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July 15, 2016
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カテゴリ: 教授の読書日記
 カレン・ケリーという人が書いた『ザ・シークレットの真実』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 この本、まあ、タイトルから分かる通り、ロンダ・バーンのベストセラー『ザ・シークレット』の批判本です。

 なんですが、私に言わせればこの本自体がダメダメで、批判される方も批判する方も双方テキトー過ぎて、話にならないというね。

 ケリー本の何がダメかというと、バーンを批判するその方法がザル過ぎて、水を入れる傍からジャージャー洩れるという。

 例えば、バーン本がラルフ・ウォルドー・エマソンという19世紀アメリカの思想家を引き寄せの法則の体現者と見なしていて、その言葉を引用するのだけど、その引用の出典が分らない、という点をケリーは批判するんですな。そのエマソンの言葉というのは、「『秘密』とは、これまでにあったものすべて、今あるもののすべてそして、未来のすべてへの解答です」というものなのですが。

 で、もしそういう形で批判するなら、「私はエマソンの全著作をあたりましたが、このような言葉はどこにもありませんでした」と言わないとまずいんじゃない?

 だけど、ケリーはこういう批判の仕方をする。「私はエマーソンの『自然論』『エッセー第一集』『エッセー第二集』『詩集』『May Day』『書簡集』『人生論』『代表的人間像』を片っ端から探しましたが、似たようなものすら見つかりませんでした。もっとも、私は代表作しか検索していませんので、もっと無名の作品の中にあるのかもしれません。」(220頁)

 「もっと無名の作品の中にあるのかもしれません」じゃあ、批判になってないじゃん! 

 ま、ケリーのバーン批判というのは、一事が万事、この調子であって、要するにやたらに売れて大ベストセラーになっている『ザ・シークレット』を妬んだ三流ジャーナリストが、一応はこれを真向批判する、みたいな体の本を出して、あわよくば世間の注目を集められたらいいなと思ってテキトーに書いたとしか思えないような内容でございます。




○「リングリング・サーカス」で有名なP・T・バーナムが1880年に金儲けのためのハウツー本、『Art of Money Getting』というのを出している。

○バーンの『ザ・シークレット』が出版された2006年から2007年頃にかけて、アメリカ経済は不安定になっていて、この本が受け容れられる土壌が出来あがっていた。

○『ザ・シークレット』DVD版の制作にあたって、バーンはスピリチュアル系自己啓発本の著者エスター&ジュリー・ヒックス夫妻とトラぶっている。

○オプラ・ウィンフリーが『ザ・シークレット』を2007年2月8日と3月30日の2度取り上げたことも、この本をベストセラーにするのに大いに貢献した。ちなみに、なんで2回取り上げたかというと、最初の回で『ザ・シークレット』のことを知ったとあるテレビ視聴者が、その直後に乳癌が見つかったものの、自分は医学的な治療ではなく、この本の勧める通り、宇宙に頼むことで癌を克服することに決めた、と、オプラに手紙で知らせてきたので、オプラが焦って、「そんなことしちゃダメよ~!」っと伝えるために、2回目の放送をせざるを得なかったため。

○ライダー大学のジョン・スーラ―によれば、ポジティヴ心理学のルーツはノーマン・ヴィンセント・ピールにあるという。

○サンディエゴ州立大のジョーン・トゥインジによると、1982年以降の生れた若者は、「なりたいものには何にでもなれる」といった思考回路を持っていることが多い。

○江本勝の『水は答えを知っている』がアメリカで流行したのは、What the Beep Do We Know? という映画によって紹介されたため。

○今や200を超える大学で「ハピネス101」というようなポジティヴ心理学の講座が開かれているが、これはアブラハム・マズローの1943年の「自己実現理論」の影響大。

○ニューソート系の専門雑誌としては『サクセス』の他にもう一つ『ノーチラス』がある。これは、エリザベス・ストラブル(=エリザベス・タウン)が創刊したもの。19世紀末から1950年代初頭まで継続。

○コリアーズ・マガジンを創刊したピーター・F・コリアーの甥のロバート・コリアーは、『ザ・シークレット』出も取上げられている有力なニューソート作家。

○プレンティス・マルフォードの生涯について。孤独な死の状況など。



○量子力学は、引き寄せ系の恰好のよりどころとなった。特に観察者によって実験結果が左右されるという「量子収縮」という現象など。

○ソーカル事件で有名なアラン・ソーカル曰く、「宇宙の歴史の大半において、人類は存在していなかった。だから、人間の意識が宇宙の歴史や創生に関与していることはありえない」。

○リック・ウォレンの『The Purpose Driven Life』のように、宗教的でない人の心を掴むような本が沢山出ている。

○ナポレオン・ヒルがアンドリュー・カーネギーから調査を依頼された、というのは、ヒルの著作にしか出てこない情報で、本当にカーネギーが彼に調査を依頼したかどうか、あるいは、二人が実際に会見したことがあったかどうかすら、事実としては確認できない。



○ナポレオン・ヒルの再婚相手ローサ・リー・ビーランドは、彼女自身『How to Attract Men and Money』なる本を書いていて、しかも、和解金をごっそりとってヒルと離婚している。

○ウィリアム・クレメント・ストーンのトレードマークは蝶ネクタイ。


 まあ、私がこの本から釣り出した面白い話題って、こんな感じかな。どんなにつまらない本からでも、読んだ以上はこの程度は拾う。そこが、タダでは起きない私のがめついところでありまして。


 とはいえ、学問的にはまったく大したことがない本ですから、「教授のおすすめ!」は無しにしておきましょうかね。





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Last updated  July 16, 2016 01:16:07 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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