えられているのだけれど、そのうち、成功した記憶を頻繁に取りだしていけば、その成功記憶は更に強化される傾向がある。その性質を利用し、成功記憶を強化していけば、上手に「成功へのサーボ機構」を働かせることができるようになりますよと。

 ま、本書の内容はそんな感じですな。


 トータルで言うと、典型的な自己啓発本なんですけれども、例えば「自己イメージが重要」とか、「高望みは駄目、目標までの道のりを現実的に達成可能な細かいステップに分け、そのステップを一つずつ達成していって、最終的に目標まで到達すればいい」とか、「失敗するかも、と思ったら、できるものもできなくなるよ」とか、割と常識的でまともなことばかりなので、とりあえずおかしなことは言ってないよな、という感じではありますね。「サイコ・サイバネティクス」なんていうと、ちょっとヤバいアレなのかなと思っていたら、そうでもないな。まともですよ、まとも。

 特に、「失敗した自分を自分と同一視するな」というのは、個人的には結構ぐっとくるアドバイスだったかも。私も、過去、色々と恥ずかしい失敗を積み重ねてきたわけで、そういう過去の失敗を赤面しながら思い出し、身の置き所のない思いをすることもありますけど、「それは過去の自分。今のオレはその時のオレじゃないもんね」と思えばさ、大分、違ってくるじゃん?

 そう言えば、エマソンも『自己信頼』という本の中で、そんなことを言っていましたね。毎朝、人間は生まれ変わるのだから、昨日と全く違うことを言ったっていいんだと。それを読んだ時、「いや、それじゃあ、無責任なんじゃないの?」と思いましたけれども、マルツの本を踏まえて考えれば、エマソンが言わんとしたことの意味が分かるような気もしますね。









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Last updated  June 24, 2016 02:46:16 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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