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2021年08月31日
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18             [ 第四幕 第二場 ]

   アルバニー公の館の前

   ゴネリルとエドマンドが登場。

ゴネリル  ようこそ、我が館に。

   オズワルドが館から出て来る。

ゴネリル  あ、旦那様は何処においでだった?

オズワルド  奥にお籠りです。敵軍の上陸、奥方様の御帰館、グロスター殿の陰謀、その御子

息様の御忠節についても、委細お話申し上げましたが、公には手前を間抜け呼ばわりまでなさ

り、言う事がアッベ(逆様)だとの仰せ ――



ド、弟の館へ。そして一刻も早く召集を終わるように促し、その指揮を取ってくださいまし。(形

見を渡しながら) これを。では、ご機嫌よう。

エドマンド  たとえ一命を失おうとも、全ては貴女のお手に!

ゴネリル  またお目に掛かりましょう、グロスター伯爵! (エドマンド退場) ああ、こうも違

うものかしら、同じ男と男で!

オズワルド  奥方様、あれに旦那様が。(言いおいて退場)

   アルバニー公が登場。

ゴネリル  この間までは口笛の御挨拶位して頂けましたのに。

アルバニー  おお、ゴネリル、安心できぬのはその気性だ。己の命の源を蔑ろにする情知らず

に人の道が守れる筈がない。

ゴネリル  もう沢山! そんな事は愚にもつかぬお説教と言うもの。



ゴネリル  あなたの肝は白い乳で出来ているらしい! 既にフランス王はこの平和の領土に旗

を翻(ひるがえ)し、兜(かぶと)の羽飾りも勇ましく御領地を狙っていると言うのに、あなたは教訓

好きの阿呆よろしく、「ああ、何故こんな無法な事を?」と嘆いているだけの事。

アルバニー  己の顔を覗いてみるがよい、悪魔め!

ゴネリル  ああ、阿呆がたわいもないことを!



アルバニー  何の知らせだ?

使者  おお、一大事にございます。コーンウォール公がお薨(かく)れ遊ばしました。ご自分の召

使の手にかかって、は、グロスター伯の眼を抉り取ろうとなさったので。

アルバニー  グロスターのマナグ(眼)を!

使者  は、両目共に。奥方様、この手紙に至急御返事をとのこと、お妹様からに御座います。

(手紙を渡す)

ゴネリル  (傍白)見様によっては、それも好都合。ただ、夫に死なれて独り身になった妹の傍に

は私のグロスターが。でも、見方を変えれば、満更不吉とも言い切れない…。読みましょう、返

事は直ぐ書きます。(退場)

アルバニー  息子はどこにいたのだ、父親が目を抉り取られ、酷い目に遭わされていた時?

使者  奥方様のお供でこちらへ。

アルバニー  ここには来ておらぬ。

使者  は、存じております、お戻りになる所を、途中でお目にかかりました。

アルバニー  この非道の仕打ちを知っているのか?

使者  は、それどころかみずからお父上を中傷し、わざとその場をはずし、公爵夫妻に思いの

ままの御処分が出来るように仕組んだので御座います。

アルバニー  グロスター、この身は必ず生きながらえて、王に尽くしてくれたお前の真心に礼

を言い、抉られた眼の敵は取ってやるぞ。さ、奥へ来てくれ。なお知っている事は何でも聴かせ

て貰いたい。(二人退場)

              19             [ 第四幕 第三場 ]

   ドーヴァー付近の仏軍陣地

   ケントと紳士が登場。

ケント  何故フランス王にはこうも慌ただしく御帰国なされたのか?

紳士  何か本国に大事を控えてのことかと。

ケント  例の手紙をお読みになって、お妃にはさぞかし深くお嘆きの事とおもうが?

紳士  一二度、切なげに「オドサマ(お父様)」と、如何にも胸を絞るような声をお漏らしになり

ました。

ケント  で、それ以来、お目にかかってはおられぬのだな?

紳士  左様、一度も。

ケント  実は受難の王の事だが、今はこの町においでになる。だが、何としても姫君コーデ

ィリア様にはお会いになりたがらぬのだ。

紳士  お気の毒な!

ケント  アルバニー、コーンウォール、両軍の模様について何かお聞きになった事は?

紳士  その事ですが、いずれも既に出陣したとのこと。

ケント  さて、これから国王のもとにご案内しよう。どうぞ御一緒にお出でを。 (二人退場)

              20              [ 第四幕 第四場 ]

   前場と同じ

   軍鼓、軍旗、その後にコーディリア、侍医、将士の一隊が登場。

コーディリア  ああ、確かに父上に違いない。父上を救うてくれた者には、私の持っている物

なら、どんな宝でもとらせように。

   使者が登場。

使者  お知らせ申し上げます。ブリテンの軍勢がこちらに向かって攻め寄せて参ります。

コーディリア  予想通りです。フランス王は泣いて頼む私の心を察し、憐れんでくれたので御

座います。思い上がった野心から、好んで戦を起こしはしない。(一同退場)

              21              [ 第四幕 第五場 ]

   グロスター伯の居城

   リーガンとオズワルドが登場。

リーガン  でも、兄上の軍勢はもう出陣したのだろう?

オズワルド  はい、確かに。

リーガン  エドマンド卿はお館に着いても公爵とはお会いになられなかったとか?

オズワルド  はい、左様で。

レーガン  エドマンド宛の姉上の手紙と言うのは、どういう用向きなのだろう?

オズワルド  内容は存じませぬが。

レーガン  実は、あの人は大事な使命を帯びて急ぎ旅立ちました。父親の命にけりをつける事

と、敵の兵力を探る目的で。

オズワルド  それでは直ぐにお跡を追わねば。

リーガン  私にその手紙の封を切らせておくれ。

オズワルド  いくら私でも、そのような事は。

リーガン  あの人は自分の夫を好いてはいない。お前は姉上の腹心だったね。

オズワルド  私が、まさか!

リーガン  何もかも解っている。私は夫に死なれました。エドマンドとは話がついている。あ

の人にしてみれば、お前のところの奥方よりは私の手を取る方が手っ取り早いというもの。あの

人に会ったら、(何か形見の品を渡し)これをお渡ししておくれ。では、行っておいで。 (二人退

場)

               22            [ 第四幕 第六場 ]

   ドーヴァー付近の田舎

   グロスター、続いて百姓姿のエドガーが登場。

グロスター  まだ、大分かかるだろうか、例の岡の頂きまでは?

エドガー  今、それに掛かるところだ。この通りなかなか骨が折れる。

グロスター  何だか平らなような気がする。

エドガー  酷い登りだ。それ、潮騒が聞こえよう。

グロスター  いや、何も。

エドガー  それはおかしい。してみると、眼の激しい痛みのために、他の感覚も麻痺してしま

ったらしい。

グロスター  成程、そうかも知れぬ。

エドマンド  さあ、ようやく着いた。動いてはいけない。恐ろしくて目が眩みそうだ。

グロスター  そのお前の立っている所へ、私を連れて行ってくれ。

エドガー  さあ、手を。よし、ここは崖縁まで一フィートしかないぞ。

グロスター  手を放せ。これを遣る。別の財布だ。宝石がひとつ入っている。貧しき者の手に

渡れば結構ひと財産になる。別れの挨拶をして、去って行く足音を聞かせてくれ。

エドガー  では、これで、御機嫌よう。

グロスター  お前のことは忘れぬぞ!

エドガー  (傍白) 人の絶望をこうまで弄ぶのも、詰まりそれを治してあげたいからだ。

グロスター  ああ、大いなる神々! (膝まづく) 私は今、この世と断ち、心静かにこの業苦を

振捨てようとしております。もしエドガーが生きておりますならば、おお、何とぞあれをお見守

り下さいますよう!

エドガー  それ、離れていますよ、ご機嫌よう! (グロスターは前に倒れ、気を失う) だが、

積りだけで大事な命を失うことが無いとは言えぬ。 (声を高くして) 生きているのか、死んでい

るのか? おい、どうした! (傍白) こうして一度は死んでもらおう。が、やがて生き還るの

だ。(声を高くして)お前さん、どこの人だね?





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最終更新日  2021年08月31日 09時38分14秒
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