くずみ さくやのダイエット&SnowMan好きブログ

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久住咲夜

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材料から手作り、フ… New! ちるちる1028さん

2008.01.21
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カテゴリ: BL小説
シンプルなお話だと頭では解っているのに、ふと気付くと何度も読んでしまう本

何か色々なものがつまっていてとても惹かれます


「セカンドセッ・ク・ス」
清白ミユキ先生(イラスト・巴里先生)
ラピスmore文庫



初めて喋っただけで しようだなんて...

以前の恋人、優次が忘れられない明良は、見知らぬ男・三上と寝てしまう。
一夜限りと思っていた関係はその後も続き、いつしか三上が以前の恋人よりも

財閥を継ぐ男なのだと偶然知ってしまい、男との見えない壁を感じ、
距離を取り始める。三上とホテルに入ることを拒んだ明良は、いつ誰かが来るかも
わからないホテルの地下駐車場の車中で三上に無理やり襲われてしまい――。


結構、直球のタイトルは困りますね!!(苦笑)
以前も「蛇淫の血」の感想を少し書いたら嫌なTBがあったのでこういうタイトルは
怖いです。(ちなみにタイトルの「・」は本には無いです・笑)

でも...初めから内容を言ってしまえば明良の恋人は事故でもういなくて、お互い
好きだった水族館に行くことで寂しさを紛らわせているのですが、
ある日突然、水槽の前で男に話しかけられます。
何故か恋人への想いはあるのに、そのままふらふらと誘われるがままに
ついて行ってしまうのですが、その男、三上は実は恋人の異母兄弟で


三上は弟がなくなった後、優次の日記でまだ当時中学生だった明良への想いと葛藤、
後にお互い両想いになってからの幸せを知り、初めは物語を読んでいるようだと
「恋愛ごっこ」だと可笑しく思っていましたが、読み進めるうちに
日記に書かれている「明良」が実在していることを、段々と実感するようになり
いつしか会ったことのない「明良」に恋心を抱き、

そして見ているだけでは我慢が出来なくなったあの日、思わず声をかけて抱いたのだと。

三上は弟への想いも解るが自分を見て欲しいと必死で明良に願い、
明良は恋人よりも大きな存在になっていた三上の真剣な想いに応え、ふたりは
恋人同士として、新たな一歩を踏み出します。


なんというか、お話の流れは読めるんです(苦笑)
所々に三上と恋人の優次との似ている点が描かれるので、そうなのかなと。
ただ、読んでいて明良は高校生なのですが、優次との時間は本当に穏やかで優しくて
幸せな時間だったんだろうなと思うので、すごく想いが綺麗で。
三上との最初の会話でも「恋人はいる」と言って、体は三上についていっているのに
まだ、もういない優次との関係をこころの中で続けて、
生きていて欲しいと願っているのが痛くて。

でもそれの矛盾さが人間のリアルな感情だと思うので、読んでいてさくやにも
今抱える明良の切なさも、三上への隠せない気持ちへの焦りも伝わるようで
胸がじくじくと痛みながらも、いつも読んでしまいます

それがしっかり「高校生」の年頃の少し生意気だけど繊細な視点なのが余計に切なくて
この歳でそんなに悟らなくても良いんだよ?と、思ってしまうような。
なので強引な三上に引きずられるように関係を続けますが、常に優次のことも、
一夜だけだと思っていた三上の本音がどこにあるのかも悩んでいて...。

三上は、やっとまずは体だけでも手に入れた明良を手離したくなくて、痛いと明良が
泣いても強引に抱いたり、常に電話やメールを送ったりとするのですが
明良はこの関係に愛情は無いと思い込もうとしているし、まるで援助だなと呆れたり
三上は明良が優次をまだ想っていることを
明良自身の言葉で逢う度に聞いているので、想いのすれ違いに態度は余裕でも
懐かしげに優次の話をされると、衝動のまま酷く抱いたり
内心は焦って、嫉妬ばかりしているのが(苦笑)

大人なら、ベッドの上で恋人の話はしないけど、明良はテストの結果を言うように
優次のことも言葉に出してしまうのが、歳相応の切なさと隠せない悲しさで。

あと、三上はこうにしか考えられない、明良はどんなに悟っていても子供だ、という
のが常に言葉や文章であって、歳の差ゆえのすれ違いもお互いへの気持ちの
出し方の違いも納得できる感じで、ぽんっとふたりの世界に入っていけました。

三上の社会的地位を知って、自分との関係は害になると逃げようとした明良を
学校帰りに車で攫って、ホテルへ入ることを拒否するのを車内で
身動きが出来ないようにして抱くのですが、
「怒っているからこんなことを」と騒ぐ明良に、三上は話をする余裕も無くして
理性を飛ばして、「話をする前に...先に触らせてくれ」と一回では足りないと
明良を求めるのが、すごく切羽詰っていてドキドキする場面でした。

心配しなくても、立場よりも明良を選ぶと言ってくれた三上を好きだと想いつつも
まだ躊躇いを捨てきれない明良に三上は全てのことを語り、
たとえ今も優次を想っていても「手離すことはしない」と強く言いつつ、
明良に考える時間をあたえて、その場はさっていきます。

面白いというか、ある程度の大人の残酷さというか
そう言った三上の言葉を明良はこころの中で、
「手に入らないものなど今まで無かった男のプライドもかかっているのだろう」と
冷静に受け止めているのが、甘い執着だと夢の中に入っていくように読んでいた
さくやは、はっとさせられました。
何だかやるせない言葉だなぁと。
愛情だとはちゃんと解っているけれど、そこに微かに見え隠れする弟、優次への
敵対心と、欲しいものは必ず手に入れると考える男性のコレクター心のような。

もちろんそれと愛情を一緒にしてはいませんが「強引な男に引きずられている子供」
という空気は、終始流れているので(苦笑)

優次へ見守っていてほしいと、その想いも大切にこころの奥にしまいながら
三上への想いをちゃんと言葉にして伝えて、初めてお互いの気持ちが繋がって
抱き合うのですが、素直に若い貪欲のまま三上を体でも言葉でも欲するのが
突然明良くん言葉プレイ!?という感じでびっくりしましたが(笑)、すごく
色々なことを吹っ切って愛情だけに溺れて、安心して三上に任せている様で
すごく幸せなふたりのシーンでした
いちゃいちゃシーンのたびに「三上は時間をかけてしつこい」と書かれているのが(笑)

最後は、優次との思い出もありますがそもそも水族館が好きでまた水槽前にいる明良に
まだ優次を忘れられないのかと焦る三上が「大学はここを受けてうちの会社にこい」と
強引に明良の進路を自分の秘書にと決めているのですが、
これは明良ずっと三上から逃げられないなぁと、思わずにやにやしちゃいました(笑)


ラピスmoreなのでページ数が無く短編という感じだし、今まで中々良いお話に
会えなかったのですが、このお話はずっと読んでいくだろうなと思います
お約束ストーリーなんですけど...きちんと子供と大人の恋愛で、大人の汚さも
子供の我侭も、思いがけない達観した想いも、援助...と何が違うのかとか
色々なものが詰まっていて、なんだかとても大好きなんです。

さくや、明良の変な冷静さが切なくてすごく好きで。
三上くらい強引に愛情をぶつけてくれなければ、明良は次の愛情に自分からは
進まないだろうと思うので、とてもぴったりなふたりで嬉しくなります。
次の恋に行くのは無意識にいつまでもある罪悪感や、色々なものが生まれて
難しいものですが、たくさん傷ついているのに納得して、でもほんとは心細い
明良には幸せになってほしいと思いました。

たくさんおすすめしたいけど、タイトルが直球じゃなければなぁ(苦笑)
でも読んでいるとこのタイトルだとインパクトありすぎて、お話が負けてしまいそうで
ちょっと、うーん。ですが、これ以外にと言われても「水」の言葉とかでも
もう合うのが思いつかないので、やっぱりこれが一番なのかな?

感想サイトさんを見ると、明良の三上へのひとまわり以上の年上の人に対して
失礼にも思える言葉遣いが気になる方もいるみたいですが
さくやは、すーっと読めました。
でも、気になる嫌な方には本当に嫌だと思います(躾がなってないとか...)

何だろう...このふたりは「対等」でいなくては成り立たないような...。
寂しく水族館に佇む高校生の明良に、声をかけた時点で
ふたり同じ位置に立った、なーんて(苦笑)

そもそもどんな感情があったとはいえ、最初は「抱く、抱かれる」の契約から
心の底で企みを持った大人が、寂しがっている子供を甘く誘い込んで
始まったようなものだから、三上を敬う必要なんて無いと思ってしまうので(極論ですが)

この明良が三上に対して、「年上だから」な態度をとっていたら
さくやはこのお話は、ありきたり過ぎて好きにならなかったと思います

突然の会話で、意味の解らない人間だと警戒しながら、どんどんと三上に近づいて
惹かれていっても、警戒から始まったということに明良の言葉があると思うので。

でも、色々とこのお話はひとつに思うには難しいのかな?(苦笑)

どことなく「生きることとなくなること」が文章から常に感じられて。
優次のこととは反対に、途中でイルカのいのちの誕生も描かれているのですが
さくやは、この場面はいくらなんでもお決まり過ぎて嘘っぽくて嫌なのですが、
必要なシーンなんだろうなとは思います。

短編だからこそ、何か物足りないようなこれで良かったような、
何度も読んで、何度も感想を書きたくなる。
さくやにとってそんなお話です♪





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Last updated  2008.01.21 00:56:42


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