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January 20, 2020
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カテゴリ: 教授の読書日記
クリントン大統領を補佐した元アメリカ合衆国副大統領、アル・ゴア氏が書いた『不都合な真実』を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 アル・ゴア氏は、2000年の大統領選挙戦でジョージ・W・ブッシュ氏に敗れた後、政界を引退、自分たちが積み上げてきた政策がブッシュ氏らの共和党政権によって次々となし崩しにされていくのを眺めつつ、その無力感の中で新たに見出したのが、若い頃から興味のあった環境問題。よし、今後はこれで食って行こうってんで、地球温暖化に警鐘を鳴らすムック『不都合な真実』(映画版もあるよ)を出して、見事ノーベル平和賞ゲット! ある意味、地球温暖化はゴア氏にとっては都合のいい真実となったのでありました。

 で、そもそもゴア氏が地球環境問題に興味を持ったのは、子供の頃、母親にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』を読み聞かされたこと。で、この傾向は、大学時代にロジャー・レヴェルという先生について学んだことで決定的になるんですな。このレヴェルという人は、1950年代から人間が作り出す二酸化炭素の増大が地球の温暖化につながることの実証に取り組んだ科学者。

 で、大統領になれなかった悔しさとヒマに任せて調べてみたら、二酸化炭素の増大は、とにかくめっちゃヤバいということが分かった。選挙に負けたとはいえ、腐っても元副大統領ですから、やろうと思えば何でもやれる。地球温暖化の被害を受けていると思しき場所に行ってみたいよーと言えば、誰かがそこへ連れていってくれる。で、実際にそういうところに行ってみると、まあ、たしかに状況はひどい。昔、大河があったところは干上がり、昔湖だったところも干上がり、寒さによって虫が死ななくなったことで松の大森林はキクイムシにやられ、氷河はなくなり、北極の氷も小さくなり、南極も氷が崩れ落ち、サンゴは白骨化し、生物はどんどん絶滅している。

 ちなみに、アメリカの原潜が北極海から巡航ミサイルを打ち上げるには、その前にまず北極の氷を破って浮上しないといけないのですが、それには氷の厚さが1メートル以内でないとまずいのだそうで、だからアメリカ海軍はこの50年、ずっと北極海の氷の厚さをレーダーで測り続けているんですな。で、その海軍が公表したがらない極秘データを元副大統領としての圧力かけて入手したところによれば、北極の氷がどんどん薄くなっているのは明らかなんですと。

 あとね、昔は、鳥の雛が孵る頃に、毛虫が大発生して雛の餌になっていたのだけど、最近は温暖化で毛虫の発生時期が早まり、鳥の雛が孵る頃には毛虫は既に居なくなってしまうんですと。だから雛ちゃんもあわれ飢え死にすると。そんな感じで、地球温暖化は様々な形で地球上の生態系を崩しつつある。

 で、そうであるにも関わらず、世の中には「温暖化なんかウソ、ウソ」と主張する人々もいる。特に、産業よりの共和党は、ロビイストを使って「温暖化ウソ説」を吹きこんでいるそうですが、少なくともゴア氏によれば、地球温暖化の事実、そしてその原因が二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスにあることは、重力の法則の次くらいに異論のない科学的言説なのだそうで。

 だから、温暖化は止めなきゃいかん。二酸化炭素ガスを少なくしよう! シンプルですが、ゴア氏の結論はそこね。

 じゃあどうすればいいか。本書の終りの方は、二酸化炭素ガス排出を抑えるために我々ができることが色々書かれているのですが、例えば電球を蛍光灯に変えようとか。風力発電を増やそうとか。飛行機に乗るのを控えようとか。冷蔵庫を壁から少し離そうとか。マイバッグを持とうとか。肉を食うのを減らそうとか。



 あ、それから、本書にはゴア氏の家庭のことがあれこれ書かれていて、いかにいい親に恵まれたか、ティッパーはいかにいい妻か、子供たちはいかにいい子か、ってなことがあれこれ書かれている。家族自慢の本でもあるという。

 ちなみにゴア氏、そんなに素敵な奥さんのティッパーとはその後離婚して、政治家時代の大口資金提供者、つまりは金づるだった女との再婚へ向けて交際中とか。

 おい! その不都合な真実はどうなんだ! っていう。

 ま、本書はそんな感じです。

 つまらなくもないけれど、それほど面白くもないっていう感じの本。じゃあ、なぜこれを私が読んだかと申しますと、これもまた一つの「自己啓発本」だと思うから。地球は危機的状況にある! だから我々人間はこの星の上での生き方を変えねばならぬ! っていう意味の自己啓発本。

 そういう系統の自己啓発本はあって、例えばラブロックのガイア理論とか。で、そういう「地球の視点」から人間の生き方を改善する必要を謳うっていうのは、ヒッピーの考え方でもあって、ということはスピリチュアル系の自己啓発本とかとも同根だったりするわけよ。

 大体さ、アル・ゴアって、ヒッピー世代でしょ。ベトナム行った人だから。兵隊としてではないようだけれども。

 だから、本書冒頭でも、青い地球の写真、宇宙から見た地球の写真がどーんと。1972年12月、最後のアポロとなった17号が地球と月の中間点から撮った写真。日食の時に撮った(つまり地球とアポロ17号と月と太陽が一線に並んだ時に撮った)ので、光源が真後ろにあるものだから、地球が実にキレイに撮れている。その後、地球の写真というと、この写真が頻繁に使われたのだとか。ま、そんな地球の美しい写真を冒頭にどーんと載せて、「こんなキレイな地球を、汚しちまっていいの?」という、言葉にならない暗黙のプレッシャーをかけるという。ガイア系/ヒッピー系自己啓発本の常套手段でありまして。

 ま、そんな本。私は仕事上の興味があるので読んでしまいますが、人におすすめするかっていうと、どうかな。そういう方面に興味のある方はどうぞ、って感じでしょうか。


これこれ!
 ↓

不都合な真実 (実業之日本社文庫) [ アル・ゴア ]





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Last updated  January 21, 2020 12:06:40 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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