〇アメリカという国は、一般のイメージとは異なり、社会的上昇傾向が特に著しかったというわけではないのだが、それでも「機会と成功の国」というイメージが強く、それゆえに移民を惹きつけてきた。で、そんな中、『Pushing to the Front』(1894) や『Rising in the World, or, Architects of Fate』(1896) などの著書で知られるオリソン・マーデンなる人物が1897年12月に創刊したのが『Success』誌。
〇本誌の創刊当時、アメリカでは既に一代で財を築くといったアメリカン・ドリームの時代が終わりつつあり、成功の機会の減少が嘆かれていた。しかし『サクセス』誌は「機会はどこにでもある。アメリカは機会の別名に過ぎない」と獅子吼、『Acres of Diamonds』の説話を説き、機会の不足を嘆く前に、自分の足元にある機会を拾え、と主張した。そして読者はこの主張に奮い立った。(とはいえ、「正直者がこれだけ懸命に働いているのに、どうして暮らしが豊かにならないのか」と、同誌に質問してきた読者もいて、それに同誌が満足のいく回答を返すことはできなかった。)