サクラコ175

サクラコ175

PR

×

プロフィール

健跳

健跳

カレンダー

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2007年11月07日
XML
<平成19年10月13日、サクラコ172日目>

病棟のロビーで寝たような寝なかったような朝を迎えた。

時刻は6時。
看護師さんからは病室に入れる時間を「大体7時頃」と言われていた。

私は早くサクラコの姿が見たくて、6時30分位からナースステーションの前をウロウロしていた。

看護師さんと目が合ったのをチャンスとばかり
「7時にならないと(病室に入っちゃ)だめですよねぇ」
と聞くと、意外にも
「ああ、もう入っても大丈夫ですよ」


私は妻、祖父母を呼び、すぐさま病室へ。
サクラコは上半身をビニールテントに覆われ、高濃度の酸素の中で寝ていた。

なんともあれ一夜を乗り切ったサクラコに夫婦で
「頑張ったね」
と何度も声をかけた。


昨夜からヤマトをばあちゃんに任せたままにしていたので、妻と話して私だけ一旦、家に帰ることになった。

8時頃、家に帰った。
ヤマトはまだ寝ていた。

ばあちゃんにヤマトの様子を聞くと、
「昨日はびっくりするくらい良い子だった。『お父さん、お母さん、赤ちゃん(ヤマトはサクラコのことを主にこう呼ぶ)がいない』などとは一言も言わんかったし、泣かなかった。この子なりに何かが起こっていることがわかってるっちゃないかねぇ」
とのことだった。


同僚からは「こんな時こそ僕らがお役てると思いますから」と優しい言葉をかけていただき、ありがたくて涙が出て、最後の方はうまく話せなかった。

「何も食べちょらんちゃろう」
と、ばあちゃんが私の朝食を用意してくれた。

ヤマトも起きて私の横に座る。
最近、ミカンの皮を自分でむいて食べられるようになったのが嬉しいらしく、さっそくみかんをむきはじめた。


「こんなになるまで、あの子のことがわかっていなくて、普通に元気だと思いこんでいて、あの子が独りで苦しんでいたかと思うと、自分に腹が立って腹が立ってしょうがない」
と床をたたき、はばかりなく泣き出してしまった。

私の横でご機嫌にみかんを食べていたヤマトは、泣きじゃくる私を見て
「がちょ~ん」
とおどけてみせる。

「がちょ~ん」はヤマトが2歳になるちょっと前に、私が「語り継ぎたい昭和のギャグ」として教えたものだ。
ヤマトがコレをやると、いつも家族みんなが大笑いをする。

泣きじゃくる私を笑わせようとしてコレをやったのかと思うと、余計に涙が出た。私はヤマトの前でわんわん泣いた。

ヤマトは少し困った顔で、今度は自分が食べていたミカンを半分私にくれた。
大げさなようだが、アンパンマンがお腹がすいている人に頭をちぎって分け与えるかのようだった(ちなみに、みかんが大好きなヤマトは、今まで自分が食べているみかんを人に分けたことなどない)。

ヤマトの観護でばあちゃんは満足に買い物にも行けないらしいので、ヤマトとばあちゃんが食べる食料品やサクラコの入院中のオムツなどを買いそろえ、私は病院に戻ろうとしていた。
ばあちゃんが「○○さん達(妻、祖父母)も何も食べてないだろうから」とおにぎりを作ってくれていた。

私が家を出ようとすると、ヤマトがいつものお出かけだと思ったのか、
「サ、イコッカ、イコッカ(さあ、行こうか、行こうか)」
と言ってついてこようとする。

私はヤマトの両手を握り
「ヤマちゃん、サクラコちゃんが病気なの。お父さんは病院に行かなくちゃいけないけど、ヤマちゃんまで病気になったら大変だから、ヤマちゃんは行けないの。ばあちゃんと一緒にお留守番ができるかな」
と話すと、何も言わずトコトコとばあちゃんの所に行き、膝に座った。

私は「ヤマトはわかっている。非常事態だと感じているんだ」と思い、家を出た。



                   サクラコはヤマト兄ちゃんが横にいると
                   いつもご機嫌だった





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年11月20日 23時36分14秒
[サクラコの闘病生活] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: