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June 30, 2016
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カテゴリ: 教授の読書日記
 ウエイン・W・ダイアー著『自分のための人生』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 ちなみに、この本を訳したのは渡部昇一氏。何せ『知的生活の方法』で世に出た人だけに、英文学者兼右翼の論客でありながら、この種の自己啓発本、好きだよね~。


 さて、ウエイン・ダイアーという人ですけれども、1940年生れで昨年亡くなった心理学者。自己啓発の系列で言うと、アレだね、アドラー/マズロー系のパーソナル心理学だね。そして、ちょいコヴィー系。なんで「コヴィー系」かと言いますと、本書の割と冒頭の方で、いずれ来る「自分の死」というものと向き合おう、そうすれば、つかの間の人生、何をやるべきか、というのはおのずとわかってくる、的なことを言っているところがあって、これはスティーヴン・R・コヴィーの主張と通じるのでね。

 で、そのアドラー/マズロー系の自己啓発のキモは何かというと、徹底的に個人としての人生を生きる、というもの。社会の在り方とかは、個人の力ではどうにもならないのだから、だったら、その中で如何に個人として充実して生きるかを考えた方が得だ、という考え方をする。

 で、そういう風に生きるにはどうしたらいいか、という話なんですけど、そこでダイアーがまず強調するのは、「今、この瞬間を生きろ」ということ。

 ダイアーが見るところ、人間ってのは、「過去を悔む」か、「将来を不安に思う」か、そのどちらかで人生の大半を浪費していると。だけど、過去を悔んだって、今更どうしようもないし、将来はまだ来ていないのだから、心配したってしょうがない。だから、そんなことは放っておいて、徹底的に今を生きろと。


 うーん。それは確かにそうなんだよね。考えてみると、私自身、過去の失敗に拘泥し、将来のことで頭を悩まして、現在の生に集中していないことが多々ある。耳が痛いです。


 それから、もう一つ、ダイアーが指摘するのは、大体の人間が、本当の自分自身を生きていなくて、他人が規定した自分を生きていると。



 ダイアーは、人間の能力に大した差などないと主張しております。時間さえ十分にかければ、誰でもどんなことでもマスターできる。だから、「私は算数・数学の勉強に十分に時間を割かなかった」というのは正しいけれど、「私は算数・数学の才能はないんだ」と考える必要はまったくない。賢さは、遺伝でもなければ、他人から規定されるものではなく、自分で選択するものであると。

 同じように、自分の容貌・体格的なことについてもコンプレックスを抱く必要などまったくない、とダイアーはいいます。例えば顔の美醜は生まれつきのもので変えられないとしても、それに対する自分の見方は変えられる。ならば、自分で自分の顔を好きになればいいのであって、自分の好みを他人に指図される必要はまったくない。

 自分の能力や価値は自分で選択し、そして、今、この瞬間をどう充実させるかを、自分本位で選択する。この「選択」というのがダイアー心理学のポイントですな。

 だから、ダイアーは自分の感情も自分で選択しろといいます。

 普通、人は「感情」というのは、自然発生的に発生するので、自分ではコントロールしようがないと思っているけれども、そんなことは嘘っぱちであって、感情だって、自分で選択できる、とダイアーは言います。

 例えば自分の子供が自分の言うことを聞かなくて、ついカッとしてしまうことがある。だけど、それは実は「カッとすることを選択」したにすぎないと。そうすれば、怒りが発散できるし、子どもはビビるし、都合がいいからその選択をしただけだと。だけど、そういう選択をしたことで、長い目で見れば、子どもとの関係が悪化するなど、損をしていることも多い。

 だったら、「怒らない」という選択をすればいい、とダイアーは言います。

 一事が万事。感情は、常に選択の結果だと喝破すれば、今後、何かの折にむらむらとある感情が湧き起ってきた時、その感情に身を任すか、それとも別な感情を選択するか、その判断ができるようになる。

 要するに、自分本位の選択をすることによって、過去の過ちからも未来の不安からも他人の評価からも、また自分自身の感情からも自由になれ、ということですな。





 ま、それはともかく、 

 だから、群れるなと。他人がどう自分のことを思おうと、そんなこと一切気にするなと。とにかく、自分が幸福だと思う道を選べと。


 また、ダイアーのアドバイスによれば、他人との関係についてもすべて自分本位でやれ、ということになります。

 例えば他人が自分を頼ってきたら、容赦なく断れと。



 他人との付き合いは、その付き合いをすることで自分にとってメリットがあるときだけ付き合えばいいので、不本意な付き合い方なんてしなくていいと。同じように、自分も他人を頼ってはいけないし、自分の考え方を他人や社会に押し付けようと思ってはいけない。

 そうやって、天上天下唯我独尊で生きて行けと。それがダイアーの人生哲学ですな。


 ま、個人的な読後感を申しますと、全体としてかなり納得できる内容ではありましたね。特に「現在を生きろ」という主張と、「感情は選択できる」という主張に関しては、その通りだと思うし、もしそれを実行できたら、人生は大いに改善されると思います。

 あと、「すべて自分本位で決めろ」「他人のことは基本、かまうな」という点、この点が特にアドラーっぽいところですかね。アドラーは、「人生の悩みはすべて対人関係だ」と言っているわけだから。その点、その問題を引き起こす対人関係を、すべて自分本位の観点から切断してしまうダイアーの行き方は、アドラーの主張を踏まえた上での、一つの解決策の提示、というところがある。切ってしまえば、そもそも対人関係のトラブルはなくなるわけだから。

 まあね、特に他人との関係については、「ダイアーの言う通りにしていたら、功利的な人間関係しか構築できないのではないか」とか、「親子関係は損得では判断できない」とか、批判されそうな感じもしますけれども、ダイアーからすれば、「そんなこと言っているから色々問題が生じるので、自分はその対処法を示しているだけだ」と言うところでしょう。

 だから、別に「ダイアーのアドバイスする生き方がベストだ」とする必要はないのだけど、ケース・バイ・ケースで彼のアドバイスを部分的に取り入れる、というあたりが、この本の使い道なんじゃないかな。


自分のための人生 [ ウェーン・W.ダイアー ] 価格:637円(税込、送料無料)







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Last updated  July 2, 2016 01:03:44 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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