草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2018年01月01日
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第二百八十一回目

  ジジ・ババもの( 喜 劇 )

         「 老いも 楽しいもの 」

 場所:町の食堂

 時:現代

 入口からババが駈け込んでくる。

 店員「いらっしゃいませ!」

 ババ「ちょっとトイレをお借りしますよ」と、そのまま奥の方に直行する。しばらくして、

ババが「あーッ、すっきりした」と、近くのテーブルの椅子に腰を掛けた。



 ババ「もう少し待ってくださいな、今考えている所ですから」と、壁に貼ってあるメニュー

を眺めまわしている。

 客 a 「この親子丼、とても美味しいよ」

 客 b「ラーメンの汁もなかなかいけるよ」

 ババ「(猛烈に迷っている)どうしよう、どうしよう……」

 店員「あのぉー、お客様、ご注文の品はお決まりになりましたでしょうか?」

 ババ「(焦っている)今、一生懸命に考えていますから、もう少し待ってね」

 店員「畏まりました」

 と、いつの間にかジジが店内に姿を現しており、ババの後ろに回り込んで、静かに近づき、

 ジジ「だーれだ?」と、ババの眼を優しく、優しく両手で隠した。

 ババ「(大きな声で)カレーライスを二つ、お願いします!」



 ジジ「吾 の大好物を注文してくれて、ありがとう」

 ババ「こちらこそ、お礼を言わねば…。所で、爺様、来るのが馬鹿に遅かったので、ないの…」

と、一転して、険悪そのものといったムードに急変した。

 ジジ「ごめん、ごめん。少し途中で用足しをしていたものだから」

 ババ「吾との約束を忘れてたのか?」



 ババは、むくれている。すると近くの席に居た客の a が、ジジに気づいて話しかけた。

 客 a 「あなたは確か…」

 客 b 「そうだ、そうだ、我々と入れ違いに、このお店を出て行ったお方ですよね」

 ジジ「(シーイ!)」と、口の前に指を立てて、制止する身振り。

 客 a 「(店員の方を振り返って)ねえ、この人は確か十五分ほど前に、このお店に居た

お客さんだよね」

 店員「ええ、そうです。四十分ほど前にいらっしゃって、どなたかと待ち合わせをしていると

おっしゃって、結局、また出直すからと、お帰りになられたお客様です」

 客 a と b 「やっぱり…」

 ジジは仕方なく、頭を掻いている。ババは全く何も聞こえなかった風情である。やがて、

店員がカレーライスを二つ運んできた。

 店員「大変、お待ち遠様でした」と、ジジとババの前に料理を置いて去る。しばらくは

無言のふたり。

 ババ「この嘘つき爺が、早く喰ったらいいでしょ、吾が御馳走するから」

 ジジ「これは、吾のおごりにするから、おめえこそ早く喰え」

 ババ「今日は吾が支払いをする約束でしょうが、この耄碌じじいが……」と、

にこにこしながらスプーンを手に取って、食べ始める。それを見て、ジジもスプーンを手に持ち、

一口食べる。

 ジジ と ババ「うめーえ!!」、心の底から満足そうな老カップルである。





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最終更新日  2018年01月05日 13時14分46秒
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