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January 1, 2022
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カテゴリ: 教授の読書日記
本ブログの読者の皆様、明けましておめでとうございます。皆さまにとって、(そして誰よりもワタクシにとって)本年がいい年になりますように!


 さて、コロナのせいで2年連続、初買いショッピングの楽しみを我慢したワタクシ、結局、お節を食べた後はノンビリ実家で本を読んだり、ちょっとだけ論文を書いたりしながら過ごしておりました。

 で、今日読んでいたのは、岩田徹さんの『一万円選書』という本でありまして、これは先日、本ブログで言及しました「年末・年始にかけて読もうと近所の本屋で買った本」でございます。で、それを読了しちゃった。つまり本年最初の読了本ということになりますね。

 この本の著者の岩田さんというのは、1952年生まれだそうですから、ワタクシより一回り年長ですね。北海道の炭鉱に生まれ、後に親が祖父の書店を継ぎ、やがて岩田さんもその書店を継ぐ形で本屋さんになったと。時代はバブルの頃で、その時分は本もよく売れ、町の小さな本屋だった「いわた書店」でも立ち読みの客がごった返していて、通路を歩くこともままならないほどだった。

 で、調子に乗って店舗の拡張をしたところで、バブル崩壊。客足は遠のいたのに借金を背負うことになってしまった。で、そんな厳しい状況に20年ほどさらされて、もうどうにもならない、本屋を畳むかというところまで追い詰められたというのですな。

 ところで、岩田さんは函館ラ・サール高校の出身なんですが、店を畳むかどうか悩んでいた時、ラ・サールの先輩と酒を飲む機会があった。で、裁判官だか検事だかになっていたその先輩に、本屋の窮状を訴えたところ、その先輩がズバッと1万円札を岩田さんに手渡して、これで俺に合う本を選んでくれと頼んだというのですな。まあ、先輩からしたら、少しでも岩田さんの店の売り上げを上げてやろうという心づもりだったのでしょう。

 で、その時、岩田さんは、これは一つのチャレンジだと思ったというのですな。それで店に帰ってから一生懸命考えて、その先輩の性格やらなにやらに合わせたおすすめ本を1万円分選び、先輩に送ったと。

 そしたら、岩田さんの選んだ本を全部読んだその先輩曰く、「勧められた本は皆面白かった。ところで俺のような客が100人もいたら、お前の店も大分楽になるんじゃないか・・・」。

 これに岩田さんはピンときたわけね。で、彼は「一万円選書」というアイディアを思いつく。早速「一万円で、あなた向けの本を選びます」という企画を打ち上げ、ネットで募集したと。それが2007年の話。



 そしたら2014年にとあるテレビの深夜番組が岩田さんの一万円選書のことを取り上げたと。

 すると、もうその瞬間から日本中から選書の依頼が殺到! 以後、多い年で7000件、平均しても3700件くらいの依頼がくる。4000件と考えても、それぞれが1万円の依頼なら4000万円。そのうちの2割が収入になるとして、800万円。それプラス、書店としての売り上げもあるわけですから、北海道のド田舎の小さな独立書店の売り上げとして悪くない。

 それよりも何よりも、毎日2時間、数名の依頼にこたえるために選書をするその時間の充実感! これが岩田さんにとっては重要だった。それ以前は苦しみだった書店の経営が、今はライフワークになり、やりがいを感じながら、作家と読者の中継ぎの役割を全うしている。60歳を越えてからの逆転人生。それから10年、今もなお殺到する選書依頼にこたえながら、冥利に尽きる書店経営を続けていると。

 ま、そんなことの次第が書いてある。それがこの本の内容なんですな。

 なかなか面白いよね! 岩田さんに1万円札をズバッと差し出して、最初の「選書」を依頼した先輩という人も素晴らしいし、それにヒントをつかんだ岩田さんも素晴らしい。そして最初はなかなかうまくいかなかったけれども、それでも長く続けたことでテレビ番組に取り上げられて一気に逆転した、というのも面白い。また最果ての小さな町の書店、在庫も少なく、人通りも少なくて、書店経営としては最悪の土地なんだけど、そのことが逆に「選書」をするための時間的余裕をもたらすという、逆転の状況がまた面白い。そしてなにより、60歳を越えての逆転劇、今では仕事が他のして仕方がないというのも素晴らしい。

 本が売れない、条件も悪い、あとはもう店を畳むしかないという状況は同じなのに、「一万円選書」という企画一つでこの状況がオセロゲームのように全部好転してしまうというね。それを考えたら、今、苦境に陥っている人だって、ひょっとしたらその苦境こそがチャンスなんだって思えるかもしれないじゃん? 考え方のヒントとして、面白い実例だなと。

 ま、そんな感じで新年一発目の読書はなかなか面白かったのでした。

これこれ!
 ↓

一万円選書 北国の小さな本屋が起こした奇跡の物語【電子書籍】[ 岩田徹 ]


 しかし・・・それにしても、やっぱりテレビの影響ってのは、ものすごいのね。深夜番組でちょっと取り上げられただけで、一発逆転になっちゃうというのだもの。誰か、深夜番組で、私の書いた本のことを取り上げてくれないかしら・・・。





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Last updated  January 1, 2022 04:00:05 PM
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釈迦楽@ Re[1]:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) ゆりんいたりあさんへ  いやあ、メッシ…
ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
釈迦楽@ Re[1]:S師範と稽古(06/11) はちみつ先生へ    こちらこそ、有意義…
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