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June 26, 2025
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カテゴリ: 教授の読書日記
梨木香歩さんが書かれた『炉辺の風おと』という本を読みましたので、心覚えをつけておきましょう。

 ちょっと前に同じ梨木さんの『春になったら苺を摘みに』という本を読んで感銘を受け、この作家さんのエッセイ、好きかも・・・と思い、もう一冊読んでみた次第。

 これ、毎日新聞に連載されているエッセイをまとめたものだそうですけど、結論から先に言いますと、やっぱりとてもいいです。

 『春になったら・・・』は、梨木さんがお若い頃、イギリスにしばらく滞在されていた時に出会った人たちのことが書いてあって、それはイギリスに興味がある者にとっては非常に面白い話題だったのですが、今回読んだ『炉辺・・・』の主な舞台は日本の八ヶ岳の麓の山荘。梨木さんがその山荘を手に入れる経緯などから話が始まって、四季折々(真冬は除く)にその山荘で過ごされた日々のことなどが書いてある。

 この段階で私のハートは射られてしまうわけですよ。私もまた、八ヶ岳ファンで、晩年をここで過ごせたら、などと夢想しているのだから。

 で、そういう山荘エッセイとして読んだ場合、まず驚かされるのは、梨木さんの植物や小鳥やリスなどの小動物についての豊富な知識。それは動植物学的な知識というより、山荘にやってくる小鳥や獣の種類を見分け、敷地に咲く野生の花々を愛でるに当たって、自然と身に着いた知識なんですな。おそらくは、そういう小さな生き物たちを見つける度に図鑑などで調べて、そうしてその名を知ったというものなのでしょう。

 やっぱり、モノを愛する、そのスタート地点は、その名前を知ることなのよね。

 しかし、このエッセイ集は、そういう山での生活の平和な話題ばかりではありません。もう少し感情の高ぶる話題もある。

 例えば梨木さんがお父上を亡くされた時の話とか。これは身体の弱った親の介護に直面した還暦世代の人間からしたら切実な話で、私も梨木さんがお父上を亡くされたのとほぼ同時期に父を失ったし、昨年は母を失ったので、梨木さんのおっしゃっていることはよく分かる。あと、梨木さんご自身も最近体調を崩されたことがあったようで、しかしそういう微妙な体調と対話し、全快は期待しないまでも一病息災でやっていこうと覚悟されているあたりも、同じ還暦世代としてはこれまた「わかる~」という感じ。



 とまあそんな感じで、いわば梨木さんの日常の一部をエッセイとして共有させてもらっているような感じの本でございます。

 興味深いキャラクターの人物が多数登場する『春になったら苺を摘みに』と比べると、よほど静かなエッセイですけど、これはこれでいいかな。

 ということで、すっかり梨木香歩ファンになってしまったワタクシ。この本も教授のおすすめ!と言っておきましょう。


これこれ!
 ↓

炉辺の風おと (毎日文庫) [ 梨木香歩 ]





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Last updated  June 26, 2025 02:19:07 PM
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釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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