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「カクテル・パーティ」の翻訳を先ずは終えることが出来て、ほっとしているのですが、非常に興味深く原作を味読出来て満足です。次は「太平記」に挑戦する予定ですが、その前に、いつもの如くに特に若い世代の読者に老婆心ながらの「助言」と言えば体裁がいいのですが、繰り言めいた独り言を申し述べたいと思います。 貴方は、或いは、貴女は現状に満足できているでしょうか? 多分、殆どの方が幾分なりとも不満足感をお持ちなのではないでしょうか。 T S エリオットの「カクテル・パーティ」は以前に読んだ時よりも遥かに興味深く、オーバーに表現するならば、スリリングに読み進みました。女性を愛せない男と、男性から愛される事の無い女性の悩み・孤独感・絶望などなど、現代のみならずに、何時の世でも意識的に、自覚的に生きる者ならば誰しもが抱く根源的な悲しみ、空虚・不条理、無情感…。人間は本質的に孤独・一人切りな存在なのだ。 私の事を申せば。両親の深い、無償の愛情に恵まれ、優しく美しいパートナーに神の計らいで出遭い結ばれ、仕事を遊びに代えて熱中出来た最良の相棒と固く結ばれ、良書とも邂逅出来、などなど良いことずくめの人生を送ることが許されて、自分自身を 幸福長者 と称して自画自賛しているのですが、神無き現代、或いは無限の愛情の塊である絶対者から見放された現代人らしからぬ野蛮人でありまた原始人たる私、草加の爺は、生まれながらにして幸福感や生の充実感を感じ取れていたわけではなかった。十代の後半では、その理由は定かではないのですが、何時も自殺を考える暗く、暗澹たる心情を抱えてもいた。自死する勇気が持てなかったからそうしなかったに過ぎない。少なくとも親兄弟や他人の目からはそんな風には全く見えなかったはずなんですが。 それはともかくも、私達は何かある目的が、何か成し遂げなければならない使命を帯びてこの世に生み出されわけではない。この世に産まれ出たのは少なくとも、意識的には主体的にそうしたわけではない。生まれさせられた、と受動的に表現した方がふさわしい様なこの世へのデヴューなわけです。そして、物心がつくとは自我に目覚める事を意味します。良くも悪くも自分は自分なのです。人とは違うが自分とは一体何者なのか…、言葉にすればそんな風な感慨をおのずと覚える。腹が減る、暑い、寒いの感覚に襲われる。全部が受け身である。 所で、自覚的に生きるとは常に現在進行形である。永遠の 今 がいつの間にか始まつている。永遠なそと言う時間の感覚は、人には与えられていない。常に今しかないのだ。死とは今が消滅する事だ。過去と言う概念も今でしか捉えられないし、今思っている過ぎ去った時間の記憶である。今は様々な過去に支えれれて存在する。歴史とは集団の過去の記憶だ。過去は物語りの形でしか現存し得ない。過去を持たない人間はないが、今に過去が蘇るとはまざまざと過去が見える、或いは実感できると言う事だ。 古事記と言う古典が我々と無縁でないのは、それは記憶にない我々の体験であり、喜怒哀楽の記憶なのである。源氏物語は紫式部が創作した架空の世界ではない。我々がその気になれば参画できる夢なのだ。夢とは現実から生み出される理想的な人間世界でもあり得る。そして夢は、未来に向けて希求することも出来るが、その本元は過去に見た別世界だ。望ましい物も望ましくないそれも含めて。 過去は確かに実在したのだが、未来は存在しない。在るのは常に今だけなのだ。望ましい未来、おぞましい未来などと言うが、単なる言葉だけにしか過ぎない。 従って、失われた未来などと言ったところで、言葉の遊びでしかない。存在してないものが失われる筈もない。本当の未来とは、今・現在が紡ぎ出している透明無色な人間の夢であろう。 さて、若い皆さん、老人を見てどう感じていますか。素敵な人もいれば、そうでない人もいる。周囲にいる同世代の人々と同様ですね。 私は子供の頃、年長者に常に憧れを抱いていました。特に、年上の女性に。それは母親から受けていたマザコン的な感情だった。 今の私は81歳になって、容貌が醜く、体力も衰え、自他ともに好ましくはない在り方なのですが、それでも自分では現状に満足できています。若者を羨ましく思うのはその外見が輝いているからで、私も若い頃にはそうでありました。 考えるまでもなく、この世での生命現象は不可思議の連続です。しかし、我々はその不思議の真っただ中に生かされてあるので、不思議だと実感するのは稀であります。不可思議だらけなので、それは見馴れた普通の事柄で、特別な感動や感銘は受けないのですが、それでも、不思議は不思議なのです。 何故、私なる存在が今此処に現存し得るのか…。余ほどのもの好きでもない限りは、そんなことにかかずり合う気にもなれないでしょう。 人間の幸福とか、不幸とか、運が良いとか、悪いとか、実はどうでも良い事なのでした。私が啓示を受けた厳粛なる偉大な絶対者は萬物に無限の愛情・慈悲を与え続けておられる。これは、紛れもない事実で、見るもの、聞くものの全てがそれを證して止まない。 眞の意味の教育とは、宗教(宗とする教育のことです)とは、その広大無辺の無償の働きに着目させ、目覚めさせる行為なんです。それに比べれば、世に行われている教育など、どうでも良い事になってしまうでしょう。 男が見目麗しい女性に魅かれる、女が容姿端麗な男性に魅惑される。これ皆、絶対者の計らいだと断言しても間違いではない。本質的に不可思議な現象ではあっても、極当たり前なことでありますからね。生物界に雄と雌がいて、世代交代がなされ、永続的な今が持続され続ける。 生命現象は何度繰り返されても有難い物、祝福されるべきもの。信に目出度い好ましい事柄なのですね。 私は個人は孤独で寂しい存在だと申しましたが、同時に、と言いますか、全体の一部であり、全体に内包された有機体の部分でありますから、俯瞰すれば孤独どころか、寂しいどころか、福々しいにぎにぎしい存在であるのです。祝福されてあるのです。皆が幸福長者たるべき存在なのですよ。私は、事実を述べているにすぎず、説得しようなどとは毛頭考えておりません。 私は前にも繰り返し書いて来ているのですが、柴田悦子、私の愛妻ですが、最初に出会って結婚を約束してからも、その本当の素晴らしさや愛情の深さを実感できずにいた。つまり、結婚して生活を共にしてから徐々に、彼女の真実の姿に触れるようになっていった。自分のような者には勿体無い女性だ、これは神の御引き合わせに違いないと自然に、少しずつ分からせられた。 悦子の方はどういう訳か直観力に優れていたのか、後で聞いてみると一目惚れしたとか。その後私に愛想尽かしをするどころか、益々私への情愛が深くなるような夫婦としての絆を築くように我々夫婦はお互いを高め合った。それも、神の計らいであっただろうと思っています。相思相愛者となれたのも似たもの同士であったからで、人間と神の意思疎通が円滑に齟齬なく運んだのは予定調和の如くで我々には望外の幸せでした。 私は女性運が生まれつきに強い星の下に生まれついているのか、母親、姉、妹など少なくとも私にはこれ以上はないと思われるほどに、彼女たちからも過分の愛情を忝くして今日に至っている。 私は、人生に一時期を除いては孤独や孤立感、凍えるような寂しさなどは感じないで過ごすことが出来ている。 Ⅾ ℍ ローレンスに「現代人には、他者を愛する事が非常に難しい」との思想がありますが、それは神を見失ったからに相違ないのです。 私も悦子も現代人ではありますが、神に愛され続け、無意識に神を信じている共通点がありました。ここで、再び若い人々に申し上げましょう。 神を信じようが、信じまいが、神は決してその被造物たる私達を見捨てる事はありません、断じて、金輪際です。ですから、安心して自由気ままに人生を謳歌なさるのが宜しいのです。 私が、こんな能天気な駄法螺めいた事を野放図に放言すると、必ず次のような抗議の声が、不幸な境遇に喘いでいる人の中から聞こえて来そうです。 貴方は偶々、偶然に幸運に恵まれてほくほくできている様だが、私は、不運にもこれこれの理由でとても人生を謳歌するどころではない。余りにも理不尽な運命がこんなにも私を今痛めつけていると言うのに…。そうでしょう、そうでしょう、御尤もな言い分だと思います。私には、そしてあなたにもそのような羽目に追いやっている神の、運命の意図が理解できません。しかし、確信して下さい、やがて深い暗鬱な霧は晴れるに相違ない。歴史が、物語がそれを證してあまりあるものがあります。あなただけが特別に例外的に徹底して不運であり、全部が全部不幸である筈がないのです。神の愛は広大無辺であり、必ずや普通の幸福が廻って来る。あなただけが最悪の貧乏籤を引いている理由は何処にもないのです。安心して下さい。 私は以前に、四つの幸せ塾と言う物を提唱して主宰したことがあります。 四つの幸せとは、天の配剤、地の恵み、自分が自分である事の幸せ、人の和・輪、であります。これは例外なく誰にでも必ずついて回っている根本的な条件です。 あなたが今、大きなたとえようもない不幸・災難と感じている事態を、そのままで見方を変えてみるだけでも意外や、そうとも言えないと見えるかもしれないのです。 私はブログに、「ブスはブスを磨け、馬鹿は馬鹿を磨け」と言う著作を発表したことが有ります。ブスとか、馬鹿などと言う概念は非常に相対的なものでして、ブスとは誰かと比較した場合に悪態として他人から言われる言葉でしょうが、絶対的なブスなどと言うお方はこの世に存在しない。私は今でも自分を馬鹿だと思っていますが、その馬鹿さを自分なりに努力して磨き、人さまからはどう見えようとも、バカはバカ成りになんとかなるものだと、高をくくっているわけです。 人にはそれぞれどうにもならない弱点や欠点があるものです。それを歎いているだけではかなしいではありませんか。その弱点・欠点をそのままで長所に変える、美点にしてしまう。これは努力次第では可能なことなのです。 お人形のような美人は、老年を迎えればその魅力を大半は失ってしまう。イケメン男も老年を迎えなくとも魅力を失うかもしれません。人間は外見だけではありません。内部から光輝くような美男・美人が本当の立派な人物たり得る。 人は一人では生きられません。貧乏でも健康であればなんとか幸せな人生は送れます。病身でも人とのつながりを大切にしていれが、ベストではなくとも、次善の幸は得られるでしょう。 どうか、あなた様が、恙無く、平穏無事な日々を送迎できますよう陰ながら、私も祈っております。無宗教でも、無信仰でも心の中で平穏無事を密かに祈るならば、そういう気持ちに自然にんれるならば、その願いは半ば以上叶えられているのです、間違いなく。
2025年11月28日
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ラヴィニア いいえ、ピーター、全部が無意味だなんてことはないのよ。貴方はまだ始めたばかりじゃないの。つまり、これで貴方は出発しなければならない地点に立ったの。貴方は今仰ったわ、自分はセリアを知らなかったと。我々の誰もが同様だった。貴方がこれまで生きて来た根拠は彼女のイメージでしかなかった。それは貴方が自身のために作り上げたもの。貴方の必要に応じてね。ピーター、どうか私が不親切だとは思わないでね。ピーター ええ、貴女は僕に不親切ではありませんでした。ラヴィニア、そして貴女は正しいのです。ラヴィニア そして多分、私がこれまでに言ってきたことは、不親切さを減らしはしないでしょうね。もし貴方に私自身の事しかお話しなかった事実を理解させ得たとしても。エドワード ラヴィニアは正しい。此処からが君が出発する場所なのだ。もしも、ピーター、君が君自身について正対したと思わない事柄を完全に理解したとしても、そう、忘れないでいて欲しい、自分自身について遥かに悪い事柄を学ばなければいけない者もいる事を。そして後になってそれらを学び、回復不能になるが、それでも新しい出発をするのだ。君の場合はそれほど困難ではない。君は当然のように良いのだ。ピーター 残念ながら、僕にはあなたが今仰ったことが飲み込めたとは信じられないのです。でも、それにもかかわらずに、感謝します。あの、ですね、あなたがお話されている間中、一つの考えが頭の中をぐるぐると廻っていました。僕は自分の事しか関心がなかったのだと。そしてそれは、セリアには十分に良くはないのです。ジュリア 貴方は学習したのよ、ピーター、どのように人々を見るのかを。貴方が片方の目でフィルムを見ながら人々を見る時、それはつまり、あなた自身に関心を向けているのではない。単なる一つの目であるだけよ。貴方はやがていつの日か、そのようにしてセリアを思うようになるでしょう。そしてそうして彼女を理解して、妥協できる。そして彼女考えて幸福を感じる。ラヴィニア ヘンリイ卿、お尋ねしたいことがあるのですが。アレックスが我々にセリアに何が起こったのかを話している間、私はあなたの顔を見ていたのです。あなたの表情からは彼女が死んだ有り様は貴方を混乱させなかった、或いは、彼女が数人の死んでいく原住民を見捨てなかったから死んだ事実は、と言い直してもよい。ライリイ 誰に解るでしょうか、チェンバレン夫人、死につつあった原住民になされた、或いは死んでいった時の住民の心理状態などの違いが。ラヴィニア それは素直に認めましょう。でも、私の胸を打ったのは、貴方の顔は何の驚きも恐怖も示さなかった、彼女の死に方については。私は貴方が彼女を知っていたのかは分かりません。彼女を御存知だってと推察はしているのでっすが。いずれにしおても、貴方は彼女について知っておられた。しかも、貴方の表情は満足感を現わすものでした、ライリイ チェンバレン夫人、私が余りにも率直過ぎるか。もしくは貴女が非常に知覚力にたけているのか。ジュリア ああ、ヘンリイ。ラヴィニアは貴方が思っている以上に遥かに観察力に優れている。彼女は貴方に手の内をすっかり晒すことを迫っているのだと信じるわ。ライリイ あなたは今の状況を正確に述べています、ジュリア。詩を引用しても宜しいでしょうか、チェンバレン夫人。ラヴィニア あら、嫌ですわ。むしろ貴方が詩をお話される方が歓迎です。ジュリア 彼女は核心を突いてきたわよ、ヘンリイ。ラヴィニア …、もしも、私の質問に答えて下さるのなら。ライリイ バビロンが滅びし時、マギ族のゾロアスタ、我が死にし兒、は自分のイメージが庭を歩くのを見た、その幽霊は、人間の底辺にいて、彼は出遭ったのだ。彼は知っていた、生者の世界死者のそれとの二つがあることを。ひとつは目の前に見ているその世界で、もう一つは墓の下に展開するそれだ。そこにはあらゆる形の影が物を思い、生活して、死が両者を結び付けて離れられなくなってしまう迄…。 私が最初にコプルストン嬢にこの部屋で会った時に、私はその幻影が官女の座っている椅子の後ろに立っているのを見た。セリア・コプルストン嬢のようなそれ。激烈な死後の最初の五分間の驚愕を示していた。もしこれが貴女の馬鹿正直さを刺激したのであれば、チェンバレン夫人、ある心理的な状況下で、突然に芽生えた直観力がたちまちに一枚の絵画として出現する傾向にあるのですが、その示唆を単純に楽しむように貴女にお願いしたい。それは私にも起こる、時々ですが。それで、此処に死の宣告を受けた一人の女性がいた事は明白なのです。それは彼女の定めだった。ただ一つの疑問は、それでは、それはどんな種類の死だったのか。私には知り得ないこと。何故ならば詩へと続く道を選んで進んだのは彼女だったからです。しかも、最期を知らずに死の形を選択した。我々は彼女が選んだ死を知った。私は彼女がこんな風に死にだろうとは知らなかった。彼女も知らなかった。それで私に出来た全ては、その道へ行く準備の方法を指示する事だった。その道を彼女は受け入れたのだが、この死へと続いていた。そして、もしそれが幸福な死でないならば、どんな死が幸福であり得ようか。エドワード つまり、こう言う事ですか、この死の形を選んだ事は、彼女に普通の人々が経験する苦しみよりもより少なくした、と。ライリイ 全然、違うのです。むしろ、その真反対です。こう言いたい、彼女は我々と同様にすべての事を苦しみとして体験した。恐怖し、苦しみ、他人を呪いして…。これらを全部一緒くたにして。それと、肉体の不承不承さ、単なる物になってしまうことへの。こう言ってもよい、彼女は我々にまさるより多くの苦悩を経験した。何故ならば、彼女は残りに我々よりもより意識的であったから。彼女は自分の受けた苦悩に最も高い対価を支払ったのです。それが私の設計した計画の一部だった。ラヴィニア 恐らくは、彼女は死以前に、さらに大きな苦悩を経験したのでしょう。つまり、私は最近の二年間は彼女に就いて何も知らないのです。ライリイ それは貴方の側の、ある洞察力を示しているのです、チェバレン夫人。しかし、そうした経験は、神話とか想像世界で暗示され得るだけなおです。それについて話をすれば、我々は、暗黒、迷路、ミノタウルスの恐怖などを述べなければならない。しかし、その世界はこの場所には適していません。想像してください、砂漠の聖人は精神的な悪魔をいつも自分の肩に背負っていて少しも苦難を免れる事は無いのです、飢餓、有毒ガス、日光や風雨に晒される事、下痢腹、やライオンの恐怖、夜の寒気、昼の暑熱など、我々が受けるのよりも少ないと言う事はない。エドワード しかし、もしこれが正しくて、…、セリアの場合にも正しいとして、恐ろしく具合の悪い他に何かがあるに相違ない。しかも、我々の残りの者はいずれにしてもその悪い事態の中に巻き込まれている。僕は自分自身の事だけを言うべきだ、僕は確実に、そうだ。ライリイ 一つの障害から私が、貴方の心を自由にして差し上げましょう。貴方は努めて、自分の責任だとまだ感じているわだかまりから離れるようにするのです。エドワード 僕はそれでも感じざるを得ないのですよ、いずれにしても僕の責任は、半分狂っている野蛮人の一団よりももっと大きいのだと。ラヴィニア ああ、エドワード。分ったわ! 貴方が考えている事が。でも、貴女の手助けにはならない、私も罪悪感を感じている事は。ライリイ もしも我々全員が行動の結果に応じて判断されるとすれば、言葉や行為のすべては、意図や自分自身や他人についての制限された理解を超越したところで、全員が例外なく非難されるべきなのだ。チェンバレン夫人、私はしばしば決断を迫られる。患者の回復や破滅に直結するかも知れないそれを。しかも私が時々は誤った決定をしてしまう。コプルストン嬢に関して、貴女はその死は浪費だと考えるので、御自分を責めていらっしゃる。そして御自分を責めているからこそ、彼女の命は無意味に浪費されたと思われている。それは無自覚に勝ち誇っているのです、でも、私はその意気揚々した気持ちに責任などは持たないのです。しかも貴女同様に彼女の死に責任があるのです。ラヴィニア でも、私は自覚しています、これからも自分を線続けるだろうと。彼女にひどく不親切だった、…、とても敵対的だった。二年前に私達に「さよなら」を言った彼女の姿をみつづけながら…。エドワード 君の責任などは僕のに比べれば何ほどでもないさ、ラヴィニア。ラヴィニア それについては確信が持てないわ。貴方を理解していながら、セリアを誤解したことに関しては…。ライリイ あなた方はこの記憶と共に生きて、それを新しい何かにしなければいけません。過去を受け入れる事でしか、その意味は変えられないのです。ジュリア ヘンリイ、私が何かを言う時だと思うの、皆が選択をする、或る種類か別の、そしてその結果を受け止めなければいかない。セリアはその結果がキンカンジャだった道を選んだ。ピーターはボルトウエルへと通じる道をとった。そして、彼は其処へと出かけなければいけない。ピーター 意味が解りました。僕はそうしなければとは思っていないのです。でも車が待機しているのです、専門家達も。…、僕は殆どそれを忘れていました。僕はそこからは逃れられないと気付いたのです。しかも、他に何が僕に出来るでしょうか。アレックス 君のフィルムだよ、ベラは大いに期待している。ピーター それでは僕はこれで失礼します。エドワード 君にまた逢えるかな、ピーター、イギリスを後にする前に。ラヴィニア 是非とも、いらっしゃってね。分るでしょうが、皆はそれが嬉しいのです。…、貴方と私とエドワードとでセリアの話をするのが。ピーター 大変に、有難うございます。でも、今回は駄目です、単に、出来ないだけです。エドワード ども、次の訪問時には…。ピーター 次にイギリスに来る時には、僕は約束します。僕は実際、お二人にお会いしたかったのです、心の底から。さようなら、ジュリア、さようなら、アレックス、さようなら、ヘンリイ卿。 (退場する)ジュリア …、さて、さて、チェンバレン夫妻の選択の結果は、カクテル・パーティだった。準備は既にできている。お客も直ぐにでもやってくるでしょう。ライリイ ジュリア、貴女は正しい。これもまた正しい、チェンバレン夫妻がカクテル・パーティを主催するのは。ラヴィニア そして私はさっきからずっと考えていたの、ここ五分の間に、どのように私はお客にせっしたらよいかと。もう、終わってしまっていたらと願うの。でも…、貴方がいらっしゃたのは嬉しいのです。…、アレックスが話をしてくれたのも嬉しい、…、そしてピーターは知るべきだったのです…。エドワード さて、今、僕は理解したと思うのだが…。ラヴィニア それでは、それを説明して下さらない、お願いします。エドワード ああ、僕が既に理解したのはあまり多くはない。しかし、ヘンリイ卿は話されている、あらゆる瞬間が新鮮な始まりなのだと。そしてジュリアは、人生は常に持続して行くと。そしていずれにしても、二つの考えは一つに適合するみたいだ。ラヴィニア そして、同様に、私はこの人々に会いたくないのですわ。ライリイ それは貴女に定められていた重荷なのです。そしてパーティの関しては、必ず成功するでしょう。ジュリア そして思うのだけれども、ヘンリイ、我々はパーティが始まる前にお暇しましょうよ、二人は我々がいなくとも上手くやっていけるでしょうからね。貴方もよ、アレックス。ラヴィニア 私達、行ってほしくはないのです。アレックス 我々には別の約束があるのです。ライリイ 今度の場合に、私は予定されていなかったわけでもない。ジュリア さあ、ヘンリイ、さあ、アレックス。ガニングス家に行きましょうよ。 (ジュリア、ライリイ、アレックスが退場する)ラヴィニア どんな風に私は見えるかしら。エドワード とても素敵だよ。君のベストの状態だと言える。しかし、君は常に最高だよ。ラヴィニア あら、エドワード、それではぶちこわしよ。どんな女のも信じられないわよ、自分が何時も最上の状態だなんて。貴方はむしろ率直に、私を元気づけているのね。私が常にベストに見えるなんて、最悪だわね。エドワード 僕はお世辞を言う事を学んだことがないのだが。ラヴィニア 貴方が仰ったことは、私のドレスを褒めたたえたわけですね。エドワード 僕は既にそのドレスが素晴らしい事は告げてしまっているよ。ラヴィニア でも、随分と色々な事が起きたわね、あれから。そしてその上に、人は同じお世辞を二度聞きたいと思う物よ、時々はね。アドワード さて、パーティだ。ラヴィニア パーティなのね。エドワード それは直ぐに終わるだろうさ。tラヴィニア 私は始まって欲しいのよ。エドワード ドアベルが鳴ったよ。ラヴィニア ああ、嬉しいわ、始まったのよ。 カーテンが降りる
2025年11月27日
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ジュリア エドワード、誰かが私のお墓の上を歩いて通ったに相違ないわ。私、とても寒いの、ジンを少し下さらない。カクテルではなくて…、凍えそうだわ、七月だと言うのに。職員の男 クイルプ氏がいらっしゃいました。エドワード さてさて、誰が…。 (ピーターが入って来る) やあ、ピーター!ラヴィニア ピーター!ピーター 今日は、皆さん。ラヴィニア 何時着いたのかしら…。ピーター ニュウヨークからのフライトで、昨晩です。僕は三日前に、サンフランシスコを発ったのです。昼食の時に、僕はシェイラ・ペイスリーに会ったのです。そして彼女からあなた方がパーティを開催すると聞いたのです。彼女も後から来るでしょう。カニングス家での後でね。そこで僕は言った、人を押し分けてでも入らなくてはけない、実際の話が。そこは僕がエドワードとラヴィニアに会える唯一の機会なのだからね。僕は一週間の間だけ済んでいる、それでね、今晩車で行こうと思っている。それで、あなた方は僕がこんなに早く姿を現しても、気にしないだろうと知っていた。最後にお会いしてから何年も経過したように思えます、どなたとも、です。そしてご機嫌は如何ですか、親愛なるアレックス、そして、敬愛するジュリア!ラヴィニア それでは貴方はニュウヨークから帰って来たばかりなのね。ピーター そうです、ニュウーヨークから。あのボロゴノフスキーが僕を見送ってくれました。古き時代のボロゴノフスキー姫を覚えているでしょうかね。我々は昔の晩に食事をしましたね。あのレストラン・サフラン・モンキーで。そこへこれから行こうと言うのです。アレックス 何て奇妙なのだろうか、僕の猿達はサフランなのだ。ピーター 貴方の猿達ですって。アレックス、僕は何時も言っていました、アレックスは誰でも知っていると。でも、何かの猿を知っているとは知りませんでした。ジュリア 私達に何か世界のニュースを聞かせて頂戴な、ピーター。私達は此処ロンドンで極めて平穏な生活を送っているのですものね。ピーター 貴女はいつでも人をからかって楽しんでいるのですね、ジュリア。でも、あなた方は皆僕がパンナムイーグルで目下働いている事を知っているでしょう。エドワード いいや、で、パンナムイーグルとは何ですか。ピーター 確かに、あなた方はロンドンで実に静かな生活を送っておられたに相違ないですね。映画には行かないのですか。ラヴィニア 時には、行くことも有ります。ピーター アレックスは知っている。あなたは僕の最新の映画を観ていますか。アレックス 知ってはいるが、観てはいない。キンカンジャにはシネマはないので。ピーター キンカンジャですって…。何処ですかそれは。其処の人は映画を持っていないのですか。パンナムイーグルはそこを見分しなければいけませんね。多分、そこは英語を造るには良い場所でしょうよ。アレックスはパンナムイーグルに関する全てを知っています。僕をあの偉大なるベラに紹介してくれた人こそは、アレックスなのです。ジュリア そして、誰なのですか、その偉大なるベラなる人物は。ピーター 何と、ベラ・スゾゴディ…、彼が僕の上司です。僕は誰もが彼の名前を知っていると思いました。ジュリア 彼はあなたのカリフォルニアでの知人ですか、アレックス。アレックス そうです。われわれは時々お互いに恩恵を与えあっているのです。ピーター 彼が僕に一週間の有余を与えて送り出してくれた。そして僕が今夜h手一杯と言う所なのです、ボルトウエルに行くことで。ジュリア 公爵の所に滞在するのでしょう。ピーター そして、彼をかなりの程度ぎょっとさせようと。我々はイギリスの生活に関する映画を制作中なのです。しかもボルトウエルを使用したいのです。ジュリア でも、私の理解では、ボルトウエルはかなりの程度荒廃している様子だけれども。ピーター まさに、その通りです。だからこそ、我々は興味を持っているのです。イギリスでもっとも荒廃した高貴なマンションです。少なくとも、まだ人が住みついている中では、我々は一組の専門家を現地に派遣して、荒廃の具合を研究させています。そこを再構築するべく、です。我々はカリフォルニアにボルトウエルを建造するのです。ジュリア でも、あなたの役職はどのあたりなのかしらね、ピーター。あなたは荒廃した家々の専門家になったのかしら。ピーター いいえ、とんでもない。僕はこの映画の脚本を執筆したのです。そしてベラはそれに非常に満足してくれました。彼は考えたのです、僕はオリジナルのボルトウエルを見るべきだと。そしてそれに加えて、僕がイギリス人であるから公爵を上手く手なづける最上の方法を知るべきだと考えたのです。更にはその上に、我々には配役の監督がいるのですが、彼は典型的なイギリスの顔達を探している。勿論、あまり重要ではない疫ですが。そして僕はそのイギリスの顔に誰が相応しいかを決める手助けをする予定なのですよ。ジュリア ピーター、私に素晴らしい考えがあるの。私は常にカリフォルニアに行きたいと思っていた。その配役監督を説得して我々全員を採用するようには出来ないかしらね。我々は皆が非常に典型的なイギリス人でしょう。ピーター いいえ、恐らくは…。職員の男 ヘンリイ・ハーコート・ライリイ卿がいらっしゃいました。ジュリア おや、忘れていたわ。私はもうひとつのサプライズを準備しておいたの。 (ライリイが入場する) ヘンリィ・ハーコート・ライリイ卿を御紹介したいの。エドワード 我々は彼にお会いして嬉しいです。でも、我々が以前にお会いしていますね。ジュリア それであなた方が既に彼を知っているのであれば、彼をおそれる必要などないわね。御存知のように最初は私は彼を恐れていなのよ、彼は見るからに恐ろし気ですもの。ライリイ 親愛なる私のジュリア。貴方は私を印象悪く紹介するのですね。改めての紹介が必要でもあるかのように。ジュリア 敬愛する、わがヘンリイ。あなたは私の邪魔をしているのですよ。ラヴィニア もしも貴方がジュリアを邪魔できるのでしたら、ヘンリイ卿、貴方は完全な賓客です、我々がこれまでずっとお待ちしておりました。ライリイ 私はジュリアを邪魔しようなどとは夢にも考えておりませんでした。ジュリア あなたは両方を邪魔している。ライリイ 誰が今、邪魔をしているのでしょうか。ジュリア あなたは私の邪魔を邪魔してはいけません。それは邪魔をすることよりも実際、もっと悪い事です。今、私の頭の中が相当にぐるぐると廻っています。カクテルを飲まなくては…。エドワード (ライリイに対して)そして、カクテルは如何でしょうか。ライリイ 水を一杯、頂けますか。エドワード 何かいれますか…。ライリイ いいえ、結構です、有難う。ラヴィニア ピーター・クイルプ氏を紹介させてください。ヘンリイ・ハーコート・ライリイ卿。ピーターは私と主人の古くからの友人です。あら、忘れていたわ…、(アレックスに向って)あなた方は相互に知り合いだとは思うのですが、何故だかはわかりませんが。マクコルジー・ギブス氏よ。アレックス そうですね、我々は面識があります。ライリイ 幾つかの委員会で…。ジュリア 私達は非常に興味深い会話をしていたのです。ピーターは丁度カリフォルニアからやって来た所で。カリフォルニアでは映画関係で極めて重要な役割を果たしているのです。彼はイギリス人の生活についてのフィルムを制作しているの。そして、彼は我々の全員に役割を与えてくれる手筈なのですよ。それを考えてみてくださいな!ピーター でも、ジュリア。僕は今説明しようとおもっていたのです…。僕はこのフィルムであなた方の誰をも役割を見付けられないと思うのですよ。僕の仕事ではないのです、しかも、我々の流儀に反してしまう。ジュリア でも、ピーター。もしも貴方がボルトウエルをカリフォルニアに持って行けるのならば、何故、私を連れていけないの。ピーター 我々はボルトウエルを持っては行きません。我々はボルトウエルのようなものを再建するのです。ジュリア それなら、結構です。でも、何故、私を再建しないの。遥かに値段は安くて済むでしょうに。おやまあ、解りました、貴方は私を中に組み入れまいと決心しているのね。それで、私のカリフォルニアへの夢はあきらめなければいけない。ピーター 貴女は僕が招待したとしてもカリフォルニアには決して来ないでしょうに。しかし、僕には是非ともお長居したい人物がいるのですが…、誰が一体フィルムに関わることを欲しているのでしょうか。そして僕は何時も思っていたのです、彼女ならチャンスさえ掴めば成功するに相違ないと。それはセリア・コプルストンです。彼女は何時も望んでいた…。そして今なら僕は彼女の手足助が出来る。僕は既に彼女の事をベラに話して有る。そして彼女を我々の配役監督に紹介したいのだ。別のフィルムでも彼女を起用する腹案を持ってもいる。誰か彼女の所在を教えては下さらないだろうか。電話帳では彼女を発見できなかった。ジュリア 電話帳ではだめよ、住所氏名記録帳などではだめ。みんなに話してあげなさいよ、アレックス。ラヴィニア ジュリアは何が言いたいのかしら。アレックス 僕は彼女の事を話そうと考えていたのだ。君が中に入って来た時に、ピーター。残念だが、彼女は見つからないよ。ピーター ああ、…、結婚したのでしょうか。アレックス 結婚じゃない、死んだのだ。ラヴィニア セリアが…。アレックス 死んだよ。ピーター 死んだ…。それで、万事が休してしまった。エドワード セリアが死んだ。ジュリア 貴方は真相を話した方がいいわよ、アレックス。キンカンジャから持ち帰った知らせを、アレックス。ラヴィニア キンカンジャですか、何を彼女はキンカンジャでしていたものでしょうか。我々は彼女が或る看護婦の社会に入ったと聞いていたのですが。アレックス 彼女はある社会組織に加入したのだ。非常に厳格なそれだ。そして彼女はそれまでに看護婦の経験があった。ラヴィニア そうだわ、彼女はブイ・エイ・ディに所属していたのです。覚えています。アレックス 彼女はキンカンジャ行きを命じられた。そこは様々な風土病があり、それに加えてヨーロッパ人が持ち込んだ病気も当然に存在していた。そこの気候風土は疫病には適していたのだ。エドワード 続けてくれたまえ。アレックス 何でも三人がいたようだ、この滞在場所の三人のシスター達、キリスト教徒の村で、そして半分の原住民が疫病で死んでいた。この三人は数週間にわたり過重労働が続いていたに相違ない。エドワード そして、それから…。アレックス そしてそれから、野蛮人の間で暴動が勃発した。野蛮人達に就いて僕が話をしていたわけなのだが、三にはそれを承知していた。しかし死んでいく原住民達を見捨てようとはしなかった。やがて、二人が逃亡した。一人はジャングルで死に、もう一人は再び通常に生活に適合しなかった。しかし、セリア・コプルストン、彼女は連れ去られた。我々の仲間が現地に到着した時に村人達に質問した。生き残っていた者達にだ。そして彼等は彼女の体を発見した。或いは、少なくとも遺体の痕跡と思われる物を。エドワード しかし、その前に…。アレックス 話をするのが難しかったのだ。その地方の慣習で知れる所では、どうやら彼女は絞首刑に処されたらしい、蟻塚の直ぐ近くで。ラヴィニア でも、セリアが! 大勢の人がいる中で…。エドワード それも、一握りの疫病に怯えた原住民の為に、彼等もやがては死んでいくであろうと思われた…。アレックス そう、住民達はやがて死んだ。疫病に感染してね、彼等は食べられたのではない。tラヴィニア ああ、エドワード。御免なさいね、なんとも言い様がない事ね。でも、私の言いたいことはお分かりになるでしょう。エドワード 君には僕が考えている事が伝わるね…。ピーター 僕にはまるで理解できない。それでは、僕が国外にいた二年間、しかも何がセリアに起きたかも知らずにこの二年間ずっと過ごしていたのだ。二年間、セリアのことを思い続けて…。エドワード しれは僕が憤慨せずにはいられない浪費と言う物だ。ピーター あなたは僕よりも更に多くを御存知です。僕にとっては、それは浪費などではなくて、それ以外の全てなのですよ。二年間! そして、それは全て間違いだった。ジュリアさん、貴女は何故、何も仰らなかったのですか。ジュリア あなたはセリアに、この二年間、最上の物を与えたのよ。ピーター 何時、彼女は、その職場を引き受けたのですか…。ジュリア 二年前よ。ピーター 二年前、僕はあの除の事を忘れようと努めたのですよ。僕が自分の成功に少しばかり自信を持ち始めるまではと、そしてそれからまた彼女の事を考えようと…。もっともっとt、初めは僕はセリアの事を知りたくはなかった。それで、決して尋ねなかった。それから次にはたずねたくなったが、敢えてそうしなかった。たった今、貴女に彼女の事を尋ねるには勇気を全部振り絞ったのです。でも、この様な事は何も考えていなかった。僕は彼女を何も知らなかったと思う。彼女を理解しなかったし、何も、理解していない。ライリイ 貴方は御自分の職業を理解されている、クルプさん。それについて我々が阿尋ねしたい最大の物です。ピーター 職業が何でしょうか! 僕は自分を信じる為にそれを信じようと努力してきた。僕はシネマに革命を起こすようなアイディアを思い付いたと考えた。それは誰にも無視できないことだ、そして目下は二流のフィルムを制作している。が、それはやがてより良い物へと移行する。それは可能であると思えた、セリアが生きている間は。僕はそれを欲したし、セリアの為に信じた。そして勿論、セリアの為に何事かをしたかった。そして重要だったことは、セリアが生きている事だった。しかし今は、全てが無意味になってしまった。セリアは生きていないのですからね。
2025年11月26日
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第 三 幕 ロンドンのチェンバレン家の応接室。二年後である。六月の遅い午後、出前食料店の職員がビュッフェの設営をしている。ラヴィニアが脇のドアから姿を現した。職員 追加のご注文は御座いますか、奥様。ラヴィニア コップを載せた手押し車を運んで下さいな。そして準備が完了ですね。職員 畏まりました。奥様。 (彼は退場する。ラヴィニアは注意深く室内を点検する。花を生けた深い鉢を動かす) (さっきの職員が手押し車を押しながら再入場する)ラヴィニア その角に置いてね。それが最も便利がよいので。あなたは自由に出入りできますから。あなたが他に入用な物は、台所にはありましたか。職員 いいえ、御座いません、奥様。追加の御用命は何かありますでしょうか。ラヴィニア いいえ、ありません。六時半までは、そう思います。 (職員は退場する) 「エドワードが正面のドアから姿を現した)エドワード 良い具合に間に合ったようだね。心配してはいなかったと思うのだが。ラヴィニア いいえ、大丈夫です。実際、私は貴方の事務所に電話連絡をしたのですが。そしたらそちらの事務員がもう出発していますと告げたのです。もっとも私が電話したのは念を押すだけで…。エドワード (微笑みながら)それで君は、逃げ出したりはしなかった。ラヴィニア まあ、エドワードったら。それは狡くてよ、御承知のように、私達はこの二年間に何度もパーティを開催したわ。そして私はその全部に参加しました。貴方はかなり気疲れして居ませんか。エドワード いいや、大丈夫。静かな一日だ。二つの事務弁護士との相談事、簡単な訴訟に関して。君こそ相当に疲れているのではないかね。ラヴィニア まだ疲れてはいません。私は、全部が終わるのが嬉しいのです。エドワード 君の着ているドレスは素敵だね。それを着てくれて嬉しいよ。ラヴィニア あら、エドワード。お解かりかしらね、パーティの前に私にお世辞を仰ったのは今度が初めてよ。そして、それはベストのタイミングなのよ、エドワード そうさ、君は誉め言葉に相応しいのだ。我々は、あまりにも多くの人々に依頼した。ラヴィニア 本当ね、もっとより多くの人々が招待を受けてくれたわ。思っていた以上に、参加しようと言って。でも、何が出来ますか…。通常は多くが来たがらないのですが、同じくらいの多数が、我々がパーティに招待しないからと気を悪くする。エドワード 一つではなく、二つを同時に準備する室用があるようだね。ラヴィニア それは不満足です。誰もがもう一つのパーティの方がより重要なメンバーが呼ばれているに違いないと邪推してね。エドワード 確かに。君は非常に役に立つ精神を発揮する。ラヴィニア でも、ねえ。心配するには及ばないと思う。彼等は全員が来るとは限らない。招待を受けていても。こう言えるわ、後二十人を呼べるでしょう、何故ならば、代わりにカニングスの方に行くでしょうからね。エドワード 承知している。それはあの際にわれわれが言ったことだ。でも、僕はカニングス家のパーティがどんんだったか忘れてしまったよ。其処の招待客は十分に腹を空かせて行くのだ。そして、その後で我々の所に来る。大声で飲み物を呉れと叫びながらね。そして、望むらくは、我々の後でカニングスへ行く連中は早く席を開けて欲しい、カニングスの所へ急いでもらってね。カニングスから来る客の為に。ラヴィニア そしてもし、混雑し過ぎたらカクテルを手に出来ないかもしれない。トレイにたどり着けない者は他所に行くことになろう。とにかく、その時点でそれについてあなたが出来る事はなにもないもです。誰もがパーティでは人から見られたいし、他の誰もが居る場所に人々が招待されたことを示そうとする。それが成功したという事を意味する。あの絵が真っすぐでしょうかね。エドワード そう、その通り。ラヴィニア いいえ、そうではありませんわ。どうか真っすぐに直して下さらない。エドワード 今は、待っ直ぐにはなっていないのかい。ラヴィニア 左に少し傾き過ぎているの。エドワード これで、どうだろうか。ラヴィニア いいえ、私は右に寄せてとお願いしたの。それで大丈夫です。私は疲れ過ぎてあれこれはもう言えません。エドワード 人々が皆帰ってしまったら、二人でシャンペンを飲もうね。二人だけでね。少し横になったどうかね、ラヴィニア。誰も来ないだろう、少なくともあと三十分くらいは。だから、気を緩めるのがよい。ラヴィニア あなたは私の側に座ってください、そうすれば気楽に出来ますから。エドワード この瞬間が一番良い時だね、パーティ全体の中でも。ラヴィニア いいえ、違います。エドワード。最良の瞬間は、既に過ぎてしまった瞬間です。そしてそれから忘れないでね、季節の終わりの時ですわ、もうパーティは開催しないから。エドワード そして委員会もない。ラヴィニア 私達、直ぐに出発できるのかしらね。エドワード 来週の終わりにはね、僕は全くの自由の体に成れる。ラヴィニア そして私達は二人きりになれるの。私、あの遥かに遠い家が大好きです。エドワード だから、我々はあの家を手に入れたのだ。そして僕は実に感謝している、人々に会わないその口実を持てた事に。そして、君は今休息をする必要はないのかい。 (ドアのベルが鳴る)ラヴィニア ああ、邪魔だわね。さて、こんなに早くに誰でしょうか、私は単に起き上がれない。職員の男 シャトルウエイト夫人です。ラヴィニア あら、ジュリアなのね。 (ジュリアが入って来る)ジュリア さてと、お二方、私は参上しました。私は文字どうりあなた方に不意打ちを喰らわせようと企んだみたいよ。余りに早く来過ぎた事は承知しています。でも、事実は、お二人さん、私はカニングス家のパーティに参加しなければいけないの。そして、お分かりになるかしらね、かれらが食べ物や飲み物として何を提供するかを。そして私は飲める筈だったお茶を飲めなかった。私は単純にがつがつとしているの。喉が渇いて死にそうなのよ。パーキンソン夫妻が私に何をしてくれたかですって。ああ、そう、これはパーキンソンのパーティなの。私はドアの所で彼等の家族の一人を認めた。私の旧友です、事実。でも私はすっかり忘れてしまっていた。吃驚してしまったのよ、私はアレックスと一緒だった。彼は今朝、何処から戻ったばかりだった。彼の神秘的な冒険旅行から。そして我々は彼にその事を話させるつもりでいるの。しかし、彼は如何してしまったのかしらね。 (アレックスが入って来る)エドワード やあ、アレックス。一体全体、何処から舞い戻って来たのかね。アレックス 一体どこから、だって…。東の国からさ。キンカンジャさ、君が名前さえ聞いた事の無い島だ。今朝、戻ったばかりだよ。僕は君の所のパーティの事を耳にして、しかも、君等は田舎の方に旅立つだろうと思ったので、僕曰くだ、この機会を逸してはいけない、ラヴィニアとエドワードに会うにはと。ラヴィニア 御機嫌は如何、アレックス。アレックス 僕は昼食ごに電話で貴女と話をしようと試したのだが、僕の秘書は電話で貴女に通話できなかった。気にするな、僕は自分に言った、彼女にではない、予期しない客に人々が最も温かな歓迎の意を表するものだ。そのために僕は人々をよく知っているのだよ。ジュリア でも、お話して、アレックス。その奇妙な場所で貴方は何をしていたのですか。名前は何でしたかしら。アレックス キンカンジャですよ。ジュリア そのキンカンジャで、一体貴方はなにをしていたのですか。誰かサルタンのような人を尋ねていたのかしらね。虎を射撃していたのかしら…。アレックス 虎などはいないさ、ジュリア、キンカンジャには。そして、サルタンのような人物もいないよ。土地の総督の所に滞在していたのだ。我々三人は、地方の状況を視察の為に巡回旅行をしていたのだ。ジュリア 何のための視察なの、猿のナッツの…。アレックス 貴女が推測した以上に実情に近いのです。いいや、猿のナッツ類ではなくて、猿には関係のある事柄なのですが。猿は問題の中心に、或いは単なるひとつの兆候として存在はしているのですが。余り確信は持てない。少なくとも猿達は原住民の間では一般的な不安に対する一つの口実にはなっていた。エドワード でも、一体、猿がどのようにして住民の不安を惹起しているのだろうか。アレックス まず最初に、猿達は非常に破壊的なのだ。ジュリア あなたは我々に猿が破壊的な事を話す必要はないのよ。私は決してメアリイ・マリントンの猿の事を決して忘れはしないでしょう。あの恐ろしい小さな獣はメントン行きの私の切符を盗んだのよ。だから私は非常にゆっくりとした列車で旅行しなければならなかった。しかも寝台車で。彼女はとても怒ったわ、私があの生き物は殺す必要があると告げた細に。ラヴィニア でも住民は猿達を撲滅できないのでしょう、いくら彼等が害獣であっても。アレックス 不幸な事には、住民の大多数は無宗教の野蛮人なのだ。彼等は猿にある特殊な尊崇の念を抱いていて、猿が殺されることを望んでいない。それで、住民は猿による被害で政府を非難したのだ。エドワード それは非合理だね。アレックス 実に、非合理なのだ。が、特徴的でもある。しかしそれが最悪の物ではなかった。簿族の幾つかはキリスト教への改宗者なのだ。それで自然にかれらは猿に対して違った態度をとっている。彼等は猿を罠にかける。そしてそれを食べる。若い猿は非常に味がよい。僕は自身でそれを調理してみたが…。エドワード それで、誰かがそれを食してみたのかい、君が料理した物を。アレックス うん、実際に。僕は住民の為に新しいレシピを考案してあげた。でもねえ、猿を食べる事、その死骸を他の猿から守ることでキリスト教信者の住民達は非常な繁栄を遂げた。その為に彼等と多の部族の間に摩擦が生じた。そしてそれが本当の問題となった。僕はみんなを退屈させてはいないだろうね。エドワード いいや、ちっとも。その解決法を知りたくてたまらない。アレックス 僕には確信が持てない、何か可決策があるのかどうか。しかし、これさえ我々を重要事態の核心には導かないのだよ。外国からの扇動者もいたからだ。問題を大きくして…。ラヴィニア 何故、あなたはその人達を排斥しないのですか。アレックス 彼等はちょうどわが国が承認したばかりの友好的な隣国の住民達なのだ。分るでしょう、ラヴィニア、そこには非常に深い水があるのです。エドワード そして扇動者達が。どのようにして彼等は扇動するのでしょうか。アレックス 原住民に、猿の虐殺で彼等にかけらられた呪いは、キリスト教徒を虐殺することでしか取り除く事は出来ないと信じ込ませて。彼等はキリスト教への改宗者の幾人かを説得し続けてもいる。彼等は、いずれにしても、殺されないようになればよいのdから、…、元の未開状態に舞い戻ることで。それで、猿を食べる代わりに、彼等はキリスト教徒を食べているのだ。ジュリア 誰が猿を食べ続けているのですか。アレックス 僕は恐れているのだが、原住民は途轍もなく論理的ではない。ジュリア あなたはその猿の話で私達を何処へ一体連れて行こうと言うのですか。私はその猿の話を聞きながら正餐をする運びになるのでしょうね。でも人は、キリスト教徒を食べながら食事をすることは出来ないわね。異教徒の間でさえね。アレックス それは話の全体ではないのだ。エドワード それで、イギリス人の住民の何人かは殺されたのどろうか。アレックス そう、でも彼等は通常は食べられたりはしない。これらの人々が一人のヨーロッパ人と絶交した場合には、彼は原則として食用には適していない。エドワード それで、どうやって君の任務は完了するのだろうか。アレックス 我々はちょうど中間報告を作成し終わった所なのだ。エドワード それは公表されるのかね。アレックス それはあり得ないね、目下のところでは。余りにも多くの国際的な紛争の種が存在するのでね。従って、公的な発表があるかも知れない。エドワード でも、何時なのかな。アレックス 一年か、二年の内に。エドワード そして、その間には…。アレックス その間に猿が増える。ラヴィニア そして、キリスト教徒達は…。アレックス ああ、そのキリスト教徒なのだが、そろそろ、僕はあなたがたが知っている、或いは知っていたと言うべきかも、ある人物に関して話をしなければいけない。
2025年11月24日
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ライリイ 良い生活です。貴女はそれがどんなによいのかは、最後になるまで理解できないでしょうが。しかし、貴女は他に何も望んではいない。そしてその他の生活は単なる書籍にしか過ぎないのです。かつて読んで失ったそれ。狂気の世界では、暴力、うつけていること、貪欲など…、それは良い生活なのです。セリア 私は承知しております、それを受け入れることが出来るようにすべきだと。それをまだ持ち続けていてもよいと。しかもそれは私を寒い気分にします。多分、それは私の病気の一部なのでしょう。しかし私はそれが一種の屈服ででもあるように感じるのです。いいえ、屈服ではない、背信行為以上のもの。お判りでしょうが、私には何物かの幻影が見えていると実際に思うのです。しかも、それが何であるのかは分かりません。忘れたくもないのです。それと一緒に生きて行きたいのです。私は全てを失ってもやっていけるでしょう。何事にも適合しながら、もしそれを心に大切に守り育てるのであれば。事実、私は実際に不正直だと思うのです、自分に対して。誰かとの生活をしようと試みる事は。私は過去に愛情に値するものを誰にも与えられなかった。出来たらよかったのにと願っていた…、あの生活に付随していたもの、ああ、私はこれが怒号のように叫んでいるようではないかと恐れるのです。或いは、単なるつむじ曲がり…、依然として、もしかして他に道が無いのなら、…、私は絶望状態に感じるだけです。ライリイ 別の道はあるのです、勇気さえ持てば。最初に、私は馴染みのある用語で表現することが出来ます。何故なら貴女はそれを見て来ているのです、我々みんながそれを見たように。多かれ少なかれ我々の生活のそれで解り易く説明されて。二番目は解りません。それで信仰が要求されます。絶望から生まれる種類の信仰です。目的地は説明できません。そこに到達するまでは殆ど何も分からないのです。貴女は盲者として旅する。しかし道は貴女が間違った場所で探し求めていたものを所有する方向に通じているのです。セリア それは私が欲していた物を感じさせてくれます。でも、私の義務は何でしょうか。ライリイ どの道を貴女が選ぶにしても、自ずからそれ自身の義務を処方するでしょう。セリア どれがより良い道でしょうか。ライリイ どれもより良くはないのです。どちらの道も必要なのです。そのどちらかを選択することもまた必要なのです。セリア では、私は二番目のを選びます。ライリイ されは恐るべき道なのです。セリア 私は吃驚したりしませんわ。むしろ、悦んでいます。それは孤独な、寂しい道ですね。ライリイ もう一つの道よりも更に孤独ではありません。しかし、別の道を選んだ人々は自分の孤独さを忘れることが出来ます。貴女は御自分のそれを忘れる事は出来ません。どちらの道も孤独を意味しているのです。…、そして霊的な交渉。どの道も最終的な荒廃状態を避けるのです。幻影的世界での孤独なそれ、想像力が生み出す、記憶や欲望をないまぜにして。セリア それが私の落ち込んでいた地獄です。ライリイ 地獄ではないのです。貴女が他に何もできなくなるまでは。さて、貴女は今、安定していますか。セリア 私は二番目の道をのぞみます。そして、何をすれば宜しいのでしょうか。ライリイ 貴女は療養所に行くことになります。セリア ああ、何と言う非絶頂でしょう。私はあなたの療養所に行って戻って来た人々を知っています。私は彼等がそれで随分と改善されたとは思いません。それが私が貴方に会いに来た理由なのです。しかし彼等は…、毎日の生活に…、復帰しています。ライリイ その通りです。しかし、貴女が心に描いている友人達はこの療養所には行ったりしてはいないのです。私は非常に注意深く誰をそこへ送るかを決めるのです。行く人々は、彼等がそうした如くには戻っては来ないのです。セリア まるで牢獄のようですね。でも、彼等は全員がそこに留まることはできないでしょう。詰まり、そこは定員越えをしてしまうでしょうからね。ライリイ そんなに多くは行きません。しかし私は言いましたよ、彼等は戻ってこない、貴女の友人達が戻った状態では。彼等はそこに滞在しなかった。セリア 彼等はどうなりましたか。ライリイ 彼等は選択したのです、コプルストンさん。何も強制はされなかった。彼等の幾人かは戻りました、身体的な意味合いでは。誰も消えたりはしていない。彼等は非常に活動的に生活しています、非常にしばしば、世間では。セリア 直ぐにでも私をそこに送りますか。ライリイ 貴女は何時、心の準備が整いますか。セリア 今夜、九時には。ライリイ それでは帰宅なさい。そして準備をして下さい。此処に住所が書かれています、貴女の友人に知らせる。 (細長い紙片に書き込む) 貴女の家族にもすぐに知らせた方がよいでしょう。私が車を迎えにやりましょう、九時に。セリア 何を所持していく必要があるでしょうか。ライリイ 何も要りません。貴女が必要とする物は備え付けてあります。そしてその療養所ではお金は掛かりません。セリア 私がこれから何をしようとしているのか、或いは、何故そうしなければいけないのか、ほんの少しも分かりません。他に何もすることがないからでして。それが唯一の理由です。ライリイ それが最上の理由です。セリア でもその決定をしたのは私だと言う事は承知しているのです。私はそれを申し上げなくてはいけません。あら、私はあやうく忘れる所でした、此処の掛かりはおいくらでしょうか。ライリイ 私は秘書に、費用は要らないと言ってあります。セリア しかし…、ライリイ 貴女のような症例では、費用は要りません。 (ボタンを押す)セリア なたはとても御親切でしたわ。ライリイ 安静になさい、娘さん。勤勉に、御自分の救済をなさるがよい。 (女性秘書がドア口に現わた。セリアは退場する。ライリイは家庭用の電話のダイアルを回す) (電話に)終了しました。もう、お入りください。 (ジュリアが脇のドアから入って来る)彼女は遠くに行くでしょう、あそこに。ジュリア とても遠く、と思います。私に説明しなくても構いません。私は最初から知っていたのです。ライリイ 私が気をもんでいるのは他に人々についてなのです。ジュリア 問題ないわよ、ヘンリィ。私が注意して見守ります。ライリイ 彼等を連れ戻す、何に対して彼等は戻らなければいけないのか…。食料貯蔵室のかび臭い食品の製造へ、彼等の心の中の古臭い考えをこね回す所へだ。それぞれは自己の賤しさを自分から偽装できないで。何故ならば、それは他人には知られているから。お互いの裏切り行為を知っているからではなくて他者が動機を知っているからなのだ、鏡對鏡、虚栄を反射しあっている。私は大変な危険を冒している。ジュリア 我々はいつでも危険は冒さなくて行けない。それが定めなのですから。あなたは決断に質問していたけれど、別の可能な選択肢はイメージ出来ていたのかしら。ライリイ いいえ。ジュリア 大変結構です、進んで危険に対処しましょうね。我々に出来る事の全ては彼等に機会を与える事ですから。さて、今や彼等は魂を裸の状態にされてしまい、そして選択できる、似合いの衣装か、それとも色々な偽装を慌てて着込むのか。彼等は、初めて、出発する場所を持つのだ。ああ、勿論、誰らはお互いを殺し合うかもしれないが。私にはそうするとは思えない。見ていましょう。セリアの考えが私の心に重くのしかかっているの。ライリイ セリアのですか…。ジュリア セリアのよ。ライリイ しかし、今、私が彼女は遠くに行くと告げた細に、あなたは頷きましたが。ジュリア ええ、そう。彼女は遠くにいくでしょう。そして我々は彼女が何処に向っているかを知っている。でも、あの旅行の恐ろしさを我々は知っていっるのかしら。私もあなたも、知らない。どのような過程を経てある人間が別の人間に作り替えられるのかを。知っている事はと言えば、彼等が啓示の過程で試練を受けなければならない苦難の性質なのです。ライリイ 彼女は投影された精霊たちの最初の出現で怯えてしまうだろうか。ジュリア ヘンリィ、あなたは単に無垢な魂を理解しないだけよ。彼女は何も恐れないわ。彼女はなにか恐怖しなければいけない物が存在するとさえ考えていない。彼女はあまりにも謙虚なのよ。彼女は口うるさく小言を言う丘の間を、嘲りの谷を抜けて、使いに出された少女の様に熱心に辛抱強く、過ぎて行くでしょう。それでも彼女は苦しみを受けるでしょう。ライリイ 私が何かに確信を与えると、あなたはいつも疑問を提起する。私がどちらろも判定できない際は、あなたは確信以外の何物をも理由としない。ジュリア それが一つの方法なのです、私があなたにとって非常に役立っている。感謝しなければいけないわね。ライリイ そして、私が彼女のような人物に、一心に御自分の救済にお励みなさい、と言う時に、わたしは自分が言っている事を理解していないのです。ジュリア あなたは御自分の限界を受け入れなければいけないわ。それにしても、アレックスはどのくらい私達を待たせるつもりなのかしら。ライリイ 彼は今にも此処に姿を現すはずです。私はバラウェイ嬢に話をしようと思います。 (家庭用の電話を取り上げる)バラウェイさん、ビブス氏は何時到着しますか。…、ああ、そうですか。(ジュリアに)彼は今こちらに向かっている途中だそうです。(電話に)もうお盆を持って来てくださいな、バラウェイさん。(アレックスが入って来る)アレックス さて、さて、首尾はどうなりましたか。ジュリア 全てが手筈通りだわ。アレックス イェンバレン夫婦は選択をしたのですね。ライリイ 彼等は自分たちの運命を受け入れている。アレックス そして彼女も選択をしたのですね。ライリイ 彼女は今夜、連れてきます。 (女性秘書がデキャンタと三つのコップを載せたお盆を持ってきた。ライリイが飲み物を注ぐ)さてさて、我々は取り敢えず乾杯をしましょうか。アレックス 炉端の建造にむけた言葉を! (彼等はそれぞれのコップを挙げる)神がライリイ 彼等が新しい人生の炉端を建設するべく、星々に見守られて。アレックス 彼等が炉の周辺に椅子を並べるように。ジュリア 聖なる霊がその屋根を見下ろすように、そして月の女神が自身で寝床に良い影響をもたらしますよう。 (彼等はお神酒を飲む)アレックス 旅だった人々への祝福の言葉を!ライリイ 旅行者を守護する神よ、道に祝福を…。アレックス 砂漠での彼女を見守り、山での彼女を見守り、迷路での彼女を見守り、流砂の側で彼女を見守り給え。ジュリア 色々な声から彼女を守り給え、幻影から彼女を守り給え、彼女を心の乱れから守り給え、静寂さの中で彼女を守り給え。 (彼等は飲み物を飲む)ライリイ 一人だけ、その者の為に言葉は発し得られない者がいる。アレックス その言葉はまだ発せられてはいない。ジュリア ピーター・クイルプのことですね。ライリイ 彼はまだ言葉が有効である場所には来てない。ジュリア それをこれから言ってみましょう。アレックス 他の人々が、多分、その言葉を発するでしょう。御承知の如くに、僕はカリフォルニアにも友人知人があるのです。 幕が降りる
2025年11月20日
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ライリイ 渋々だったのでしょうかね、それで、あなたが連れて来た。ジュリア ああ、いいえ、そうではありません。ちょった違っているのです。彼女には信じられないのです、あなたが自分を真剣に診察してくれるかが。ライリイ それは異常でも何でもありませんよ。ジュリア それでは、彼女は真剣に診察する対象に該当するのですね。ライリイ それが最も異常なのです。ジュリア ヘンリィ、頑張ってね。あなたはそんなに疲労していてはいけないわ。隣りの部屋で待機します。官女が居なくなってから戻ります。ライリイ そう、彼女がいなくなってから…。ジュリア アレックスは此処にいるのですか。ライリイ そうです、間もなくやって来るでしょう。(ジュリアは脇のドアから退場する) (ライリイはボタンを三度押す。女性秘書がセリアを請じ入れた)ライリイ セリア・コプルストンさんですね。…、腰を掛けて下さい。貴女はシャトルスウエイト夫人の友人でしたね、確か。セリア はい、ジュリアでした、…、シャトルスエイト夫人が、私に貴方に診察をお願いするように助言したのです。でも、私は前にお会いしたことがありますね。何処かしらね、…、ああ、勿論のことですが、解らない…。ライリイ あなたが知る必要はありません。私はシャトルスウエイト夫人の要請であそこに居たのです。セリア それを聞いてさらに困惑してしまいますわ、しかしながら、私はあなたの時間を浪費させたくはありません。しかも私は常に恐れているのです、私がいずれにしても時間を空費しているとあなたから思われるのではないかと。思うに、殆どの人々があなたに診察を仰ぎに来た際に、明らかに病気の状態です。或いは、あなたに好都合な理由を与えて、あなたに逢いたいと望んでいる。でもね、私には出来ません。私は単に自暴自棄状態で此処へ参りました。そしてあなたが私の帰りなさいと仰れば傷つかづに戻れます。ライリイ 私の患者の大部分は、コプルストンさん、何が問題なのかを正確に私に話してくれる事から始めるのです。そして私はそれにどう対処しようかと考えるのです。彼等は確信している、自分は神経的に危険な状態にあると、そう彼等は自分の病気を規定している。そして通常彼等は誰か他の物が悪いのだと思っている。セリア 私は少なくとも自分以外の誰も責めたりはしません。ライリイ そしてその後で、私の処置の序章は、彼等に彼等の病気に対する見立てが間違っている事を示そうと試みることなのです。そして彼等を誘導して想像している程には興味深い物ではない事を納得させることなのです。そこまで行けば、治療の大半は終わっているのです。セリア 私は私の問題が興味深い物だとは思っていません。でも私はそんな風には始めません。私は極めて良好だと感じています。私には行動的な生活が送れます。もしも、何か差しさわりが有ったとしても。私は何事かに迫害されているとも想像しておりません。私には何の幻聴も聞こえません。妄想もありません。私の生活している世界があたかも全部夢想であるかのように思える事を除いては。最初に私は自分の置かれている生活環境についてお話すべきでしょうか。あなたはまだ私について何も御存知ない事を忘れていました。そして私がどのような体験を経てきているのか、特に最近の数週間で。兎に角、私は自分に関して説明する必要がない事を当然と心得ていました。ライリイ 現時点で私はあなたについて十分の情報を得ています。先ず、貴女の心の状態を委しく聞かせて下さい。セリア そうですね、私には理解できない事が二つあります。それをあなたは兆候と仰るかも知れませんが、最初にお話したいのは、私の心の何処かが悪いと思いたいとでも表現しましょう。何故ならば、どこかが悪くなくとも、どこかが不具合なのです。或いは、少なくとも、それまでとは非常に相違している、世界との関係で。そしてそれは非常に恐るべきことなのですね。それは恐るべき現象なのです。それで私はむしろ信じたい、私にはどこかが異常なのだと。それは正常に戻し得るとも。私はあなたから何かを聞かせていただきたい、正常に戻れる方法などについてです。ライリイ 我々は先ず、貴女に関して正常な状態とはどういうことなのかを見つけ出しておかなければいけませんね。あなたは二の事があると言われた。一番目は何ですか。セリア 孤独感の気づきです。でも、それでは平板過ぎます。つまりは、衝突が有るとは意味していません。でも実際にはあったのですが。それは単に幻想の終わりではなかった。通常の道ではない、或いは溝が掘られていた。勿論、それは通常人々の上に何時も起こっている何かです。そして人々はそれを克服している。多かれ少なかれ、少なくともそれを背負っている。いいえ、私が申したいのは、起きた現象は私に気づかせた、私が人生でずっと孤独だったと言う事を。人は常に一人だと言う事。単純に一つの関係の終局ではない、これまでに決してあり得なかった事実の発見ではなく、或る啓示、私の周囲の皆との関係性に関するそれ。お判りになりますか、誰かに話しかけるのさえもはや無意味だと感じる…。ライリイ そして、貴女のご両親については、どうなのですか。セリア ええ、彼等は田舎で暮らしています。今や彼等は都会には住むべき場所を持たないのです。彼等に出来る事と言えば地方で生活を続けることぐらいです。そしてそれは非常に長い家族でに倉氏でした。彼等はしれを離れないでしょう。ライリイ そして、あなたがロンドンに暮らしている。セリア 私はアパートを借りています、従妹と一緒に。が、彼女は一時的に海外に出ました。そして私の家族は地方に戻って一緒に住もうと勧めています。でも、その気にはなれませんの。ライリイ それではあなたは、誰にも会いたくはないのですか。セリア ええ、どもそれは、一人でいたいからではないのですが。ライリイ それであなたは、心のよじれを抱えたままで、そう言う具合に思っている。セリア でも、凡てがとてもうまくいっているように見えた、その時には。私はそのことを繰り返し何度も思った。今は解るのです。間違いだったと。でも分からないのは、間違いが何故に罪だと感じさせるのか。しかも、それに対して他のどんな言葉も思いつかないのです。一種の幻覚に相違ないのですが。しかも、同時に、恐怖感で吃驚したのは、私がそれまでに信じていた何よりも更に現実的だったから。ライリイ 何がより現実的に見えたのですか、貴女がそれまでに信じていた何よりも。セリア 私がそれまでにしたどんな物にたいする感情でもなかった。そこから逃げ出したいと思う、或いは、私の中にある何物でも取り払いたいと思う。でも、その空虚感、誰かに対する失敗、更には私の外側にある何物かを、ですね。そして感じた、何かを償わなくてはいけない…、それが言葉にすればそうなる。あなたにはそんな心の状態にある患者を治療できるでしょうか。ライリイ 貴女が信じていたものとは、この男性との様々な関係ですね。セリア まあ、それが推測で来るのですね、何て賢明なお方なのでしょう。いいえ、それは明瞭にできた筈だった。貴方は彼について知る必要はないでしょうね…。ライリイ はい。セリア 私は典型的なだけに過ぎない。ライリイ 様々な違ったタイプがあります。一人は別の誰かより特殊です。セリア ああ、私は彼に随分と多くの物を与えた。そして、彼もまた私に…。そして、与えたり受け取ったりは非常に正しかったと思える。打算的な言葉は使わなくても、私達二人が置かれていたような人間によいものだった。しかし、新しい人間の、我々には。もし感じられるとして、当時行動していた時も、今でさえも、それは正しいと思える。そしてそれから、私は気づいた、二人は赤の他人同士だったと。与えたり受け取ったりもなかった。そして我々はお互いを単純に利用したにしか過ぎない、彼の目的に沿って。それは恐怖だった。我々は自分たちの想像力が作り上げた何物かを愛したに過ぎないようで。我々は実際には愛されもせず、愛しもしない。そして孤独の儘だ。そしてもし人が孤独であるならば、愛する者も愛される者も非現実な存在だと言える。そして夢想する者はその者が見る様々な夢以上に現実的ではない。ライリイ そして、その相手の男性は、今、貴女にはどのように感じられますか。セリア 森の中に迷い込んだ子供のように思えますわ、想像上の遊び相手と一緒にいて。そして突然に気が付いた、自分は子供に過ぎず、森の中で迷い、家に帰りたがっていると。ライリイ 同情心は既に手がかりであるかも知れない、あなた自身がその森から抜け出す道を発見する。セリア 森から抜け出せたとしても、慰め難い記憶は残るでしょうね、私が嘗て森の中に迷い込んで宝物を発見した。しあも、発見などはしていない、その宝はそこにはなかったのだから。そして多分は何処にも存在していない。でも、若しも存在しない物ならば、それを発見できなことに私は何故に罪悪感を感じなければいけないのか。ライリイ 幻滅はそれ自身がひとつの幻想に成り得るものです。我々はそれに休息の場を求められれば幸いなのですがね。セリア 私には議論は出来ません。再び傷つくのを恐れているからではありませんで、何物も再び傷をつけたり傷を癒したりは出来ないでしょう。私は時々に思った、歓喜は現実的である、それを経験する人は現実感を持てないけれども。何故ならば、起こったことは夢の様に記憶され、心で強く愛することで意気が強められ、欲望の無い喜びの震え、欲望は愛する事の歓喜で満たされる。目ざめている時には知らない状態、しかし、私は何を、誰を愛したのだろうか。或いは私の中の何が一体愛されたのだろう。私には分からない。そしてもしそれらが無意味なのであれば、私は治療されたい。私に見付けられなかった物を渇望することから。そしてそれを発見できなかった恥辱から解放されるべく。治療して下さいますか。ライリイ 状態は治療可能です。しかし治療の形は貴方の選択次第です。貴女の代わりには選べません。もしそれが貴女の願いであるならば、人間の状態に融和させることはできます。貴女ぐらい遠くに行かれた何人かは、状態が平常に復しています。彼等は自分が体験した幻影を記憶しているでしょう。しかし彼等はそれを悔いるのを止めます。通常の日常生活を維持して過剰な期待を避けることを学ぶ。自分自身や他人に対して寛容になる。与える事、請け取る事、通常の行動として与えたり受け取ったりする事柄を。彼等は愚痴をこぼしたりしない、別れるべき朝や再会する夕べに満足する。暖炉の前の何気ない会話、二人の人間は互いが理解できない事実を知っている。彼等が理解していない子供たちを養育する。子供たちも両親を理解しないだろう。セリア それが最良の生活ですか…。
2025年11月19日
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ライリイ (エドワードに対して)あなたは私に嘘をついていましたね、コプルスとの関係を隠して。エドワード 何て卑劣な事を言うのです、家内はその事を何も知らないと言うのに。ラヴィニア 実際、エドワード! 私は目隠しをされたままでいましたわ、大勢の人々がその事を私に告げたけれど。知らない人が誰かいたかしらね。ライリイ 一人いましたよ、事実上、それは貴女です、チェンバレン夫人。試みていましたね、私に信じさせようと、貴女が仰る所の神経衰弱に落ち入る決定的な原因はその発見だったと。ラヴィニア でも本当なんです。私は完全に打ちのめされたのです。今は部分的に回復したとは言うものの。ライリイ そうです、確かに貴女は完全に打ちのめさせたのです。そして確かに、幾分は回復された。しかし貴女は御自分の苦悩の原因はあなたが愛している人の背信行為だと仰れなかった、彼は人生で初めて誰か他の人と突然に恋に落ちた。そしてその誰かに対して貴女は嫉妬する理由がある。エドワード 実際、ラヴィニア。これはとても興味深いことだね。君は僕よりもずっと隠蔽するのが上手だったね、さて、君の相手は誰だったのだろうかね。ラヴィニア そうね。そうしたいのでしたら彼に告げなさい。ライリイ ピーターと言う名の若者。エドワード ピーター、誰ですか。ライリイ ピーター・クイルプ氏。彼は頻繁に客になっています。エドワード ピーター・クイルプ。ピーター・クイルプ! そうだったのか、ラヴィニア。御目出とうを言おう。君は僕が最も疑いを持ちえない人物を選んでいたわけだね。そして彼は僕にセリアに関して秘密の打ち明け話をしに来たのだ。こんなにも馬鹿げた話を僕はこれまでに聞いたことがなかったよ。これは人生上で最大の冗談だよ。ラヴィニア 私、あなたがそんなにもユーモアのセンスをお持ちだったなんて知りませんでしたよ。ライリイ これは最初の最も希望的な兆候ですよ。ラヴィニア あなたはこれらの全部をどうして知り得たのですか。ライリイ それは申し上げる事は出来かねますね。私には患者に関する独自の情報収集法がありましてね。それを開示しろと私に迫るのはいけません。これは職業上の礼儀に関する事柄でして。ラヴィニア 私は今日、あなたの職業的なエチケットについての行動を余り多く気づきませんでした。ライリイ 要点を整理してみましょう。で、私がお二人にお互いの事に関して、新たな事実の暴露を述べる事を許して頂きたい。それはあなた方が私を信頼して打ち明けた秘密事項ではありません。私があなた方と交換した情報は全部が外部から入手したものです。チェンバレン夫人、貴女が二か月前に私の所に来た時、私は貴女の説明に納得がゆかなかった。貴女の感情に起きている苦悩の明瞭な兆候についてですが。そしてそう、私はお尋ねしました。エドワード 二か月前ですか、君の神経が危機に瀕したのは。僕はまるで気づかなかったよ。ラヴィニア あなたは何も気づこうとはしない。私に関心を払わないから。ライリイ さて、私はお二人が如何に多くの共通点を有しているかを指摘したいのです。あなた方は例外的なくらいにお似合いのカップルなのですよ。イェンバレンさん、あなたは奥さんがあなたを捨て去ったと思った時に、初めて気づいたのです、あなたはコプル嬢を愛してなどいない事を。そしてびっくり仰天し途方に暮れる程に狼狽もした。ラヴィニア 夫は誰にも恋などはしませんわ。ライリイ しかも、奥さんの為に最小の犠牲さえ払おうとはしなかった。この事実があなたの虚栄心を傷つけた。あなたは自身を情熱的な恋愛者と思いたかった。それからあなたは奥さんが、あなたは誰をも愛せない人なのだと指摘していた言葉を思い返してみた。それはあなたに、自分は誰に対しても愛情を注げないのではないかと疑った。或るタイプの男にとって自分は女性に愛情を注げないのではないかととの疑惑は自尊の念を著しく傷つけるばかりではなくて、より粗野な人間にあっては性的な不能者ではないかとの恐怖を煽ることになる。ラヴィニア あなたは心が冷たいひとですよ、エドワード。ライリイ 貴女はそうおっしゃるが、チェンバレン夫人。そして今、問題の側面に目を向けて見ましょう。貴女は御自分の若い友人が、心の中では承知していたけれども、彼は貴女に恋などはしていないと、しかも彼を恋人の立場に置こうと強いていた、と気づいて常に傷ついていた、そして私はこう申し上げましょう、貴女は若い友人が実際にはコプルストン嬢に恋していることを知った。直ぐに貴女は進んでその事実を認めたことを、私は強く確信している。彼がかんじるだけでね気づく前に貴女はそれを認めたのです。そして貴女は自身に対して、私は勘ぐっているのですが、出来る限り長く、彼はより上流の社会的な卓越性を目標にしているのだと、貴女の愛人でいる事で授与される名誉よりもですね、そう解釈した。やがて貴女は、彼の愛情が彼女に喚起している感情が、貴女が彼に齎しているものとは違っている事実に直面しなければならなくなった時に、それは衝撃となった。貴女はずっと誰かに強く愛されたかったのです。貴女はこれまでの人生で本当には誰からも愛されてはいなかった事実に気づかされてしまった。それから貴女は、だれも自分を愛することは出来ないのだと恐れ始めた。エドワード 僕は今、君に対して大変に申し訳なく思い始めているよ、ラヴィニア。分るだろう、君は例外的と言ってよい程に愛らしくはないのだよ。そして僕はその理由がまるで分らない。ただ、僕の罪だと思うのだがね。ライリイ そして今、あなた方は見始めた、私は希望的に思っています、二人は共通のものが如何に多いかを。同様の孤立感。女性を愛せないと自覚した男性と、誰からも愛してはもらえないと知った女性。ラヴィニア 私達に共通の物があるという認識は、お互いを唾棄するに十分なものだと、私には思えるのです。ライリイ もしろ、それを二人を繋ぐ絆だと見るのがよいのです。暗中模索状態でいる間中、貴女は言い続けることが可能です、彼は誰も強く愛することはできないのだ、と。そして御主人は、彼女はいつでも言える、彼女には愛する能力がないのだと。お二人は、お互いを非難する、自分自身の落度としてです。そして相互理解を避けるのです。そして、もう互いの主張に異議を唱え、一緒くたにしてしまうだけにしか過ぎない。ラヴィ内 可能でしょうかね。ライリイ 私がお二人とも療養所に送り込んだならば、私の所に見えた時の心理状態でですね、私はこう申し上げるでしょう、あなた方の想像力を遥かに上回る恐怖が襲ってきたことでしょう。何故ならば、あなた方は背中に背負い込んだものをそのままでいたでしょうから。様々な欲望と言う欲望の陰に怯えながらです。諸悪魔が、充満した力でやって来て、あなた方を自分の懐に抱え込んでその餌食になる。ラヴィニア それでは、私共はどうしたらよいのでしょうか。前進も、後退も出来ないのですらね。エドワード、どうしましょうか。ライリイ あなた方はすでにその疑問の答えを出してしまっているのです。御自分の言われて事の意味を理解しないで…。エドワード ラヴィニア、我々は悪い仕事を最上に仕上げなければいけない。それが彼の言う意味だ。ライリイ チェンバレンさん、悪い仕事を最上に仕上げる事ならば、我々の誰もがしていることなのです。勿論、療養所に行く聖者達を覗いてはね。あなたはこの語句を忘れるでしょう、そしてそれを忘れる事で状況がかわるでしょう。ラヴィニア エドワード、そのホテルはニュウホレストにあるの。あなたがそこに行きたいのなら。丁度事業を引き継いだばかりの経営者はアレックスの友人の一人なの。私はそこへあなたをお連れできるし、一人になりたいのでしたら、私はそこを立ち去るわ。エドワード だが、僕は他へは行けないのだ。来週の月曜日に訴訟事件を抱えているので。ラヴィニア それならクラブに止宿なされば。エドワード いや、それがダメなのだよ。明日、出なければいけないのだ。でも、君は何故、僕がクラブにいる事を知っているのだい。ラヴィニア ねえ、あなた、エドワード。私はある種の責任感を持っているのよ。私はそこに貴方のシャツ類を届けておきましょう。エドワード 家に帰ってもよいように僕には思えるのだが。ラヴィニア それでは、タクシーでご一緒しましょう、経済的に済ましましょう。エドワード、他に何か彼に尋ねたいことはないのですか、お暇する前に。エドワード うん、あるのだよ、が。言葉にするのが難しいのだよ。ラヴィニア でも、私はあなたが無理にでも言葉にして尋ねて頂きたい。少なくとも、私はあなたに質問して欲しい或る事があるのです。エドワード それは未来に関してのことなのだろうか…、誰か他の人達の。僕は他人の破滅の上に何かを建設したいとは思わないのだが。ラヴィニア 正にその通りですわ、そして私にもお尋ねしたいことが有ります。ヘンリィ卿、あなたですか、あの電報を打ったのは。ライリイ 私は、貴女の御主人の問題をかたずけておきたいと思います。(エドワードに) あなたのしなければならない事は良心を鮮明にすることではなくて、あなたの良心の重荷に如何に耐え忍ぶかを学ぶことなのです。他人の未来などは貴方に何の関係もないのです。ラヴィニア あなたは今、私の質問にも答えて下さった。人々は彼等自身で、自分の決断を下していると我々に告げなければならない。エドワード 他に、我々に仰りたいことはありましょうか、ヘンリィ卿。ライリイ いいえ、今の状況内では、有りません。(エドワードが小切手帳を取り出した。ヘンリィは手で制して)秘書が請求書を送りますから。平穏になさり、御自分の救済に励みなさい。(ラヴィニアとエドワードが退場) (ライリイはソファに行き、横になる) (自宅用の電話が鳴る。彼は立ち上がって答える)もしもし、うん、お入りなさい。 (補助のドアからジュリアが入って来る)彼女は下で待っています。ジュリア 存じております、ヘンリイ。私が自身で彼女を此処へ連れて来たのです。ライリイ そうでしたか、彼女にはあなたが最初に私に会うとは知らせていませんね。ジュリア 勿論ですわ、私はドア口で彼女を下して、角までタクシーを走らせたのです。しばらく待ってから、裏から忍び込んだのです。私はただあなたにお知らせしに来たにすぎません。彼女は決心をする用意が出来ていると確信しています。
2025年11月18日
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ライリイ 正確に申されました。私はあなたが自身を重要だと感じるようにして差し上げましょう。そしてあなたはそれを非常に素晴らしい治療だと想像されるでしょう。そして更に進むと、あなたの力の及ぶ範囲のさまざまな困難さを…、あなたが嘆くようになるでしょう。この世の中でなされる害毒の半分は、自分を重要だと感じたがっている人々が原因なのです。彼等は害毒を与えようなどとは意図してはいない。そして害毒は彼等の関心の外にある。或いは、彼等はそれを見ない、或いはそれを正当化する。何わたあしは故ならば彼等は自己をよいものと思う際限のない闘争に熱中しているからです。エドワード もし私がそんな風であるなら、大変な量の害を与えてしまっているに違いない。ライリイ いいえ、あなたが思う程ではありません。ただ、こう申しましょう、あなたの控え目な能力の範囲内でですね。私がお暇した後で、何が起こったのかを説明してください。エドワード 今は解るのです、何故、妻に戻って欲しかったのかが。彼女が私を取りこんだ状態が原因だった。私は十五分間も一人ではいなかった、感じるまで、更に激烈に、実際激烈に、多分は初めて、全体的な圧迫、彼女がいつも私に押し付けようとしていた役割に対する非現実感、それはある種の女性達が頑固で、無意識な、類人的な強さで以てだったが。彼女がいなかったなら、すべては空虚だった。彼女が私を去ったと考えた時、私は分解して、存在するのを辞め始めた。それが家内が私に齎せたものです。私は彼女無しでは生きていけない。…、それが今は堪えられないこと。私は彼女無しでは生きていられないのですよ。何故ならば、彼女は私が自身のどうような存在も感じられないようにしてしまったから。それが五年間生活を共にした間に彼女が私にした事だった。彼女はこの世を私が生きていけない場所にした、彼女との関係を抜きにしては。私は一人にならなければいけない、が、今とは違う場所で。それで私はあなたに、あなたが推奨する療養所に入れて貰いたいのです。私はそこで一人でいられるでしょうからね。 (自宅用の電話が鳴る)ライリイ (電話に)はい、(エドワードに対して) そうです、あなたはそこで一人になれますよ。エドワード 私が色々と話したことをあなたが一言でも理解してくれたのか心配です。ライリイ あなたは私に対して忍耐心を持ってください。チェンバレンさん。私はただあなたを観察しただけで多くの事を学んでいます。そして、好きなだけ話をさせていますが、あなたが話されていない事をメモしています。エドワード 私はかつて非常な肉体的な苦痛を感じていました。そして今はそれよりももっと悪い苦痛を感じつつあるのを承知しています。驚くべき事です、もし誰かが驚く時間を持つとしたら。私は肉体の死は恐れません。でも、このいま経験している死は恐怖です。精神の死…、あなたに私が今感じている苦痛を理解できるでしょうか。ライリイ 仰っている意味は理解します。エドワード 私はもはや自身だけでは行動出来ない。あなたに面接に来ること、それが最後の決断でした、私に可能だった事の。私は今やあなたの手中にある。私にはもうこれ以上の責任は取れない。ライリイ 多くの患者がそうした信念に到達しています。エドワード そして、あなたは私をサナトリウムに送るのでしょうか。ライリイ あなたは他に私に話されることはないのでしょうか。エドワード 私に他の何を語れるでしょうか。あなたは私のずっと以前の歴史を聞きたくないのですからね。ライリイ はい、私はずっと以前のあなたの歴史を聞きたくはありません。エドワード そして、あなたは私をサナトリウムに送るのでしょうか。私は又家に帰る事は出来ないのです。そして私の所属するクラブでは、七日間以上は部屋を確保できない仕組みなのです。私にはホテルに行く勇気がない。そして、その上に、私はもう着替えのシャツを用意していない。あなたが家内に私が必要な全ての物を送る様に伝えて下さい。そして勿論、私が何処に居るのかは知らせないでいただきたい。そして場所は遠いのでしょうか。ライリイ 長旅だと言ってよいでしょう。しかし私は貴方のような患者を扱う前に、その患者に就いて非常に多くの事柄を知る必要があるのです。患者自身がいつも語り得る以上の。実に、私の患者達は私が新たに開拓する必要のある一連の状況だけでるのがしばしばの症例ですからね。一人だけの患者は、彼は自身で病気になっている、はむしろ例外です。私は最近別の患者を診察しましたが、あなた自身の症例と酷似していた。 (机の上のボタンを三度押した) あなたはむしろ通常ではない処置を受けなくてはいけません。私はもう一人の患者にあなたを紹介する方法を提案します。エドワード どういう意味なのでしょうか。別の患者とは誰ですか。これは余りにもプロらしくない方法だと思いますが。私は別の患者の前で私の症例を議論したくはないのです。ライリイ 反対なのです、これが唯一の治療法なのです。議論されるべきなのです。あなたは私になにも話されなかった。あなたはこうした機会を持たなくて行けなかったのです。しかもあなたは十分に話された、私に確信させるに足る、言ってみればあなたのケースを上手く運んでやっていける、法廷弁護士としてですが、法廷に入る前にある確信を知るべきなのでして。エドワード 私は少なくと自由に辞去できる。私はそれをあなたに提案します。決心がつきました。ホテルに行きます。ライリイ それはあなたが自由ではないからなのです。チェンバレンさん、あなたが私に会いに来たのは。あなたにそれを与えるのはわたしなのです、それが私の仕事なのです。 (ラヴィニアが女性秘書に案内されては入って来る)で、こちらがもう一人の患者です。エドワード ラヴィニア!ラヴィニア まあ、まあ、ヘンリィ卿。私は夫についてお話し申したいと伝えたのですが。彼に会うとはまだ心の十分が出来ておりませんわ。エドワード そして僕も君に会うとは思っていなかった、ラヴィニア。僕はこれを不名誉な策略だと呼びたい。ライリイ 名誉の前の正直。チェンバレンさん。お座りなさい、御両人ともに。チェンバレン夫人。あなたの夫は療養所に入りたがっています。それは当然にあなたに関心のある問題です。エドワード わたしはどんな療養所にもいきませんよ。ホテルに行くつもりです。そして君に頼みたいのだが、済まないが衣類を送って呉れないかな。ラヴィニア あら、何処のホテルですか。エドワード 分からない、言いたかっのは…、それは、君には関心がない事だ。ラヴィニア それならば、あなたの衣類も私には関心の有る事とは思わないわ。 (ライリイに向って)あなたは私が送られていたと同じ療養所に夫を送ると思われますが。そう、彼は私以上にあそこが必要なのです。ライリイ 私はあなたがそれを明るい光の下で理解されたのを嬉しく思います。少なくとも、現時点では、しかし、チェンバレン夫人、あなたは私の推奨する療養所には行っていませんよ。ラヴィニア それはどういう意味でしょう。私がお願いしてそこへ送られた。もしそれが療養所でなかったならば、あそこは何だったのでしょう。ライリイ 一種のホテルです。一種の避難所です、毎日の生活から休息が必要なだと考えている人々の為の。彼等は新鮮な気分に戻って帰って来る。もし彼らが療養所だと信じるならば、彼等をそこへ送らない良い理由になります。私流の療養所が必要な人々は、簡単には騙されません。ラヴィニア あなたは悪魔ですか、それとも、単なる経験豊富な冗談屋に過ぎないのですか。エドワード 僕は二番目の説明の方を取りたいね。狂的な、に制限を加えないで。何故君はその療養所に行ったりしたのだろうか。僕は人生で君程に心理的な複雑さを持たない人間に遭ったことがないのだが。君はより強いだろう…、一種の戦艦よりも。それが僕を狂気に追いやったんだ。僕こそは療養所なるものが必要な人間なのだ。しかし、僕はそこにはいかないつもりだがね。ライリイ あなたは正しい、チェンバレンさん。あなたは私の療養所には適していない。あなたはもっと重症なのですよ。エドワード もっと重症ですって…。それでは、私は郊外の下宿屋などで病気療養をするとしましょうか。ラヴィニア それはとてもあなたには相応しくない、エドワード、今私はニュウフォレストに一つのホテルを知っているの。エドワード 如何にも君らしいね、ラヴィニア。君はいつだってよりよいものを知っている。ラヴィニア それはただ、私があなたよりもより現実的な精神を有しているからよ、エドワード。あなたはそれを知るべきなのよ。エドワード 君は何度もそう僕に言っていたからにすぎないが、収入税のフォームを全部書き込んで貰いたいと思ったのだよ。ラヴィニア 馬鹿をおっしゃらないでよ、エドワード。私が実際的と言った時に、本当に重要な事柄で実際的だと言ったの。ライリイ この興味ある討議を邪魔することを許して下さい。私は、あなたがたお二人ともに重症だと言いました。幾つかの兆候が見られます、同時に発生する必然性があって、顕著な程度まで、私の療養所に適した患者である資格がおありです。その一つは正直な心、それは、彼等が受けている悩みの原因の一つなのですが。ラヴィニア 誰も私の夫が正直な心を持っているなどとは言えません。エドワード 僕も正直には君をそうだとは言えないがね、ラヴィニア。ライリイ 私はお二人の洞察力に対して祝福の言葉を送りましょう。あなた方の同情的な相互理解は、これから私がお二人に申し上げなければならない事への深い理解を用意してくれています。私はわざわざ通常の騙しなどを用いたりはしません。或いは、克服しがたい、無垢な鈍重さで以て。私の患者はあなた方のような人々ですが、自己欺瞞者なのですよ。無限の痛みを身に受けて、自分の精力を浪費している。しかも決して成功はしない。あなた方お二人は私に相談している振りをしているが、お二人共にご自分の診断を私に押し付けようとしているだけです。そして自分の治療を指示している。しかしながら、私の如き者の手中に落ちれば、御自分が意図したよりも大幅に降伏しなければいけません。これが私に嘘を吐き続けた結果なのです。ラヴィニア 私は此処に侮辱されに来たのではありません。ライリイ 侮辱と言う言葉が無意味な場所に来られてしまったのです。そしてあなたはそれを我慢しなければいけません。あなたが私に告げた事の全ては、…、お二方とも十分に真実なのです。あなたは御自分の感情を表現されました。或いはそのうちの幾つかを。重要な事実を除けて仕舞ったうえで。最初にあなたの御主人から診察させてください。
2025年11月14日
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第 二 幕 ヘンリー・ハーコート・ライリー卿の診察室。ロンドンにある。朝。數週間後、ヘンリー卿だけが机に向かっている。彼は電気のボタンを押した。女性秘書が予約ノートを手に入って来る。ライリイ 今朝のこの三つの予約に関して、バラウェイさん、私はざっと自分の指示をお浚いしておきたいので、お判りですね、勿論、面接を避けたのです。女性秘書 畏まりましてございます、ヘンリー卿。最初の予約は十一時です。彼は小待合室に通して御座います。そして、何時でも診察が可能です。ライリー 直ぐに診察しよう、そして、二番目は。女性秘書 二番目は別の部屋に案内してあります。いつも通りに彼女は十五分過ぎには到着しています。しかし彼女を待たすことは構いません。ライリイ 或いは、彼女は私を待たせても気にしないでしょうね。しかし、彼女は常に時間厳守ですね。女性秘書 彼女が到着した時には私は電話で話をしていたのです。彼女を待たせておきます、三度、合図をなさるまで。ライリイ そして、三番目の患者は…。女性秘書 三番目の患者さんは小待合室に案内します。そして私は彼女が到着したことをお知らせする必要はありません。それから、合図が有りましたなら、他の患者達を外に案内して、彼等が家を後にした後だけに…。ライリイ 大変に結構、バラウェイさん。今は、それで充分です。女性秘書 ギブス氏がいらっしゃいました、ヘンリイ卿。ライリイ 直接に中に入るよう伝えなさい。 (女性秘書は退場する) (その直後にアレックスが入って来る)アレックス チェンバレンの予約は何時ですか。ライリイ 十一時ですが…。普段と変わらない時刻です。それほど多くの時間は要りません。言ってくださいさあ、何か困難な事はありましたか。私が彼の担当をするのだと説得すのに。アレックス 困難ですって! いいえ、ただ彼は予約の日を待つのに四日間もあるのがじれったいようでしたが。ライリイ 彼の予約を後にずらす必要がありますね、彼の抵抗を低めるには。しかし、私が意味したいのは、彼はあなたの判断を信用していますか。アレックス ええ、全面多岐に。それは僕が非常に知性的であるからではなくて、僕が非常な情報通であるからなのですよ。有能な医者をよく知っている種類の人物としてね。買い物に適した店を知っていると同時にね。その上に、彼は自分の妻以外の者が推薦する医師なら、誰にでも診療を受けたいと思っているのです。ライリイ 私は既に彼女に私の名前を口にしないようにと強く念を押しておいたのです。アレックス あなたのいつもの先見の明で、彼は今や、全く意気揚々としている。何故なら妻を上手く出し抜いたと思っているから。そして医師が彼をサナトリアムに送り込んだりしたら、そこは彼女が彼を探し出せない場所なので、そうであれば、彼は信じている、彼女は深く後悔するだろうし、彼は自分の病気を楽しめるのだと。ライリイ 病気は彼に二重の意味の優先権を与える。詰まりは、自身から逃げるのと、妻をよりよくできる。アレックス 彼の妻から逃げるのではないのですか。ライリイ 彼は彼女から逃げたいとは欲していない。アレックス 彼は今、自分のクラブに滞在している所です。ライリイ そうです、彼は其処から手紙を寄越しています。 (自宅用の電話が鳴る)もしもし、かれを通しなさい。アレックス あなたは多忙な朝をすごされるのですね。僕は補助階段を利用して外に出ますよ。そして彼等が帰った時に戻ります。ライリイ そうです、彼等がいなくなってからです。 (アレックスは脇階段から退場する) (エドワードが女性秘書に案内され来る)エドワード ヘンリイ・ハーコートライリイ卿…。 (立ち止まり、相手を凝視する)ライリイ (書類から眼を離さずに) お早うございます、チェンバレンさん、どうぞ、お座りください、お手間は取らせませんよ。…、さてと、チェンバレンさん…?エドワード ドアを入る際に、あなたではないかとひらめくものがありました。でも、僕は別の兆候だと無視した。そう、僕はもっとよりよく事態を知るべきだったのです、あなたを知らない人間に勧められて此処に来る以前に。しかも、アレックスはこれにふさわしい人物ですからね。そして彼の名店の推薦はいつだって的を射るものだった。お許し願えれば、彼は粗忽ものでもあるので、出来れば知りたいのですが、…、何の役に立つでしょうか、直ちにお暇をしたいと思うのですが。ライリイ いいえ、宜しければ、座りなさい、チェンバレンさん。あなたは立ち去っては行かないのです。そうしてどうぞお座りください。あなたはひとつ質問をすることになります。エドワード あなたが私の部屋に来た時には来客として妻から招待を受けていたのでしょうか。そう、私は考えるのですがね。…、彼女はお見送りしたのでしょか。ライリイ 私は招待されていたとは言えないのです。チェンバレン夫人は私が来るだろうとは知らなかった。しかし私はあなたがあの場にいるだろうことはしっていましたし、誰々と一緒かも承知はしていたのですよ。エドワード でも、家内とは面識があったのでしょう。ライリイ はい、その通りです。エドワード それじゃあ、これは罠なのだ!ライリイ 罠などと言わないようにしましょう。しかし、仮に罠だったとしても、あなたはもう逃げられませんよ。そして、ですから…、お座りください。あなたはその椅子が快適な事を知るでしょうよ。エドワード あなたは知っていた、あなたに私が話をする前に、何が起こってしまっていたのです。ライリイ それはそれです、それは、それです。しかし、全てがよい都合に行っている。その質問はしばらくの間は忘れておきましょう。最初に、困難についてお話しください、私の職業的な意見を望んでいる難問について。エドワード 私は、家内を連れ戻した事であなたを非難したりはしない。そう思っている。あなたは私を説得したがっているみたいですね、私は家内がいなくても上手くやっていけると。でも、ありのままを知って貰いたい、私は何科の決断をする心理状態にはないことを。ライリイ もしも私があなたの奥さんを連れ戻して来なかったとして、チェンバレンさん、事態はよりよく運んでいたでしょうかね、今現在…。エドワード 解りません、確信がない。事はむしろより悪化していたでしょう。ライリイ さらに事態は更に悪化していたかも知れない。あなたは三人の命を破滅させてしまったかも知れない、その不決断によって。今はただ二人だけ…、その破滅から救い出せるチャンスを有している。エドワード あなたはまるで、私が行動できるかのように話されている。もし、そうであるならば、私はあなたに、或いはほかの誰かに相談する必要はないのです。私は患者としてここに来ています。もしあなたが私の症例に興味がないのであれば、私は別の所に行くでしょう。ライリイ あなたは御自分が非常な重症の病気を患っていると信じる分別をお持ちです。エドワード 医者と言う者は自分でそれを診立てることが出来るものと思うべきでした。或いは少なくとも彼は諸兆候について探るのではないかと。二人の人々が最近私に助言している、殆ど同じ文言で、私が医者に診断を仰ぐべきだと。彼等は、言った、再び殆ど同じ文言で、私が神経衰弱の瀬戸際に瀕していると。私はその時は自分では分からなかった、しかし彼等にそれが見えたのなら、医者ならそれを察知する筈だと思ったのでした。ライリイ 神経衰弱は、私が使った事の無い用語です。それは殆ど何にでも当てはまるのです。エドワード それ以来、私は自分の病状は非常に稀なものなのだと自覚したのです。ライリイ 全部のケースが独自のものであり、お互いが非常に似ている点もある。エドワード どこかに療養所はありますかね、あなたが僕のような患者を送り込んだ、あなたの個人的な診断に基づいて。ライリイ あなたはとても性急な性格の方だ。チェンバレンさん。色々の患者に合わせて、様々な療養所があります。しかも、その療養所が患者にとって考え得る最悪の場所である場合もある。まず手始めに我々は貴方のどこが悪いのか、あなたにどう対処すべきかを決める前に、発見しなければいけません。エドワード 私の様な症例を診察した経験はあるのでしょうか。私は自分の人格を信じるのを辞めてしまっています。ライリイ ああ、そうですね。これは重症です。非常に普通の疾病です。実に流行しているそれです。エドワード 記憶しているのですが、少年時代に…。ライリイ 私は出来るだけ最近の状態から始めるのが常です。そして必要に応じて過去にさかのぼる。お判りですか、あなたの少年時代の記憶、つまり、現在の心理状態、その大部分は仮想のもので、そしてあなたの夢想など、あなたは途轍もない空想を描いたりする。私を満足させようとして。私には自分の好き放題にあなたに夢想させる事も可能だ。そしてそれは、あなたの虚栄心をおだて上げて一時的な刺激を与えて興味を感じさせるのも自在にできる。エドワード でも、私は自分の無意味さを思うと押しつぶされそうになっているのです。
2025年11月12日
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エドワード 一人の叔母を作り出したのさ。彼女は田舎で病気なのだよ、そして、君を呼び出した。ラヴィニア そうなの、エドワード。でもあなた真実を述べた方がよかったのよ。真実以外の何事もジュリアを騙す事は出来ないでしょうから。でも、どうして叔母はエセックスで生活する様になったのかエドワード ジュリアが僕に何処かに住んでいると言わせたのだ。ラヴィニア 分かったわ。それでジュリアは彼女をエセックスに住まわせたのね。そして電報がエセックスから来るようにした。そうね、私、ジュリアに真実を話すわね。此れからは私は何時も真実をジュリアには告げる事にするわ。私たちは嘘を吐くのに途轍もない時間を浪費しましたからね。エドワード 言っている意味がよくわからない。ラヴィニア 重要な点は、私は一度あなたから離れて以来、あなたの事を余りにも深刻に考え過ぎていたみたいなの。そして今は、あまりにもあなたが馬鹿げて見えるのよ。エドワード それは随分と深刻な結論だね、あまりにも短時間に…、どれだけかな、三十二時間で到達したものとしては。ラヴィニア ええ、とても重要な発見です。自分が五年間も生活を共にして、ユーモアのひと欠片もない男と知ったのは。そしてその結果で、私自身がユーモアの感覚を全部失ってしまった。それはいつでもあなたに折れて出ていたからなのですよ。エドワード 僕は、君が何時も僕に屈服していたとは気づかなかった。それはとても違った風に僕の胸を打つのだよ。我々に解決を迫る問題が発生した場合に、思うに、折れて出るのは僕の方だと思うのだが。ラヴィニア 私に対して一歩を譲ると仰る意味は理解できますわ。詰まりは、全部の実際的な決意を横に置いておいて、あなたが自身で決めなければならないのに。覚えているのだけれど、ああ、何が結果として将来するのか私は実感しなければいけない。私たちがハニムーンを計画していた齎に、私はあなたに言わせることが出来なかった、あなたは何処に行きたいのかを。エドワード 僕はその決定を君にしてほしかったのだ。ラヴィニア でも、どうして私に行きたいところを言う事が出来たでしょうか、あなたが最初に言って下さらなければ、何処か他の場所を…。そして私、記憶しているけれども、絶望した私は言った、あなたは多分、ピースヘブンに行きたいのだと思う、と。そしてあなたは言った、構わないよ。エドワード 勿論、僕はそれでよかったのだ。僕はそれを一種のお世辞として言ったのさ。ラヴィニア あんたはお世辞として仰ったのね。そして、あなたはとても思慮深い、と人々が言っていた。そしてあなたは自分を利己的ではないと思っていた。ただ、受動的であっただけ。あなたは支持されて、元気付けれたいだけだった…。エドワード 元気づけられる、何に対してかな…。ラヴィニア 自身をよく思いたいから。あなたをバーで働かせたのは私だったと御存知でしょう……。エドワード 君は始終に小言を言って僕を煩がらせた、何故なら、僕が十分な仕事を得られないでいたから。そして、僕に持つと多くの人々と会うべきだと言った。そして、訴訟事件がき始めると、それは君の友人経由ではなかった、君は突然にそれを不便だと思い始めた。僕は常に忙し過ぎ、疲れ過ぎていたから、君に社会的に役立つ者としてはね。tラヴィニア 私、決して不平を言ったりはしなかった。エドワード それは実に僕を憤激させるに足るやり方だった、君が不平を言わなかった態度は…。ラヴィニア 不平や不満を漏らしたのは貴方の方だった、事務弁護士か依頼者以外は誰にも会えなかったから。エドワード そして君は一度も同情的ではなかったね。ラヴィニア そうね、でも努力はしていたわ、色々と。それが理由だわ、私がこの木曜会を開催してあなたに知的な人々との会話をする機会を与え続けたのは。エドワード 君がもしも僕を執事として雇っていたならばもっと多くの機会を与えることが出来ていた筈なのだがね。君の客の何人かは僕を君の執事だと思っていたかも知れない。ラヴィニア そして、何度かの場合には、私が特別にあなたに会って欲しいと望んでいた機会には、あなたはそう言う人々が辞去する時でないと到着出来なかった。エドワード そう、少なくと彼らは僕を執事と思うことはなかった。ラヴィニア 私が試みた色々の事柄は事態を一層悪化させただけ。そしてあなたは御自分が望んでいた事が目の前に差し出された瞬間に、何か他の何かが欲しくなっていた。それで私はこれまでとはまるで違った接し方であなたと対したいと思っています、未来には。エドワード 警告を有難う。しかし教えてくれたまえ、こうして僕は君と会えたが、何故戻って来たのかね。ラヴィニア 正直に言って、解りません。わたしは危険だとの警告を受けています。しかも、何かが、或いは何者かが帰る様に強いたのです。そしてあなたは何故、私を欲したのですか。エドワード 僕にも分らない。君は僕を元気づけようと試みていたと言ったが、それなら何故、僕が無意味な存在だといつも感じさせ続けていたのだろうか。僕には言えないのだが、自分はどんな人生を望んでいるのか。でも、君が僕に選んでくれた人生ではないのは確かなのだ。君は自分の夫が成功者だと思いたい。そして社会的な背景を提供したいと望んでいる、自分自身の社会的な背景の為に。君は一人の女主人として夫たる僕が支えとなる事を願っている。そう、融通が利くようにしようと試みたが、将来は、君に保証するが、非常に違った風に行動するつもりでいる。ラヴィニア ブラボウ! エドワード。これは吃驚だわね。でも、誰があなたにそんな風な返答の仕方を教えたのかしらね。エドワード 僕は実際、十分すぎるくらいの屈辱を感じた。最近になって、屈辱が屈辱を感じるのを止める時までは。君は君で、何も感じない時点に到着した。そして自分の感情を述べている。ラヴィニア それは新発見だわね。あなたが何かを話そうと言う気持ちになったのは。いずれにしても、私はあなたを有りの儘に受け入れます。エドワード ということは、君は過去の僕も、現在の僕も、そのままで受容すると言うわけだね。でも、君は現在の僕はどんな風に思われるのだろうか。ラヴィニア ああ、過去のあなたがいつもそうだったのと変わりなく。私について言えば、私はむしろ違っていて、その人物をあなたは自然に知るこになるでしょう。エドワード これは非常に興味深いね。しかし君はまるですっかり変身を遂げてしまった様によそっているね。でも、僕にはその変化がより良い方向に向かったのか否か、判別がつかない。でもね、君には僕もまた変化をしたと見えないのだろうか。ラヴィニア ああ、エドワード。あなたは幼少時に、いつも自分の身長を計測していた。前の休日よりもどれ程背が伸びたか知りたくて。あなたは何時だって異常なほどに神経質に自分自身に関心を示していたと私には思える。そしてほかの人が成長するのなら、自分も成長したいと望む。一体、どんな方法であなたは変貌を遂げたのかしらね。エドワード 変化などと言う物は他者の視線を透して自己を見つめた際に悟るものだよ。ラヴィニア それはあなたにとっては粉みじんになるような衝撃的な体験だったに相違ないわね。でも、心配はしないで。あなたは直ぐに立ち直れるわ。そして小さな役割でも演ずるに値する自分を見出すでしょう。別の顔を以て、人々を自分の中に受け入れて…。エドワード 君に関して僕を最も激怒させて止まない物の一つが、いつでも君の完全な確信さなのだよ、僕自身が自分を理解しているよりももっと確実に君が僕を理解しているとの。ラヴィニア そしてあなたに関して私を最も憤激させることはいつでもあなたの穏やかな臆説、私などは苦労して理解する価値などはないのだと思い込んでいることだった。エドワード そして我々は再び此処にいる。罠にはまった状態で。僅かに一つの相違だけで、多分、…、お互いに十分に相手と戦える。その檻の自分の隅に陣取っている。そうよ、夜を過ごすにはより良いほうほうだ、グラマフォンに耳を傾けているよりも。ラヴィニア 私たちはとてもよいレコードを所有しているけれども、私はずっと訝しく思っていた、あなたは実際に音楽を毛嫌いしているのかと。そして蓄音機に耳を傾けることは唯一のあなたの逃げ道だったのか、二人きりでいる際に私に話しかけることからの。エドワード 僕はしばしば訝しく感じたよ、君は何故、僕と結婚したのか。ラヴィニア そうね、あなたは十分に魅力的だったからよ、お判りでしょう。そしてあなたは私に言い続けていた、君が大好きだと。私は信じている、あなたは自身を説得していたのだと、私の恋をしていると。それはまるで素晴らしい経験の縁に立っているみたいで、何時も何事も起こらなかった。私は今でも不思議に思うのよ、あなたは本当に私に惚れこんでいたのかしらと。エドワード 誰もが、そう僕に告げた。しかも我々は全く似合いのかップルだとも称したよ。ラヴィニア 悲しいわ、あなたは御自分の意見を少しも言おうとしない。ああ、エドワード、私はあなたにとって良い存在でありたかった。或いは、もしそれが不可能でも、少なくともあなたにとって忌まわしい事であつても、無ではない何物かでありたかった。それがあなたが私に望んでいた全ての様に思えたから。でも、わたしあなたにお詫びしたいのだけれど……。エドワード 僕に済まないなどとは言わないで! 僕は済まない気持ちでいる十分過ぎる人々を見て来ている。ラヴィニア そうでしょうね、その人たちは本当には、心底からは、あなたに済まないなどとは思っていなかったのでしょう。あなたは今忸怩たる思いでいらっしゃる。そしてそれは堪え難いこと。私は思ったの、私があなたを去ればあなたに救いへの道が開けると。思ったのよ、あなたにとって幽霊にしか過ぎなかった私があなたにとって死んだも同様の状態になれば、あはたは現実感を取り戻す本来の道を発見できるだろうと。何故なら、あなたは現実の中に生きて行かなければいけないのです。何時だったのかはわかりませんが、あなたが私を知る前の何処かの時を目指して。多分は、少年時代だけなのかも。エドワード 僕は君に僕に対してだけ理性的であっては欲しくない。それは別種の軽蔑だからね。そして僕は君に僕の事を説明して欲しくはない。君は依然として、僕のある種の人格を創造しようとしているみたいだからね。それは唯一、僕を僕自身から引き離す役割しかしないだろう。ラヴィニア あなたは本当は簡単な事柄をわざと複雑にしている。私が明瞭に見ている一つの点がある。我々は二度と昨日の朝まで送っていた生活に舞い戻ったりしてはいけない。エドワード 戸があった。が、僕は開ける事が出来なかった。僕はハンドルにさえ手を触れなかった。何故に僕は自分の監獄を歩いて出なかったのか。地獄とは何か。地獄は自分自身だ。地獄は孤立していて他の人物達は単なる投影された影でしかない。逃げるべき所もないし、何処にも逃げ場はない。個人は何時でも孤独だ。ラヴィニア エドワード、何について話をしているのかしらね。自身に話しかけている。我慢して、一瞬だけでも私の事を思って下さらない。エドワード ほんの昨日の事だった、あの破滅が起こったのは。そして今は僕はそれを抱えて生きて行かなければならない。一日、一日、一時間、一時間を、永遠に、永久に…。ラヴィニア 私が思うに、あなたは神経的な破壊の縁に瀕しているのよ。エドワード それを口にしないでくれたまえ。ラヴィニア 私、言わなければいけないの。私、知っているの、あなたを助けて下さるであろうひとりのドクターを。エドワード もし医師に診てもらうにしても、僕は自分で選択する。君が選んだ相手ではなくて。僕には解る気がする、最初にどのようにしてドクターに会い、君の視点からの僕の病状を語ったかを。でも僕は医者は必要ない。僕は単に地獄に落ちただけだ。そこでは医師などはいないし、少なくとも職業的な能力を発揮するそれはね。ラヴィニア 人は実際的でなければいけませんわ。地獄に居ても。そして私は貴方よりも実際的です。エドワード 今僕は君が実際的とは何を言っているのか知るようになったが、実際的! ハニモーンの時に、記憶しているのだが、君は全てをティッシュ・ペイパーに包み、又再び包みを開けなければいけなかった、自分の欲しい物を見つけるために。そして僕は君に歯磨き粉の蓋をどう閉めるのかをどうしても教えることが出来なかった。ラヴィニア 大変結構です、これからは貴方を強制はしません。あなたは御自分が何を欲しているのかを知るには混乱しすぎています。あなたは妥協はしないでしょう。そしてあなた流の妥協は古いそれですからね。エドワード 君は僕を理解しない。明瞭にはしなかっただろうか、将来、君は僕が別の人物だと認識するだろうことを。ラヴィニア 実際、その違いはセリアがカリフォルニアに行くこととは何の関係も無い事をね。エドワード セリア? カリフォルニアに行くだって…。ラヴィニア ええ、ピーターと一緒に。実際、エドワード、あなたが本当に人間ならば、大笑いしだすところですよ。でも、あなたはそうしない。エドワード おお、神よ、神。昨日に戻ることさえできたならば…。決断をしたと思う前にどんな悪魔がドアの錠を開けたままにしていたのか、こうした疑惑が入って来るようにと。そして次に君が戻って来た、破滅の天使、確かに僕はそう感じたよ。一瞬で、君が触れたので、破滅しかない。おお、神よ、僕は一体、何をしでかしたのか。悪魔、化け物蛸。結局は僕は君の意のままにならなければならないのか。ラヴィニア そうね、エドワード。私はあなたを笑わすことが出来なかったように、医者にも見せられないでしょう。現在の所は私がそれについて出来る事は他には何もありません。私はちょっと行って台所を覗いてみなかればいけないわね。卵が幾つかあるのを知っている。でも私たちは夕食に外出しなければいけないわね。所で、私の荷物が階下のホールに置いてるので、ポーターに運んでくれるように命じて下さらない。 幕が降りる
2025年11月11日
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ラヴィニア 誰が去って行くのですか、あら、セリアなの。そう、ピーターもね。私は二人が此処に居るとは期待していなかったわ。ピーターとセリア でも電報が…。ラヴィニア どんな電報なのかしらね。セリア あなたがジュリアに送ったそれ。ピーター アレックスにあなたが打電したそれ。ラヴィニア あなた方が言っている意味が分からないわ。エドワード、あなたが電報を送ったのかしら。エドワード 勿論、僕は電報などは送っていないさ。ラヴィニア これはジュリアの悪戯の類だわね。それで、彼女は来るのかしら。ピーター ええ。そしてアレックスもね。ラヴィニア それじゃあ、彼等に説明を求めましょう。所で、皆さん腰を下ろしましょうよ。何の話をしましょうかね。エドワード ピーターはアメリカに行くそうだよ。ピーター そうです。僕は明日電話を掛けてあなたに報告するつもりでいたのです。そして去る前にはお邪魔してお別れを言おうとも考えていたのです。ラヴィニア そして、セリアも行って仕舞うのかしら。そう、聞いたのだけれども。二人に御目出とうを言いますよ、ハリウッドにね、当然…。何てわくわくする事態なのでしょうか、セリア。さあ、とうとう幸運を手にしたのね。大きな夢を実現できるかも知れない。あなた方は一緒に行くのかしらね。ピーター 僕らは一緒ではありません。セリアは此処から去っていくと言っています。でも、僕は何処へなのかは知らないのです。ラヴィニア 何処へ行くのかは、あなたは御存知ない。それで、あなた自身は何処へ行かれるのかは解っているのよね。ピーター はい、勿論です。僕はカリフォルニアに行くつもりでいます。ラヴィニア ところで、セリア。あなたはどうしてカリフォルニアには行かないのかしら。誰もがあそこは素晴らしい気候だって知っているわ。あそこに行った人々は決して離れようなどとは思わないとか。セリア ラヴィニア、私はピーターについて理解しているつもりです。ラヴィニア それは間違いない事だと思うわ。セリア 何故、彼がそこへ行こうとしているのかも…。ラヴィニア それも又疑いのない所ね。セリア 私は彼が行くのは正しいと信じている。ラヴィニア あら、あなたがそう助言したの。ピーター 彼女はこの事は何も知らないのです。セリア しかし今は私は行かなくては、…、何処かに、お別れを言わなければいけない。…、友人としてね。ラヴィニア ねえ、セリア、私達はずっと友達だったわね。思うに、あなたは私の最も親愛の情を感じている友人の一人だった。少なくとも、娘が持ちうる友人として。彼女よりずっと年上の女性としては。セリア ラヴィニア、私を棄てたりはしないでね。再びお会いすることは出来ないかも知れないけれども。私が今申し上げたいことは、あなたに記憶していて頂きたいの、あなたとエドワードが幸福でいられるように願っている者として。ラヴィニア あなたはとても親切だった、しかも非常に神秘的でもあったわ。私達はなんとかやっていけると思うわ。有難うね、過去と同様に。セリア いいえ、過去とは同じじゃない! (ドアベルが鳴る。そしてエドワードがそれに答えに行く) ああ、思うに、これは馬鹿らしいことだったね。でも……。 (エドワードがジュリアと一緒に再び登場する)ジュリア まあ、ここにいらしたのね、ラヴィニア。遅れて御免なさいね。でも、あなたからの電報は少なからず驚きだったわ。私は来るについては全部を家に置いてきたの。それで、愛する叔母様の具合はどうなの。ラヴィニア 私の知る限りでは、彼女は非常に元気です、有難う。ジュリア 彼女は奇跡的な回復ぶりを見せたのね、私は自分に言ったわ、あなたからの電報を見た時には。ラヴィニア しかし、何処からこの電報は発信されたのかしらね。お尋ねしたいわ。ジュリア それは、勿論のこと、エセックスからよ。ラヴィニア でも、どうしてエセックスからなのでしょう。ジュリア あなたがエセックスに行っていたからよ。ラヴィニア わたしがエセックスに行っていたからですって!ジュリア ラヴィニア、あなた記憶を失ったなどとは仰らないでね。それからあの叔母に関する色々な説明を。…、それと電報。ラヴィニア そうね、多分、私はエセックスにいた。でも実際に分からないのよ。ジュリア あなた、何処に居たか分からないですって、ラヴィニア。あなた、拉致されていたなんて言わないでよ、説明して、私、ひやひやするわ…。 (ドアベルが鳴る。エドワードが答えに行く。アレックスが入って来る)アレックス ラヴィニアはもう到着していますか。エドワード ええ。アレックス ようこそ戻られました、ラヴィニア。あなたからの電報を受け取った時には…。ラヴィニア 何処からですか。アレックス デッドハム。ラヴィニア デッドハムはエセックスだわね。それじゃあデッドハムからだったわけね。エドワード、デッドハムにだなたか友人はいたかしら。エドワード いいや、僕はデッドハムには知り合いはいないよ。ジュリア これは全部途轍もなく神秘的な成り行きだわね。アレックス しかし、何が神秘的なのですか。ジュリア あまり追求しないで頂戴な。ラヴィニアは記憶を欠落させたのよ。そして、だから我々に電報を打ったのよ。そして今、私は彼女が本当に我々を必要としているのか信じられない。分るのは、彼女が叔母の事で疲れ切ってしまい…、彼女の叔母はすっかり回復して、それを聞いてあなたは悦ぶの、アレック。古き偉大な西部での長旅の後で、接続の駅で待ちながらを繰り返してね。そして、彼女はひもじい思いも経験した。アレックス ああ、それならば、僕はどうするか解るよ…。ジュリア いいえ、アレックス。我々は彼女たちをそっとしておいてあげなくてはいけない。そして、ラヴィニアを休ませてあげなくては。さあ、みんなで私の家にいらっしゃい。ピーター、タクシーを呼んで頂戴な。 (ピーターは退場する) 私の所でカクテル・パーティを今日はしましょうね。セリア そうね、今直ぐ行くわね。さようなら、ラヴィニア。さようなら、エドワード。エドワード さようなら、セリア。セリア さようなら、ラヴィニア。 (セリアは退場)ジュリア そしてもう、我々も行かなくてはね、アレックス。エドワード 確認して欲しいのだが、あなた忘れ物はないでしょうね、ジュリア。ジュリア 何かを忘れていないかですって…、ああ、私の眼鏡の事ね。大丈夫だわ、ここにあるから。その上にこのメガネは用済みなの。もう戻ってはこないつもりよ、今晩は。ラヴィニア 止まって。あなたに電報の事を説明して欲しいの。ジュリア 電報の事を説明しろと言うの…。あなたは、どう思うのかしら、アレックス。アレックス いいや、我々には説明は出来ない。ラヴィニア あなた方は電報の事を説明できると確信しているの。何故かは解らないけれども。しかし、私は昨日或る機械を作動させたの、それは今も作動中なの、そして私にはそれと止める事は出来ない。いいえ、それは機械などではない。或いはもしある種の機械のような物であっても、他の誰かがそれを動かしている。でも、いったい誰かしらね、誰かがいつも邪魔をしている…、自由だとは感じられない。…、でも、私はそれを始動させたのよ…。ジュリア アレックス、私達に何かを説明できるかしらね。アレックス いいや。ジュリア、彼女は自分自身で見つけ出さなくてはね。それがただ一つの道だ。ジュリア 全く同感よ。では、親愛なる皆さんたち、又すぐにお会いしましょうね。エドワード 何時また、お会いできますか。私、お会いすると言いましたか。さようなら、私は確信しているの…、何も忘れたりはしていない。 「ピーターが入って来る)ピーター タクシーを拾いました、ジュリア。ジュリア 大変に結構。さようなら。 (ジュリアとアレックス、ピーターが退場する)ラヴィニア 私、言わなくてならない、あなたは私とあってちっとも嬉しそうではないわね。僕は何にしても多くの機会を持てたとは言えないが、勿論、君と会えて嬉しいよ。ラヴィニア そう、それは言っても馬鹿らしいことですわ。一人の女学生の様に、セリアの様に。私は何故そう言ったのか分かりません。でも、私、此処に戻ったわ。エドワード 僕は何も質問をしないつもりだ。ラヴィニア そして、私は何も説明などしません。エドワード 僕は何らの説目をしないつもりでいる。ラヴィニア そして私は質問を何もしませんよ、そして、しかも…、何故でしょうね。エドワード 何故なのかは僕も分からない。そして何について我々は話をしたらよいのか。ラヴィニア 一つだけ私が知らなければいけない事柄が有ります。他の人々に関して、彼等をどう扱ったなら良いのか、あのパーティの事なの。私があのことを全部忘れていたなんてあなたは信じないでしょう。私はあなたをひどい目に遭わせたわ。あなたはそれに対してどうしたのかしら。私は家を後にしてから思い出したのよ。エドワード 僕は自分が知る来客の皆に電話を掛けた。でも、全員には的中しなかった。少数がやって来た。ラヴィニア 誰ですか、来たのは。エドワード 今夜此処へ来た連中だけさ。ラヴィニア それは奇妙ね。エドワード …、そしてもうひとり別の客が。何者かぼくの知らない人物。しかし、君は知っている筈さ。ラヴィニア ええ、知っていると思う。でも、ジュリアには面食らってしまった。あの女は悪魔だわ。彼女は何かが起こりつつあることを本能で察知する。どのようないきずまった状況でも、彼女を頼ったりしては駄目よ。そして、あなたは彼等に何を話したのですか。
2025年11月07日
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第 一 幕 第 三 場 同じ部屋、次の日の午後遅く、エドワードが一人でいる。彼はドアベルに応答する為に行く。エドワード ああ…、今晩は。 (見知らぬ客が入って来る)見知らぬ客 今晩は、チェンバレンさん。エドワード さてと、ジンと水をお出ししましょうか。見知らぬ客 いいえ、結構です。これは別の場合ですから。エドワード あなたが一人で来たと言う事は、不首尾だったわけですか。見知らぬ客 いいえ、全くそうではないのです。私はあなたに思い出させる為に来たのです。あなたはある決心をしましたね。エドワード 僕が心変りしたでも思っておられるのでしょうか。見知らぬ客 いいえ、あなたは変心する準備は出来ていない筈です、決心してしまったことから立ち直るまでは。いや、私が告げに来たのは、あなたがやがて心変わりをするだろうということです。しかし、それは重要なことではないのです。もう遅すぎるのです。エドワード 今僕は半ばは心変わりしているのです。僕は自由に心を変えられると、あなたにお示しも出来るでしょう。見知らぬ客 あなたは心を変えられても、決して自由などではありません。あなたの自由だった瞬間は昨日でした。あなたは或る決心をしました。あなたは動きを開始して自分の生活に力を、他者のそれにもちゅうにゅうした。それらは反対にはし得ないもの。それは一つの考察です。もう一つはこうです、死から誰かを連れ戻すのは深刻なことです。エドワード 死んだ状態ですか。話の形が…、何かしら、劇的ですね。私の妻が私を棄てたのはほんの昨日の事でした。見知らぬ客 しかし、我々はお互いに対して毎日死んでいるのです。我々が他者として知っているのは過ぎ去った時間でのわれわれの記憶にしか過ぎない。その時間に彼等を知った。しかも、彼等はそれから変化してしまっている。彼等も我々も同じだと思い込んでいるのは有用だし、便利でもある、ある社会的な慣習としては。それはやがて壊れてしまうのだが。我々はこうも覚えていなければいけないだろう、再会する度にわれわれは見知らぬ他者と出会っているのだと。エドワード それで、あなたは僕が妻と見知らぬ他者として会うように望んで居られる。それは容易ではないでしょう。見知らむ客 非常に難しい事です。しかしながら、もっと難しいのは、互いが身も知らぬ他人でないと思い続けることなのですね。あのパーティ愛情に溢れている幽霊たち、祖母、クリスマスパーティでの精気にみちた独身の叔父、愛らしい子守り娘、——あなたの幼少時代をやさしく取り囲んでいた人々、慰安、慈愛、安心感の中で。もし彼らが戻って来てでもしたら、困惑してしまうのではないだろうか。あなたは彼等に何と言うでしょうか、或いは、彼等はあなたに何といえばよいのか…、最初の十分間が過ぎた時に。あなたは彼等を見知らぬ者として対処するのは困難だ。しかも、もっと難しいのはお互いが見知らぬ者同士ではないふりをすること。エドワード 僕に最近の五年間を抹殺させることなどは殆ど出来ませんよ。見知らぬ客 私は何事も忘れるようになど要請はしていないのです。忘れようと試みるのは隠蔽しようとすることです。エドワード 確かに、僕が忘れた方がよいと思う事柄はあります。見知らぬ客 それと、人物たちもね。でも、それらを忘れてはいけません。あなたはそれら全部と正面から正対すべきなのです。しかし、それらとは見知らぬものとして会するのです。エドワード すると、僕自身も見知らぬ人物になりますね。そうです、あなた自身に対しても、同様なのですよ。しかし、忘れないでください、あなたは奥さんに会っても、何も質問しないでください。そして何も説明しないでいて下さい。私は同様の事を彼女にも申しました。こんがらかった記憶でお互いを締め付けたりしないように。私はもう行きます。エドワード 止まってください、あなたは彼女と一緒に戻りますか。見知らぬ客 いいえ、彼女と一緒には戻りません。エドワード 何故だか、僕には解らない。そして、あなたが彼女を連れて戻るべきだと僕は思うのですが。見知らぬ客 はい、そう思われるでしょう。そして、或る明確な理由があって、それをあなたに説明する準部をしいていませんが、あなたは彼女に私の事をいってはいけませんよ。そして彼女はあなたにわたしの話はしないでしょう。エドワード 解りました、約束します。見知らぬ客 そして、あなたは訪問者達を待たなければいけません。エドワード 訪問者達…、どのような訪問者ですか。見知らぬ客 やって来る者たちの全部です。見知らぬ者達ですよ。私自身については、あらかじめ用心して補助の階段を使ってお暇しようと思うのです。エドワード 一つ質問させて下さい。見知らぬ客 どうぞ、して下さいな。エドワード あなたは、一体、誰なのですか。見知らぬ客 わたしもひとりの見知らぬ者です。 (退場する。間がある。エドワードは落ち着きなく動き回る。ベルが鳴る。彼は正面玄関に行く) セリア!セリア ラヴィニアは到着しましたか…。エドワード セリア、何故、やって来たのかね。今直ぐにも、ラヴィニアが戻ってきそうなのだ。君は此処に居てはいけないのだよ。何故、此処にきてはいけないのだ。セリア 何故なら、ラヴィニアに頼まれたからよ。エドワード ラヴィニアが君に頼んだからだって…。セリア そうなの、直接にではないの。ジュリアが電報を受け取ったの。彼女に家に来るようにって。私を一緒につれて、ジュリアが遅れたので、私を先に送り出したの。エドワード それはとても奇妙だね。そして、ラヴィニアらしくない。でも、待つしかないね。座り給え。セリア 有難う。 (間)エドワード ああ、神様。何を一体話題にしたらいいのだろう。エドワード 我々は沈黙したままで此処に座っていられない。セリア あら、出来るわよ。ただ、あなたを見てるだけなの、エドワード。笑っても許して下さいね。あなたはまるで校長室に呼ばれた小さな少年みたいだわ、そして、どんな事をしでかしてしまったのか不安で堪らないと言った風情だわ。以前にはこんななたを見た例がないわ。これは実際、奇妙な状況なのね。エドワード 僕には事態のユーモラスな面が見れないのだがね。エドワード 私、実際にはあなたを笑ってはいない、エドワード。わたしは何事だって笑ったりはしなかった、昨日は。でも、二十四時間で多くを学習した。それはとても愉快な経験だった。ああ、来れて嬉しいわ。遂にあなたを人間として見る事が出来ている。あなたもそんな風に私を見れないかしらね、そして、それを笑う事は…。エドワード 出来たらいいね。僕は全てを理解したい。僕は全くの暗闇の中に居るから。セリア でも、事態は実に単純よ。あなたのはそれが理解できないのかしら…。 (ドアベルが鳴る)エドワード あれはラヴィニアだ。 (正面のドアに行く) ピーター。 (ピーターが入って来る)ピーター ラヴィニアは何処ですか。エドワード ラヴィニアが君に電報を送ったなどは言わないだろうね。ピーター ええ、僕には送ってきてはいない。しかし、アレックスにここへ来るように言った、僕を連れてね。彼は直ぐにでも来るはずだ。セリア、あなたもラヴィニアから聞いたのですか、それとも、僕は邪魔をしているのでしょうかね。セリア 私はたった今、自身の考えでやって来たのよ。彼女はジュリアに電報を打ち、私を連れてここへくるように依頼したの。エドワード 他には誰を彼女は招待したのだろうか。ピーター ねえ、僕の印象では、ラヴィニアは昨日のパーティを今日しようと考えたのではないだろうか。それで、彼女の叔母は死んではいないと思う。エドワード どんな叔母だい。ピーター 君が話していた叔母さ。しかし、君は昨日の我々の会話を覚えているのだろうか。エドワード 勿論さ。ピーター 望むらくは、君がそれについて何もしなかった事だが。エドワード そう、何もしてはいないさ。ピーター 僕は非常に嬉しく思うよ。何故なら、僕は気持ちを変えてしまったからだ。詰まり、それは何の役にも立たない、僕はカリフォルニアへ行こうと思っている。セリア あなたはカリフォルニアに行くのね。ピーター そう、僕は新しい仕事を得たのだ。エドワード それで、どうしてそうなったのだね、一晩で。ピーター それがね、アレックスが接触させてくれた人がいて、我々は全部決着させたのだ、今朝。アレックスは知り合って素晴らしい人物だよ。何故なら、彼は誰でも知っているし、何処でも知っている。それで僕が今日ここへ来た理由はさよならを言う為だった、実は。セリア 私は大変に嬉しく思います、あなたの為にね。それでも、我々は…、寂しくは感じるのよ。御存知のようにコンサートではどんなにかあなたに頼ったことか。そしてまた絵の展覧会では。あなたが思われているいる以上にね。面白かったわ、でも今、あなたはチャンスを手にされた。あなたが野心を実現されることを私も希望している。いなくなるのは淋しいけれどもね。ピーター そう言って呉れて有難う。でも、もっと良い人が見つかると思う。一緒に行くのに好都合な相手。セリア 私、コンサートには行かないでしょう。私も別の道を行くから。 (ラヴィニアが施錠用のカギを手にしている)ピーター 君は外国行くのですか。セリア 分からないの、多分ね。エドワード 二人とも行ってしまうのかい。 (ラヴィニアが入って来る)
2025年11月06日
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エドワード いいや、そうじゃあない。ただ、そうではないのだよ。そして、全てのこうした理由は僕に示唆されたのだ、あの男、僕がライリイと呼ぶのだが、名前はライリイなどではないのだが。それは彼が歌っていた歌の中の名前にしか過ぎないのだ。セリア 彼はあなたにライリイと言う名前の男の歌を歌ったのね。実際、エドワード、あなたは気が狂ていると思うわ。つまり、神経的な破滅の縁に瀕しているのよ。エドワード、私が行ってしまったなら、或る偉大な医師、私はその名声を聞いて言うのだけれど、診てもらうと約束して。彼の名前はライリイなの。エドワード 最も偉大な医師よりも更に偉大な誰かが必要だろうね、この、病を治すには。セリア エドワード、もし私が今行くとして、全てが大丈夫だと言ってください。ラヴィニアを引きもどしてあなたの自由を手に入れるなどとは思わないと、私に確信させてね。そして、私達の間も変化がないと…。それが私に関心のある事の全てなの。本当よ、エドワード。それが上手くいけば、全てがそうなるわよ、私、約束するわ。エドワード いいや、セリア。ずっと素晴らしかったし、感謝もしている。しかも君は非常に稀な貴重な人物だよ。でも、もう、遅すぎる。そして、僕は認識するべきだったのだ、君にとっては公平ではなかったと。セリア 私は、公平ではなかったですって。あなたは其処に立っていて、私が公平であると話をする能力がある。エドワード ラヴィニアが離別しなければ、この事態は決して起こり得なかった。どんな未来が君に有り得ると考えられるのだろうか…。セリア 私にどのような未来が望みうるか、ですって…。我々が事を始める前に、私は未来などは捨てているわ。そしてその後では、私は何時も現在に生きている。其処では時間など無意味なの、我々だけの私的な世界、「幸福」と言う言葉が別の意味を持っている。或いは、そう見える。エドワード 僕はその経験については以前に聞いたことがある。セリア 一つの夢。私は今日まで仕合せだった、夢に浸っていて…。そしてそれから、ジュリアがラヴィニアについて質問して、ラヴィニアがあなたを去り、あなたは自由になると知れた際に、私は突然に気付いたのよ、あの夢は十分ではなかったと。私はそれ以上の何物かを欲していたことを、私は欲してた、私はあなたの所に走って言いたかった、でも、あの夢の方がより素晴らしかったのだ。それは真実の現実だったのだと思えたわ。そしてもしも、今が現実ならば、まるで夢のようだわね。多分、自分の夢を裏切ったのは私自身だったわけね。何時も、何時も、私が望んだこの世界と同時にあれも…、知ってみれば、とても屈辱的で、心痛むことだわね。エドワード 君が傷ついたり、悲しんだりする理由などは何もない…。セリア ああ、あなたが私に屈辱を与えているなどと思わないでね。屈辱とは、私が自分にしている何物かなの。あなたは私に屈辱を与える程には十分に現実的ではありませんわ。大多数の女は二人で素晴らしい何かを共有した相手の男が一時的な気晴らしの遊びとしていたのだと知った時に、自分が堕落させられたと感じと私は思う。ああ、私、敢えて言わしていただくわね、あなたは自分を騙していた。それが有りの儘の事柄、疑いもなく。エドワード 僕は君を一時の気晴らしなどとは思わなかった。もしも一過性の娯楽を言いたければ、ピーターをどう考えるのかね。セリア ピーターですって…、ピーター誰のことですか。エドワード ピーター・クイルプ。彼は今晩此処に来ている。彼は一種の夢の中に居たし、今はただ単に不幸で、狼狽えている。セリア 私には単純にあなたが話していることが分からない。エドワード、それは余りにも残酷な逃げ口上だわ。自分を正当化するための。一切、何もなかった、ピーターと私の間には。エドワード 無かったのかな、彼はそう想った。彼はそれについて僕に話したくて戻って来たよ。セリア でもそれは馬鹿げている。私はピーターに私が彼に強い関心を抱いていると思わせる何物も与えてはいない。私は彼には才能が有ると思った。彼が孤独なのを知った。彼を手助けできるかもとは思った。私は彼をコンサートに連れて行った。しかしそれから、彼が更なる交友を深めたいと接近した際に、以前より関心が弱まった。そしてむしろ己惚れていると感じた。でも、何故、私達はピーターの話をする必要はない。重要な事の全ては、あなたが今ラヴィニアを欲していると考えている事。そしてもしも、あなたがそうした人物であるならば、そうね、そうすべきなのでしょうね。エドワード そうではないのだ。僕はラヴィニアに恋などはしていない。僕は実際に彼女を恋したことはない。もし、これまでに僕が恋愛感情を抱いたとすれば、そして今僕はその経験があると思うのだが、君以外の誰にも恋心を感じた覚えはないのだ。そして多分、今もそうだ。でも、これはこれ以上は先に進まない。有ってはいけない事が起こってしまったのだ。……、或る永遠の事柄が。君は別の男が、もっと年齢的に近い若者が。セリア 私はあなたの助言などは興味ないのよ、エドワード。あなたが私の未来に興味と関心を持つなど資格がないのよ。自身の未来を上手く切り抜けるに足る有能さを有していることを私は望むだけよ。そしてあなたがラヴィニアに恋していずに、これまでにもそうではなかったならば、あなたは何を望んでいるのかしらね。エドワード 僕には確信が持てない。比較的に確かな事は、今朝から始まったばかりなのだが、僕は自分と中年男として初めて直面したのだ。老いを感じるとはどういうことか、知り始めたのだ。それは最悪の事だ。最も自分が欲している物全てを欲する欲望を喪失したと感じた時は。以前に、自分が欲するべき対象が強く感じられたのが、今は背後にどのような欲望が残されているのか、を知りたいと願い続ける。でも、理解できない。老いを感じるとはどのような事なのか、どうして理解出来ようか。セリア 私は、あなたを理解したいわ。理解できるのだから。そして、エドワード、どうか信じてね、私はどのような事態が起きても決してあなたを呪ったりはしないつもりよ。でも、あなたの人生はどうなってしまうの。私にはそれを考えるのに堪えられないの。ああ、エドワード、あなたはラヴィニアと一緒で幸福でいられるのかしらね。エドワード いいや、幸福じゃあない。もし幸福と言うものがあるとしても。単なる知る仕合せ、悲惨さは愛らしさの廃墟にはどんな養分も与えはしないと言う事実を。飽き飽きする単調さは愉悦の住み家ではない。僕は知ったのだ、僕に人生はずっと前に決定してしまっていたことを。其処から逃走を図るのは見せかけの振りで、虚偽にしか過ぎない。現に存在するもの、存在しない物、或いは変え得ると思われるものだ。自己はこう言うかもしれない——、僕はこれが欲しい、或いはあれが…。意志する己は薄弱な低能なのだ、そして最後には行きつくかもしれない、頑迷な、より強固な自己で以て、話をしないし、決して話そうとしないで、議論もせず、そしてある人の場合には後見人の如き存在かも知れないが、僕のような者にあっては、鈍重で、執念深く、負けじ魂の凡人精神なのだ。意思する自己は大きな不幸、この望まなかった友愛の絆の災厄を乗り越えようと画策出来る。が、より強力な相手の支配に屈服する形でしか繁栄することはかなわない。セリア 私には確信が持てないの、エドワード、あなたを理解しているか。でも、前には理解しなかった程には理解してるのよ。思うのだけれど、信じているの、あなたは以前よりも、私に対してはあなた自身になっていると。二度、あなたは変化した。私があなたを見つめ始めてから。私はあなたの顔を見た。そしてあらゆる外見を知り、愛したと思う。そして私が見ているとそれは皺だらけにしぼんだ。まるでミイラの包帯をほどいたかのように。あなたの声に耳を澄ますと、私の心はいつもわくわくと震えた。そしてそれが別の声に変じたわ、いいや、声ではない、私が聞いたのは人間の声ではなくて昆虫の出す音だった。乾燥して、終わり無く、無意味で、非人間的で、……。あなたは両足をこすり合わせて音を立てているかのよう。或いは、バッタがそうしているかのようで。私は見た、そしてあなたの心臓に耳を傾けた。あなたの血液の運行に…。そしてただカブトムシしか、人間の形をしたものしか見なかった。その中では何も無い空虚な間隙で、あなたがカブトムシを踏みつけた時に出る物しか出てこない。エドワード 多分、それがありのままの僕だね。僕を踏んで見給え、そうしたいのならね。セリア いいえ、私はあなたを踏みたくはない。それはあなたではないから。私があなただと思っていたものの抜け殻にしか過ぎないから。わたしは今別の人物を目の前にしている。前には見た事の無い人物として接しているの。私が前に見ていた人は、彼は単なる投影された影だった。いまはそれが分かるの。私が望んでいた何かのね…、いいえ、欲していたのではなくて、心の底から渇望し熱望しいた…、この世に実在していて欲しいと死ぬほどに願っていた何物かなの。何処かには何かの拍子に出現するかも知れない、そうあって欲しい…、でも、何かしら、何処になのか…。エドワード、私は単になたを利用していただけなのかもしれないわね。出来れば、許して欲しいの。エドワード 君を……僕に許して欲しいだなんて。セリア そう、二つの点で、ひとつ目は… (電話が鳴る)エドワード 忌々しい、電話だ。電話に出た方がいいね。セリア そう、出た方がいい。エドワード もしもし……ああ、ジュリア。どんな御用でしょうか。あなたの眼鏡がまた…、何処にそれを置いたのですか。でも、さっきも、あちこち全部探しましたよ。バックの中は見ましたか、どうか僕の頭を混乱させないで、……、確かなのですか、台所に…。分りました、そのままでいてくださいね、我々、僕が探しましょう。セリア そう、あなたが探してあげてね。私はまた台所には行かないわ (エドワード、退場する。再び眼鏡とボトルを手に戻る)エドワード 彼女は今度だけは正しかった。セリア 彼女はいつだって正しいわよ。でも、何故、空のシャンペン・ボトルを持ってきたの。エドワード 空ではない、少し気が抜けているかも。でも、何故彼女はハーフボトルと言ったのだろうか。これは家の最上のひとつなのだ。そして僕はハーフボトルは持っていない。さて、僕と最後の一杯を飲んでくれないかな。セリア 何に乾杯しましょうか。エドワード 誰にグラスを捧げようかね。セリア 後見人たちに!エドワード 後見人達にだって…。セリア 後見人達に。後見人の話をしたのはあなたよ。 (二人はグラスを飲み干す) ジュリアも後見人かも知れないわね。多分、私の後見人なのよ。メガネは預かるわ。お休みなさい、エドワード。エドワード お休み…、セリア。 (セリアは退場)エドワード ああ、いけない! (素早く受話器を取り上げた)もしもし、ジュリア、あなたは御待ちでしたね…、お待たせ致し大変に申し譯御座いません。でも、我々は、僕はメガネを探していたもので…、いいえ、見付けました。はい、彼女が今それを持っていきますから…、おやすみなさい。 幕が降りる
2025年11月05日
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第 一 幕 第 二 場 同じ部屋。十五分後、エドワードが一人で、トランプのペイシャンスをしている。ドアのベルが鳴る。彼はそれに答えるために行く。セリアの声 お一人すか…。 (エドワードがセリアと一緒に戻って来る)エドワード セリア、何故、戻って来たりしたのかね。僕は出来る限り早く電話すると言ったよ。そして、少し前にそうしたのだが…。セリア もしもあなたが誰かと一緒でしたら、傘を取りに戻ったと言うつもりでした。あなたは私の会えてもあまり嬉しそうには見えないと、言わなくてはいけないわね。エドワード、私は何が起きたのかを理解しています。でも、さっきの電話の様子が私には理解できなかった。あなたらしくはなかった。それで私はあなたにお会いしなければいけないと感じたの。大丈夫だと言って下いな。そうすれば、私は帰りますから。エドワード しかし、どうして君は何が起きたか理解できるなどと言うのかね。僕には理解できない事なのだが。或いは、これから何事が起ころうとしているのか、分からない。それを理解しようと試みる為にも一人になりたいのだ。セリア 事は完全に単純だと私は考えるべきと思っています。ラヴィニアがあなたを捨て去ったのよ。エドワード そう、事態はその通りさ。それは、誰のも明白な事だと思う。セリア 叔母などはあの時の全くの作り事で、あまり上等とは言えない。あなたはもっとましな何かを用意しておくべきでしたね、ジュリアに対しては。でも、それも実際には大したことではないわ。みんなはやがて十分に知るでしょう。それは私達の困難な事態を治める事にはならないでしょうが。エドワード 実際の困難を明るみに引き出すだけにしか過ぎないだろうね。セリア でも、確かにこれらは一時的なものよ。御存知のように私は事態を受け入れています。離婚はあなたの経歴を破滅させてしまい。しかも、ラヴィニアは決してあなたを離したりはしない。確かに、夫は離婚される相手であると言う馬鹿げた約定にあなたはしがみついたりしてはしない。そしてもし、彼女が選択してこんな根拠を与える…、エドワード 成程ね、でも事態はそんな風では全くないのだよ。ラヴィニアは戻って来るのだ。セリア ラヴィニアが戻ってくるですって…、彼女は我々に罠を仕掛けたとでも言うのでしょうか。エドワード いいや、若し罠があるとしたら、我々は全員が罠にはまっているのさ。我々は自分で罠を仕掛けたのだ。しかし、それがどんな罠なのかはまるで見当もつかい。セリア それじゃあ、何が一体起こったのでしょうか…。 (電話が鳴る)エドワード えい、電話だぞ。電話に出なくてはいけない。もしもし…、ああ、もしもし、いいや、詰まりは、そう、アレックス。そう、勿論だよ…、ありゃ絶品だった、僕はあんな素晴らしい料理をこれまでに賞味したことはない。…、そう、それは興味深いね。しかし僕はあれはなかなかに噛み応えがあると感じたね。…、いや、アレックス、チーズはいらないよ。いや、ノルウェイ産でなくて…。でも、実際に僕はチーズはたくさんなのだよ。どんなスリッパだい…、ああ、ユーゴスラビアの。スモモとアルコール、いや、アレックス、僕は実際なにもいらない。とても疲れているのだ。とても有難う、アレックス、お休み。セリア 一体全体、どうしたというのですか…。エドワード アレックスからだった。セリア アレックスからだとは分かったわ、でも、彼は何を話していたのかしら。エドワード もう、すっかり忘れてしまったよ。彼は自分の道を進んで行った、少し前にね。そして僕に何か夕食を作ってやろうと主張した。そして、彼はそれを十分以内に食べろと命じた。多分、まだ煮えているだろう。セリア まだ、煮えているだろうですって。どうりで、奇妙な匂いがすると思っていたの。勿論、それはまだ料理中でしょう。…何かを料理しているところでしょうね。私は調べに行かなくては…。 「部屋を出始めた」エドワード どうかお願いだから、邪魔をしないで。(セリアは退場) 誰かが着て、君が台所にいる所を見付けたりしたら…。 (エドワードはテーブルの所に行き、ペイシャンスのゲームを眺めた。カードを動かす。ドアのベルが続けて鳴る。セリアがエプロン姿で再登場する)セリア ドアに応対に出た方がいいわ、エドワード。それがベストの行動よ、頭を冷やしてね。分るでしょう、私は実際に傘を忘れてしまったのよ。そして言うつもりよ、あなたがここで飢えて途方に暮れていたので、何かをしなければいけなかった。私は此処に留まって、隠れたりはしないわ。 (台所に戻る) ベルが又なった。エドワードは玄関に行く。そして、声が聞こえた。ジュリア…、どうして又戻って来たのですか、…。 (ジュリアが入って来る)ジュリア 一種の霊感があったのよ。 (フライパンを手にセリアが入って来る)セリア すっかり駄目になってしまったわ、エドワード。エドワード いい事だよ。セリア フライパンも駄目になっていた。エドワード それと、半ダースの卵もね。朝食用に一個欲しかったのだが。ゆで卵としてね。それが僕が出来る唯一の料理でね。ジュリア セリア! あなたも私と同じ霊感が働いたのね、エドワードに食事をさせなくてはと。彼は今非常な困窮下にあるのだから。我々が彼の体力を維持してあげなくては。エドワード、気づいてくれなくては、如何にあなたが幸運なのか、善良なる二人のサマリア人が此処にいる事を。私は、以前は気づかずにいましたよ。エドワード 盗賊の間に倒れた男は僕よりももっと幸運でしょう。彼は宿屋に運ばれた。ジュリア まあ、何て感謝を知らないのでしょうか、そのフライパンの中には何が入っていたの。セリア 解りませんわ。エドワード アレックスがやって来て、僕の為に用意した何物かですが、彼はそれを作ると言ってきかなかった。三人の善きサマリア人ですよ。僕は、全部忘れていたのです。ジュリア でもあなたはそれに手を触れてはいけなかった。エドワード 勿論、僕は手を触れていませんよ。ジュリア まあ、まあ、私は前もって警告しておくべきでいたね。アレックスの作る物は何にしろ全く滅茶くちゃなのよ。私は彼が毒した人々のお話を沢山してあげましょうね、さて、まあ、そのエプロンをこちらに下さいね、私に何が作れるか、試してみましょう。あなたは、此処にてエドワードと話をしてあげてね。 (ジュリアは退場)セリア 一体、何が起こったのかしらね、エドワード。一体全体、何が…。エドワード ラヴィーニが戻って来るのだ、と思う。セリア そう、思うの。分らないのね。エドワード そう、でも僕は信じてはいるのさ。此処に居た、あの男…。セリア その男って、誰の事ですか。私は彼を恐れているわ。彼は、ある種の力を持っている。エドワード 僕は彼が何者かを知らない。しかし、君たちが皆去った後で、彼と話をした。そして彼はラヴィニアを連れ戻すだろうと言った、明日に。セリア でも、何故、あの男は彼女を連れ戻したいのかしらね、彼が悪魔ででもない限りは、私、彼は悪魔だと信じられるわ。エドワード 僕が彼に尋ねたから、そう答えたのだ。セリア あなたが尋ねたからですって…、それならば、彼は悪魔に違いないわ。彼はあなたに魔法をかけたに違いない。どのようにして彼は、あなたに彼女が戻って欲しいと思わせたのかしらね。 (ポンとはじける音が台所から聞こえる)エドワード あれは一体、何だろうか。 (再びジュリアがエプロンをつけて、三つのコップを載せたお盆を手にして入って来る)ジュリア 私は、霊感を受けたのよ。食べられる物はあそこには何もなかったわ。私はくまなくあちこちと探した。そして、シャンペンしか見つけられなかった。それもハーフボトルの。確かにね。勿論、冷やしてなどはいない。でも、気晴らしには最適でしょ。そして私は思った、私達三人共何か刺激になる物を必要としている、この惨状の後ではね。さて、健康の為に提案したいの、見当がつくかしらね、誰のための健康を祝するかを。エドワード いいえ。想像出来ませんね。でも、アレックスの為には飲みたくないですね。ジュリア ああ、アレックスにじゃないわ。さあ、ラヴィニアの叔母の為によ。あなたはそれを推測すべきだったわ。エドワードと セリア ラヴィーニアの叔母ですって。ジュリア さてと、次なる質問は何をなすべきかよ。それはとても単純だわ。もう、遅すぎるか、早すぎる、レストランに行くには。だから二人とも私と一緒に我が家に来るべきよ。エドワード いや、済みませんが、ジュリア。出来ればそうするのですが。疲れ過ぎて外出できないのSよ。全く空腹ではないのです。ビスケットを何枚か食べるつもりでいます。ジュリア でも、あなたは、セリア。あなたは一緒に来て軽い食事を私とするべきよ。とても軽めのそれを。セリア お供するのが許されれば、そうするのですが。あと十分程、行く前にエドワードに言いたいことがあるのです。ジュリア ラヴィニアについてかしらね。そう、急いで来てね。そしてタクシーを拾わなくては。分るでしょう、あなたは全く空腹そのものと言った風情だわよ。お休みなさい、エドワード。 (ジュリアは退場する)セリア さて、彼はどのようにあなたを説得したのかしら。エドワード 彼がいかようにして僕を説得したかだって…。僕は非常に鮮明な印象を受けたのだ。ラヴィニアが行ってしまったのはいずれにしても最上の策だったと僕を説得した。僕は感謝すべきなのだ。そしてなおかつ、彼は妻が戻る事を僕が望んでいると僕自身に悟らせることが彼の議論の効果だった。セリア それが、悪魔の手法よ。それでは、あなたはラヴィニアに戻って欲しいのね。ラヴィニアに!そしてあなたに関心のある一つの事は、破滅を避ける事だった。いずれにしても不愉快な事態を。いいえ、断じて、そうではあり得ないわ。そうだとは思わない。それは心労への一時的な屈服に過ぎないと思う。そしてパニックへの。あなたは面倒に直面できないのよ。エドワード いいら、そうじゃない。単に、そうではないよ。セリア 単純に、虚栄の問題ではあり得ないわね。世間があなたを笑いものにするだろう、何故ならば妻が別の男を求めてあなたを棄てたから、と思うのかしらね。私はやがてそれが正しいとするでしょうよ。エドワード、あなたは自由になるの。
2025年11月04日
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