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September 20, 2025
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カテゴリ: 教授の読書日記
モンゴメリの書いた『青い城』という小説を読んだので、心覚えをつけておきましょう。

 モンゴメリってアレよ、『赤毛のアン』を書いた人。『赤毛のアン』って、昔から超有名だし、我が姉の本棚にもシリーズが何冊も刺さっていたので、子供の頃から読もうと思えばいつでも読めたんですけど、逆に姉の本棚に刺さっていたことで、「これは男の読むものじゃないんだろうな」という気がして、敬して遠ざけていたの。

 そんなモンゴメリの作品を、還暦過ぎた初老のおっさんになってから読むという・・・。シュールじゃろう?

 何で読んだかというと、なんかの本に『青い城』は超面白いって書いてあったから。何の本だったか忘れたけど。

 で、読んでみたら、本当に超面白かった。二、三日、夢中になって読んでしまった。

 以下、ネタバレ注意ですけど、『青い城』ってのは、こんな話。

 主人公はヴァランシー・スターリングという29歳の適齢期を過ぎた未婚女性。スターリング家は、それなりに格式こそあるけれど、没落途上の下層上流階級。だから、娘がいれば財産目当てで金持ちと結婚させる的なしきたりもあるのだけれど、なにせヴァランシー(一家の中ではなぜか「ドス」という愛称で呼ばれている)は地味であまり見目麗しくないので、若さの絶頂にあった頃ですら男性の目を惹いたことがない。だから、このまま行かず後家になりそうな雰囲気で、家族の中ですら憐れまれている始末。

 でまた、家の中には彼女を憐れんだり、からかったりする親戚、おじさん、おばさん、いとこ、口うるさい母親とか、そういうのが山ほどいるのよ。あと、年下のいとこで、絶世の美女オリーブっていうのがいて、この女はヴァランシーの持っていないものをすべて持っており、その格差がまたヴァランシーを悩ませている。そんなヴァランシーの唯一の愉しみは、ジョン・フォスターという自然派エッセイストの本を読むことだけ。

 だから、ヴァランシーは家に居ながらにして居場所がないんだけど、そんな彼女には心の中に「青い城」がある。自分の空想でこさえた理想郷ね。だから白日夢の中で、ヴァランシーは青い城の中で、理想の王子様と幸せに暮らしている。



 ところが、この状況が一変する出来事が起こります。ヴァランシーには狭心症的な心臓の持病があるのだけど、医者に見せたら、「余命一年」って言われちゃうの。言われるというか、手紙で知らされるんだけど。

 心臓の権威とも言うべき医者に、余命一年と言われたヴァランシーは、人生観が一変します。だって、もうすぐ死ぬんだもん。怖いものなしよ。ならば、この一年間くらいは、自分の好きなように暮らそうと思うわけ。

 で、今までは地味で、親やおじさんたちに口答えの一つもしたことのないヴァランシーだったのだけど、一夜にして人格豹変! 今までの借りを返すがごとく、平然と口答えし、嫌なことは嫌といい、今まで言われ放題だったことへの意趣返しのように、彼らの欠点を平然と指摘するような、大胆な娘に大変身。そして親・親戚は驚愕! この立場逆転の愉快・爽快たること!

 で、これからは好きに生きようと決意したヴァランシーは、町の大工兼何でも屋の「がなり屋」アベル・ゲイの娘で、私生児(既に死んでいる)を生んで村八分になっているセシル(シシイ)が肺病で臥せっていると聞くや、一族の猛反対を押し切ってゲイの家に行き、そこで雇われ家政婦となってシシイの面倒を見ることにするわけ。スターリング家は、当初、ヴァランシーに翻意を促しますが、彼女の決意が固いとみると、もう、勘当扱いに。

 かくして家政婦となったヴァランシーは、生まれて初めて自分の力でお金を稼ぐとともに、シシイのいい友達となり、その父親のアベル・ゲイとも親しくなります。飲んだくれだけれども、それなりに教養も信仰もある、親切気のある娘思いの父親として。そしてシシイの私生児の謎も解ける。町の噂では、この界隈に住んでいるバーニイ・スネイス(過去のあるごろつきと思われている)が父親なのではないかと言われていたけれども、そうではなくて、さる上流階級のボンボンにのぼせた挙句のことだったと。そのボンボンは、責任を取って結婚してくれるといったけれども、そこに愛はないと知ったシシイから断っていたんですな。

 でもね、シシイは結局、死んでしまいます。彼女が死ぬ前、ヴァランシーは自分の空想上の青い城のことを打ち明けるんだけど、それを聞いたシシイは「わたしにも青い城があった。名前は「青い城」ではなかったけど」って言うの。そして死んでいく。

 さて、シシイの看病という大義名分が無くなり、アベル・ゲイの家で家政婦を勤める意味も無くなったヴァランシーは、ここでさらなる大胆な一歩を踏み出します。シシイの私生児の父親ともみなされ、町で評判のごろつき、バーニイ・スネイスにヴァランシーの側からプロポーズし、結婚するんです。

 バーニイはアベル・ゲイと親しく、また哀れなシシイのことも気にかけて、しばしばこの家を訪れ、なにくれとなく面倒を見ていたんですな。それを見て、前々から「この人はいい人なのではないか」と、ひそかに憧れていたヴァランシーは、どうせもう少しで死ぬのだから、一度くらい結婚してみたいと思い、大胆に女性の側からプロポーズしてみたと。するとバーニイは、「別に愛しているわけじゃないけど、前から素敵な人だと思っていたから、いいよ」と言ってあっさり結婚を承諾。ある意味、一年間の契約結婚みたいな感じで、二人は正式に結婚します。そしてバーニイの所有する島で暮らすことに。

 島には小さいながらも居心地のいい家が一軒あって、二人はここで楽しく暮らします。家の傍に小屋があって、バーニイは「ここに入ってはいけない、自分がここにこもって何をしていようが、干渉してはいけない」と厳命していたんですけど、ヴァランシーとしては、バーニイがどんな秘密を持っていようと、自分にかかわらないことであれば構わないと思っていたので、これを二人の契約の一つとして認め、とにかく互いに干渉しないと言うことを踏まえて、この上なく快適に結婚生活を楽しみます。でまた、バーニイというのが、自然のことを良く知っている人で、この男と一緒にいると、まあ、楽しいのよ。

 で、そうやって四季が巡り、段々、死ぬ時期が近づいてくる。でもヴァランシーは、以前と違い、心臓の痛みなんてものを感じなくなってもいたんですな。

 そんな時、ヴァランシーとバーニイが町に出た時、たまたまヴァランシーが履いていた靴のかかとが線路に挟まり、身動きが取れなくなる事件が発生! 危うい所でバーニイに助けられますが、そんな大事故にもかかわらず、ヴァランシーは心臓発作で死ななかった。医者には、心臓がドキドキするようなことは絶対に避けろと言われていたにもかかわらず。要するに、ヴァランシーは自分が死にそうにないことに気づくわけ。



 ヴァランシーは意を決して、自分を診察した医者を問い詰めると、医者が別な人と間違えて、彼女に余命宣告をしていたことが判明。さらに島に戻ると、そこにバーニイの父親が来て、実はバーニイが大金持ちの子息であり、絶世の美女と婚約までしていたことが判明! 絶望したヴァランシーは、バーニイに置手紙をし(この時、筆記具を探すために秘密の小屋に入り、バーニイが実はエッセイスト、ジョン・フォスターその人であったことを知ります)、実家に戻ってしまう。すっかり絶望して。

 もちろん、バーニイはヴァランシーの実家に突撃してきて、自分の秘密を打ち明けます。それによると、確かに彼は金持ちの子息だけれど、生まれつきの金持ちではなく、成金の子供であったことから、上流階級の間では馬鹿にされ、親友にも裏切られて辛い子供時代を過して来たこと、そして確かに絶世の美女と婚約したけれど、この女も単に金目当てだったことが判明し、以後、人嫌いとなって自然の中で一人で暮らして来たこと、そして何よりも今やヴァランシーのことをこの上なく愛していることを告白する。

 かくしてすべての誤解が晴れ、さらにヴァランシーの実家も「大金持ちと結婚するなら文句なし」ということでヴァランシーの味方に転じ、皆に祝われてバーニイとの結婚生活、それもリッチな結婚生活を続けることとなりましたとさ。ヴァランシーはついに、彼女の「青い城」を手に入れたわけですよ。オリーブにやっかまれながら。

 というお話。

 まあ、かなり典型的なロマンスですな。ヴァランシーが絶世の美女ではないこと、バーニイが親友と婚約者に裏切られた手負いの「prince in disguise」であること、二人の最終的な結婚で、ヴァランシーが金と身分に不自由しなくなることなど。完全なロマンスでないのは、バーニイが生まれながらの王子様ではないことと、ヴァランシーの実家が、下層とはいえ上流階級であること、くらいかな。



 もう、こうなったら、『赤毛のアン』も読んじゃおうかな! 60過ぎのおっさんが!

これこれ!
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Last updated  September 20, 2025 01:47:49 PM
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