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Ryu-chan6708

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2006.11.28
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カテゴリ: 読書感想


A氏 :君が 格差問題 に知的興味を持ち出したのは、 2006.09.14の日記 からだね。

:そうだね。
 朝日新聞が8月末から毎日のように大手企業の社内請負問題を一面で扱っている記事を読んでいるうちに、君がいうように 半分が非正社員だというのを知ってビックリし、知的興味が湧いたんだよ
 俺が現場にいた頃は、 臨時とかいう非正社員はせいぜい、1割か2割くらいだったからね
 それが常識になっていたからね。
この数年間に何が起きたのか疑問になんだったんだよ
 この「悪夢のサイクル」の最初で、内橋氏が「 今日明日では、変化が見えないが、十年とかいう期間を経ると“変わった”と感ずるのではないか 」とあるがまさにその通りだね。
 この本の中のいろいろなデータは格差問題などこの10年くらいで 日本が“変わった”事実 を突きつけているね。
 格差問題の知的街道の一つの到達点だね。

A氏 :この知的街道は「 労働投入のゆがみ」と格差問題 偽装請負問題と格差問題 、「 黒字亡国」と金融植民地化 偽装請負 イグナシオ・ラモネ著杉村等訳「グローバリゼーション新自由主義批判事典」作品社刊 偽装請負問題と経営 内橋克人著「もう一つの日本は可能だ」 とたどってきたね。

:それでこの本に到達したというわけだ。
 内橋氏は、 格差問題は基本的にネオリベラリズム(新自由主義・市場原理主義)の政策が原因としており、その代表的な教祖としてフリードマン教授をあげているね
 だから、この考えで政策を実行した国、例えば、チリーなども格差問題が発生しているという。
 彼のグループはシカゴ大学を中心としたので、その教えを信奉する人たちを「 シカゴ・ボーイズ
 内橋氏は、 竹中平蔵氏は日本のシカゴ・ボーイズだという
 フリードマン教授は11月16日に94才で死去したが、 今週の日経ビジネスでは竹中平蔵氏が追悼のエッセイを書いているし、ウオールストリートジャーナルの「故フリードマン博士の功績」という記事も紹介しているね。
 もっとも、この追悼エッセイでは、竹中氏は「 もし、『フリードマン氏の思想は小泉改革にも直接的な影響を与えたか』と問われればそれにはノーと答えるでしょう 」とあり、内橋氏の意見とは合わないようだね。

A氏 :内橋氏は、政府の力をもっと持つべきだという考えかね。

:それは市場原理主義のように市場にすべてをまかせるのでなく、 人間尊重を中心において多少の規制はしつつ市場をうまく使いこなして経済成長もしていくという考えだね
 社会主義のような強い国家権力に頼る道でもない。
第三の道を提言している
 内橋氏は、 フィンランドをその第三の道を進んでいる国として紹介している

A氏 :そういえば、最近はあまり企業のトラブルが多いので規制が強化されている面もあるね。
 内橋氏は、すでに10年ほど前に「 規制緩和という悪夢 」という本を出して 格差問題の発生などいろいろ予測したが、ほぼ当たっているね

それはアメリカのレーガン時代にとった規制緩和の結果が、すでにアメリカでは問題として出ていたので、同じ現象を日本の規制緩和で予測できたと言っているね

A氏 :アメリカの有名な 航空業界 の路線の参入・退出、運賃の規制撤廃があるね。
 たしか1978年からかね。

私: 結局は、新規参入組みで成功したのは1社で、他はほとんどが倒産し、 市場を制したのは既存の大手航空会社で、従業員は賃金ダウンと不安定雇用となった
しかも、運賃は高くなっているという
 だから、 ヨーロッパでは航空の規制緩和をすべきかは大論争になって慎重だという
 小泉政権でとった政策は、まったく、レーガン政策の真似だね。
 しかし、まだ、農業、教育など規制緩和は進んでいるね。
教育再生会議 がスタートしたがそれは 公的教育に市場原理の導入だね

A氏 :安部首相は、「 教育バウチャー制 」の導入を目指しているようだね。

:「 教育バウチャー制」は、フリードマンが公教育の場に市場原理を導入するためのシステムだ。
すでにアメリカ、イギリスでは実施中で結果は出ていて、それは学校格差が激しくなり、教育格差の階層化はいっそうすすんでいるという

A氏:だから、 教育再生会議でも反対論が多く、難航が予測されているんだね

私:なんせ、 国際的な貿易の決済には8兆円の金があればいいのに、世界を歩いている投機マネーは300兆円あるという。
このマネーが投機をもとめ、規制を緩和させ、市場化させ、その結果、世界の多くの人を格差に追いやっているという
 この本の題名の サイクル とは、このマネー投機のサイクルが十年くらいのサイクルでいろいろな国に行ったり来たりして、マネーは儲けるが一般民衆は次第に荒廃していくという。
 それがあるときは、株価を押し上げ、あるときは他に逃げて株価をさげる。
 世界が一部の人の一種の 賭博場 になっているんかね。
金持ちがマネーを賭けて楽しんでいるだけならいいが、格差拡大、治安の悪化、地域の荒廃などと犠牲は一般のマネーなき民衆にシワヨセだね
 儲けるのはマネー支配者かね。
 格差はさらに拡大するね。
 まさに マネー支配による新しい植民地戦争 だね。
格差の拡大は、すでに世界的な規模になっているんだね。

A氏: もっとも アパレル大手のワールド、パートや契約社員計5000人を正社員へという明るいニュースもあるがね

:税制も新しく 税制調査会 が始まり、本間氏が新会長となったね。
企業減税は、赤字で税金を払っていない企業は7割近いというからあまり効果がないのではといわれている。
 しかも税金を払っているのはほとんど、大手だから、 格差で苦しんでいる中小企業にはあまり影響がないとも言われているね。
 企業減税をしてもっと経済を活性化して、税収入を増やすか、それとも格差を是正するかの「二兎」を追うことになるのかね。
アメリカもレーガン時代に企業減税をして経済を活性化したというが、それは減税効果でなくリストラとIT景気だという見方もあるね
アメリカは依然として財政は厳しいね。

A氏 :二兎を追う者、一兎も得ずとならないようにしなくてはね。

:市場原理主義はさらに進むのだろか。
 ブレーキがかかるのだろうか。
今朝の新聞では、ベネズエラ大統領選で社会事業政策をとり貧困層に根強い人気があり反米のチャスベ大統領が再選されそうだという。
南米では90年代の新自由主義経済(市場原理主義)による貧富の格差拡大などの反省から、福祉優先の左派、中道左派政権が次々と登場し、チャスベ大統領は最強硬派だというね
 日本はどうなるのだろうかね。





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Last updated  2006.11.28 08:18:59 コメント(2) | コメントを書く


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