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みかん農家の「三酔人経綸問答」
当方は11月11日に小田原の高校の同期会があって、54年ぶりに挨拶をかわした人もいました。
参加者への発言提起があって、私などは補欠でなら挨拶も「可」とエントリーしておいたんですが。
その内容は、前に紹介した通りです。
「小田原の魅力は、歴史、自然(みかん)、温泉(箱根)だけど。
「八王子から小田原のみかん園に、この20年余通っているわけだけど、そうしていて思う。
現在のみかん農家の担い手は、我々74歳くらいの人が一般で、90歳近くの人もいる。
この5年くらい先は、みかん園はいったいどうなるのか。
体力の衰える自然から、耕作範囲を縮小せざるを得ない、耕作放棄地が広がる、後継者はいない。
この事態は明らかなのに、今の政治は「自力自助」ということで、ほとんどほったらかしだ。
この問題は、みかん農家だけのではない。
私ごときには出来ることないんだけど、だけどこうした現実を何とかしなければ、と思う」
そんな発言をした同期会の翌日・11月12日のことです。
同期会の中でそんなことがあったなんてまったく知らないで、二人のみかん農夫がやってきました。
そして、みかん農家の、三人の園主による「三酔人経綸問答」が交わされました。
ふだん農家の人は、政治の話なんて、まったくしないんですよ。
ところが、酔っぱらった勢いだったかもしれませんが、
いろいろな話の中で、政治談議が飛び出しました。
A「共産党は、田村委員長は、理想はいいけど現実的じゃない。
まわりの中国や北朝鮮を見ろ。核兵器をもって、まわりの国々を力で威圧してるじゃないか。
日本もある程度の軍事力を持たなければ、対等には渡り合えないじゃないか」
ふだん、政治のことなどまったくせずに、ひたすら農作業に追われている人ですが、私などは数年間の付き合いですが、今回、はじめてですが、その政治談を聞きました。
すると、もう一人の園主が抗論を始めました。
B「軍事力を持つったって、相手の国を攻撃する1000キロのミサイルをもつということだから、力対力の張り合いでは解決しない。東南アジアのように話し合いで解決するようにしなければ」
今回の場合、お互いに「オレこそがただしい」と持論を、それぞれが繰り返しただけだったんですが。
夜もかなり遅くなっていて、疲れていたので、
言い合っただけで、それぞれ自宅に帰っていったんですが。
私などは、驚きでした。
これまで何度も、みかんの手入れに関しては議論する機会があったんですが。
今回は避けていた政治談議が交わされた、10月27日の総選挙の直後であったからでしょうが。
普段は農家の人同士は、政治的なことについてはふれないんです。
が今回は、初めてですが、真っ向から政治談議をかわした、
そんなことは、私は初めてでしたが、聞かせてもらいました。
それぞれみかん園の園主ですから、自分流のみかんづくり方針を開拓し、確立して頑張っているんです。
自己流のみかん栽培の道に自信をもっている。
そうした人たち同士による議論ですから、頑固なんです。
お互いに議論している問題の、客観的な事柄を確認することをせずに、
ただ自分自身の確信していることだけを、川の両岸でぶつけ合っているような、
そんなように会話のようすを、初めて見えました。
これまでは、陰で「あいつはこういうやつだ」と推測し合ってるだけでしたが。
今回は、直接のストレートな会話です。
お互いにみかん作業で忙しいんです。
議論している時間なんて、なかなかないんです。農家として切実な問題を議論した、その中でのことでした。
会話はしても、議論にならないで、2,3回の問答が続いただけでしたが。
私などは、新参者ですから、議論に入る余地はなかったんですが。
昨日の高校の同期会の様子も紹介しながら、
その話の延長線で、問いかけしたんです。
C「この先、みかん園はどうなっちゃうんだ。
お互いに歳をとって、あと働ける時間は5年‐10年くらいとかぎられている。
あとを任せる人がいない中で、この先みかん業を、みかん畑はどうなっちゃうんだ。
それぞれどうしようとしているんだ。
簡単ではないけど、この問題が現実としてある」と。
これには、もちろんまともな解決策なんて、出て来っこないんですが、
それぞれの思うところを、自己流に努力している、解決しえない努力の策も紹介されました。
もちろん一介の農夫により、基本解決できるような問題ではないことは、百も承知なんですが。
しかし、この三酔人経綸問答は貴重でした、こんな政治談議は初めてのことでした。
それが今、そうした議論が求められているんですね。
私などは、初めてのことでもあり、十分にこの会話の機会を生かせませんでした。
もしもこの次に、こうした政治談議をする機会ができたなら、
もっと注意して、国防問題にしても、農業の未来についても、
もっともっとお互いの意見の中にある大事なことを、
お互いに、率直に探究し合えるように、
努力しあいたいと思っています。
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